このページでは、社会の高校入試用暗記教材である「中学社会の点数が面白いほどとれる一問一答」(約170ページ、角川)の受験勉強時の暗記法を書いていきます。
1.「中学社会の点数が面白いほどとれる一問一答」とは
1.1.教材解説
社会の高校入試用暗記教材では「高校入試 実力メキメキ合格ノート」3冊シリーズ(文英堂)が最も高評価で有名ですが、これは内容量が多く、社会偏差値45~50を目指す人には荷が重いです。よって、そういう人には「中学社会の点数が面白いほどとれる一問一答」がオススメです。
「中学社会の点数が面白いほどとれる一問一答」の収録用語数は「高校入試 実力メキメキ合格ノート」の40%程度ですが、一問一答問題集の中では比較的多くの用語が掲載されていて、暗記やテストがしやすくなっています。
偏差値50以下の公立高校入試社会であれば、「中学社会の点数が面白いほどとれる一問一答」と過去問だけでも十分、合格点を取れるはずです。
1.2.対象者
(1)社会偏差値45~50を目指す受験生(現状偏差値40~45以下)。
(2)志望校偏差値が50以下の受験生。
1.3.他の必要教材
社会でも理科でも、実力を上げるには、最初は理解し、そして繰り返すことで暗記をしていく必要があります。
「中学社会の点数が面白いほどとれる一問一答」は暗記に特化した教材なので、理解には別の教材(参考書、解説書)が必要です。選択肢は以下。
「学校の教科書」
「中学地理・歴史・公民が面白いほどわかる本」(3冊、角川)
「高校入試 実力メキメキ合格ノート」(3冊、文英堂)
「中学社会の点数が面白いほどとれる一問一答」と同じ著者・出版社による「中学地理・歴史・公民が面白いほどわかる本」がオススメです。以下ではこの本を併用するとして話を進めていきます。
2.暗記の前提
2.1.いつまでに暗記し終われば良いか
「中学社会の点数が面白いほどとれる一問一答」は、3年夏休みまでに暗記し終えることを目標とします。それも7月末など、早ければ早いほど有利です。なぜなら、7月末に暗記が終われば、8月から、過去問や受験問題集、苦手分野の暗記・復習に時間が十分使えるからです。
とは言っても、普通、7月中に終わらなくても、8月中に暗記し終われば、他の受験生よりは早いので、よしとします。
2.2.暗記を始める時期
(1)2年の夏休みから
これは難しいでしょう。暗記して、復習して、記憶を維持するには相当の集中力が必要で、それを1年半(2年夏~3年冬)も続けるのは無理があるからです。
また、中学1~2年生時には未習範囲も多いし、(成績を上げるのに時間が掛かる)英数国の実力を上げることの方が重要だからです。
(2)3年になる春休み~6月から
本格的に社会の暗記を始める時期(受験勉強に取りかかる時期)は、3年になる春休み頃(正確には3学期の期末テストが終わった直後)からが最適です。
3年になる春休みから始めれば(順調にいけば)6~7月頃に暗記し終わります。
3年の6月までに始めればギリギリセーフでしょう。夏休みに頑張れば、夏休み中に終わらせることも可能です。
(3)3年夏休み以降から
これは危険すぎます。暗記には通常、3~4ヶ月前後かかるので、7月後半から始めたら、夏休みに頑張っても、9~10月あたりまでかかるでしょう。
そうすると、過去問に入るのが10~11月からになり、弱点対策が間に合わない可能性があります。
精神衛生上も良くありません(いつ暗記できるか分からないので不安になります)。
2.3.週何ページ暗記するかを決める
暗記するときは、1週間に何ページ暗記するかを決め、そこを10~20周して暗記します(何周で暗記できるかには個人差があります)。
毎日1時間使えるとして、週約20ページ暗記できます(暗記量は個々の記憶力や基礎知識に左右されます)。全体で170ページほどなので、9週間≒約2ヶ月で暗記可能です。
ただ、実際には未習範囲もあり、テストもあるので、少し余裕を見て3~4ヶ月(×1時間)かかると思っておいた方が良いでしょう。
2.4.何を暗記するか
高校入試社会の問題に出て、暗記が必要なのは以下の2つです。
(1)用語
①用語とは:年号、人名、事件名等のことです。「中学社会の点数が面白いほどとれる一問一答」では用語は(穴埋め、一問一答)問題になっています。
②具体例:「1904年に( )が起こった。」という穴埋め問題に対して、「日露戦争」と答えられるのが用語の暗記ができた状態です。
③用語の暗記が優先:受験勉強では、まずは用語を全て暗記します。
(2)用語の意味
①用語の意味とは:人物の業績、用語の意味内容、戦争の原因・関係者・経過・結果・影響、文化の特徴などのことです。歴史の流れ(因果関係)もこれに含まれます。「中学社会の点数が面白いほどとれる一問一答」ではこれも一問一答問題になっており、覚えやすいです。
②具体例:「日露戦争とは何か?」という質問に対して、「1904年に日本とロシアとの間で起こった戦争で、日本が勝ち、1905年のポーツマス条約で講和が結ばれた。」と言えるのが用語の意味の暗記ができた状態です。
③用語の意味も暗記する:「中学社会の点数が面白いほどとれる一問一答」では、最小限の用語の意味が一問一答問題になっているので、それを暗記します。
そして、過去問や問題集を解く中で、問われて間違えた用語の意味もその都度まとめて暗記していけば、用語の意味の暗記も合格レベルになります。
2.5.未習範囲をどうするか
3年になる春休みから暗記を始める際、多くの公立中学では、公民だけでなく、歴史・地理にも未習部分が結構あったりします。
その場合、まずは歴史・地理の既習部分を暗記し、次に、暗記している間(2ヶ月前後)に学校で進んだ範囲や定期テスト範囲を暗記し、既習部分を全部暗記し終わったら、初めて、未習部分の暗記に入ります。
未習部分の暗記を後回しにするのは、未習部分は理解に時間がかかるからです。
2.6.未習部分の暗記法
未習部分を(塾などで習わずに)自習で進める方法には以下の2つがあります。
(1)「中学社会の点数が面白いほどとれる一問一答」+「中学地理・歴史・公民が面白いほどわかる本」(参考書)。
(2)「中学社会の点数が面白いほどとれる一問一答」+「中学地理・歴史・公民が面白いほどわかる本」+スタディサプリのような動画授業。
「中学社会の点数が面白いほどとれる一問一答」+「中学地理・歴史・公民が面白いほどわかる本」だけで理解できるなら、どんどん暗記を進めていきます。暗記法は後述。
「中学社会の点数が面白いほどとれる一問一答」+「中学地理・歴史・公民が面白いほどわかる本」だけで理解しづらいなら、全部、または一部をスタディサプリなどの動画授業を見て理解し、「中学社会の点数が面白いほどとれる一問一答」で暗記していきます。
2.7.どの科目から始めるか
社会は、歴史・地理・公民の3科目あります。公民は3年の最後にならないと終わらないので、普通最後に暗記します。
歴史と地理では、どちらでも好きな方から始めて構いませんが、本書は地理から始まっているので、地理からがオススメです。
2.8.記憶の原理
記憶には、短期記憶(数時間~数週間もつ記憶)、中期記憶(数週間~数ヶ月もつ記憶)、長期記憶(数ヶ月~数年以上もつ記憶)の3つがあり、受験に必要な知識は、最終的に全て長期記憶に入れる必要があります。
全ての記憶は最初、短期記憶に入り、7日(7回)以上の復習をすれば中期記憶に入ります。中期記憶に入ったかどうかの印は「即答できるかどうか」です。
※7回:何回必要かは科目や内容によります。英単語や社会の用語暗記のような、量が膨大で理解の度合いが少ないものは回数が多く必要で(英単語で数十回~150回前後、社会で10~20回前後)、数学や物理のように理解の度合いが大きい科目は、回数は少なくて済みます(5~10回前後)。英文法問題集や理科の問題集はその中間で、10回前後です。
長期記憶に入れるには、中期記憶に入れてから、更に2ヶ月以上の復習が必要です。
まとめると以下になります。
【短期記憶⇒7日復習⇒即答⇒中期記憶⇒2ヶ月以上復習⇒長期記憶】
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3.「中学社会の点数が面白いほどとれる一問一答」暗記法
3.1.暗記法
簡単に言うと、「中学社会の点数が面白いほどとれる一問一答」の暗記法は以下になります。
【「中学社会の点数が面白いほどとれる一問一答」暗記法】
(1)全体を5~10前後のパートに分け、1週間で1パートを10~15周して暗記する:例えば、1パートを20ページにすると、約170ページを約9週間で暗記できます。
(2)一問一答の答えを暗記する:見開き2ページを3~4周して穴埋めや一問一答の答えをいったん即答できるようにします。
(3)参考書を週3回音読する:「中学社会の点数が面白いほどとれる一問一答」で暗記している箇所に該当する「中学地理・歴史・公民が面白いほどわかる本」の箇所を読むと暗記もし易くなります。
3.2.詳細な暗記法
ここでは毎週20ページを暗記するとして書いていきます。
【「中学社会の点数が面白いほどとれる一問一答」暗記法】
(1)第1パート(20ページ)の1周目
①用語暗記:見開き2ページを3~4周していったん一問一答(もしくは穴埋め)の答えを即答できるようにします。
②見開き2ページの1周目:栞か赤シートで答えを隠し、左の文を理解しながら黙読し、一問一答の答えを言います。間違えた問題に印を付け、答えを5回ほど音読していったん暗記します。見開き2ページを1周したらすぐに2周目に入ります。
③見開き2ページの2周目以降:2周目は1周目に間違えた問題のみ、3周目は2周目にも間違えた問題のみ解き、間違えたら暗記します。3~4周でいったん全部暗記できるはずです。
④次の見開きに:見開き2ページの答えを全部即答できるようになったらすぐに次の見開きに行き、時間の限り先へ進めます。
⑤理解のために「中学地理・歴史・公民が面白いほどわかる本」の該当部分を週2回読む:流れや関連をしっかり理解して暗記すれば定着しやすいので、「中学社会の点数が面白いほどとれる一問一答」の暗記と並行して、週2回ほど読みます。
黙読と比べると、音読の方が暗記しやすいので、音読がおススメです。
(2)第1パート(20ページ)の2~15周目
①第1パートの2周目:その日、もしくは翌日などに20ページまで行ったらすぐに2周目に入ります。2周目は、印が付いた問題のみ解きます。
左の文を読んで答えを言うテストをし、間違えた問題に更に印を付け、5回ほど音読していったん暗記します。
見開き2ページの2周目は1周目に間違えた問題のみ、3周目は2周目に間違えた問題のみを解き、間違えたら暗記します。3周前後で全部暗記したら次の見開きに。後は同じ。
②第1パートの3~15周:同様に、全てを即答できるまで10~15周前後します。完全に暗記したら、(それが5日でも10日でも)第2パートに進みます。
※10~15周:何周で完全暗記できるかは個々の記憶力・集中力次第ですが、15周すればほぼ全員が暗記できます。
③暗記の目標:全ての答えを即答できるようにします。即答できたら、中期記憶(数週間~数ヶ月もつ記憶)に入って、ある程度深く暗記できています。
④かかる時間:20ページ×15周で約6時間、「中学地理・歴史・公民が面白いほどわかる本」の音読3周を含めて約8時間です(かかる時間は個々の記憶力や基礎知識次第です)。
(3)第2パート(20ページ)
①暗記法:第1パートと同じ。
②復習:第2パートの暗記と並行して、第1パートの復習を週2周し(週40分前後)、忘れないようにします。
③復習法:1つでも印の付いている問題を読んで答えを言うテストをし、間違えた問題に印を付け、5回ほど音読していったん暗記します。
見開き2ページの2周目は1周目に間違えた問題のみ、3周目は2周目にも間違えた問題のみを解き、間違えたら暗記します。3周前後で全部暗記したら次の見開きに。後は同じ。
④音読:理解のため、「中学地理・歴史・公民が面白いほどわかる本」の既習部分を週1回読みます。
(4)第3パート目以降
①復習しながら新規パートを暗記する:新規パートを暗記しつつ、既習パートを「1パート×週2周」復習します。2周で忘れていっているなら3~4周します。
例えば、6週間目は、第6パートを10~15周しつつ、第1~5パートを「1パート×週2周×5パート」復習します。
②未習範囲は飛ばす:学校や塾の未習範囲は飛ばして進めます。未習範囲は理解しにくく、暗記しにくく、時間がかかるからです。
未習範囲は、既習範囲を全部暗記し終わったら、暗記を始めます。
③途中で復習が追いつかなくなったら、1~2週間は復習に専念してよい:週を追うごとに復習量がどんどん増えるので、新規で毎週20ページを進めるのは当然、だんだん苦しくなります。
その場合、勉強時間を増やすか、新規のページ数を減らすか、1~2週間は復習に専念して、とにかく既習部分の忘却を防ぎます。復習を軽視したら、最後まで暗記しても多くを忘れてしまい、何周したら全部暗記できるか分かりません。
一方、絶えず復習しながら先へ進めれば、1冊を1周するだけで、(まだ長期記憶には入っていませんが)ほとんどを覚えているので、過去問や受験用問題集に入れます。
(5)既習範囲を暗記し終わったら
①未習範囲の暗記に取りかかる:前述の通り、既習範囲を全部暗記し終わったら、スタディサプリのような動画授業や「中学地理・歴史・公民が面白いほどわかる本」も使って先取りをします。
②先取りの方法:スタディサプリのような動画授業を幾つか見て、それに該当する「中学地理・歴史・公民が面白いほどわかる本」の箇所を2回読み、理解してから、「中学社会の点数が面白いほどとれる一問一答」を上記のように暗記していきます。
③復習:既習部分の復習を、週3時間など、並行して進めます。2ヶ月以上復習し、長期記憶(数ヶ月~数年以上もつ記憶)に入れていきます。
3.3.因果関係に注意しながら読む
歴史では「流れ」を理解しなさい、とよく言われますが、「流れ」とは「因果関係」のことです。
例えば、なぜ日露戦争は起こったのか、どういう経過をたどり、どういう結末になり、その戦争の日本・ロシア・アジア・欧米への影響は何か、を理解することで、忘れにくくなり、また、因果関係が入試・模試・テストに出るので、偏差値も上がり、志望校に合格しやすくなります。
そして、歴史に限らず、地理でも公民でも、流れや用語同士の関係を理解していくと、忘れにくくなるので、「中学地理・歴史・公民が面白いほどわかる本」を読むときは、因果関係がどうなっているかに注意しながら読みます。
3.4.復習がカギ
多くの受験生は、先に進むことを優先し、復習についてあまり考えていません。そのため、1冊を暗記し終わっても、前半をかなり忘れてしまい、全体を2周、3周する必要が出てきます。
しかし、上述のように、いったん即答できるようにし、常に復習しながら先に進めば、復習に時間はさほどかからず、最短で全部を長期記憶に入れられます。そして1冊を暗記し終わったら、次の問題集に入れます。これは大きな違いです。
よって、「常に復習しながら先に進む」ことです。苦しくても復習を優先させます。
4.「中学社会の点数が面白いほどとれる一問一答」の後は
「中学社会の点数が面白いほどとれる一問一答」を全部暗記した後は、受験用問題集や過去問に入っていきます。
【最後に】
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
あなたの健闘を祈ります。
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