高校入試の英語で最も重要な英語長文。入試で、初見の英語長文をスラスラ読めるようにできる勉強法を、あなたはご存じですか?
もしあなたが初見の英語長文を速く読めない、理解度が低いとお悩みなら、このページはきっとあなたのお役に立てると思います。音読を使った、英語長文の理想的な勉強法をご紹介します。
目次
1.英語長文を勉強する3つの目的
1.1.英語長文を勉強する目的1:初見の英文を読めるようにする
英語長文は何のために勉強するのでしょうか?
それはもちろん、入試やテストで、「初見の英文を読んで意味が分かる」ようにするためです。そして、最終的には、英語の書籍や論文、新聞や雑誌などを、辞書を引けば、ある程度スラスラ読めるようにするためです。
1.2.英語長文を勉強する目的2&3:初見の英文を速く、明確に読めるようにする
更に、入試やテストの英文は、ただ「読める」だけでなく、可能な限り「速く、明確に」読めた方が良いのは当然です。
よって、初見の英文を読むとき、”速く、明確に意味が分かる”ことを可能にする英語長文のトレーニングも必要になります。
1.3.英語長文の理想的な勉強法
初見の英文を、速く、明確に読めるようにする英語長文の勉強法なんてあるのか、って?
それがあるのです。
99%の中学生が知らない”理想的な英語長文勉強法”ー「3-3-10の100回音読法」を、このページでご紹介していきましょう。
2.初見の英文を読めるようにする英語長文勉強法
2.1.初見の英文を読めるために必要な3つのこと
初見の英文を理解できるためには以下の3つのことが必要です。
(1)英単語・英熟語:その英文に出てくる英単語や英熟語の意味が分かる。
(2)文法・構文:文法や構文の意味が分かる。
(3)英文構造:どれが主語(S)でどれが動詞(V)かなどの「英文構造」を見抜ける。
2.2.入試英文の99%は、それまでに読んだ英語長文と重複
入試の英文では、今まで勉強したのと同じ英文は出ませんが、同じ「単語・熟語・文法・構文・英文構造」は出ます。
そして、入試までに学ぶ英文は膨大でしょうから(300ワードの英文にして100英文以上)、自分が入試本番で初めて出会う英文に出てくる「単語・熟語・文法・構文・英文構造」の99%は、入試までに読んだ英文のそれらと重複しているでしょう。
その学んできた「単語・熟語・文法・構文・英文構造」を入試の時点で半分でも(50英文分)しっかり覚えていれば、入試の初見の英文も95~99%%以上、理解できるはずです。
2.3.英語長文を勉強する最大の目的
以上から分かるのは、入試のときに、そのときまで学んだ英語長文を役立たせるには、その英語長文に入っていた「単語・熟語・文法・構文・英文構造」の意味を、入試の時点で思い出せることが必要だということです。
「単語・熟語・文法・構文・英文構造の意味を思い出せる」とは、言い換えれば、「学んだ英語長文を読める(文法的に完全に理解し、訳せる。音読して意味が分かる)」という意味です。
つまり、英語長文を勉強する最大の目的は、入試の時点で、学んだ英語長文に入っていた「単語・熟語・文法・構文・英文構造」の意味を覚えていて、それを使って、入試の英文を読めるようにすること、言い換えれば、
入試の時点で、「学んだ英語長文の多くを、読める、訳せる、音読して意味が分かる状態にしておくこと」なのです。
これは困りましたね。
なぜなら、ほとんどの中学生は、今まで読んできた英語長文を読みっぱなしにして、今読んだらその多くが理解できるかどうか怪しいからです。
あなたもそうではありませんか?
試しに、3ヶ月前、半年前に勉強した英語長文を読んでみてください。9割訳せればOK、7割なら危ういです、残りの3割を覚え直しましょう。
3~5割以下なら、あなたがその英語長文を勉強した意味はほとんど無いということです。教科書の理解度が5割以下の中学生の英語勉強法は間違っています。志望校に合格したいなら、勉強法を再検討しましょう。
2.4.英語長文を長期記憶に入れる100回音読法
では、入試の時点で、「学んだ英語長文を読める、訳せる、音読して意味が分かる状態」にするには、どういう勉強法を取ったらよいのでしょうか?
それは、以下の「3-3-10の100回音読法」です。この音読法により、英文をスラスラ読めるようになり、学んだ英語長文を長期記憶に入れることができ、入試のときまで記憶を保持できます。
【(3回日本語訳を読む-3回英文を口頭で和訳する-10回音読)×10日】
【音読時は、頭の中で日本語訳を思い浮かべる】
(1)「日本語訳を読む」ことで文章の意味を深く理解でき、また訳を覚えられます。
(2)「英文を口頭で和訳する」ことを繰り返すことで「スラスラ訳せる状態」「単語・熟語・文法・構文の意味を即座に言える状態」になります。
(3)「日本語訳を頭に思い浮かべながら100回ほど音読する」ことで、理解度を90%にすることができ(日本語並みに理解できる状態を100%とする)、また暗唱・暗記することができます。
以上を1~2日だけしかやらなかったら、速やかに訳せなくなり、忘れていきますが、5日、10日と続けることで長期記憶に入れることができ、入試の時点で使うことができるようになります。
音読の詳しい方法はこちらに書いています。
2.5.今学んでいる英語長文を長期記憶に入れよ
ここでのポイントは「長期記憶」です。
長期記憶とは、科学用語で、「数ヶ月~数年以上保持できる記憶」を意味します。それに対して、数日~数週間で忘れる記憶を「短期記憶」と言います。全ての記憶はまず短期記憶として脳に入り、5~10回復習すれば長期記憶に移されます(長期記憶についてはこちらで詳しく説明しています)。
学習した内容をどれだけ長期記憶に入れられるかが、全ての科目の勉強のカギ、志望校合格のカギになります。
今学んでいる英語長文を「長期記憶」に入れられれば、その理解と知識を入試のときに使うことができます。
人間は忘れる動物です。そして、「理解も記憶」ですから、一度理解できた文法や英文(&数学の問題)も、時間がたてば理解できなくなります。
よって、「この英語長文を長期記憶に入れて、入試のときに役立たせるにはどうしたらよいか」と常に考えながら勉強してください。
そうすれば、あなたの英語力は飛躍的にアップし、合格がどんどん近づきます。
2.6.英語長文を長期記憶に入れるには?
学習した内容を長期記憶に入れるには、「復習」する必要があります。
長期記憶に入れるための復習回数は、英語長文であれば、50~100回程度の音読が必要です。
それも、1日に70回音読してもダメで、【1日10回×7日】のように「日を分ける」必要があります。なぜかというと、「睡眠を挟んで7回以上入ってきた記憶を長期記憶に入れる」ように、脳の機能上、決まっているからです。
もっとも、回数には、教科・個人の記憶力によって差があります。
例えば、数学は「理解」の割合が大きいので復習回数は少なくて済み、超得意な人(偏差値70以上)は3回でも長期記憶に入りますし、普通の高校生(偏差値50前後)は7~10回必要です。
英単語は、記憶量が膨大で、英単語と意味の間には何の関連もないので、「20回×7日」くらいの音読が必要になります。
2.7.長期記憶に入った印
長期記憶に入った印は、英語長文で言えば、「スラスラ訳せる」「単語・熟語・文法・構文の意味を即座に言える」状態です。この状態にすれば学習内容は長期記憶に入り、その多くは入試の時点で使える記憶になります。
加えて、「暗唱できる」ようにすれば、更に深い長期記憶に入ります。
2.8.入試までにマスターすべき英語長文の数
では、どのくらいの数の英語長文を、入試の時点で読めるようにしておけばよいのでしょうか?
達成レベルごとの目安は以下の通りです。
(1)公立高校レベルの英文を読める:中3英語教科書や公立高校英語過去問、公立高校レベルの英文にして30英文(300ワード×30英文)。
(2)難関公立・私立高校レベル(偏差値60以上)の英文を読める:公立高校レベル30英文に加えて、難関高校過去問レベルの20英文(合計50英文)。
(3)超難関国立・私立高校レベル(偏差値65~70以上)の英文を読める:50英文に加えて、超難関高校過去問レベルの30英文(合計80英文)。
以上を、入試の時点で、スラスラ読める状態にしておく必要があります(※マスター度合いに個人差がありますので、数にも個人差があります)。
「君の英語号は空へ舞い上がれるか?」
清水かつぞー(元・駿台予備校講師、ベストセラー「英単語ピーナツ」シリーズ著者)(國弘正雄著「英語の話しかた」所収、たちばな出版)
わからない単語が1ページに10もあり、一つひとつ辞書を引く。そのあとで一生懸命にノートに日本語訳をでっちあげる。授業中に教師が言う訳を参考にして、自分の訳を訂正する。文法的な説明その他も全てノートする。家に帰って、少し復習して、それでおしまい。
もし君が英文解釈でこのような勉強法をしていたら、残念ながら長文を何題やろうが、あまり実力はつかないだろう。残酷な話だが本当だ。それはちょうど、飛行場の滑走路をグルグル回っているジェット機のようなものだ。地面を滑走し続けるだけで、空に舞い上がることは永遠にない。……
それ(英語の加速度を生み出すもの)は「スラスラ感」なのである。「この英文はスラスラわかるぞ!」という感じなのである。そうなのだ。英文解釈の勉強とは、スラスラわかる英文を1つずつ作り上げていくことなのだ。……
「スラスラ感」を味わうためには、地道に音読を繰り返すという復習が欠かせない。ほとんどの生徒がそこから逃げようとする。いや、そのことに気づきもしない。教師もその必要性を教えない。……
ところが、たった3題の長文でも、君が日本語を読むときの「スラスラ感」の半分くらいを英語でも感じることができれば、飛躍の可能性が生まれてくる。最初から量を焦ってはいけない。「スラスラ感」さえ獲得すれば、量はあとから、あっという間についてくる。
大学入試の長文読解は、最高レベルの生徒でもせいぜい100題だ。本当に100題スラスラ読めるようになると、もう入試の英文は読みたくなくなるのだ。
■質問1 どんな英文を対象にするのですか。高校の教科書でもよいのですか。
自分の志望校レベルの長文が対象です。高校の教科書でももちろん結構です。生徒さんは、入試問題ではないという理由だけで、高校のリーダーを軽く見ます。読めもしないくせに軽くみる。それは間違いです。
■質問2 何回くらい音読するとスラスラ感が味わえますか。
100回くらいと言いたいのですが、まあ50回というところが、受験勉強としての現実的な数字でしょう。最初の2,3題は3桁の回数になるかもしれません。
■質問3 実際に100題やれた生徒はいますか。
私の知っている範囲ではおりません。最高で75題です。
■質問4 一番少ない人で何題くらいですか。
10題程度で大学生になった人もかなりおります。15題で上智に合格した人もいる。
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3.初見の英文を速く読めるようにする英語長文勉強法
3.1.英文を”速く”読めるとはどういうことか?
英文を”速く”読めるとはどういう状態でしょうか?
それは、「英文に入っている単語・熟語・文法・構文の意味が即座に分かる状態」「英文構造を素速く見抜ける状態」です(英文構造=どれが主語Sでどれが動詞Vかなど)。
これはその英文を「スラスラ訳せる状態」「音読して意味がスラスラ分かる状態」(スラスラ状態)とほぼ同義です。
3.2.どうすれば初見の英文を速く読めるようになるのか?
入試の初見の英文を速く読めるために、英語長文はどのように勉強すべきなのでしょうか?
それは、今学んでいる1つ1つの英語長文を「スラスラ訳せる状態」「音読してスラスラ意味が分かる状態」(スラスラ状態)にすれば良いのです。
その理由は以下の通りです。
(1)重複:入試の英文に出てくる「単語・熟語・文法・構文・英文構造」のほとんどは、既習の英語長文のそれらと重複しているので、入試の英文の中の「単語・熟語・文法・構文・英文構造」の、例えば95%が習得した英文と重複していれば、入試の英文の95%はスラスラ理解でき、残りは推測できるから。
(2)長期記憶:スラスラ状態にすれば長期記憶に入るので、既習の英語長文の多くを入試の時点まで覚えていられるから。
数としては、上記のように、「300ワード×50英文」ほどをスラスラ状態にすれば、たいていの高校の入試英文はスラスラ読める状態になります。
3.3.英文速読を可能にする「3-3-10の100回音読法」
1つ1つの英語長文を「音読してスラスラ意味が分かる状態」にし、それを入試まで維持するにはどうすればよいのでしょうか?
それは、上で述べた「3-3-10の100回音読法」(「3回日本語訳を読む-3回英文を口頭で和訳する-10回音読」×10日)で可能になります。
同じ英語長文を「1日10回×10日=100回」音読すると、「スラスラ訳せる状態」「音読してスラスラ意味が分かる状態」になり、更に、暗唱・暗記できます。こうすれば英文が長期記憶に入り、入試まで大部分の記憶を保持できます。
「君の英語号は空へ舞い上がれるか?」 (続)
清水かつぞー(元・駿台予備校講師、「英単語ピーナツ」著者)(國弘正雄著「英語の話しかた」所収、たちばな出版)
それ(英語の加速度を生み出すもの)は「スラスラ感」なのである。「この英文はスラスラわかるぞ!」という感じなのである。そうなのだ。英文解釈の勉強とは、スラスラわかる英文を1つずつ作り上げていくことなのだ。
もちろん最初からスラスラわかるはずはない。このスラスラ感を味わうためには、単語の意味や構文の理解も必要だろう。やりたければ日本語に訳してもよい。しかし、それで一丁終わりとしたら、ラーメン屋に入って、待つことしばし、やっとラーメンが出てきたのに、匂いを嗅ぎ、おつゆを一杯飲み、お金を払って出てくるようなものだ。
ところが、悲しいことに、ほとんどのひとの英語の勉強はこのラーメンの「おつゆ一杯」だ。頭でなんとかうすぼんやりわかったくらいで一丁あがりと錯覚する。そこからさらに一歩突っ込んで「スラスラ感」の獲得まで進もうという人はまれだ。
「スラスラ感」を味わうためには、地道に音読を繰り返すという復習が欠かせない。ほとんどの生徒がそこから逃げようとする。いや、そのことに気づきもしない。教師もその必要性を教えない。……
少々辛くても、次の3ステップをお踏みなさい。
・あらゆる武器を動員して、きちんと英文の意味を理解する。
・理解したものをひたすら音読復習してスラスラ感を獲得する。
・スラスラ感を獲得した長文を一題一題増やしていく。
この3つのステップをきちんと踏むと、ある時点で必ず飛躍があります。飛躍とは、全く初対面の英文(入試の本番の英文がそうです)でも、かなりのスピードで読めるようになることです。多読も可能になります。
4.初見の英文を理解度90%で読めるようにする英語長文勉強法
4.1.日本人が英語を理解する3つの方法
日本人が英語を理解するとき、3つの方法があります。
(1)英語を英語のまま理解する:ネイティブの理解法。幼少期から英語を学ぶなどしない限り、日本人には最初は不可能(長く真剣に英語を勉強すれば可能)。
(2)イメージで理解する:視覚を含めた五感のイメージや連想をイメージして理解する。これもネイティブの理解法で、普通の日本人にはイメージだけで英文を理解することは最初は不可能(長く真剣に英語を勉強すれば可能)。
(3)日本語で理解する:日本語(訳や文法的意味)を思い浮かべて、日本語で理解する。
これらから分かるとおり、普通の日本人の中学生が英語を理解するためには、「日本語で(日本語訳や文法的意味を思い浮かべて)」理解するしかないことが分かります。そして、あなたも日本語で英語を理解していることでしょう。
「音読では日本語訳や文法事項を思い浮かべながら読むこと」
松田直樹、東大経済学部3年(「現役東大生たちが実践している合格のための勉強法」ブックマン社、100ページ)
「語学を勉強する時は、音読をするべきです。自分の場合、英語で定期テストがあるときは、2週間くらい前からひたすら教科書を音読していましたね。
そのときのコツは、ただ読むだけでなく、日本語訳や文法事項を思い浮かべながら読むこと。それなりに回数をこなせば、もはや自分の中に英語が染み込んでくるんです。ちょっと感覚的で分かりにくいかもしれませんが、一度体験してみると病みつきになりますよ。」
こうやって感覚的に身に付けた記憶は、定期テストが終わったあともなかなか忘れない。実力テストなどの際にも役立つ。「本物の語学力」として脳に定着していくことになる。
4.2.大多数が実践している、理解度の低い、間違った英語音読法
具体的には、どうやって、英文を日本語で理解しているでしょうか?
※ここでは「音読するときの理解の方法」について書いていきます。英語をテスト中に黙読するときも、たいていの人は心の中で音読しており、また、音読が効果の高い勉強法だからです。
ほとんどの中学生(というより、ほとんどの日本人の英語音読実践者)は、まず英文を訳したり、日本語の訳を読んだあと、音読時に、その日本語訳を何となく思い浮かべて、理解しています(実際には、理解したつもりになっている)。
その理解度は、私が生徒たちに確認したところによれば、30~50%程度です(日本語並とは言わないがそれに近いのを90%、何となく理解できるのを50%、少し理解できるのを20%とした場合)。
何となく、曖昧にしか日本語訳を思い浮かべないから、曖昧にしか英語を理解できていません。また、曖昧なので、訳を忘れるのも早くなります。
そして、理解度30%で100回音読しても、効果としては30回分しかありません。効率が悪いのです。
4.3.音読実践者の99%が知らない、正しい音読法(理解度90%の音読法)
正しい英語音読法とは、以下のように、理解度90%を達成する音読法です。
◆「3-3-10の100回音読法」:【3回日本語訳を読む-3回英文をスラッシュ訳で口頭和訳する-10回音読】×10日
◆理解度90%を達成する音読法:【スラッシュ訳の日本語訳を頭の中ではっきりと言いながら、音読する】
◆理解度99%を達成する音読法:【スラッシュ訳の日本語訳を頭の中ではっきりと言いながら、情景をイメージしながら、音読する】
(1)スラッシュ訳とは
スラッシュ訳とは、スラッシュ・リーディング、フレーズ・リーディングとも言い、3~5ワード前後の意味のまとまりで、前から前から訳していく英語訳読法です。スラッシュ訳をすることで、音読で読む部分と頭の中の日本語訳が一致し、正しく理解できます(スラッシュ訳についてはこちらで詳しく説明しています)。
英語と日本語では語順が違い、英語では後ろから前の語句に掛かる場合が多いため、日本人が英文を読む時はほぼ必ず「返り読み」をしています。返り読みをすると、読むのが遅くなり、左から右へスラスラと英文を読むことができません。よって、英語ネイティブの人が読んでいるような読み方=スラッシュ・リーディングが必要になるのです。
英語速読・リスニングでもスラッシュ訳は不可欠です。
(2)日本語訳を頭の中で言う
英文をはっきりと理解するには、頭の中ではっきりと日本語訳を言う必要があります。
こういう頭の使い方は初めての人が大半なので最初は大変ですが、ゆっくりと音読すれば、誰でも可能です。
これを「1日10回×10日」ほど練習すれば、誰でもスラスラ頭の中で日本語訳が言えるようになり、途中からは、英文を読んだら、その日本語訳が自動的に頭に思い浮かぶようになります。
(3)情景をイメージする
「理解できる」とは「イメージできる」ということなので、音読に慣れたら、イメージをしましょう。理解度が確実に上がります。
ここでの「イメージ」とは、単に視覚的なイメージだけではなく、五感のイメージ全てを含みます。更には、その英単語や日本語訳からの連想も含みます。日本人が日本語を理解するとき、英語ネイティブが英語を理解するときは必ず、これらのイメージを駆使して理解しています。
五感のイメージや連想とは、例えば、strawberry sponge cake(イチゴのショートケーキ)であれば、「視覚的・味覚的・嗅覚的イメージや食感、ケーキ屋・喫茶店・紅茶(連想)」などです。
「英語を理解するとは単語や情景をイメージすること」
「英語の話しかた」(同時通訳の神様・國弘正雄著、たちばな出版、78ページ)
the moon という文字を目にしたら、「月」という漢字ではなく、実際のお月様の姿を思い浮かべるのが、意味を理解するということです。……
音読を繰り返すことによって、英語の語順に従って、心の中に絵が描けるようになってきます。また、是非ともそうならなければなりません。……
英語を理解するときは、<英語⇒イメージ>です。最初は<英語⇒日本語⇒イメージ>でもしかたないでしょうが、だんだんと中間の日本語を外していく努力をしてください。只管朗読(※引用者註:ただひたすら音読をすること)でそれが可能です。……
イメージを鮮明にしていくという心構えは是非とも必要です。
5.まとめ:初見の英文を理解度90%で速読するには音読すればよい
以上から分かるとおり、「3-3-10の100回音読法」さえ実践すれば、勉強した英語長文を全て長期記憶に入れることができ、理解度90%で速読できるようになります。
そして、100回音読して長期記憶に入れた英語長文が30文,50文,80文と頭に蓄積されれば、入試の初見の英文も、理解度80~90%で速読できるようになります。
ぜひ「3-3-10の100回音読法」を実践してみてください。あなたの英語力は飛躍的にアップするでしょう。
6.初見の英文を理解度90%で速読するのに役立つ他の勉強法
入試の初見の英語長文を理解度80~90%以上で速読するのに役立つのは、英語長文の音読だけではありません。他には、主に以下の3つの勉強が役立ちます。
6.1.英単語・英熟語暗記:意味を瞬間的に言えるようにする
高校入試に出る英単語・英熟語を効率的に暗記するには、英単語帳・英熟語帳を使う必要があります。
そして、英単語は、ただ暗記するのではなく、「英単語⇔日本語訳」を「瞬間的に言える」ように暗記する必要があります。
瞬間的に言えれば、その英単語は長期記憶に入り、また英語長文でその英単語を見たとき、瞬間的に日本語訳が思い浮かび、意味が分かる(つまり速読できる)からです。
逆に、暗記するとき、数秒たってやっと日本語訳を言えても良しとしているようでは、入試の英語長文では不利になります。記憶が浅いので速やかに忘れるし、読むのが遅くなるからです。
英単語の意味を瞬間的に言えるようにできる英単語記憶法(クイック・レスポンス法)についてはこちらに書いています。
6.2.例文暗記
以下のような、英文法・英熟語・英語構文の例文を瞬間英作文で暗記することで、それが英語長文に出てきたときに、90%の理解度で瞬時に意味が分かるようになります。
(1)英文法例文の暗記で英語長文が読みやすくなる
中学で習う「英文法例文」は約150種類(150例文)です。その150例文を暗記して、「日本語から英語を瞬時に言える(瞬間英作文)」ようにすれば、英文法の土台が固まり、英文の文法的意味が確実に理解できるようになります。
さらに、その150種類のバリエーションを含め、500~600例文を暗記すれば、初見の英文を読んだとき、それに含まれる文法の意味が瞬時に分かるようになります。
英文法は「理解」するだけではなくて、「例文を暗記する」のが正しい勉強法です。
(2)文法例文集
英文法例文暗記に使える例文集には以下のようなものがあります。
「スーパーステップ 中学英文法 1-3年」(くもん)
「99パターンでわかる中学英語文型の総整理」(CD付き、約600例文、学研)
(3)英熟語・英語構文暗記
熟語は、単体で覚えても使えるものもありますが、以下のようにフレーズもしくは文全体を覚えないと使いづらいものが多いのが実情です。
I’m looking forward to seeing you.
(あなたに会えるのを楽しみにしています。)
英語構文とは、例えば以下のように定型的な、文全体にわたる熟語のことです。
It is important for us to protect World Heritage Sites.
(私たちが世界遺産地域を守ることが重要だ。)
以上のような英文法・英熟語・英語構文の例文で「日本語⇔英語」を瞬時に言えるようにすることで、それらが含まれる英語長文の理解度が上がり、また速く読めるようになります。
(4)英熟語・英語構文暗記に使える英単語熟語集
一般的な熟語帳・構文集では、1つの熟語・構文につき1つの例文が一般的ですが、負担が大きく、ほとんどの人にとって例文を暗記するのは無理です。そこで、以下のような「1つの例文に複数の単語熟語構文が入った例文型単語熟語集」がオススメです。
「システム英単語 中学版」(駿台)
「例文で覚える中学英単語・熟語1800」(学研)
6.3.英単語の推測力
入試で、意味の分からない英単語や英熟語が出るのは避けられません。その場合、前後関係から意味を推測する能力の善し悪しが、命運を分けます。
日本語では当たり前のように文脈から言葉の意味を推測しながら読んでいますから、英語でもできないはずはありません。
この意味の推測力は、一朝一夕では伸びませんから、日頃から培うことが必須です。
具体的には、英語教科書や過去問、英語長文問題集などの勉強で、単語の意味を調べる前に、まず推測するようにします。これを続ければ、3~4ヶ月で推測力が上達していきます。ぜひ入試まで続けてください。
以上、入試の初見の英文を、理解度90%で速読できることを可能にする、理想的な英語長文の勉強法でした。皆さんの参考になれば幸いです。
7.終わりに
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
この文章があなたの成績アップにつながれば幸いです。
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