このページでは世界史の教科書類(通史暗記用メイン教材)の丸暗記法を書いていきます。創賢塾では通史の暗記は「学校で使っている教科書」をオススメしていますので、以下では教科書を想定して書いていきます。他の教材でも暗記法は同じです。参考にしてください。
世界史の教科書類は、50~100ページくらいのパートに分けて10回音読すれば誰でも3~9割暗記できます。平均5割です。5割でも暗記できれば、あとは回数の問題で、15回読めば7割、20回読めば9割以上暗記できます。9割暗記できたら、あとは週1回黙読で復習するだけで入試まで記憶を維持できます。
最初は10ページでも構いません。自分にも10回読める、9割暗記した。その事実と自信が、あなたのやる気に火を付け、教科書類1冊丸暗記を可能にします。
目次
1.ダントツに成績を上げたいなら、教科書を丸暗記しよう
1.1.世界史では暗記法が勝敗を分ける
世界史の暗記は誰でも苦労します。定期テストなら40~50ページ前後ですから、何とかチカラワザで回数を繰り返せば暗記できますが、大学入試では、その10倍の400ページ超の教科書類全体、5000項目の用語をしっかり暗記しなければならないので、自分に合った記憶法を見つけられるかが勝敗を分けます。
そして多くの受験生が自分に合った暗記法を見つけられず、覚えては忘れ、覚えては忘れを繰り返し、敗れていきます。
このページでは、受験の成功者となるための、誰でもできる教科書類丸暗記法をご紹介します。これは世界史だけでなく、英語、古文、漢文、日本史、公民、生物などの暗記科目でも同様に使えます。
1.2.暗記するメインの教材は教科書が最適
世界史の場合、共通テスト、国公立の二次試験とも、問題は教科書をベースに作られていますから、教科書を暗記していれば合格点を取れます。難関私立大学の入試問題には教科書範囲外の知識も出ますが、それにしても、教科書の知識がメインです。
教科書も暗記していないで、他の膨大な暗記量の一問一答問題集などを暗記するのは順序が逆です。まずは教科書を暗記しましょう。
ただし、どうしても教科書が読み進められない場合は、講義系参考書で理解してから教科書を暗記したり、気に入った参考書を暗記しても構いません。
1.3.あなたも教科書類を丸暗記できる
共通テストだけ受けるにしても、400ページ超もある世界史の教科書類の5000項目の知識を暗記する必要があります。
どうやって?
それは教科書類を50~100ページのパートに分けて、各パートを10~20周音読すればよいのです。これで教科書類を丸暗記できます。
教科書類を10周音読するなど、ほとんどの人はやったことがないから分からないと思いますが、10周音読すれば、たいていの人は3~9割暗記できます。10周読んで5割暗記できたら、あとは回数の問題です。15周読めば7割暗記でき、20周読めば9割以上暗記できます。
「9割暗記」というのは、見出しを見てその項目に出てくる用語の9割以上を言える、用語の説明ができる、という意味です。
小中学生なら、10周の音読で教科書を丸暗記したお子さんが何人もいらっしゃいます。
1.4.最初は10ページから
最初は10ページでやってみましょう。以下のように21回音読したら、あなたも9割暗記できます。もし9割以下でも、回数を増やせば、あなたも9割暗記できます。
【「10ページ1回音読15分」×「1日3回(45分)」×7日】
教科書類10ページの丸暗記を1回体験したら、あなたの人生が変わります。「教科書類10ページ分など自分に暗記できるわけがない」という、自分の能力を制限していたリミッター(限界=固定観念)が外れ、「自分にもできる」という自信が生まれるからです。
受験は9割暗記です。暗記は繰り返しで可能になります。
とにかく、何が何でも10ページを10回音読しましょう。そうすれば、あなたの世界史の成績は急伸するでしょう。これがあなたの受験を左右するのだと認識して、気合いで乗り切ってください。
1.5.教科書を読むのがつらい場合の工夫(1)マンガから入る
(1)歴史マンガは有用
教科書を読み進めづらい原因の1つは「用語が難しい」「知らないことばかり」であることです。それなら、教科書の前にマンガや読みやすい概説書で知識を入れれば、読みやすくなるはずです。
文字だけより絵がある方が圧倒的に覚えやすいし、マンガはどんどん読み進められ、挫折する可能性が少ない。また、内容の少なさが、かえって「幹(大きな歴史の流れ)」を覚えやすくするという利点もあります。
実際、多くの受験生がマンガから入ってスムーズに教科書暗記を成功させています。
(2)オススメ歴史マンガ
以下のようなマンガがあります。どれでも好きなものを選んでください。
「マンガ 世界の歴史がわかる本」(全3巻、三笠書房)
「漫画版 世界の歴史」(全10巻、集英社文庫)
「学研まんが NEW世界の歴史」(全12巻、学研)
この中では「マンガ 世界の歴史がわかる本」がオススメです。冊数が少なく、すぐに読み終わることができ、何回も読むのが容易なためです。内容的にも受験に不可欠な内容ばかりで、優れています。
マンガは、黙読で10~20回読んで、暗記してしまいましょう。
(3)読みやすい概説参考書
マンガと共にオススメなのは、マンガ同様、大きな流れと重大事件・重要人物に焦点を当てた、次のような概説参考書です。教科書よりも網羅性は低いですが、その分、読みやすく、全体を繰り返し読むのに適しています。これで世界史暗記の下地を作ります。
「高校とってもやさしい 世界史」(168ページ、旺文社)
「ハンドブック 世界史の要点整理」(256ページ、学研)
「共通テスト ネライ撃ちの世界史B」(269ページ、中経出版)
「タテから見る世界史 パワーアップ版」(284ページ、学研)
「教科書よりやさしい世界史」(288ページ、旺文社)
「青木裕司のトークで攻略世界史B」(全2巻、音声全24時間、語学春秋社)
オススメは「タテから見る世界史」「教科書よりやさしい世界史」です。教材には相性がありますから、実際に手にとって、読みやすいか、分かりやすいかを自分の目で見て、判断してください。
1.6.教科書を読むのがつらい場合の工夫(2)姿勢を変えながら読む
音読でも黙読でも、教科書を読むのはつらい人が多いでしょう。知らない用語が多く、物語性もあまりなく、無味乾燥だからです。この場合、以下の2つの方法を使えば、ストレスを軽減して、続けることができるようになります。
1つめは「姿勢を変える」です。
教科書類の音読・黙読は机の前に座って読む必要はありません。じっと座って読むと、集中がなかなか続きませんが、立って読む、壁にもたれる、しゃがむ、ベッドに座る、歩きながら読むなど、姿勢を変えながら読むと、ストレスがずっと少なくなり、30分、1時間と集中が続きます。
一番オススメなのは、直径1メートルくらいの円周を10秒くらいかけてゆっくり歩きながら音読する方法です。歩くのが最も集中でき、ストレスがかかりませんし、この方法だと物にぶつからず、疲れません。ぜひやってみて下さい。
「声を出す、歩き回る」
「新受験勉強入門 勉強法マニュアル」(東大医学部卒の勉強法研究家・和田秀樹著、37ページ、ブックマン社)
私が受験生のころ、何かを覚えようとするときには、部屋の中を歩き回りながら、ブツブツと声に出したりしていたものだ。特別に意識していたわけではないが、その方が覚えやすいということを、体験的にわかっていたのだろう。
確かに、机の前でただじっと座っているより、歩き回っている方が、脳もリフレッシュされ、五感は刺激されやすい状態になる。また、目の記憶(視覚による記憶)よりも、耳の記憶(聴覚による記憶)の方が心に残りやすいことも多い。
暗記の極意「書く、声に出す、歩きまわる」
お笑い芸人・ロザン(菅広文、京大卒・宇治原史規)インタビュー
-宇治原さんは暗記の極意として「書く、声に出す、歩きまわる」というのを挙げていました。
宇治原 これはまあ、暗記のコツですよね。何かどうしても覚えないといけないってなったときには、五感を使って覚えるといい。目で見るだけじゃなくて、書いたら手が動くし、声に出すと自分の耳で聞くことにもなりますから。
歩きまわるっていうのは、自分でやっていて、これは何となく覚えやすいなあ、って思ったんですよね。自然に分かったことですけど、体を動かしたほうが脳も働きやすいんです。
1.7.教科書を読むのがつらい場合の工夫(3)読み上げCDを使う
教科書類を読み上げてくれる教材があります。これらを聞きながら音読すると、強制的に先へ進むので、続けやすくなります。オススメです。
耳からの情報は定着しやすいので、聞くだけでも覚えていく利点もあります。ただ、1~3回聴いても暗記はできませんから、覚えたいなら、10~20回以上、暗記するまで徹底的に聞き、音読しましょう。
無料の倍速アプリや倍速ソフトはたくさんありますから、1.5倍速や1.8倍速で再生すれば、時間的にもそれほどかかりません。
「アナウンサーが読む聞く教科書 山川詳説世界史」(音声全16時間、山川出版社)
山川の教科書を読み上げてくれます。山川の教科書を使っている場合、これを使うのはとても効率的です。
「聴くだけ世界史」(全2巻、全10時間、学習研究社)
時間から考えても、山川のよりも内容は絞ってありますが、かえって幹(歴史の大きな流れ)を暗記しやすい利点ともなっています。オススメです。
2.そもそも、教科書類の丸暗記なんて、自分にできるのか?
2.1.あなたにもできる
あなたにも、教科書類の丸暗記はできます。当塾の生徒も、皆、回数の違いはあれ、暗記していっています。
「20回以上音読して世界史の教科書を暗記した」
Oさん、高3,和歌山県
3月に「教科書を丸暗記しよう」と言われたときは、「そんなの無理に決まっている」と心の中で思いました。しかし、最初に10ページを20回音読したら、あらら、本当に完全に暗記できました。どこにどんな写真があるかを言えて、見出しを見たら内容がパッパと思い浮かんできました。
そこで、春休みに、今度は70ページを音読してみました。1日2回、3時間以上かかりましたが、10日で25回音読し、これも完全に暗記できました。
自分にはこのときの自信がもの凄く大きく、私でも時間さえかければこんなに簡単に覚えられるんだ、とわかり、暗記科目全てに希望が持てました。
あとはもう回数と時間だけ、6月までに山川の教科書全体を1回暗記し、今は週2回黙読して記憶を維持できています。7月に共通テスト過去問2年分を解いたら、89,92点でした。この時期にしては上出来です。大変ですが効果的な暗記法を教えていただき、ありがとうございました。
「毎日1時間音読し、3ヶ月で教科書丸暗記」
Tさん、東北大学法学部現役合格、宮城県
世界史が好きだったため、社会は世界史にしたものの、暗記が苦手で、覚えてもすぐ忘れていました。定期テストは2週間前から学校のプリントの穴埋めを暗記したら何とか80点くらいは取れていましたが、模試ではいつも偏差値50~55前後でした。お世辞にも得意とは言えませんでした。
創賢塾の先生に相談すると、「教科書を音読すると暗記できるよ」と言われたので、やってみることにしました。英語では教科書の100回音読をやって暗記できていたので、世界史も暗記できるかも、と思いました。
まずは次のテスト範囲の45ページほどを音読してみました。10回音読したら、7割くらい暗記している感覚がありました。細かい用語はまだでしたが、時代の流れはほぼ暗記。そのまま15回、20回と続け、20回でほぼ完全に暗記できました。毎日1時間の音読はかなりつらかったですが、暗記できたので、余りある成果でした。
山川の一問一答を見ても、8割以上答えられ、驚きました。定期テストも自分史上最高の96点。これに手応えを感じ、そのまま100ページずつ一気に暗記。7月までの3ヶ月で教科書と問題集を一通り暗記できたのが大きく、その後の勉強がとても楽になりました。
共通テストでは97点取れました。教科書を暗記できたのが最大の要因だと確言できます。ありがとうございます。
2.2.教科書丸暗記列伝
また、当塾の生徒だけでなく、世の中には教科書の丸暗記をしてきた多くの先輩方がいます。そしてそこには多くの共通点があります。
「日本史教科書を10回読んで完全マスターした」
ブログ ワンランク上の勉強法 by 大場克彦(京都大学理学部卒)
……日本史をどうするかが問題であった。受験雑誌を見ていたら、合格者の体験談として、日本史は教科書を完全にマスターしたら合格点が取れると書いてあったので、それを実行することにした。
教科書を完全にマスターするためには、教科書を繰り返し読みなさい。その際、本文だけでなく、後ろについている年表や資料、さらに、欄外に書いてある補足説明や、絵の下に書いてある説明まで読みなさいと書いてあった。
日本史に取り掛かったのは10月に入ってからである。教科書は約300ページだったと思う。……4回ぐらいまでは、あまり覚えようと思わずに読んだ。5回目を読む頃には年が明けて受験が近づいていたので、友達と問題を出し合って答えるということもしていた。
7回目を読み終わって入試を迎えた。5回目を読んでいる頃は、友達の出す問題に答えられないことがあったが、7回目を読み終わる頃には、友達の出す問題に完全に答えることができるようになり、入試でも得点源の1つになった。
なお、本文に関しては、学校の授業の前に1~2回目を通し、授業を聴き、試験前に2~3回読んでいるので、入試の前までに11~13回読んでいることになることを付け加えておく。
「テキストまるごと一冊記憶法」
ブログ「だれでもできる!速読勉強術」 by 宇津出雅巳(東大経済学部卒、「合格る技術」著者)
私の大学受験のときの世界史の教科書まるごと記憶したときの話ですが、……ただひたすら、普通に読んでいただけです。……
高校三年の夏以降はだいだい1日1回は読むようにしていたので、それだけで200回ぐらいでしょうか(引用者註:思い出すのも回数にカウント)。……
そして、ここは『合格る技術』でも強調していることですが、実際にテキストを読んでいるときだけに回転しているのではなく、ちょっとした隙間時間にスピーチしたり、思い出したりする時間が重要です。
1ヶ月で数十回黙読して世界史教科書を丸暗記した「スピードぐるぐる勉強法」
ブログ「司法試験情報局」by NOA
……12月の半ばになって、つまりセンター試験まであと1ヶ月という時期になって、突如、選択科目を世界史に変更することにしたのです。世界史はそれまで勉強したことがありませんでした。……文字通り、山川世界史一本勝負です。
やり方は単純で、まずひと回し目に、人名に赤マーク、その他の主要な事柄には黄マークをしました。そして、あとは ひたすら繰り返し教科書を読んでいくだけ という単細胞な方法です。……ともあれ、センター試験までの1ヵ月間、闇雲ながらも、怠け者の割には結構頑張ったと思います。……正直、心の中では、「どうせ1ヶ月じゃ無理だよね・・」と諦めの境地になっていたのも事実です。
ところが、です。
これは我ながら非常に驚いたのですが、1ヶ月が経ち、センター試験まであと数日となった頃、自分がいつの間にか教科書の内容を全部覚えてしまっているという事実に不意に気づきました。ただひたすら教科書を読んでいただけなので、それまでは記憶の確認もしていなかったのですが、ふと思い立って頭の中で問題を作ってみると、それらの問題に全て答えられてしまう自分がいました。・・・
1ヶ月では絶対に無理だと思っていたのに、よく分からないけど「間に合ってしまった」ようでした。センター試験本番の得点はたしか89点だったように記憶しています。私には大満足な結果でした。
ちなみに、上で挙げた「勉強法」では、最初のマーク期間に1週間を費やして、その後の繰り返しはもの凄いスピードでやりました。1ヶ月で合計数十回(1日に2~3回)は読んだと思います。
これらの共通点は、10回以上教科書類を読むこと。暗記できるまでしつこく読み続けることでしょう。
創賢塾のホームページに書かれた勉強法をいち早く習得したい高校生のために、自宅で受講できる【5教科の受験勉強法を習得する3ヶ月自宅集中セミナー】【長期勉強法コース】を開講しています。【オンライン講座・セミナー一覧】はこちら。関心ある方はご参照ください。
3.音読か黙読か
教科書類を読む方法には黙読と音読があります。それぞれ利点と欠点があります。
3.1.音読の長所と欠点
(1)音読の長所:音読は、声に出し、耳で聞き、目で文字を追うなど多数の感覚器官を使うので、覚えやすい。回数を読めば確実に覚えられる。暗記できるまでの回数が黙読より格段に少ない(個人差があります)。暗記できるまでのトータル時間は音読がやや有利か、同じくらい。
(2)音読の欠点:黙読より読むのに時間がかかる。30~60分も音読するのは疲れる(ただし、姿勢を変えたり歩きながら読むと続けやすい)。
3.2.黙読の長所と欠点
(1)黙読の長所:音読よりは速く楽に読める。ずっと集中して読めれば音読より理解はしやすい(脳のパワーを理解に集中できるため。音読は「声を出す」のにエネルギーを使うため、理解が手薄になりやすい)。音読できる場所は自室などに限られるが、黙読はどこでもできる。
(2)黙読の欠点:暗記できるまで20~50回以上かかり、集中度合いに個人差が大きいため、回数の目安が立てにくい。集中が続かなくなると、理解せず目で追っているだけになりがち。理解せず読み続けても黙読では記憶できない。一方音読は理解せずに読んでも音で覚えられる。
3.3.結論。音読がベター
以上から、当塾では、9割暗記するまでは、しんどい代わりに確実に暗記できる音読を中心にし、その後の記憶の維持には速く読める黙読を中心にすることを推奨しています。当塾の実験では、9割以上暗記できるまで、平均すると、黙読で40~50回、音読で10~20回です。
黙読するときは、指でなぞる、太字や赤字は音読する、「なぜ?」等の突っ込みを入れるなど、きちんと理解し集中して読んでください。
4.教科書1冊丸暗記法
4.1.教科書類を丸暗記する方法
【世界史教科書類の音読暗記法】
(1)パートに分けて目次と本文を10周以上音読し9割暗記する
教科書類を4~10パート前後に分け(1パート40~100ページ前後:最初は10ページでも可)、パートごとに目次と本文を10~20周音読して暗記していきます。パートに分けるのは、400ページ超の教科書類を一気に読んでも覚えにくく、負荷が大きいので、挫折しやすくなるからです。
「9割暗記」というのは、見出しを見てその項目に出てくる用語の9割以上を言える、用語の説明ができる、という意味です。ここまで暗記できたら次のパートに移行します。
(2)暗記は短期決戦、3週間で10周以上音読する
8つのパートに分けた場合(約50ページ)、3週間で10周以上読みます。ダラダラと1ヶ月かけて5周、などと読んでもなかなか覚えられませんし、「覚えては忘れ」を繰り返すので、記憶が蓄積していきません。
暗記は短期勝負です。短期間に10周、20周音読すれば、脳が重要と判断して、勝手に暗記してくれます。
(3)用語暗記用問題集を併用する
教科書類と並行して用語暗記用問題集(一問一答問題集や穴埋め問題集)を暗記します。教科書類の音読だけでは、細かい用語を暗記したかどうか分からないためです。問題の形で質問されると、覚えているか確認でき、まだ覚えていない用語を暗記できます。また、ただ読むより質問形式の方が印象に残るので、暗記しやすくなります。
教科書類を5周読んだら、教科書類を読み続けながら、用語暗記用問題集の同じパートを3週間で20周暗記して、全て即答できる状態にします。
(4)九割暗記できたら第二パートに移行するが、第一パートも読み続ける
第二パートの暗記法は上記と全く同じです。
第二パートに移行しても、第一パートも、週に1周以上読み続けます。黙読の方が速く読めるので、黙読で結構です。1周読めば記憶を維持でき、2周以上読めば記憶を強化できます。
第三パートに移行しても、第一、第二パートの黙読を週1周以上続け、暗記をどんどん深くしていきます。
4.2.暗記するための教科書類の具体的な読み方
【教科書類の具体的読み方】
(1)最初の3周はサラッと読む
①頑張らない:覚えようなどと思わず、歴史小説を読むように、軽い気持ちで、どんどん読み進めます。これは読むストレスをある程度軽減し、挫折しにくくする効果があります。
②1回で全て理解しようとしない:完全主義は挫折の元です。多少理解できない部分があっても気にせず、先に先に読み進めます。1周で理解できなくても、3~5周読めば理解できる箇所が確実に増えます。
たくさん調べながら読むと時間がかかり、挫折する可能性が高くなります。ただし、1ページ数個なら調べても構いません。
③好きなところから読み始める:教科書類を読み始めるのは、どこからでも構いません。オススメは、授業やテストで最近終えた部分からです。すっかり忘れている部分や、未習部分より、最近勉強した部分の方が、理解しやすく、覚えやすいからです。
(2)4~6周目は流れとキーワードを追う
①理解に努める:4周以降は少しずつ理解を深めていきます。理解していないと覚えられないし入試に対応できないので、「なぜ?」と思ったら、「世界史用語集」「詳説世界史研究」(山川出版社)や講義系参考書などで調べ、理解し、理解した内容を教科書に書き込みます。こうして教科書に情報を集約します。
②因果関係を理解する:歴史は因果関係(流れ)で構成されています。その因果関係に注目し、読んでいきます。「なぜこの戦争は起こったのか? 主要人物は? 結果とその影響は?」などと考えながら、それを理解しつつ、読んでいきます。
キーワードには鉛筆でマルを付け、キーセンテンスは<……>でくるみながら読みます。太字、赤字、人名・事件名・戦争名、重要な固有名詞など、暗記しなければならない言葉にマーカーを引いても良いでしょう。教科書類に書き込みをすると、個性ができて、覚えやすくなります。
4周目からは欄外の注釈も読み、また写真や地図、絵もしっかり見て、説明文も読みます。
(3)7周目以降は重要事項を暗記し、想起しつつ読む
7周目からは、9割暗記するまで、音読しながら、太字・赤字になっている部分を3~5回音読・暗唱・暗記します。また、見出しを見てその項目に出てくる用語(キーワード)とその説明を言います。これが「想起」です。
「想起」とは「思い出すこと」です。「10回読んでも全く覚えられない」という人がたまにいますが、その多くはこういうアウトプットをしないので、アウトプットの管が詰まっている(つまり思い出せない)のです。軽視しないようにしてください。
(4)入試まで読み続ける
9割暗記したあとも、入試の日まで、それまで読んだパートを全て、1週間に1周は黙読して記憶を深化させ続けます。
4.3.教科書類暗記のコツ
(1)暗記は「短期集中」と「中長期の復習」
世界史でも英単語でも、暗記に必要なのは「短期集中」と「中長期の復習」です。
例えば、世界史の教科書類50ページ分を暗記したいとき、1週間に1回読むようなゆるい勉強法では、いつまでたっても暗記できません。「1週間に5回音読し、それを4週間続ける」ような短期集中型の勉強をして初めて、9割以上暗記できるのです。
しかし、一度暗記しても、人間は必ず少しずつ忘れていきます。よって、9割暗記したあとも、入試まで、教科書類を読み続けます。9割暗記したあとは週1回の黙読で記憶を維持できます。
(2)9割暗記するまで読み続ける
9割暗記するまでの音読回数には個人差があります。あなたが何周読めば9割暗記できるかはやってみないと誰にも分かりません。とにかく、「暗記しなければ合格できない」と腰を据え、9割暗記できるまで15周、20周と読み続けます。
(3)10周の壁を越える
教科書類の音読は、3~5周読んでもたいして覚えません。ほとんど覚えられない人も多いでしょう。でも、そこでやめないでください。7~8周を超えると急速に暗記できていきます。10周読めば3~9割誰でも覚えられます。結構覚えてきたな、という感覚ができてきます。そうなればあとは9割暗記できるのも回数の問題です。
(4)目次も暗記する
暗記は、最初から大量の細かい情報を暗記しようとしてもなかなか定着しません。大きな枠組み、幹から覚え、それに関連させることで枝葉の細かい情報も暗記できます。よって、大枠の情報である目次から暗記することが重要なのです。
具体的には、本文の音読時に、目次を【1日10回音読×10日】のような感じで読んでいけば、10日前後で暗記できます。
4.4.教科書類暗記をラクにするコツ
(1)頑張らない:頑張ると、息切れを起こしやすくなります。気楽に、サラサラと読んでいきましょう。その方が続きやすいからです。
(2)すぐに結果を求めない:教科書類を1周や3周読んで覚えられる人はいません。普通の人は10周、20周音読する必要があるでしょう。時間も努力も必要です。我慢強い人だけが、受験の勝者になれます。
(3)姿勢を変えながら読む:上記の通り、姿勢を変えながら読んだり、歩きながら音読すると、ストレスがかかりにくく、読み続けられます。ぜひやってみて下さい。
「部屋中歩き回って音読し、社会の教科書2冊を丸暗記」
ブログ「音読のすすめ」より
”音読”、まさに合理的な勉強方法です。私も若いとき自分の部屋で眠くならないために本を持って声を出して読んで部屋中歩き回った思い出があります。こうすると頭の中にしっかり入って眠気防止の一石二鳥。
中3の受験のときはこれで社会の教科書を2冊を丸暗記しました。
5.モデル・スケジュール
以上をまとめると、モデル・スケジュールは以下のようになります。ここでは400ページ超の教科書類全体を6パートに分けて音読するとします。週10時間(平日毎日1時間、土日合計5時間)を想定しています。週3時間以下だと、覚えては忘れを繰り返すので、オススメできません。
【世界史教科書類暗記のモデル・スケジュール】
(1)準備:世界史マンガを読む:世界史が不得意な場合、3週間かけて、マンガや概説参考書を10~20周読み、暗記する。
(2)最初の3週間:教科書類の第一パート(約70ページ)を15周音読し9割暗記、用語暗記用問題集を20周し全て即答できるようにする。
(3)次の3週間:第二パート【15周音読+用語暗記用問題集20周】+第一パート【黙読週2周+用語暗記用問題集週2周】
(4)次の3週間:第三パート(メイン)+第二パート+第一パート
(5)以下同。4ヶ月で教科書1周暗記する。
(6)以後:「教科書類を週1周黙読+用語暗記用問題集を週1回解く」のを続けながら、共通テストを受ける人は共通テスト対策へ、私立大学を受ける人は私立対策へ移行します。二次試験に論述がある人は論述対策と共通テスト対策を平行して進めます。
6.教科書類はどこまで覚えたらいいのか?
教科書類を読むとき、「どこまで覚えればいいのか」「どういうところに注目して読めばいいのか」迷うでしょう。太字だけでいいのか、本文全部か、欄外は? 資料や絵・写真の説明は? 年号暗記は必要か?
これは受験する試験・大学によって違いますから、「過去問分析」をする必要があります。自分の受ける入学試験--共通テスト・二次試験・私立大学試験--の過去問と教科書類を照らし合わせて、どこまで必要か、どういうところに注目して読めばいいかをチェックするのです。
過去問分析の具体的方法はこちらに書いています。ご参照下さい。
7.用語暗記用問題集
7.1.オススメ用語暗記用問題集
教科書類暗記と併用する用語暗記用問題集は、以下のような一問一答型・穴埋め型問題集がオススメです。最初から大容量の暗記本を選ばない方が良いと思います。覚えていくそばから忘れていきます。
「解決! 共通テスト世界史B」(約3000語、320ページ、Z会)
「聴くだけ世界史 一問一答」(約3200問、CD付き、学研)
「山川 一問一答世界史」(約4700問、288ページ、山川出版社)
「共通テスト攻略よくでる一問一答世界史」(約2,850語、236ページ、山川出版社)
「時代と流れで覚える! 世界史B用語」(約3000語、192ページ、文英堂)
「スピードマスター世界史問題集―世界史B」(約1800語、123ページ、山川出版社)
「入試に出る 世界史B 一問一答」(4000語、400ページ、Z会)
中でも、「解決!」が特にオススメです。これは赤シートで重要事項を暗記でき、更に共通テストの過去問の正誤問題も収録されています。つまり、一問一答問題集と過去問演習が同時にできるのです。効率よく世界史を暗記したい人に向いています。これを10周して全部覚えれば、共通テストで8割以上取れる実力を培えます。
7.2.「解決! 共通テスト世界史B」の暗記法
問題集により、覚え方は違います。ここでは「解決! 共通テスト世界史B」の暗記法を具体的に書きます。
【「解決!共通テスト世界史B」暗記法】
(1)赤文字を暗記:まとめのページの赤文字を赤シートで隠して暗記できるまで5回前後繰り返します。赤文字・太文字は音読・暗唱して暗記します。
(2)正誤問題を即答できるまで繰り返す:「過去問にTRY」の正誤問題を解く。記憶の問題なので、即答できなかったらすぐに解答を見ます。誤選択肢を赤ペンで正しく訂正して、赤シートで隠して即答できるまで繰り返します(これで時間短縮できる)。
(3)教科書類を参照する:まとめのページや間違えた問題で理解できないものは「教科書類(自分のメインの暗記本)」に戻って理解します。
(4)全問即答:その日進めるだけ進む。章末まで進んだら、その章を10~20周してすべて即答できるようにします。
(5)週1回復習:全問即答できたら次の章へ進むが、覚えた章も週に1回は復習します。この復習をしないので、多くの人は通史暗記に失敗するのです。必ず復習を続けましょう。
8.理解のための副教材
8.1.講義系参考書
メインを教科書にした場合、理解しにくい箇所が出てくると思います。そういうときは以下のような講義系参考書を随時参照して、理解を深めていくのがオススメです。
「ナビゲーター世界史B」(全4巻、山川出版社)
「青木裕司 世界史B講義の実況中継」(全4巻、語学春秋社)
「実況中継」は細かい知識も含むため、難関私立志望者向けです。「ナビゲーター」は教科書範囲内の知識なので、難関国公立大学志望者向けです。
8.2.詳しい参考書
参考書としては以下もオススメです。こちらは1冊で済みます。
「詳説世界史研究」(山川出版社)
「チャート式 新世界史」(数研出版)
8.3.用語集
分からない用語・人名が出てきたときに、辞書的に使う用語集も必要です。山川の「世界史用語集」は必携でしょう。
「世界史用語集」(5,600語、山川出版社)
「必携世界史用語」(7,700語、実教出版)
「詳解 世界史用語事典」(8,200語、三省堂)
8.4.資料集
資料集も随時参照して、理解・暗記の助けにします。基本は学校配布のものを使えばよいですが、必要に応じて以下のものを使えばよいしょう。
「最新世界史図説 タペストリー」(帝国書院)
「ニューステージ世界史詳覧」(浜島書店)
「流れ図 世界史図録ヒストリカ」(山川出版社)
「山川 詳説世界史図録」(山川出版社)
9.終わりに
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