世界史論述に必要な4つの能力と3つの勉強法

世界史論述で合格点を最速で取るために習得する必要があるのは「知識・過去問・記述力・読解力」の4つです。

この4つを身に付けるのに必要な勉強は、主に「教科書類の暗記・論述問題の模範解答の暗記・論述を書いて添削を受けること」の3つだけです。

このページでは習得すべき4つの能力と3つの勉強法の関係について書いていきます。習得すべき4つの能力についてはこちらに、3つの勉強法についてはこちらに書いています。

1.世界史論述の習得すべき4つの能力

世界史論述で合格答案を書けるようにするのに必要となる知識・能力は、大きく分けると4つ、小さく分けると8つです。それは以下の通りです。

(1)知識:通史の知識・俯瞰的知識
(2)過去問:傾向把握・過去問論述を書ける能力
(3)論述力:国語力・論述構成力
(4)読解力:資料読解力・設問から出題意図を把握する読解力

以下ではこの8つを身に付ける勉強法を書きます。

2.通史の知識⇒教科書類の暗記

通史の知識は、「教科書類と用語暗記用問題集の暗記」で習得できます。

教科書類とは、自分のメインの暗記本のことで、教科書や教科書を分かりやすく解説した参考書です。用語暗記用問題集とは、用語やその意味を暗記するための問題集で、一問一答問題集や穴埋め問題集がそれに該当します。

「教科書類と用語暗記用問題集の暗記」についてはこちらに書いています。

3.俯瞰的知識⇒教科書類・過去問・論述問題集の暗記

「俯瞰(ふかん)的」とは、「鳥瞰(ちょうかん)的」と同義語で、「鳥が大空から地形を見るように、大きな視点で、大局的に物事を見られる状態」を指します。

世界史における「俯瞰的知識」とは、「世界史を俯瞰的・大局的視点から理解するための知識」です。具体的には、タテの歴史(流れ・因果関係)、ヨコの歴史(同時代の地域間の影響関係)、(時代・指導者・文化等の)特徴、(戦争・事件・宗教等の)意義などです。

過去問を見てみれば分かりますが、大学入試の論述で問われるのは、用語の定義を問う以外は、ほとんどが俯瞰的知識です。

つまり、世界史論述で必要になる知識とは「俯瞰的知識」なのです。

俯瞰的知識の暗記は「教科書類を暗記する、過去問・論述問題集の模範解答を暗記する」ことによって可能になります。

俯瞰的知識の暗記法についてはこちらに書いています。

4.過去問の傾向把握⇒過去問分析

各大学により、論述の傾向は全く異なりますから、通史の暗記と並行して、「過去問の傾向把握」が必要です。例えば志望校の過去問で、近代の政治史の問題が多いのに、古代から平均的に勉強していくのは得策ではありません。

過去問分析法は「過去問を見る、解く、傾向と対策をまとめる、模範解答を暗記する」などです。

詳しくは「最適な過去問勉強法」に書いています。

5.過去問の論述を書ける能力⇒模範解答の暗記

通常は、世界史の論述の勉強というと、「論述を書く」ことをイメージされるでしょうが、少し考えたら分かるとおり、「過去問の論述問題を1問当たり1~2回書いて自己添削し、あるいは添削してもらい、それを5年分、10年分続けた」からといって、論述が書けるようにはなりません。

論述の構成法も知識も身に付かないからです。

では、過去問の論述を書けるようにするにはどういう勉強法が良いのでしょうか?

創賢塾がオススメするのは、過去問の論述を書き、解説と模範解答を理解した上で、「模範解答を何度も読み、暗記する」勉強法です。

こうすることで、以下の3つを同時に習得することができ、過去問や論述問題集の論述が書けるようになります。

①論述構成法:志望校で合格点を取れる論述の構成法
②思考力:論述を書く際に必要となる考え方
③俯瞰的知識:志望校の論述に必要となる知識

過去問の模範解答暗記法の詳細はこちらに書いています。

「論述問題780題を頭に叩き込んだ」

ブログ「一橋大学合格体験記:世界史論述勉強法」より

論述で問われる観点は大体決まっています。私は河合塾の論述用テキストを用いて、そこに載っている小論述240題ぐらいと、講師がプリントでくれる追加小論述240題ぐらい、大論述(400~600)を300題ぐらい頭に叩き込みました。すべていろんな大学の過去問です。

ここまですれば何を書けばいいか、が分かってきます聞き方が違っても、答えるところは一緒であることが多いです

よく考えれば、当たり前なんですが、教科書から逸脱した範囲は、論述ではほぼ出ません。一橋の大論述は、400字なのですが、私は小論述を組み合わせて解答を作り上げるようにしていました。

何度も言いますが大事なのは暗記です。暗記した知識をどういう風に使って点を稼ぐか、という点のみに頭を使います。知識を絞り出せなければ、手も足もでません。ですから、できるだけ数多くの小論述、問題に当たり、自分にストックしていきましょう。 

6.記述力(国語力)⇒模範解答の暗記・添削・現代文

世界史論述で必要になる記述力とは、論述に必要なキーワードさえ思いつけば、それを組み合わせて、素速く、意味が通じるように書ける能力です。

もともと書くのが苦手で、キーワードが思いついても論述が書けない受験生がいます。これは世界史以前の「国語力(日本語力)」の問題です。

記述力を上げるには、結局、「正しい日本語をたくさん読み、暗記し、書き、添削してもらう」しかありませんから、記述力を身に付けるには、「論述問題の模範解答をたくさん、何度も読んで暗記する、論述を書いて添削を受ける」ことや、現代文の勉強が有効です。

7.世界史論述構成法⇒模範解答暗記・添削

世界史論述の勉強を始めるため、過去問や論述問題集に取り組み始めた受験生が悩むのは、「必要な知識が思いつかない」ことと「論述の書き方=どういうふうに書いたら合格答案が書けるようになるのか=どういうふうに書き始め、どう展開し、最後にどう書くか」が分からないという2つの問題です。

「知識」の問題は、教科書や論述問題集で「俯瞰的知識」を暗記していけば解決できます。

「論述の書き方」の問題は、「過去問・論述問題集の模範解答の文章構成を分析し、暗記する、答案を書いて添削を受ける」ことで世界史論述構成法を身に付けることができ、解決できます。

過去問の模範解答暗記法の詳細はこちら論述問題集の模範解答暗記法はこちらに書いています。

8.資料読解力⇒キーワードに印を付けながら解く

論述問題で資料が出る場合、素速く読んで、出題意図に応じて論述を組み立てる必要があります。

ここで必要になるのは、資料のキーワードと主旨を読み取る読解力です。

資料の読解力の伸ばし方は、「資料のある論述問題を解くとき、キーワードに印を付けながら資料を読む、同じ問題を3~5回解いて資料問題の取り組み方の手順を作る」ことのほか、現代文でキーワードとキーセンテンスを付けたり、要約トレーニングが有効です。

9.出題意図を把握する読解力⇒出題意図に留意する

世界史の論述では、現代文同様、設問の「出題意図」を正確に把握する読解力が大変重要です。

多くの受験生は、知識も不十分で、書き方も分からないため、とにかく知っていることで字数を埋めることで精一杯です。その結果、出題意図はどこかに行ってしまいがちです。

これを克服するには、「設問を読み、答案を書く」過程で常に出題意図に留意し、また、添削を受けるとき、「出題意図に合致しているかを厳密にチェックしてもらう」ことが役立ちます。

10.終わりに

以上、習得すべき知識・スキルは多いですが、主な勉強法はたったの3つ、「教科書類の暗記論述問題の模範解答の暗記、週1回論述を書いて添削を受けること」で良いことが分かります。

あなたの健闘を祈ります。

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