大学入試・小論文には正しい勉強法があります。それは、模範解答をまねてたくさん書き、模範解答の文章構造を分析し、模範解答を暗記する勉強法(換骨奪胎法)です。これにより、論理的で独創的な内容の小論文を、短期間で素速く書けるようになります。
このページでは、創賢塾オリジナルの「換骨奪胎法」について詳しく書いていきます。ちなみにこれは大学でのレポートや論文、公務員試験等の小論文の書き方の習得にもそのまま使えます。
小論文問題の、小論文以外の対策法-課題文の論理的な読み方、要約法、統計資料の読解法など-は【小論文上達法2:課題文の読解法】に書いています。
1.小論文上達の3つの壁とその克服法
高校生が1000字前後の小論文を速く上手に書きたい場合、3つの壁があります。以下では、その3つの壁とその克服法を書いていきます。
1.1.文章構成法(論理的記述力)の壁
ほとんどの高校生は、どういう文章構成で書けばよいか、つまり、最初に何を書き、次に何を書き、最後に何を書けば良いか、分かりません。
なぜなら、学校でも塾でも文章構成について習わず、たとえ習ったとしても、真剣に勉強しないから習得できないからです。あるいは、塾や通信添削で教えられても、実際に正しい文章構成で論理的に書けるようにするには、ふつうの高校生には長い時間がかかるからです。
小論文の文章構成法を効率的に身に付けるには、以下の3つの方法が有効です。
(1)過去問を使って書く
小論文の問題集は最初から過去問を使います。なぜなら、大学・学部によって問題形式・小論文の長さが異なり、それによって文章構成法は全く異なるからです。
例えば、最初に課題文の要約を400字で書かせ、その後、600字で意見を書かせるタイプと、統計資料を見て、そこから読み取れることと考察を700字で書かせるタイプでは文章構成法が全く異なります。
志望校で出ない、一般的な問題形式で書いても合格は近づきません。過去問の問題形式で大量に書くべきです。
(2)過去問の模範解答をまねて大量に書く(下記)
下記の換骨奪胎法だと、模範解答を見てまねれば良いので、ふつうに自力で書くより遙かに気楽にストレスがなく短時間に(30~80分前後で)書けるので、週3つなど、大量に書くことができます。模範解答をまねながら大量に書けば、その文章構成も自然と身についていきます。
(3)過去問の模範解答の「文章構成法の分析」を行う(下記)
過去問の文章構成法を、下記の分析法に則って10~20年分ほど分析すれば、過去問の模範解答で用いられている文章構成が明確に分かり、それで書けるようになります。また、文章構成を常に意識するようになり、更に文章構成が身に付きます。
1.2.発想力・独創力の壁
たいていの高校生は、主張や適切な理由を書こうとしても、ふだん、社会の物事や思想について自分の意見を考えたり論理的に考えて書いたりしていないので、思いつきません。また、課題に合った適切な具体例・対論・内容を思いつけない受験生も多いです。これは「発想力」の問題です。
また、小論文では、ある程度「独創的な内容」でなければ評価されません。しかし、ほとんどの高校生は様々な小論文の課題に対して独創的な考えなど持っていません。なぜならそこまで考えさせ、書かせる教育が行われていないからです。これは「独創力」の問題です。
書く内容を思いつけなかったら、書けません。
発想力と独創力を培うためには以下の3つが役立ちます。
(1)模範解答を真似て大量に書く:【過去問を「5年分×5回」以上書く】
以下の換骨奪胎法で、模範解答の発想・文章構成を拝借し、30~50%変えて書いていくと、発想が乏しくても書けますし、毎回内容を少しずつ変えれば発想力も磨かれます。
また、この方法だと完全自力よりずっと短時間で労力少なく書けますから、大量に書くことができます。大量に書けばだんだん書く内容が不思議と思いつきやすくなります。
(2)模範解答を暗記する:【1日10回音読×10日⇒暗記できる】
過去問や小論文問題集の模範解答を10,20,30文章と暗記していくと、覚えた内容をそのまま使えます。小論文は知識がないとなかなか書けませんから、こうやって知識を入れていくのも大事です。
また、模範解答を「100回×30文章」も読むと、どういう内容が良い内容かが分かる、どういう文章が合格点なのかが分かる、文章構成法が分かる、細かい言葉遣いが分かる、など利点が多くあります。
(3)自分の意見・考えを書き続ける
独創的な内容を書くには、小論文で出される可能性のある様々なテーマについて日頃から考え、「論理一貫した独創的な考え」を持っていなくてはなりません。
「独創的な考え」は、独創的な考えを発想するぞという心構えを持って小論文を書き続けたり、自分の考えをノートに書き続けることで培えます。
1.3.読解力の壁
小論文の課題文や統計資料を正しく理解できない、あるいはその要点を適切に把握できない人がいます。もしくは課題文の要約に苦労している受験生も多いです。これは読解力の問題です。
その対策は以下のようになります。以下の4つについては、詳しくは【小論文上達法2:課題文の読解法】に書いています。
(1)現代文の問題を定期的に解く:課題文がある場合は、「課題文=現代文の文章」なので、入試に現代文がなくても、現代文の問題を週1問など解いていく必要があります。
課題文を深く読み取り、その要点を正確に把握するには、キーワードとキーセンテンスに印を付けることが非常に有効です。
(2)30回音読:読解力を上げるには、30回音読(課題文や現代文の1つの文を【毎日10分×7日】、週30回読むトレーニング)が有効です。
(3)要約を書く:志望校の小論文で要約がある場合は、要約を定期的に書いていく必要があります。
要約は「キーワードとキーセンテンスに適切に印を付け、それを混ぜて意味が通じるようにつなげる」ことで書けます。
(4)統計資料付きの小論文問題を大量に書く:統計資料(グラフやデータ)を正しく読み取れるようにするには、統計資料を読み取る訓練をたくさんすることが重要です。また、学校や塾の先生、家庭教師などに読み取り方を指導してもらうことも役立ちます。
2.小論文最速上達法(1)換骨奪胎法
2.1.小論文問題を10問用意し、100回書く
練習には志望校の過去問が最適です。志望校により、出題形式、文字数が異なり、それにより、文章構成法が異なるからです。
過去問が10年分そろわなければ、塾・予備校の問題集や小論文問題集から過去問と似た課題や長さの問題を探し、全部で10問用意します。
1課題につき10回、合計100文書くことを目標にします。
以下のように模範解答をまねながら100文も書けば、模範解答の文章構成や言葉遣いなどを吸収でき、小論文の書き方が分かってきます。また、大量に書くことで速く書けるようになります。
2.2.換骨奪胎法
「換骨奪胎(カンコツダッタイ)」とは、上手な人の文章の構成・発想などを借用し、自分の発想を加えて書くことです。これで文章構成法を最速で習得できます。
【最速で小論文が書けるようになる勉強法(1)換骨奪胎法】
(1)自力で小論文を書く
①自力で書いてみる:自分がどれくらい書けるか、あるいは書けないかを知るため、書けるだけ書いてみます。書けないのは当たり前なので、あまり悩まず書きます。20分考えて全く書けなければ、飛ばしても結構です。
入試の小論文の制限時間と同じ程度の時間で書きます。例えば、800字であれば1時間前後で書きます。
書くときはできるだけ「設計図(下記参照)」を書きます。
②自己添削する:書き終わったら、解説と模範解答を読み、自己添削します(あるいは学校や塾の先生などに添削してもらう)。詳しい添削の仕方は下記参照。
③「過去問小論文まとめ帳」を書く:小論文を書いてみて、自分に何が不足しているかや、その対策法を書きます。これを毎回書くことで、自分の課題が明確になり、何をすべきかも分かります。「小論文まとめ帳」の詳しい書き方は下記。
(2)換骨奪胎法1:模範解答の論理構造を使って15%前後を自力で書く
①課題文・統計資料・設問・模範解答をよく読む:課題文があれば、キーワードとキーセンテンスを付けながら(付け方は【小論文上達法2:課題文の読解法】を参照)2回程度読み、趣旨を把握します。要約があれば要約も毎回書きます(要約法は【小論文上達法2:課題文の読解法】を参照)。
統計資料があれば資料をよく理解し、模範解答や解説の読み取り方を参考にします。統計資料から読み取った内容を書く課題があれば、それも毎回書きます。
模範解答は3回程度読み、文章構造を把握し(ここは問題提起・主張・理由・説明・具体例・譲歩・結論、などと振っていく)、内容を理解します。設問もしっかり読み、意図を把握します。
②換骨奪胎法:模範解答の論理の流れ(文章構成)はそのまま使って書き写し、一部(15%くらい)を自分の主張・理由・具体例・内容に書き換えます。
「書き写す」といっても、見ながら書くのではなく、1~2行分を「見て、理解し、暗記して、自力で」書きます。こうすることで、細部は自分の国語力で書く必要があるため、記述力が上がります。
見ながら書いたら自分の記述力は上がらないので、必ず「見て、理解し、暗記して、自力で」書きます。
③設計図を書く:下記「設計図の書き方」を参照し、必ず書きます。
④最終チェック(校正):書き終わったら一度読み直し、下記の「書き終わりのチェック時の注意点」に書いてある、漢字や文法、文章構成などの間違いがないか、内容をチェックします。
⑤自己添削:書き終わったら模範解答を見、自己添削します(あるいは学校や塾の先生などに添削してもらう)。下記、「自己添削の注意点」を参照。
⑥自己添削した文章を清書する:自己添削し、あるいは他の人に添削してもらった文章を、清書します。このとき、新たな内容を思いついたら、あるいは必要があれば、他の内容を付け加えて構いません。
清書することで、添削内容が記憶され、次に生かされます。時間がなければ清書はカットして構いません。
⑦時間を計る:毎回書く時間を計り、過去問やルーズリーフなどに時間を記入して、毎回の変化が見られるようにしておきます。そうすると自分の上達が分かり、励みになります。
また、毎回、試験時間を意識しながら書くと、だんだんと制限時間内で書けるようになります。
(3)換骨奪胎法2:30%⇒50%⇒75%など、より多くの部分を自力で書く
模範解答の更に多くの部分を自分の体験・考えに書き換え、その他の部分は「見て、理解し、暗記して、自力で」書きます。
その際、必ず設計図を書き、毎回少しずつ違った内容を書き、書き終わったら最終チェックをし、その後、模範解答を見、自己添削し、添削した文章を清書します。
(4)換骨奪胎法3:100%自力で書く
最後に100%自力で書き、自己添削します。100%自力の小論文はできれば学校や塾の先生などに添削してもらいます。
ここまでたくさん書いているので、最初よりは格段に速く上手に書けるようになっているはずです。
(5)1課題を5回書いたら次の課題へ移る
次の課題に移っても、前の課題も100%自力で週1回など書き続け、計10回書きます。同じ課題で書き続けたら、短い時間で書けるので、効率的です。
2.3.設計図の書き方と小論文のパーツ(構成要素)
「設計図」とは、全体の論理構成のメモ書きのことです。ここでは、800字の小論文を60分で書くことを想定して、設計図の書き方を書いていきます。
以下の問題集には設計図の具体例が多数載っていて参考になります。
「明解小論文 基本編」「同 上級編」(水王舎)
「吉岡のなるほど小論文講義10」「吉岡のなるほど小論文頻出テーマ16」(吉岡友治著、学研)
設計図を書く際に必要になるのが、小論文のパーツ(構成要素)の知識です。
小論文のパーツは、主に「問題提起・主張・根拠」の3つです。
根拠には、「理由(なぜなら、の文)、説明(理由の詳しい説明)、定義・分類(言葉の定義をはっきりさせることは時に重要)、例示・具体例、科学的データ、引用、体験談、対比、比喩、予想される反論とそれへの反駁(譲歩)」などの種類があります。
問題によっては「課題文の要約、資料の分析」を入れる場合もあります。
小論文はこれらのパーツを組み合わせれば書けます。
【換骨奪胎法における設計図の書き方】
(1)箇条書きで書く:設計図は、小論文の型のパーツ(問題提起・主張・根拠・結論など)ごとに内容をメモ書きします。
例えば、「課題文を読んで、筆者の主張をふまえ、あなたの考えを書きなさい」という問題で、模範解答の文章構成を分析したら、「①課題文の要約、②問題提起、③主張、④理由・説明・具体例、⑤主張」の5つになっていたら、それをそのまま使って、1つ3~4行分の幅を取って紙の上部に書きます。
(2)模範解答を見て思いついたことを書く:下記のように、それぞれの下に、模範解答を見て思いついた内容をどんどん書いていきます。
①課題文の要約:~~
②問題提起:~~
③主張:~~
④理由・説明・具体例:~~
⑤主張:~~
(3)内容を取捨選択する:字数を数え、書いた内容が800字前後になったら、内容を取捨選択し、書く順番を考え、ナンバリングし(一番先に書く内容に①、以下②⇒③⇒④など)、その順に解答用紙に清書します。
(4)時間の目安:制限時間が60分なら、設計図に15~20分、清書に40~45分前後です。60分で書き終わらなかったら、練習ですから、延長して構いません。
このように繰り返して書き、模範解答をまねて「設計図と清書の自分の型」を創り上げていくと、本番でも迷うことなくサッサと書くことができるようになります。
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2.4.書き終わりのチェック時&自己添削する時の注意点
(1)漢字・言葉遣いのミス:漢字や言葉遣いなどの間違いが多い人がいます。これを防ぐには、日頃から、清書した後に、誤字・脱字等のミスがないか1回読んで確認する習慣を付けることが必要です。本番では時間がなければできませんが、練習時には必ず一度見直します。
(2)文法的に正しい日本語になっているかをチェックする:文法的に正しくない文とは、主に以下の3つです。
①主語と述語がねじれている:「近代社会の特徴の一つは、各国が社会福祉制度を充実させてきた」⇒「近代社会の特徴の一つは(=主語)/社会福祉制度を充実させてきたことだ(=述語)」など。
②述語1つに対して主語が2つある:例えば、「近代社会の特徴の一つは、社会福祉制度を充実させてきたのは事実だ」=「近代社会の特徴の一つは(=主語)/社会福祉制度を充実させてきたのは(=主語)/事実だ(=述語)」⇒「近代社会の特徴の一つは(=主語)/社会福祉制度を充実させてきたことだ(=述語)など。
③掛かり関係が完結していない:修飾語があって、被修飾語がないなど。例えば、「現代の研究から、地震が起こる前はナマズが暴れる事実がある」⇒「現代の研究から、地震が起こる前はナマズが暴れる事実があることが分かってきた」。「ことが分かってきた」を書かないと、「現代の研究から」が掛かる場所がなく、浮いてしまう。
あるいは、「日本では、今後、人口が急激に減っていく。なぜなら、子どもの数が減っている。」⇒「子どもの数が減っているからだ。」など。
これらの文法的ミスを防ぐには、主語と述語の確定法を身に付け、掛かり関係を練習することが役立ちます。
【主語と述語の確定法】
(1)主語とは:主語は「名詞+はがも」(例:私は、私が、私も)で出来ており、述語の動作の主体です。
ただし、「はがも」が必ず主語を示すとは限りません。例えば、「ゾウは鼻が長い」の主語は「鼻が」であり、「ゾウは」は「ゾウについては」という意味です。
また、「私は彼が嫌いだ」の主語は「私は」であり、「彼が」は目的語です(私は彼を嫌いだ、と同じ意味になると考えれば納得できる)。
(2)述語とは:述語になれる品詞は以下の4つです。
①動詞:主に動作を表す。立つ、走る、読む、等。
②形容詞:ものごとの状態や性質を表し、「〜い」となる言葉。美しい、等。
③形容動詞:ものごとの状態や性質を表し、「〜だ」となる言葉。静かだ、等。
④名詞+「だ・である・です・ます(のような助動詞)」:「彼は太郎だ」の「太郎だ=述語」など。
つまり、述語は、文の最後にある、動詞・形容詞・形容動詞・「名詞+だ(助動詞)」です。
(3)主語と述語を確定させるときには、述語から確定させる:なぜなら、述語は文の最後にあるので、簡単に見つけられるからです。
例えば、「ゾウは鼻が長い」の述語は、最後にある形容詞である「長い」。主語を探すときは「長いのは何か?」と考えます。そうすると「ゾウは長い」ではなく「鼻が長い」と分かります。
「私は彼が嫌いだ」の場合は、最後にある「嫌いだ(形容動詞)」が述語、「嫌いなのは誰か?」と考え、「私は(彼を)嫌いだ」と分かります。ちなみに、好き嫌いなどでは目的語を「が」で示す習慣があります(紛らわしいですね)。
(3)設問に答えているかをチェックする:例えば、設問に、「筆者の主張をふまえ、それについてあなたの考えを書きなさい」であれば、「①筆者の主張の要約、②自分の主張」の②が①にきちんと関連しているかかを確認します。
(4)1文は50字以内にする:1文が50字以上になると内容が分かりにくくなり、また間違いが増える可能性があります。よって、50字を越えたら2文にするのが適切です。
(5)語尾・言葉を統一する:小論文では「です・ます調」ではなく、「だ・である調」を使います。また、「わたし」と「私」、「友達」と「友だち」なども混ぜて書いてはいけません。どちらかに表記を統一します。
(6)同じ言葉を避ける:同じ言葉、語尾が続くと稚拙な印象を与えますから、できるだけ避けます。例えば、語尾が「なのである⇒なのである⇒なのである」となっていたら、「である⇒必要だ⇒なのである」に変えるなど。
(7)重複した内容を削る:同じような内容の箇所が2つあるのは無意味なので、重複があったらどちらかを削ります。
(8)文章構造のチェック1:書き終わり時:意図した文章構造で書けているか、論理の流れがスムーズかをチェックします。
(9)文章構造のチェック2:自己添削時:自分の文章構造と、模範解答の文章構造を比較し、自分の小論文に足りない要素がないかを確認します。
例えば、模範解答の文章構成が「①課題文の要約、②問題提起、③主張、④理由・説明・根拠、⑤主張」の5つで、自分の文章で「⑤主張」がなかったら、あるいは①要約の長さが極端に短かったら、書き足す、など。
(10)説得力ある内容になっているかをチェックする:書き上げた後、説得力があるかを自問しながら読み直します。また、学校や塾の先生に説得力があるかを見てもらうのも良いでしょう。
「説得力がある文章」とは、以下のような文章のことです。
①自分の小論文の全体テーマと自分の書いた主張・理由・具体例などが合致していて、一貫した内容・主張になっている。
②誰が読んでも「そうだよね」と納得してもらえる。言い換えると、思い込みが激しい文章は説得力がない。
③主張に対して適切な理由が書かれている:適切な理由、説明があると説得力は増します。
2.5.「過去問小論文まとめ帳」の書き方
小論文を書く過程で、以下の4つをルーズリーフに書いていきます。これは小論文を書くたびに書き加え続けます。
【過去問小論文まとめ帳】
(1)問題形式:課題文があるか、その長さ、テーマ、統計資料・要約問題があるか、小論文の長さなど。
(2)自分に何が不足しているか:文章構成法か、知識か、発想力か、そもそも書く力か(何も書けない)。
(3)模範解答の文章構成法。
(4)自分が思いつく限りの対策法。
以下は具体例です。
【慶應大法学部19年傾向・現状|要約400字、意見600字、課題文が難しい、要約方法が分からない、意見も書く内容も思い浮かばなかった……】
【 〃 〃 対策|要約⇒過去問・小論文の要約問題を週1つ書く、要約問題集を買い、週1つ書く。課題文の読解⇒現代文の問題を週1つ解く、過去問・小論文を週1つ書く、意見等書けない⇒毎週模範解答を1つ暗記する、……】
2.6.どのくらいのペースで書くか
換骨奪胎法なら、同じ課題の1~2回目は40~90分前後、3~5回目は30~80分前後、6~10回目は25~60分前後で書けるようになります。まねて書けば良いので、心理的負担も少なくどんどん書けます。
よって、週1つ以上、できれば週2~3つ書きたいところです。夏休み・冬休みには毎日1つ書くのがオススメです。
たくさん書けば、苦手意識もなくなり、速く書けるようになり、発想力も培えて、文章構成もしっかり身につきます。「量は正義!」です。
2.7.換骨奪胎法のメリット
(1)文章構成法が身に付く
模範解答をまねて【「5年分×5回⇒「10年分×10回】書くことで、模範解答の文章構成を吸収でき、最終的にはその型で書けるようになります。
小論文問題集などには、こういう文章構成で書け、とよく書かれていますが、具体的にどうやったら自分がその文章構成で自力で書けるようになるかの勉強法を教えてくれる本や塾はありません。自力で小論文を書き、模範解答を見るだけでは、あるいは、自力で書き、添削してもらい、それを見ることを繰り返すだけでは、正しい文章構成で書けるようにはならないのです。
しかし、創賢塾で創り上げた換骨奪胎法を使うことで、最短で文章構成法を自力で習得することが可能になります。
(2)書く内容を自力でゼロから発想しなくて良いので大量に書ける
解答を見て、それをヒントに、少し変えた内容を書けばよいので、完全自力より精神的負担が格段に軽く、1小論文30~60分前後で書けます。
小論文で難しいのは、「どういう文章構成で書けばよいか(最初に何を書き、次に何を書き、最後に何を書くか)」、そして「どういう内容を書けばいいか」ということです。この2つを同時にこの方法でカバーし、小論文を書くハードルを低くし、大量に書くことを可能にします。
(3)速く書けるようになる
大量に書けるので、速く書けるようになります。慣れてきたら、実際の制限時間内に書くようトライすると、更に速く書けるようになります。
(4)毎回違った内容を書くので、発想力も鍛えられる
自力の割合を「15%⇒30%⇒50%⇒75%⇒100%」などと増やし、そのたびごとに少しずつ違った内容を書き、更に20~30種類の違った問題を書くことで、発想力が磨かれ、本番で適切な内容を素速く書けるようになります。
(5)小論文問題集の解説が理解・吸収できるようになる
小論文問題集には、文章の書き方や文章構成法が詳しく解説されていますが、ただ、今まで小論文を書いてこなかったほとんどの高校生にとって、それを読んでも吸収することが多すぎて消化しきれません。
よって、まずはこうして「まね」て30~40回など大量に書いた後、問題集の記述を見ると、意味や重要性が分かり、吸収できるようになります。
2.8.過去問10年分を解いた後は
過去問を10年分、合計50~100小論文を書いた後は、過去問をさかのぼれるだけさかのぼって入手して書き、また、予備校・塾の志望校予想問題集や似た問題を出す他の大学の過去問、市販の問題集で似た問題を解いていきます。
本番では新しい問題が出ますから、今まで書いたことのない課題で書かなくてはなりません。どのような問題にも臨機応変に対応できる発想力を磨くには、結局、過去問と似た問題形式の、いろいろな種類の課題について書くしかありません。
オススメ問題集は以下の通りです。
「吉岡のなるほど小論文講義10」「吉岡のなるほど小論文頻出テーマ16」(学研)
「出口の好きになる小論文 小論文対策編」(水王舎)
「出口小論文講義の実況中継1&2」(語学春秋社)
「明解小論文 基本編」「同 上級編」(水王舎)
「まるまる使える入試頻出課題小論文」「小論文これだけ 模範解答 超基礎編」(樋口裕一著)
「小論文を学ぶ」(長尾達也著、山川出版社)
「新小論文ノート ベストの問題・解答例・解説集」(代ゼミ)
3.小論文最速上達法(2)上級編
以下の勉強法も取り入れると、飛躍的に上手に書けるようになります。創賢塾の小論文対策が必要な生徒にはほとんど全部をやってもらっています。
【最速で小論文が書けるようになる勉強法(2)上級編】
(1)模範解答の文章構成を分析する
模範解答を見て、「ここは問題提起、主張、理由、説明、具体例、引用、対比、譲歩、結論を書いている」などと分析し、それを模範解答に記入します。
これを過去問10~20年分やれば、模範解答の文章構成法が深く分かり、正しい文章構成法で書けるようになります。そして、分析して分かった過去問の模範解答の文章構成を「小論文まとめ帳」に書きます。
以下の問題集には解答例の文章構成の分析が載っています。このような分析を過去問分析と並行して行うと、更に文章構成法がよく分かるようになります。
「吉岡のなるほど小論文講義10」「吉岡のなるほど小論文頻出テーマ16」(学研)
(2)模範解答を暗記する
受験生が、どういう内容、どういう構成で小論文を書けばよいか分からないのは、結局、「どういう内容、構成が正解なのか」の正解例を知らない(読んだことがない、覚えていない)からなのです。
正解例(模範解答)10~30文を何度も読み、暗記していけば、「どういう内容・書き方をすれば合格答案になるか」が体得できます。暗記法は以下です。
【1日10回音読×10日=100回音読】
100回といっても、800字なら1回2分前後で読めますから、10回で20分程度です。たいしたことはありません。
10小論文の模範解答を暗記したら、大変な力になります。暗記するのみ、です。
(3)模範解答を書き写す
1問あたり1~2回書き写すことで、言葉の使い方、語尾の書き方、段落の分け方やテンの打ち方など、細部の書き方が身に付いていきます。
(4)課題文を30回音読する
課題文がある場合は、その理解度を上げるため、また読解力を上げるため、【毎日10分×7日】音読します。
800ワードの文章なら1日5回程度読めますから、7日で30回前後読めます。
(5)原稿用紙の使い方をマスターする
20~30編書いて、小論文を書くのに慣れてきたら、小論文問題集に書かれている「原稿用紙の使い方」をつぶさに見て、正書法をマスターします。
つまらないことで減点されたらもったいないです。ここはきちんと書けるようにしましょう。
(6)小論文問題集で「小論文の書き方」の解説を読む
30~40編書いたら、小論文問題集の「小論文の書き方」を熟読し、習得します。
小論文を書いておらず、書き方が分からないときに読んでも、知らないことばかりで、なかなか吸収できません。ある程度書けるようになってやっと「書き方」を取り入れる余裕が出てきます。
読んで、問題集から取り入れられる内容はどんどん取り入れます。
(7)自分の「小論文構成法(型)」を決める
論理的な記述には必ず「型(パターン)」があります。小論文では、以下の型を含め、いろいろな型があります。
【問題提起⇒主張⇒理由⇒説明⇒具体例⇒結論】
【課題文要約⇒賛成(反対)⇒理由・説明⇒予想される反論とそれへの反駁⇒結論】
40~50編書いたら、小論文構成法が分かってくるので、志望大学・学部・問題種別ごとに、自分が納得できる「型」を決め、それで大量に書いていきます。
(8)専門家に添削してもらう
換骨奪胎法で40~50編書いたら、だいたい問題ない小論文が書けるようになります。そうしたら、書いた小論文を、できれば、学校・塾・予備校の先生、通信添削、ネットの添削サービスなどの専門家に添削してもらうのが良いでしょう。
やはり、小論文は自力だけでは限界があります。遅くとも9月頃から週1回、添削してもらいましょう。
4.小論文はたくさん書いても上達しにくい
4.1.たくさん書いても上達しにくい理由
小論文は誰でも不得意ですが、闇雲に書いても、通信添削を受けても、予備校・塾の先生に添削してもらっても、なかなか上達しません。その理由は以下の通りです。
(1)文章構成法がなかなか身につかないから:たくさん書いても、たくさん添削してもらっても、「小論文の書き方本」を読んでも、文章構成法を身に付けられる人は多くありません。
文章構成法を身に付けるには、過去問にふさわしい文章構成を優れた教師に教えてもらい、換骨奪胎法のような方法で上手な人の小論文をまねて大量に(30文以上)書き、過去問の模範解答の文章構造分析を優れた教師に大量に(30文以上)解説してもらい、自分でそれをできるまで何度も(1つ当たり3~5回以上)分析することで身につきます。
もちろん、これが唯一の習得法ではありませんが、このくらい徹底的にしないと普通は習得できないのは事実なので、普通の受験生は文章構成法が身につかないのです。
(2)受験生の小論文レベルが低いから:もともと文章構成法も内容の説得力も独創性も、とてもレベルが低い人が多いので、添削してもらっても、直すところばかりで、構成も含めて全面的に書き直す必要がある場合がほとんどですが、しかし、全面的に書き直してくれる添削者はほとんどいません。
たとえ全面的に書き直してくれたとしても、自分のレベルが低く、習得すべきことが多すぎるので、頭がパンクして習得できないのです。
(3)添削の活用法を知らないから:添削してもらったら、自分の文章の何が悪かったかは分かりますが、今後どうしたらより上手く書けるようになるかは、受験生には分かりません。
つまり、添削の活用法を皆、知らないのです。添削の活用法については下に書いています。
4.2.添削活用法
予備校・塾や通信添削で添削してもらう場合、以下のように活用すると上手に書けるようになります。
【添削を徹底活用して小論文を上達させる勉強法】
(1)書き直す:添削してもらった内容を含めて書き直します。付け加える点があれば付け加え、推敲し、完成させます。
(2)再度添削してもらう:書き直した小論文を更に添削してもらい、完成度を高めます。満点が取れると先生に言われる小論文になるまで添削を2~5回繰り返すのが理想です。
通常の通信添削では2回以上同じ課題の小論文を添削してもらえないでしょうが、今はネットで添削してもらえるサービスはたくさんありますので、探してみて下さい。
(3)添削された完成版の小論文を暗記する:暗記することで、自分の体験・考えが入った小論文のストックを頭に蓄えることができ、本番でその知識が使えるようになります。暗記法は以下です。
【1日10回音読×10日=100回音読】
以上を週1つずつやっていけば、記述力がどんどん上達します。
一方、「書いて⇒添削してもらって⇒それを読む」だけでは、ほとんど上達は期待できません。上達する勉強法を習得しましょう。
5.終わりに
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
小論文を苦手にする受験生が多いですが、上記のように勉強すれば、誰でも速やかに上達します。
創賢塾では、小論文勉強法の指導もしています。気になった方は以下からお問い合わせ下さい。
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