このページでは「実力をつける日本史100題」(Z会)を例に、日本史の難関私大用問題集の暗記法を書いていきます。
本書の前にやるべき勉強は、【日本史の難関私大対策(1)通史暗記】に書いています。
1.暗記戦略
1.1.3つの暗記戦略
「実力をつける日本史100題」の暗記戦略としては、以下の3つがあります。
(1)全体を通して10~20周する:全体を1気に回して暗記できる人はほとんどいないので、オススメしません。
(2)セット法:古代・中世・近世など、5~20題前後を1セットにして、セットごとに1~3週間で10~20周し暗記していく方法です。
(3)1週間法:何ヶ月で全体を暗記するかを決め、1週間で暗記する問題数を計算し、そこを10~20周し暗記します。
(2)と(3)どちらでも構いませんが、当塾では、「1週間でここを完全に覚える」という目標がはっきりしているので、1週間法の方を推奨しています。
1.2.何ヶ月で全体を暗記するかを決め、1週間で暗記する量を決める
例えば3ヶ月で全体を暗記すると決めます。この場合、1週間で約8題暗記する必要があります。
そして実際やってみて、自分の勉強時間では8題終わらなければ、勉強時間を増やすか、問題数を減らし、8題が5日などで暗記できれば、6日目は次の8題に移行します。
1.3.暗記の目標=即答
決めた1セット分(例えば週8題)を暗記するときの目標は、全問を即答できる状態にすることです。即答できれば中期記憶に入り、数週間~数ヶ月以上、記憶がもちます。
逆に、即答状態にせず、回答に時間がかかる問題が多かったり、7~8割の正答率で次へ行ってしまうと、既習範囲をどんどん忘れていき、復習に時間がかかるので、なかなか全体を暗記できません。
全問を即答状態にするには、普通の記憶力の高校生では、3~5周では無理で、10~20周前後必要です(何周かかるかは個々の記憶力等次第です)。
1.4.暗記の最終目標
「実力をつける日本史100題」の暗記の最終目標は、全問を即答できる状態にし、かつ、長期記憶(数ヶ月~数年以上もつ記憶)に入れることです。
長期記憶に入れるには、いったん中期記憶に入れて(=即答できるようにして)から、更に2ヶ月以上復習する必要があります。
1.5.既習全範囲を復習しながら、新規部分を暗記する
復習せずに、先へ先へ進めた場合、例えば1~2ヶ月後に最初に戻ってきても、多くを忘れていて、5周しようが10周しようが、いつまでたっても、なかなか全部暗記できません。
よって、(他の全ての問題集・単語集等も同じですが)既習範囲全てを復習しながら、新規部分を暗記します(具体的なやり方は下記)。
1.6.最初から解く必要はない
原始・古代から取りかかる必要はありません。
本書の前に(もしくは平行して)過去問を3年分以上解いて傾向を把握し、例えば、近現代が出やすいならそこから、経済史が出やすいならそれをと、臨機応変にやっていきます。
1.7.論述問題
96~100番は100~200字の本格的な論述問題なので、志望校に論述がない場合や50字以下の論述問題の場合は、軽く解き、解説を理解するくらいで構いません。
1.8.解説をどこまで暗記するか
解説が詳しい「実力をつける日本史100題」のような問題集を解くとき皆が迷うのは、解説も暗記するのか?ということです。
結論から言うと、解説は(解いた後)1回読んで理解するだけにとどめます。そして、問題を解くのに必要な(解説の)知識にマーカーを引き、そこだけを(問題編に赤で記入して)暗記します(詳細は下記)。
解説のほとんどを暗記しない方が良いのは、単純に暗記量が多くなり過ぎるからです。問題になっている部分が重要で、それさえ暗記したら、たいていの超難関大学・学部は受かるので、解説は理解するにとどめます。
2.暗記法
ここでは1週間に8題ずつ暗記していく方法を書いていきます。
【「実力をつける日本史100題」の暗記法】
(1)第1セット1周目
①できるだけ制限時間内(15~30分前後)で1題を解く:文章を読み、下線部や穴埋め問題があればその都度解き、ノートに回答を書き、分からない穴埋め問題は10秒、記述問題は30秒ほどで諦め、印を付け、全体をサッサと解いて、すぐに解答を見ます。制限時間内に解けない問題があれば延長して解きます。
うろ覚えの知識は役に立たず、すぐに思い出せなければ覚えれば良いので、即答できなければすぐに解答を見て覚えるのが良いのです。
②理解する:解答・解説を読み、理解します。解説を一通り読み、暗記すべき部分(問題を解くのに必要十分な内容)にマーカーを引きます。
理解は重要なので、解説を読んで理解できなければ用語集等を参照し、解答か問題の欄外に調べた内容を書いておきます。ただし、サッサと進めたいので、1周目で調べるのは最小限にし、2~10周するうちに、徐々に調べます。
③赤ペンで書き込む:問題部分に、(間違えた問題の)正解と解くのに必要な解説の一部を赤やピンクで書きこみます。詳細は後述。
④暗記:1題目に赤ペンで記入したら、そのまま暗記に入ります。穴埋め問題がある場合は問題文を赤シートで隠して読み、下線部や穴埋め問題があればその都度解き、赤字の内容(解答や関連情報)を言います。
正解なら次へ、不正解・曖昧なら印を付けて、用語の問題は5回ほど音読して暗記し、論述問題は【1日10回音読×10日】のように音読して丸暗記していきます。
⑤1題3周:1題目を1周暗記したら、そのまま2周目に入ります。2周目は、印の付いた(間違えた)問題だけを解き、正解なら次へ、間違えたら2つ目の印を付け、5回音読して暗記し次へ。2周目に間違えた問題があれば3周目に入ります。
3周目は、2周目に間違えた問題だけを解き、間違えたら更に印を付け、正解なら次へ、間違えたら3つ目の印を付け、5回音読して暗記し次へ。
3~4周前後で間違いがなくなったら2題目へ進みます。1題を3~4周暗記すれば、記憶が深くなり、次周以降の暗記が楽になります。
⑥2題目以降:時間のある限り先へ進めます。翌日も先へ進め、第1セット(8題)の1周目が終わったらすぐ第1セットの2周目に入ります。
(2)第1セット2~15周目
①2周目:印の付いた問題だけを解きます。間違えたら印を付け、5回音読して暗記し次へ。上記と同様、1題を3周前後暗記して次々進めます。
②1セット15周:以後も同じで、1週間で1セットを全て即答できるまで、15周前後暗記します。
③飛ばす:完全に覚えた問題には鉛筆などで×印をつけ、次周回から飛ばします。
④全部テスト:1セットの印をほぼ全て即答できるようにしたら、印の付いていない問題も1回テストし、不正解なら印を付け、それを同様に暗記していきます。
(3)第2セット(2週間目)以降
①暗記法は同じ。
②復習:既習範囲全てを復習しながら、先へ進めます。例えば、週8題進めた場合、6週間目は、新規で41~48題目を暗記しつつ、1~40題目の復習を1~2週間かけて1周復習します。
復習は、上記のように、1題を3周していき、できるだけ1週間に既習範囲を1周します。
③即答の重要性:復習しながら新規部分を進める際、即答状態にしていたら、復習に時間はそれほどかかりません。よって、1セットを15周前後暗記し、即答状態にすることが重要なのです。
(4)復習週間
①復習週間:復習しながら先へ進めていくと、復習量がどんどん増えるので、勉強時間を増やすか、復習しない(もしくは減らす)か、新規の暗記量を減らす必要が出てきます。
ここで復習時間を減らしてはいけません。なぜなら、復習時間を減らせば、既習部分をどんどん忘れていき、いつまでたっても全体をなかなか暗記できないからです。
オススメなのは、復習が間に合わなくなって、だんだん忘れていっていると自覚した場合、いったん先へ進むのを止めて、1~2週間復習に専念する方法です。
②暗記法:上記のように1題3周しながら、既習範囲全てを5~10周暗記して、ほとんど全てを即答できるようにしてから、また新規の暗記を再開します。
例えば、既習範囲が1~40題目の場合、1~2週間前後で、【1題3周×「1~40題」×「5~10周」(全てを即答できるまで)】のように暗記します。
(5)全体10周
①長期記憶に入れる:毎週既習範囲を1周復習しながら全100題を1周終われば、その時点で、1セット当たり10回前後復習していることになりますから、ほぼ全て即答できるはずです。
それでも、長期記憶にはまだ入っていませんから、そこから2ヶ月以上かけて、全体を10周します。そうすれば全問題を即答でき、かつ、長期記憶に入れられます。
②暗記法:1題ずつ3周し、1週間前後で100題を1周し、2ヶ月前後かけて全体を10周します。
③過去問:全体2周目以降は、「実力をつける日本史100題」暗記にそれほど時間はかかりませんから、次の問題集と並行して進めます。
次の問題集は過去問が良いでしょう。志望校・学部の過去問を「5年分⇒10年分⇒20年分」と解き、「実力をつける日本史100題」と同様の方法で暗記していきます。
3.赤字の書き方
1周目、解いて解答・解説を読んだ後、間違えた問題の設問部分に(穴埋め問題はその上に、用語・選択肢問題は問題部分に、長めの記述問題は欄外に)、赤シートで隠せるように、赤かピンクで解答と、解説に書いてある最小限の暗記すべき関連事項、(用語集などで調べた)理解に必要な事項を書いていきます。消せるボールペンだと修正しやすいのでオススメです。
これをすると、2周目以降、解答・解説を読まなくて済み、暗記時間が劇的に短くなります。2周目以降は赤シートでひたすら暗記していきます。
【赤ペンで書き込む内容の例:正解を穴埋め部分か問題の右に書く、記述問題の解答は欄外に書く、選択肢問題の正解肢の番号を丸で囲み、誤肢の間違い部分を==(二重傍線)で消し、上に正解(訂正文)を書きこむ。】
あとで必要事項はいくらでも追加・修正できますから、1周目はサッサと書き込んでいきます。復習を重ねるにつれ、年号や関連した人物など、暗記するべき関連情報を書き込んでいくと、理解が深まり、関連情報も一緒に暗記できるので、より良いです。
4.終わりに
この文章があなたのお役に立てれば幸いです。
あなたの成功を祈ります。
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