日本史講義系参考書の覚え方

日本史では「流れ」と「用語」を記憶する必要があります。用語は一問一答問題集や穴埋め問題集で記憶し、流れは講義系参考書や教科書を何度も読んで記憶するのが一般的です。

ここでは講義系参考書を読んで「流れ」を覚えるときの記憶法を書いていきます。これは教科書を読んで覚える時も同じです。

私のオススメ参考書は以下です。

「共通テスト 日本史Bの点数が面白いほどとれる本」(435ページ、角川
「金谷の日本史「なぜ」と「流れ」がわかる本」(4冊943ページ、ナガセ)

1.講義系参考書の読み方・覚え方

1.1.時代ごとに10周ずつ読んで「流れ」を覚える

(1)10周読んで記憶できるかどうか確かめる

講義系参考書の覚え方は、単純です。「時代ごとに10~20周読む」。それだけです。2~3周読んだだけでは流れも用語もほとんど覚えられませんが、10~20周読むと多くの高校生は5割前後覚えられます。

10周読んで3~5割覚えたと分かったら、あとは回数を増やし、用語を一問一答問題集などで覚えていけます。10周読んでもほとんど頭に入らなかった、あるいは1周も読めずに挫折した人は、一問一答問題集か穴埋め問題集で用語を先に覚えていきます。

(2)「古代・中世・近世・近現代」に分けて覚える

日本史は小さく分けると10~20章前後に分かれ、大きく分けると「古代・中世・近世・近現代」の4つ前後に分かれます。

日本史の通史全体を一気に覚えようとすると膨大すぎてなかなか覚えられませんし、小さく分けすぎると、1章分を覚えても、なかなか先に進まず、ストレスが溜まります。

よって、「古代・中世・近世・近現代」もしくは「古代・中世・近世・近代・現代」などの4~5個の時代に分割し、それぞれをセットにして覚えていく方法がオススメです。

(3)日本史の勉強計画

時代ごとに10周読んだら、一問一答問題集か穴埋め問題集で用語を覚えます。

日本史の勉強計画は以下のような感じです。

【時代ごとに(参考書を10周⇒一問一答問題集20周)⇒次の時代へ⇒全体1回終了⇒全体10周⇒志望校に合わせた問題演習10周】

最終的に、3~6ヶ月で講義系参考書を20~30周読み、一問一答問題集を30~50周覚えて、流れと用語を完全に記憶してから、演習用問題集に入ります。

1.2.一気に最後まで読む

参考書を時代ごとに読むとき、最初の3回は、読み通すことを優先し、途中で言葉を調べたり読み返したりしないことが肝心です。小説のように、分からなくてもどんどん読み進めます。どうせ10回読むのだからと、腹をくくって速く読みます。回数が増えるにつれ、理解も記憶もできていきます。

完璧主義は挫折するもとです。最初から全部理解しようとして分からない言葉を調べたり、教科書を参照したりすると、どんどん読むのが遅くなり、読み通しにくくなります。それより、まず時代全体を通して3~5回読み、全体の流れを理解する。細かく細部を理解するのではなく、一気に読んで流れを理解する。そういう読み方をすると、流れが分かり、記憶できます。

1.3.参考書は10周以上読む

人により回数は異なりますが、10~20周読めばたいていの人は半分くらい記憶できます。教科書を読んでも記憶できないと言っている人でも、5回以上読んでいる人はマレです。10回以上読んでから記憶できるかできないか判断しましょう。

10回読めば、認識できる知識(問題で出ても答えられないが、見ればそういう用語があったことは認識できる用語)も増えるので、一問一答問題集等で用語を覚えるのに大きく役立ちます。

音読は覚えやすくなりますが、時間がかかるので、黙読で構いません。

2.参考書の実際の読み方例

2.1.「金谷の日本史「なぜ」と「流れ」がわかる本」(4冊943ページ、ナガセ)

例えば、「近世」(「安土・桃山時代」+「江戸時代」)の「流れ」を覚えたい場合、以下のようにして読んで覚えていきます。

「金谷のなぜ」の「近世」は約100ページあります。これを10周読みます。

文体が読みやすいので、1周1時間前後で読み終わるはずです。1周目は読み終わることを唯一の目的とします。そのためには、途中で分からない用語を調べたり立ち止まらず、どんどん先へ先へ読んでいきます。

4~5周目には30分前後で読めるでしょう。できるだけ1週間以内に10周読みます。短期間で読めば、忘れるヒマがなく、知識がどんどん定着していくからです。

3~5周くらいまではなかなか読み進まないし、記憶もできないかもしれませんが、5~6周を超えると急に記憶でき、サクサクと読み進むようになります。これを「5周の壁(5回の壁)」と言います。5周の壁を越えてください。

10周読んだ後も、忘却を防ぐため、週に1周前後読み、20周は読みましょう。流れを定着させるためです。

以上により記憶の核ができ、それが記憶のフック(鈎)になって、他の情報をそのフックに結びつけて記憶しやすくなります。

「金谷のなぜ」の「近世」を10周読んだ後は、一問一答問題集などの「近世」を20~30周覚えましょう。

【時代ごとに(「金谷のなぜ」10周⇒一問一答問題集20周)⇒次の時代へ⇒全体1回終了⇒全体10周⇒志望校に合わせた問題演習10周】

最終的に、3~6ヶ月で「金谷のなぜ」を時代ごとに20周、通史で10周前後読み、一問一答問題集を30~50周覚えて、流れと用語を完全に記憶してから、演習用問題集に入ります。

2.2.「共通テスト 日本史Bの点数が面白いほどとれる本」(角川

この参考書の「近世」(「安土・桃山時代」+「江戸時代」)は約80ページです。これも1週間以内に10周読み、一問一答問題集に入ります。

その後も、忘却を防ぐために「面白いほどとれる本」の読書は並行して進めます。週1回は読むようにしましょう。この本に記載の全ての情報を覚えるまで、合計20周は読みます。

参考書読書の決め手は「短期集中」です。1周に10日、3周で1ヶ月も掛けていては、読んでもすぐ忘れて定着しません。2周目以降はできれば1日1周しましょう。5周目以降は1周30分前後で読めるでしょう。

【時代ごとに(「面白いほどとれる本」10周⇒一問一答問題集20周)⇒次の時代へ⇒全体1回終了⇒全体10周⇒志望校に合わせた問題演習10周】

最終的に、3~6ヶ月で「面白いほどとれる本」を時代ごとに20周、通史で10周前後読み、一問一答問題集を30~50周覚えて、流れと用語を完全に記憶してから、演習用問題集に入ります。

3.終わりに

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

皆さんの健闘を祈ります。

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「日本史の効率的な記憶法、効率の悪い記憶法」

Nさん、高校2年女子、高知県

日本史は今まで定期テストで46とか52とかで、平均より十数点も低く、困っていました。しかし、今回先生に教わった方法で勉強したら結構覚えられて、85点も取れました。

やったのは2つ、教科書を8回読んだことと、用語を一問一答問題集で覚えたことです。両方とも完全に覚えたわけではありませんでしたが、今までよりずっと覚えやすく、ラクに覚えられました。

今までは教科書を2~3回見て(読むわけではない)、ノートを4~5回見ていました。先生から、見て覚えられるのか、覚えたかどうか分からないのでは、と言われましたが、その通りでした。今から考えるととても効率的な覚え方とは言えませんでした。

効率的な記憶法を教えていただいて感謝しています。ありがとうございました。

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