このページでは、大学受験の2つの時期-入試基礎力養成期と入試合格力養成期-のうち、入試合格力養成期に必要な教材とその習得法を書いていきます。
1.入試合格力養成期
1.1.入試基礎力と入試合格力
受験勉強は2つの時期に分かれます。入試基礎力養成期と入試合格力養成期です。
(1)入試基礎力養成期:この時期には、全ての大学受験生に共通した、ベースとなる英語力を培います。
その英語力とは、「大学入試で必要になる、英語の基礎~標準的な知識の大半を理解・暗記した人の英語力」、言い換えれば、「共通テストで7~8割以上、難関大学(河合塾英語偏差値60~65以上)の過去問で4~5割以上を取れる英語力」のことです。
※偏差値:以下で”偏差値”という場合、河合塾英語偏差値を指します。同じ偏差値でも業者によってレベルが違うので、標準的な河合塾偏差値で考えます。
入試基礎力養成期の教材は、大学のレベルによってある程度の違いはありますが、ほとんど共通しています。それは以下の通りです。習得法も含めて、詳しくは【受験勉強法(1)入試基礎力養成期】に書いています。
これらをしっかり習得すれば、偏差値は65以上になり、難関大学の過去問を解いても(英語長文は)4~5割以上解けるようになっているはずです。
【英語の入試基礎力を作るのに必要な教材の全リストとその使用順序】
(1)高1:コミュニケーション英語1年教科書+論理表現1年教科書&準拠問題集+高校初級英単語集+英文法先取り教材+初級英文解釈書(+中学レベル復習教材)
(2)高2:コミュニケーション英語2年教科書+論理表現2年教科書&準拠問題集+大学入試用英単語集+総合英語+大学入試用英文法問題集+中級英文解釈書
(3)高3:コミュニケーション英語3年教科書+英作文問題集+英熟語集+上級英文解釈書
(2)入試合格力養成期:この時期には、入試合格力、すなわち、「大学入試で必要になる合格力」、言い換えれば、「共通テストで8~9割以上、難関大学~超難関大学(偏差値65~70以上)の過去問で合格点(7割以上)を取れる英語力」を培います。偏差値で言えば70以上を目指します。
入試合格力養成期のメインの問題集は過去問です。入試合格力養成期の勉強については、このページに書いています。
1.2.入試合格力養成期の教材
入試基礎力養成期の教材を全て習得した後、あるいは(暗記が終わらなくても)3年の夏休みから、(入試基礎力養成期の問題集の暗記・習得・復習を続けながら)志望校の問題傾向に合わせた対策を始めます。
このとき使う教材は、以下の3種類です。
【入試合格力養成期の教材の全リストとその使用順序】
(1)メイン:共通テスト過去問・志望校過去問。読み方・解き方専用問題集。
(2)弱点補強問題集:必要に応じて:上級英単語集・上級英文法問題集・和訳問題集・要約問題集・英作文問題集・リスニング問題集。
(3)英語力を上げるための問題集:必要に応じて:個別大学専用問題集・論理的読解法問題集。
2.過去問&読み方・解き方専用問題集
2.1.過去問の重要性
英語力が志望校受験レベルの高校生の最重要の問題集は過去問です。なぜなら、過去問が「自分が受験するときの志望校の問題に傾向が最も近い問題集」だからです。
各志望校によって傾向(難易度、英語長文・英作文の長さや種類等)は異なりますから、英語力が志望校レベルになった後は、志望校の傾向に合致した問題集(=過去問)を解き、習得し、弱点を発見し、対策するのが、最も効率的な受験対策なのです。
他の入試用問題集はあくまでも、「一般的な英語力」を高めるための問題集であり、合格力には直結しません。
2.2.メインの問題集
【過去問&読み方・解き方専用問題集の勉強法】
(1)過去問一般の勉強法
①3年4~6月に過去問の傾向を調べる:基礎力養成期の教材が終わっていなくても、3年の4~6月頃に3年分ほど、国公立大学の2次試験の過去問と、私立大学の過去問の傾向をチェックし、過去問まとめ帳に傾向と対策を書きます。共通テストは夏休みからで対策は間に合いますから、この時期に見なくて構いません。
大学によってどういう問題が出るかが大きく異なり、問題形式によって勉強内容・問題集を変える必要があります。例えば、英作文が出るにしても、自由英作文か和文英訳かによって勉強方法は全く変わります。
英語長文でも、選択肢問題中心か記述問題中心か、要約問題・下線部和訳問題・理由説明問題などの問題種類、英文の長さや英単語熟語・英文法の難易度などの傾向は大学によって全く異なり、その傾向や自分の弱点に応じた対策をする必要があります。
対策の勉強をするのに6ヶ月以上欲しいので、早めに過去問を見ておいた方が良いのです。
②解き始める時期:入試基礎力養成期の教材を全て習得後、もしくは、3年の夏休みから解き始めます。
5~6割以上解ければ、そのまま志望校の過去問を週1年分、解き、習得し続けます。
4割未満なら、入試基礎力養成期の教材の習得度合いが低いので、復習を強化します。
また、どちらの場合も、間違いの原因をチェックし、過去問まとめ帳に書き、弱点を補う勉強をしていきます。
③傾向と対策を過去問まとめ帳に書く:過去問を自己採点したらすぐに、過去問の傾向と対策を「過去問まとめ帳」に書きます。「過去問まとめ帳」は過去問の全科目で作ります。具体的な書き方は後述。
④10年分以上解く:過去問は最終的に10年分以上解き、習得します。
例えば、志望校が、私立を合わせ3校(5学部)ある場合は、「5年分×5学部(25年分)」⇒「10年分×5学部(50年分)」と解き、習得していきます。これだけ解き、習得すれば、過去問だけでも英語力はどんどん上がっていきます。
⑤過去問も習得する:過去問を、志望校の問題に最も傾向の近い問題集として、習得します。詳しくは後述。
(2)共通テスト過去問
①過去問を解く:入試基礎力養成期の教材を全て習得した後、もしくは(終えていなくても)3年夏休みには、共通テストを受ける予定の人は、過去問を解き、習得していきます。
②解き方・習得法:解く時は、1回分を時間通り解き、解けなかった分を延長して解き、解答解説を読んで理解し、英語長文・英単語熟語・文法・リスニング等全て習得します。
共通テストを含めた過去問の解き方・習得法は【過去問のすべて(1)解き方】、習得法は【過去問のすべて(3)英語長文習得法】など参照。
③共通テスト用問題集等を解く:過去問題を週1回分など解いて、全て解き終わったら、共通テスト用問題集を解き、習得していきます。
(3)国公立大学2次試験過去問
①英作文・要約・リスニング:これらの対策には3~6ヶ月以上の期間が必要なので、3年4~6月に傾向チェックして、これらがあり、対策が必要だと判断した場合、早めに対策を始めます。
対策は【過去問のすべて(4)和文英訳を書けるようにする方法】、【過去問のすべて(5)自由英作文を書けるようにする方法】、【過去問のすべて(6)要約を書けるようにする方法】、【過去問のすべて(2)知識・リスニング習得法】に書いています。
②夏休みから解き始める:3年夏休みには、国公立志望者は、共通テスト過去問と並行して、2次試験過去問を本格的に解き始めます。
③5~6割以上の正解率の場合:志望校レベルの英語力に到達しているので、以後、過去問をメインの問題集として、1~2週間に1年分など、解き、習得し続けます。
そして、自分が何で点を落としているかをチェックし、原因に応じた対策をしていきます。対策法は、詳しくは【過去問のすべて(4)和文英訳を書けるようにする方法】等を参照。
④4割以下の正解率の場合:志望校レベルの英語力に到達していないので、過去問を解くのは一時休止して、入試基礎力養成期の教材の復習を強化します。そして、自分が何で点を落としているかをチェックし、原因に応じた対策をしていきます。
8月から1ヶ月に1年分程度過去問を解き、5割を超えたら、もしくは(5割に達していなくても時間がないので)10月からは本格的に過去問を1~2週間に1年分解き、習得していきます。
⑤記述式の「読み方・解き方本」:国公立大学の2次試験のメインは通常、記述式です。記述式問題には”正しい”効率的な「読み方・解き方」があり、それは以下のような「読み方・解き方本」に書かれています。できるだけ過去問と平行して取り組んでいきます。詳しくは後述。
「佐藤ヒロシの 英語長文[記述式]が面白いほどとけるスペシャルレクチャー」(中経出版)
(4)私立大学入試過去問
①志望校過去問:入試基礎力養成期の教材を全て習得した後、もしくは(終えていなくても)3年夏休みには、私立大学志望者は、過去問を解き、習得していきます。
②5~6割以上の正解率の場合:志望校レベルの英語力に到達しているので、以後、過去問をメインの問題集として、1~2週間に1年分など、解き、習得し続けます。
そして、自分が何で点を落としているかをチェックし、原因に応じた対策をしていきます。対策法は、詳しくは【過去問のすべて(3)英語長文習得法】等を参照。
③4~5割以下の正解率の場合:志望校レベルの英語力に到達していないので、過去問を解くのは一時休止して、入試基礎力養成期の教材の復習を強化します。そして、自分が何で点を落としているかをチェックし、原因に応じた対策をしていきます。
④共通テスト:共通テストを受ける私立大学志望者にとって、共通テストの重要性は様々ですから、重要度が高い人は1~2週間に1回分、重要度が低い人は1ヶ月に1回分など解いて習得していきます。
⑤マーク式の「読み方・解き方本」:私立大学の一般入試は通常マーク式です。マーク式問題には効率的な「読み方・解き方」があり、それは以下のような「読み方・解き方本」に書かれています。できるだけ過去問と平行して取り組んでいきます。詳しくは後述。
「佐藤ヒロシの 英語長文[マーク式]が面白いほどとけるスペシャルレクチャー」(中経出版)
(5)読み方・解き方専用問題集を習得する
①自己流の解き方からの脱却:多くの受験生は、英語長文問題を解いた数が少なく、自己流の、非効率的な「読み方・解き方」しかできていません。
しかし、受験界には、予備校講師や英語の専門家が編み出した、英語長文の”正しい”効率的な「読み方・解き方」があり、それは、塾や予備校・動画授業や書籍で学ぶことができます。
入試基礎力養成期の教材を全て習得し、過去問に入った受験生は、できるだけ、動画授業や書籍でこれらの効率的な読み方・解き方を習得し、過去問を解くときにそれを使えるようにします。
②対象:全ての受験生。特に、不得意な問題形式がある場合。
③オススメ問題集:以下のような読み方・解き方専用問題集で習得することができます。特にオススメは佐藤ヒロシの本です。
「佐藤ヒロシの 英語長文[マーク式]が面白いほどとけるスペシャルレクチャー」「同 記述式」(中経出版)
「横山雅彦の英語長文がロジカルに読める本 客観問題の解法編」「同 記述問題の解法編」(中経出版)
「竹岡の英語塾難関大入試英語長文特別講義」(CD付き、旺文社)
④目標:効率的な読み方・解き方の技術を習得し、暗記事項を暗記し、全英文をスラスラ和訳できるようにします。
⑤習得法:各章3周し、本に書かれた「読み方・解き方の技術」や暗記事項をルーズリーフにまとめ、暗記します。復習しながら先に進め、最終的には全体を10周以上復習して、本に書かれた効率的な読み方・解き方を全て習得します。
また、英文全部をスラスラ和訳できるようにし、一部を音読して習得します。詳しくは【「佐藤ヒロシ 英語長文 マーク式 スペシャルレクチャー」習得法】参照。
(6)スタディサプリ
高評価・低価格で有名なネット動画授業のスタディサプリには、共通テスト対策講座、東大・京大・早慶大等の有名大学の過去問解説講座の授業があります。
自分で赤本で傾向や対策を考えるだけでなく、専門家の解き方を聞くことは大いに役立ちます。一度見てみることをオススメします。
2.3.過去問まとめ帳
ルーズリーフに縦線を引き、以下のように書きます。
【早稲田大学文化構想学部 16年英語大問1傾向|合計約500ワードの英文2つ、英文は難しい。14問中7問不正解(原因:熟語・語法・文法知識の不足、単語が分からず英文の意味が分からなかった)、分からない単語熟語22個、分からない英文10箇所】
【 〃 〃 対策|英文を速く読みたい⇒音読30回、英文解釈がまだ足りない⇒「英文解釈の技術100」「ポレポレ」を3周する、単語力不足⇒「鉄壁」に分からない単語の7割載っていた⇒暗記、英文法力⇒「ネクステ」「桐原英頻1000」をあと5周する】
2.4.過去問も習得する
(1)英語長文:全英文を文法的に完全に理解し、スラスラ和訳できるようにし、一部を50回以上音読してスラスラ音読できるようにします。詳しくは【過去問のすべて(3)英語長文習得法】に書いています。
※一部:音読は「過去問・英文解釈書・英文和訳問題集等合わせて、週500ワード」です。例えば、過去問300ワード、英文解釈書200ワードなど。
(2)英作文:5回ほど書き、模範解答を暗記します。詳しくは【過去問のすべて(4)和文英訳を書けるようにする方法】に書いています。
(3)リスニング問題:5回ほど解き、全て聞いて理解できるようにします。リスニング習得法は【過去問のすべて(2)知識・リスニング習得法】に書いています。
(4)英単語熟語・英文法:過去問の英語長文・英作文・英文法問題等で知らなかった英単語熟語・英文法(問題)は全て英単語帳などにまとめ、暗記します。
こうすれば過去問(志望校)レベルの英語力を獲得できます。
創賢塾のホームページに書かれた勉強法をいち早く習得したい高校生のために【英語の成績を飛躍させる勉強法を習得する3ヶ月自宅集中セミナー】【5教科の受験勉強法を習得する3ヶ月自宅集中セミナー】【長期勉強法コース】を開講しています。【高校生用:講座・セミナー一覧】はこちら。関心ある方はご参照ください。
3.弱点補強問題集
過去問を解いて、間違いの原因を特定し、毎回「過去問まとめ帳」に書いていくと、今の自分の弱点がはっきりしてきます。
そしてその弱点を補強するための問題集を、過去問と平行して解き、習得していきます。
【弱点の種類・弱点補強問題集・習得法】
(1)英語長文&英単語熟語:後述。
(2)英文法問題
①超難関私大志望生:早慶上智大のような英文法問題が特に難しい大学・学部の志望生は、通常の英文法問題集を終えた後、以下の早慶受験生御用達問題集を習得します。
「大学受験スーパーゼミ 全解説 頻出英文法・語法問題 1000」(桐原書店)
②正誤問題:正誤問題で間違いが多い人には以下がオススメです。
「スーパー講義英文法・語法正誤問題」(河合塾)
「門脇渉の 英語[正誤問題]が面白いほど解ける本」(角川)
③ランダム問題集:ランダムに英文法問題を解きたい人には以下がオススメです。
「実力判定 英文法ファイナル問題集 標準編」「同 難関大学編」(桐原書店)
「英文法・語法ランダム演習 セレクト600」(学研)
④習得法:具体的な習得法は【勉強法(7-3)大学入試用英文法問題集1冊丸ごと習得法】参照。
(3)英作文
①定期的に書く:たいていの高校生は英作文が苦手なので、3年の4~6月に過去問をチェックして、英作文があると分かったら、週1つなど、定期的に過去問の英作文を書いて、できれば学校や塾の先生に添削してもらいます。
②過去問まとめ帳:書いていく中で、自分に何が足りないか(英文法例文暗記か英単語・フレーズか等)の原因、どうしたら点数が上がるかの対策を考え、過去問まとめ帳に書きます。
③習得する:手に入るだけ「10年分以上×5回以上」書き、模範解答を丸暗記します。12ワード以内の英文は瞬間英作文で、それ以上の英文は「1日10回音読×10日」で丸暗記できます。
※瞬間英作文:【2回口頭和訳⇒英文を7回音読⇒暗唱⇒瞬間英作文(日本語を見て英語を即答する)⇒言えたら次へ、言えなかったら「音読⇒暗唱⇒瞬間英作文」⇒全部⇒週10周】
④例文暗記:英作文を書くには、英文法例文を暗記しておく必要があります。よってまだ英文法例文暗記をしていない受験生は、下記のような問題集の200~300前後の例文を、瞬間英作文で暗記していきます。
「大学入試英作文ハイパートレーニング和文英訳編」(大矢復著、桐原)
「英作文基本300選」(駿台)
⑤和文英訳問題集:過去問に和文英訳(日本語文を英文に翻訳する形式)が出る場合は、過去問を解いていくのと並行して、過去問の傾向に合った和文英訳問題集を探し、習得していきます。
「大矢復 英作文講義の実況中継」(語学春秋社)
「大学入試 英作文ハイパートレーニング 和文英訳編」(大矢復著、桐原)
「 英作文のトレーニング はじめる編&必修編&実戦編」(Z会)
「決定版 竹岡広信の 英作文が面白いほど書ける本」(角川)
例文集がある問題集では、例文暗記もします。詳しくは【過去問のすべて(4)和文英訳を書けるようにする方法】参照。
⑥自由英作文問題集:過去問に自由英作文が出る場合、たいていの人は書いたこともなく、文章構成法など分からないと思いますので、過去問を解くのと並行して、過去問の傾向に合った自由英作文問題集を探し、文章構成法や考え方を習得していきます。
「大学入試英作文ハイパートレーニング 自由英作文編」(大矢復著、ピアソン桐原)
「英作文のトレーニング 実戦編&自由英作文編」(Z会)
「難関大のための 上級問題 特訓ライティング」(旺文社)
「大学入試 自由英作文が1冊でスラスラ書ける本」(かんき出版)
「自由英作文はじめの1冊」(アルク)
「まよわず書ける自由英作文―10日間完成」(河合塾)
「大学入試 自由英作文のすべて」(研究社)
「決定版 竹岡広信の 英作文が面白いほど書ける本」(角川)
模範解答は「1日10回音読×10日」で丸暗記します。詳しくは【過去問のすべて(5)自由英作文を書けるようにする方法】参照。
(4)リスニング
①共通テスト:共通テストを受ける人は、共通テスト過去問を解き、自分の弱点と問題の傾向を把握しつつ、以下のような共通テスト用リスニング問題集で、弱点を補う勉強をしていきます。
「共通テスト英語〔リスニング〕 満点のコツ」(教学社)
「大学入学共通テスト 英語[リスニング]の点数が面白いほどとれる本」(角川)
「共通テスト過去問研究 英語(赤本)」(教学社)
②志望校:志望校にリスニング問題がある場合、過去問を解きつつ、過去問に似た問題集、弱点を補える問題集で勉強していきます。
「灘高キムタツの東大英語リスニング」(アルク)
「大学入試 関正生の英語リスニング プラチナルール」(角川)
「大学入試パーフェクトリスニング」(駿台)
③リスニング問題の習得法:問題を指定時間で解き、延長して何度も聴いて解き、答えが分かったら、もしくは、これ以上聴いても答えは分からないと思うまで聴き、スクリプト(英語原稿)・全訳・解答解説を読んで理解し、聴けなかった箇所を何度も聴いて聴けるようにします。
詳しくは【過去問のすべて(2)知識・リスニング習得法】参照。
4.英語長文の弱点補強問題集とその習得法
【英語長文の弱点の種類・対策法・弱点補強問題集・習得法】
(1)弱点:読むのが遅い、理解度が低い
読むのが遅かったり、内容がよく分からない人は、その原因を調べ、対策します。主な原因は英単語熟語か英文法です。
(1-1)原因と対策1:英単語熟語暗記
①原因と対策:英語長文を読んで、多くの英単語熟語の意味が分からなければ、当然、読むのが遅くなり、文章の意味も分かりにくくなります。
対策は、英単語熟語を暗記するしかありません。ただ、効率的に過去問英単語熟語対策をするには、以下のように精確にチェックする必要があります。
②既習英単語熟語集でチェック:過去問の意味が分からなかった英単語熟語を20~30ワードほど抜き出し、文中の意味が既習英単語熟語集に載っているか確認します。
載っていたら、下線を引き、「広大20年」など書いておきます。20~30ワード全部をやって、それらが見出し語の最初の意味か、2~3番目の意味か、派生語・同義語等か、それとも載っていないかを確認します。
次に、既習英単語集の見出し語の最初の意味が多ければそれを暗記し、2~3番目の意味が多ければそれを暗記し、派生語・同義語等が多ければそれを暗記します。
そして、載っていない英単語熟語が多ければ、以下の英単語レベルチェックをします。
③英単語レベルチェック:早慶上智大等の超難関私立大学の過去問の英単語熟語には、普通の大学入試用英単語集に載っていないものも多数あります。
その場合、アルクの辞書サイト「英辞郎」で英単語レベルを調べ、レベル10(9001~1万語レベル)以上や、レベル無しの英単語は知らなくていい英単語なので無視します(前後関係や語源から推測することを大学は求めています)。レベル9以下の英単語は、超難関私立大学志望生であれば覚えた方が良いです。
※アルクの英単語レベル:英語教材で有名なアルクが、独自に、日本人の英語学習者にとって有用であると思われる英語語彙12000語を選び出し、基礎から上級へと12のレベルに区分したものです。すなわち、レベル1は最頻出の1~1000ワード、レベル12は頻度11001~12000のワードです。
④上級英単語集:過去問に出た、レベル9以下の英単語を以下の上級英単語集で調べ、その多くが載っている英単語集を暗記していきます。
「英検準1級 でる順パス単」「同 1級」(旺文社)
「DUO3.0」(アイシーピー)
「話題別英単語リンガメタリカ」「速読英単語 上級編」(Z会)
⑤英単語推測力:大学入試では、英単語自体は知っていても、知っている意味が文脈に合わない場合も含め、意味が分からない英単語はたくさん出ます。よって、英単語推測力を磨くことは非常に重要です。
英単語推測力は、英単語を推測し続けることで上達します。よって、例えば、コミュニケーション英語教科書の未習部分を、毎日半ページ分など、辞書を引かずに読み、意味が分からない英単語は10秒ほど推測します。詳しくは【コミュニケーション英語教科書を使って、初見の英文を読む訓練をする方法】(【受験勉強法(2)高1からの受験勉強法】に記載)を参照。
英単語推測訓練は、英文解釈書や過去問・模試・入試でも行います。
(1-2)原因と対策2:英文法力
①原因と対策:英語長文を読んで、英単語熟語の意味が分かっても英文の意味が分からなければ、それはたいてい、英文法の問題です。対策は主に以下の3つです。
②過去問を文法的に完全理解する:過去問の英語長文は全て、文法的に完全に理解し、スラスラ和訳できるようにします。全文訳・解説を読んでも分からない箇所は、学校や塾の先生に聞くなどして理解に努めます。
これを10年分以上やって、復習もして長期記憶(数ヶ月~数年以上もつ記憶)に入れれば、それだけでも見違えるように初見の過去問の英文が分かるようになります。
※復習法:過去問を解いて、解答解説・全文訳を読み、1文ずつ和訳して全文訳で確認し、意味を知らなかった英単語熟語は自作英単語帳に書いて暗記し、文法的に分からなかった箇所に印を付け、その部分を【「1文ずつ3回和訳×7日」⇒翌週から「1回和訳×週2回×2ヶ月」】復習します。こうすれば長期記憶に入り、入試で使える記憶になります。また全英文の和訳とは別に、一部英文の音読もします。詳しくは【過去問のすべて(3)英語長文習得法】参照。
③英文解釈:英文解釈とは「初見の文法的に理解しにくい英語長文を理解するための技術」です。過去問などの初見の英文を文法的に理解しにくい人は、英文解釈を毎日30分など、入試まで続けます。
一番のオススメは「英文解釈の技術」シリーズ。詳しい習得法は【「基礎英文解釈の技術100」習得法】参照。
「入門英文解釈の技術70」「基礎英文解釈の技術100」「英文解釈の技術100」(CD付き、桐原書店)
「英文読解入門基本はここだ!」「ポレポレ英文読解プロセス50」(西きょうじ著、代々木)
「横山雅彦の英語長文がロジカルに読める本」(中経出版)
「英文解釈教室」「同 入門編」「同 基礎編」(伊藤和夫著、研究社)
「ビジュアル英文解釈1&2」(伊藤和夫著、駿台)
「英文読解の透視図」(篠田重晃著、研究社)
「構文把握のプラチカ―英文解釈」(河合)
④英文法強化:総合英語の英文和訳・英文法問題集も勉強し直します。具体的なやり方は【「総合英語」で英文法をマスターする方法】、【勉強法(7-3)大学入試用英文法問題集1冊丸ごと習得法】参照。
(1-3)対策:音読
①毎日30分以上音読する:音読をすれば、初見の英文をより速く読めるようになるので、毎日、過去問や英文解釈書の英文を音読します。
「毎日30分×3ヶ月」以上音読を続けると、初見の英文を読んだとき、「前より理解できる」という感覚が出てきます。よって、「毎日30分以上音読+15分以上和訳」し、3ヶ月以上(もちろん入試まで)続けて下さい。
②音読法:【初週「1文ずつ3回和訳+5回音読」×7日】⇒【翌週から「1ページ通して1回口頭和訳(難しい英文は2~3回)+5回音読」×週2回×2ヶ月以上】
詳しくは【英語勉強法(3)英語音読法】参照。
③音読は毎週500ワード:「和訳+音読」して「スラスラ和訳+90%の理解度で音読」できるようにした英文を週500ワードずつ増やしていきます。音読する英文は、過去問を始めてからは、過去問を中心に、英文解釈書・「読み方・解き方本」・英文和訳問題集などで、合計週500ワード(以上)音読します。
③90%の理解度:音読の際、「理解度」を重視します。創賢塾では、音読している英文を90%の理解度にするよう指導しています。
※90%の理解度:(日本語訳を読んだときほどの理解度はないが)英語としてはほぼ完全に理解できている状態。
普通、学校などで音読をするとき、「しっかり理解しながら音読して!」と言われないことが多いので、理解せず、ただ声に出して音読している人が多いのが現状です。しかし、英語を理解せず音読しても、何の意味もありません。
③90%の理解度にする音読法:ではどうやって音読の英文理解度を上げていくのかというと、「情景をイメージしながら、スラッシュ訳の日本語訳を頭の中で言いながら、音読する」ようにします。詳しくは【英語勉強法(3)英語音読法】参照。
※スラッシュ訳:3~5ワード前後の意味のまとまりで、前から前から訳す方法。
④音読の効果:音読して90%の理解度にした英文の数を毎週500ワード分、増やして「500ワード×30~50英文以上」にすれば、初見の英文でも、理解度、読む速度が格段に上がっていきます。
⑤より速く理解度高く英語長文を読む方法:詳しくは【英語速読習得法:初見の英文を圧倒的に速く読む方法】に書いています。
(2)弱点2:問題の解き方が分からない⇒対策:読み方・解き方専用問題集を習得する:上述。
(3)弱点3:英文和訳ができない⇒対策:英文和訳専門の問題集を習得する
①必要性:国公立大学の2次試験には、英文和訳(下線部の英文を日本語に訳すこと)や、理由説明問題などで実質的に英文和訳能力も問われる問題が多数出題されます。
英文和訳には、英語力だけでなく、日本語力も必要なので、独特の難しさがあり、上手く書ける人は多くありません。例えば、直訳すると日本語として意味が通じない英文をどう訳すか、どこまで意訳するかは皆が悩むところです。よって、苦手な人は取り組むべきです。
②対象:志望校の入試に英文和訳が出る受験生。特に、英文和訳が苦手な人や、記述模試等でポロポロと部分点を引かれる人。
③オススメ問題集:英文和訳専用の問題集はほぼ「英文和訳演習」シリーズと「英文和訳講座」しかありませんから、まずはこれらに取り組むのが良いでしょう。
「英文和訳演習」シリーズ(伊藤和夫著、駿台)
「英文和訳講座」(高橋善昭著、研究社)
以上が終わったら、英文和訳問題集としても優れた以下の英文解釈書に取り組むのも良いと思います。もしくは、英文解釈書として以下を使うときに、どういう日本語にするかも考えながら取り組みます。
「英文解釈の技術100」シリーズ(桐原書店)
「ポレポレ英文読解プロセス50」(西きょうじ著、代ゼミ)
「大学受験のための英文熟考 上下」(竹岡広信著、旺文社)
④習得法:全体の和訳を3周書き、訳し方のコツを体得するよう努めます。また、全英文をスラスラ和訳できるようにし、一部を50回以上音読してスラスラ音読できるようにします。
※一部:音読は「過去問・英文解釈書・英文和訳問題集等合わせて、週500ワード」です。
「英文和訳演習」シリーズの習得法は【「英文和訳演習」習得法】参照。
⑤添削:自分の和訳が、日本語として自然かつ正確な和訳になっているかは、自分ではなかなか分からない人も多いでしょう。よって、できるだけ、学校や塾の先生に、週1つなど、定期的に添削してもらうことをオススメします。
(4)弱点4:要約が書けない⇒対策:要約問題集を習得する
①対象:志望校の過去問に(英文を日本語でまとめる)要約問題がある受験生。
たいていの高校生は要約が苦手で、要約のやり方を知らないので、過去問の要約問題を解くのと平行して、要約問題集で要約法を習得します。
②オススメ問題集:「ディスコースマーカー英文読解」が最もオススメです。
「ディスコースマーカー英文読解」(Z会)
「英文要旨要約問題の解法」(高橋善昭著、駿台)
「東京大学英語 5 要約」(河合塾)「英文要旨要約トレーニング」(竹岡広信著、駿台)
「英語要旨大意問題演習」(伊藤和夫著、駿台)
「自由英作文はじめの1冊」(アルク)
「難関大のための 上級問題 特訓ライティング」(旺文社)
③目標:「ディスコースマーカー英文読解」の場合、論理的読解法と要約法を習得し、主要ディスコースマーカー等の暗記事項を暗記し、学習した全英文をスラスラ和訳できるようにし、一部を音読します。
④習得法:「ディスコースマーカー英文読解」の場合、解説を読んで論理的読解法や主要ディスコースマーカー等の暗記事項をルーズリーフにまとめて暗記し、要約を書き、解説を読んで理解し、1章ごとに5周して習得していきます。
詳しくは【「ディスコースマーカー英文読解」習得法】を参照。
5.英語力を上げるための教材
多くの大学受験生にとって、入試基礎力養成期の教材と過去問・上述の弱点補強問題集以外、取り組む時間的余裕はほとんどありませんが、超難関大志望者や時間に余裕のある私立大志望者などが更に英語の成績を上げたい場合、以下のような書籍も役に立ちます。
【英語力を上げるための教材の勉強法】
(1)個別大学専用問題集
早慶大や東大京大のような有名大学には、大学専用の問題集が発売されています。中には有用なものも多くありますので、内容を精査し、取り組んでみてください。これらも全て和訳・音読・英単語熟語暗記をして習得します。
「トークで攻略 東大への英語塾」「同 京大」「同 早大」「同 慶大」(語学春秋社)
「東京大学英語」「同 京大」(河合塾)
「東大の英語」「同 京大」「同 一橋大」「同 早稲田」「同 慶応」(教学社)
「世界一わかりやすい 東大の英語 合格講座」「同 京大」「同 一橋大」「同 早稲田」「同 慶応」(角川)
(2)論理的読解法問題集
①論理的読解法:パラグラフ・リーディング(論理的な読み方)やディスコースマーカー(結論や主張の指標となる接続語)を習得すると、論理的に読めるようになり、内容理解度が上がり、読む速度も速くなります。
②対象:偏差値65以上の人は挑戦してみても良いと思います。
③オススメ問題集:以下です。
「ディスコースマーカー英文読解」(Z会)
「パラグラフリーディングのストラテジー (1)~(3)」3冊シリーズ(河合塾)
一番のオススメは「ディスコースマーカー英文読解」です。英語の論理的読解法と要約法を1冊で身に付けることができます。
④目標:「ディスコースマーカー英文読解」の場合、論理的読解法と要約法を習得し、主要ディスコースマーカー等の暗記事項を暗記し、学習した全英文をスラスラ和訳できるようにし、一部を音読します。
⑤習得法:「ディスコースマーカー英文読解」の場合、解説を読んで論理的読解法や主要ディスコースマーカー等の暗記事項をルーズリーフにまとめて暗記し、要約を書き、解説を読んで理解し、1章ごとに5周して習得していきます。
詳しくは【「ディスコースマーカー英文読解」習得法】を参照。
(3)英語長文問題集
①やはり英語長文問題集の優先順位は低い:ここまで読んだらお分かりの通り、入試基礎力養成期の教材と過去問10年分以上、解き方本、パラグラフ・リーディング本、大学専用問題集を全て習得する(5周以上解き、和訳・音読する)だけで多大な時間が掛かりますから、解き方や論理的読解法があまり書かれていない、ただの英語長文問題集を勉強する時間はほぼ無く、必要性も低いです。
②過去問が難しい場合:上記の問題集を全て習得して、偏差値が65以上になっても、過去問を解いて4割以下しか取れない場合、大学の問題が難しすぎる可能性があります(早慶上智大など)。
その場合、上記の問題集の復習をしながら、過去問を「5回解く×10年分」「全文を和訳」「過去問の英語長文を週500ワード習得(50回以上音読)」しつつ、過去問より少し易しめの英文が載った英語長文問題集を解くのは選択肢の1つです。
「合格へ導く英語長文Rise 読解演習1~3」(Z会)
「レベル別英語長文問題ソリューション1~3」(肘井学著、かんき出版)
「全レベル問題集 英語長文1~6」(旺文社)
「英語長文ハイパートレーニングレベル1~3」(安河内哲也著、桐原書店)
「関正生の英語長文ポラリス1~3」(関正生著、角川)
「やっておきたい英語長文500・700・1000」(河合塾)
「イチから鍛える英語長文500・700」(学研)
【終わりに】
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。以上で英語受験勉強の全貌を書き終わりました。
この文章があなたの英語力アップ、志望校合格のお役に立てば幸いです。
創賢塾のホームページに書かれた勉強法をいち早く習得したい高校生のために【英語の成績を飛躍させる勉強法を習得する3ヶ月自宅集中セミナー】【5教科の受験勉強法を習得する3ヶ月自宅集中セミナー】【長期勉強法コース】を開講しています。【高校生用:講座・セミナー一覧】はこちら。関心ある方はご参照ください。
【偏差値35から中央大学合格】
Tさん(25歳、社会人、入塾時偏差値35、千葉県、中央大学国際情報学部[偏差値61]合格)
1月までお世話になっておりましたTです。無事、第一志望の東京経済大学(河合塾偏差値53)に合格できました。直前に「DUO3.0」が終わって、何とかなりました。
標準レベルの大学とはいえ、高卒時には大学受験をせず、去年まで7年以上のブランクがあって、偏差値35だった私からすれば上出来と言えます。
1年前のままでは、英語も国語も、実力も解く速度も足りず、どうにもならなかったと思います。教えていただいた英語の暗記法(クイック・レスポンス法、瞬間英作文)・習得法(英語長文音読法、英文解釈書の習得法)・復習法、現代文の習得法(キーワードとキーセンテンスの付け方、選択肢問題の解き方、10分音読)のおかげで時間に余裕をもって解くことが出来るようになりました。
今後も資格などの勉強に活かしていきたいと思います。1年間どうもありがとうございました。
P.S.中央大学にも合格しました。
実は、万が一急に英語が伸びた時のために、現代文と英語の2科目で受けることのできる、中央大学国際経営学部(偏差値60)と国際情報学部(偏差値61)を受験していたのですが、昨日今日とメールが届いてきて、どちらも追加合格したことが分かりました。
すっかり東京経済大学に通う気でいたので自分でも驚いていますが、本当に嬉しいです。諦めずに万が一に懸けて良かったです。 終わってみれば、滑り止めに受けた拓殖大学、本命の東京経済大学、挑戦した中央大学、全てに合格し、大満足の結果でした。
大学は中央大学国際情報学部にしようと思います。法律とITを両方学べるようで、どちらにも興味があった私には理想の学部です。
大袈裟な言い方かもしれませんが、人生がかなり変わったと思います。家族もとても喜んでくれました。本当に先生のおかげです。気を抜かずに勉強と、しっかり通うための体力作りを頑張りたいと思います。
最後に、追加合格ということで参考になるか分かりませんが、やった教材を書きます。
□英語:「百式英単語」太字は完璧、「入門英文解釈の技術70」口頭和訳、リスニング、シャドーイングを全てスラスラ、「Evergreen総合英語」の傍用例文集の例文475を瞬間英作文スラスラ、「DUO3.0」例文に含まれる単熟語をクイックレスポンス法で9割暗記、その後例文を口頭和訳(スラスラ度70%くらい)。文法問題集や、長文はやれませんでした。
□現代文:授業で「読みテクトレーニング」20までと、「出口実況中継1~3」、「出口実況中継センター」3問目まで。スタディサプリの高3スタンダードを24題のうち20まで。どれも復習はしていませんでしたが、問題の音読はそれぞれ3~5回くらいやっていました。体感的には、それだけでも読むスピードがけっこう上がりました。「生きる漢字・語彙力」の最初の200、「生きる現代文読解語」の中の基本重要語200、赤本を一年分。