このページでは、大学入試用英文法問題集を1冊丸ごと習得する方法を書いていきます。
ここに書いている勉強法を実践すれば、500ページもあるような英文法問題集を、90時間前後で、復習しつつ全体を1周するだけで、ほぼ全ての問題をスラスラ解けるようにできます。
そして更に2~3ヶ月間で全体を10周復習することで長期記憶(数ヶ月~数年以上もつ記憶)に入れられ、入試に使える記憶に出来ます。
これを読めば、あなたは英文法問題集の正しい習得法を会得でき、自分がなぜ1冊全体を習得できなかったかが分かるでしょう。
1.大学入試用英文法問題集習得の目標
大学入試用英文法問題集習得の3つの目標
(1)1周で全ての問題をスラスラ解けるようにする:当塾の「復習しつつ先へ進む」勉強法を実践すれば、問題集を1周しただけで、ほぼ全ての問題を即答できる状態にできます。
ただし1周だけだとまだ中期記憶(数週間~数ヶ月もつ記憶)にしか入っておらず、長期記憶(数ヶ月~数年以上もつ記憶)には入っていません。
(2)長期記憶に入れる:中期記憶に入れた後、全体を2~3ヶ月で10周して長期記憶に入れます。そうすれば入試まで記憶を維持できます。
(3)全問題で正しい選択肢が「なぜ正解なのか」、誤選択肢が「なぜ間違いなのか」を説明できるようにする
2.英文法問題集を習得する際の勉強のポイント
大学入試用英文法問題集に限らず、学校や塾の問題集を習得し、上記の目標を達成したいときの勉強法の共通のポイントは以下になります。
2.1.メインの問題集を1冊決め、習得する
受験生で、学校や塾・予備校の英文法問題集を合計2冊以上平行して解いている人もいると思います。しかしそれは得策ではありません。
なぜなら、2冊をそれぞれ3回やる時間があったら、1冊を6~10回以上復習でき、習得できる(全問題をスラスラ解けるようにし、長期記憶に入れられる)からです。
復習が3回以下だと短期記憶(数時間~数週間もつ記憶)にしか入らないので、模試でもなかなか思い出せなかったり度忘れしがちで、模試やテストの成績が上がりにくいですが、1冊を6~10回以上復習すれば、スラスラ解けるようになり、中期記憶(数週間~数ヶ月もつ記憶)に入り、模試の成績も上がっていきます。
同じ科目・分野の問題集は1冊をメインにし、それを5回以上復習して習得し(=問題を見たら即答できるようにし)、更に2ヶ月以上復習して長期記憶に入れたら、2冊目のより難しい問題集を解く。それが、英文法問題集に限らず全科目に共通の、成績を上げる勉強法です。
2.2.解く時間は1問1分以内
1周目は「出来る問題と出来ない問題を仕分ける」のが目的で、分からない問題は「解答解説を読んで理解し暗記すれば良い」ので、考えすぎず、サッサと解き、答えを見ます。
2.3.「理解」して暗記する
勉強には「理解」と「暗記(復習)」があり、どの科目でもまずは理解し、その後、復習して暗記する必要があります。
英文法問題集の場合、文法的に「理解」すれば類題が解けるようになり、理解した後「復習」して中期記憶・長期記憶に入れれば入試でその知識を使えます。
解説で理解できない場合は「総合英語(英文法参考書)」等で必ず調べ、きちんと理解します。調べた内容は問題集に書き込んで、再び調べなくて良いようにしておきます。
2.4.間違えた問題の英文は全て瞬間英作文で暗記する
瞬間英作文とは以下のような英語短文暗記法のことです。これを使えば10ワード前後の英文はすぐに暗記できます。詳しくは【瞬間英作文】に書いています。
【2回口頭和訳⇒英文を暗唱できるまで5~10回音読⇒暗唱⇒瞬間英作文(日本語を見て英語に訳す)】⇒【言えたら次へ、言えなかったら再度「音読⇒暗唱⇒瞬間英作文」】
「間違えた問題+自信と根拠をもって答えられなかった問題」全てに印を付け、その英文は以後復習するたびに毎回、瞬間英作文で暗記します(ただし、3回連続して正解なら外して結構です)。
そうすると、問題がすぐに解けるようになるだけでなく、瞬間的・感覚的に正しい英文を言えるようになり、英語の基礎力が格段に上がります。
英文法問題集の英文を英作文できるようにしよう
「安河内の新英語をはじめからていねいに1」(著名英語講師・安河内哲也著、183p)
今まで出てきた英文は、できたら全部、日本語を見ればサッと出てくるようにしておこう。否定文でも、疑問文でも、自動的、直感的に言えるようにならなくちゃダメ。
日本語訳を見たら、コンピューターのようにすばやくピッと反応して、英語の文を書けるようになるまで、何度も何度も復習するんだ。
2.5.復習する問題は
復習する問題は、最初は「初回間違えた問題+自信と根拠をもって答えられなかった問題」全てで、3回連続正解なら外します。そのため、「××○○○(最初の2回は間違い、後の3回は正解)」などと問題に印を付けておきます。
そして、いったん全部正解できるようになったら、再度全問解いて間違えた問題・根拠が曖昧な問題に印を付け、それを習得します。
2.6.解説できるようにする
(だんだん理解と暗記が進んできた)3周目以降に、正しい選択肢(正答)が「なぜ正解なのか」、誤選択肢(誤答)が「なぜ間違いなのか」を説明できるようにします。
説明できなければ理解が足りていないので、英文法参考書で調べたり友人・先生に聞きます。調べた内容は問題集に書き込みます。
1周目からやろうとするとなかなか進まず挫折する危険があるため、1~2周目は正答が解説できれば良く、3周目くらいから誤答も解説し始めるのが適切です。
2.7.中期記憶に入れることを意識する
普通の高校生は問題集を2~3回しか復習しませんが、それでは短期記憶(数時間~数週間もつ記憶)にしか入らず、模試や入試で記憶が曖昧で、高得点は期待できません。また、すぐに忘れるので知識が蓄積せず、英文法力・英語力が勉強時間の割に上がりません。
よって、全ての勉強内容を中期記憶(数週間~数ヶ月もつ記憶)、長期記憶(数ヶ月~数年以上もつ記憶)に入れることを意識して勉強します。
中期記憶に入れる方法は「5回以上の復習」で、中期記憶に入った印は「スラスラ解ける、即答できる状態」です。
2.8.全知識を暗記する
問題になっていない英単語熟語・構文・文法などの知識が文法問題集に載っていますが、これらは、全問題をスラスラ解けるようになってから、ルーズリーフにまとめ、覚えていきます。
創賢塾のホームページに書かれた勉強法をいち早く習得したい高校生のために【高校英文法を習得する3ヶ月自宅集中セミナー】【5教科のテスト勉強法を習得する3ヶ月自宅集中セミナー】【長期勉強法コース】を開講しています。【高校生用:講座・セミナー一覧】はこちら。関心ある方はご参照ください。
3.英文法問題集1冊丸ごと習得する際の勉強のポイント
ここでは高3・浪人生などで1冊丸ごと習得したい場合の勉強法のポイントを書いていきます。
3.1.全体を分割し、1週間に進む範囲を決め、5周以上繰り返す
全体を1周、2周と進めるやり方は、1周に時間がかかり、覚えにくく、挫折する可能性が高いので、オススメしません。
よって、全体を1セット50~100ページなどに分割し、そこを1週間に5周以上繰り返して習得していくのがオススメです。
「1週間に進む範囲を決める」メリットは、いつ終わらせられるかの目途が立つこと、確実に覚えていけるので安心感があることです。
3.2.徹底的に復習しつつ、先に進める
新規で週50ページ進めるのは誰でも出来ますが、問題は復習をどうするかです。創賢塾では先へ進めつつ、既習範囲を毎週全て復習し、スラスラ解ける状態を維持してもらいます。そうすれば1冊終わった時点でほぼ全ての問題をスラスラ解けるからです。
例えば、3ヶ月で500ページの問題集1冊を習得すると決めたら、新規で週約50ページ習得すると同時に、既習範囲全てを週1周復習します。その場合、6週間目は以下のようにします。
【第6セット(251~300ページ)を5周+第1~5セットを各1周復習する】
3.3.先に進むより復習を優先する
毎週50ページを新規で進め、3ヶ月で1冊全体を暗記しようとする場合、だんだん復習量が増えて、同じ勉強時間だと、途中で復習が追いつかなくなります。
そのときは、勉強時間を増やすか、新規のページ数を減らすか、1~2週間、いったん先へ進むのをやめて復習に専念します。復習しないで先に進めるより、復習して既習部分の即答状態を維持する方を優先します。
なぜなら、復習しなければ1冊終わっても3~5割忘れ(最初の方は1~2ヶ月復習しないことになるので忘れます)、いつ終わるか先が見えないのに対して、多少遅れても復習し続けて1冊終われば、1周を終わった時点でほとんど全ての問題をすらすら解くことができ、中期記憶(数週間~数ヶ月もつ記憶)に入れられるからです。
3.4.長期記憶に入れる
1周だけだとまだ中期記憶にしか入っておらず、長期記憶(数ヶ月~数年以上もつ記憶)には入っていません。よって、全体が1周終わったらすぐ2周目に入り、以下のように、最終的に復習を10周、期間にして2~3ヶ月以上続けます。そうすれば長期記憶に入り、入試まで記憶がもちます。
【毎日50ページ復習×10日で1周×3ヶ月で10周】
全体が1周終わった時点で、第1セットは15周ほどしているので、毎日10~15分前後で50ページを復習することが出来ます。
4.英文法問題集1冊丸ごと習得法
4.1.英文法問題集の習得法
500ページもある大学入試用英文法問題集の全体をできるだけ短期間で習得する(=スラスラ解けるようにし、長期記憶に入れる)勉強法を書きます。
【大学入試用英文法問題集の完全習得法】
(1)1週間に習得するページ数を決める:受験までの期間を考え、何ヶ月で習得するかを決めます。例えば3ヶ月で習得したい場合、復習時間も考慮すると、最初は週50ページほど習得すべきだと分かります。
以下、毎週50ページ暗記して、3ヶ月で全部習得していく場合を書いていきます。
(2)進め方
①解く:問題を解くとき、1問に1分以上は考えません。
②理解する:解答解説を読み、「間違えた問題+自信と根拠をもって答えられなかった問題」全てに印を付け、解説にマーカーを引き、よく理解します。
③間違えた問題の英文を瞬間英作文で暗記する:瞬間英作文:【2回口頭和訳⇒英文を5~7回音読⇒暗唱⇒瞬間英作文(日本語を見て英語に訳す)】⇒言えたら次へ、言えなかったら再度「音読⇒暗唱⇒瞬間英作文」。
④次の問題へ:その日進めるだけ進み、1周終わったらすぐ2周目に入ります。2周目以降は印を付けた問題だけを解き、3回連続正解したら外します。
⑤正誤の理由を解説できるようにする:3周目以降は、正しい選択肢が「なぜ正解なのか」、誤選択肢が「なぜ間違いなのか」を説明できるようにします。
また、4~5周解いて、全問正解でき、正誤の理由を解説できるようになったら、最初正解の問題も含めて全問解き直し、正誤の理由を解説できるようにします。
(3)毎週50ページを5周し、習得する:通常は5周すれば即答できるようになります。5周で即答できなければ6~10周します。
(4)復習しつつ、毎週新規で50ページずつ習得する:例えば、6週間目は以下のようにします。
【第6セット(251~300ページ)を5周+第1~5セットを各1周復習する】
(5)先に進むより復習を優先する:途中、復習が追いつかなくなったら、上記の通り、勉強時間を増やすか、新規のページ数を減らすか、1~2週間、先へ進むのをやめて復習に専念します。
(6)全体を10周し、長期記憶に入れる:全体の1周目が終わったら即2周目に入り、以下のように10周、期間にして2~3ヶ月以上復習を続けます。そうすれば長期記憶に入り、入試まで記憶がもちます。
【毎日50ページ復習×10日で1周×2~3ヶ月で10周】
(7)問題になっていない知識を暗記する:問題になっていない英単語熟語・構文・文法などの知識が文法問題集に載っていますが、これらは、全体2周目にルーズリーフにまとめ、覚えていきます。
(8)必要に応じて2冊目に入る:超難関私立大学志望者は、標準的な入試用英文法問題集を1冊終えたら、上級英文法問題集を1冊習得します。
4.2.習得に掛かる時間の目安
「週50ページ×5周」に掛かる時間の目安は、英文法力により全く異なりますが、例えば、以下のようになります。
(1)最初7割できて、解説を読めば参考書等を調べなくても理解できる人:週5時間前後。これに、プラス復習時間が週1~2時間かかります。
つまり、1冊習得するには「50時間+復習時間(10時間前後)≒60時間」かかります。
(2)最初5割できて、参考書等を調べないと分からない問題が1割程度ある人:週7時間前後。つまり、1冊習得するには「70時間+復習時間(15時間前後)≒85時間」かかります。
(3)最初3割しかできず、参考書等を調べないと分からない問題が2割程度ある人:週9時間前後。つまり、1冊習得するには「90時間+復習時間(25時間前後)≒115時間」かかります。
4.3.基礎が抜けている人は
高1~2年の時に英語をさぼって、英文法問題集の解説を読んでも分からない箇所が3割以上ある場合は、以下のような薄い英文法解説書を習得してから、もしくは平行して、英文法問題集に取りかかるのがオススメです。
「安河内の英語をはじめからていねいに【完全版】」(安河内 哲也著、東進)
「大岩のいちばんはじめの英文法【超基礎文法編】」(東進)
「高校の英文法が1冊でしっかりわかる本」(肘井学著、かんき出版)
「世界一わかりやすい英文法の授業」(関正生著)
4.4.オススメ大学入試用英文法問題集
習得する英文法問題集は、解答が詳しい、評判がよい、問題が多すぎない、などを選択基準に、自分の英語力・好みに合った問題集を選びましょう。学校や塾の問題集で、条件に合うものがあれば、それも良いでしょう。
以下の中では、解説が詳しい「世界一わかりやすい 英文法・語法の特別講座」、詳しめの「スクランブル英文法・語法」「英文法・語法Vintage」がオススメです。
(1)基本・易しめ・解説が詳しい問題集
「英文法・語法問題ベスト400」(学研)
「今井の英文法教室 上下」(ナガセ)
「世界一わかりやすい 英文法・語法の特別講座」(関 正生著、角川)
(2)標準的問題集
「スクランブル英文法・語法」(旺文社)
「英文法・語法Vintage」(いいずな書店)
「Next Stage英文法・語法問題」(桐原書店)
「UPGRADE英文法・語法問題文法・語法」(数研出版)
「POWER STAGE 英文法・語法問題」(桐原書店)
(3)分冊の問題集
「関正生の英文法ポラリス」シリーズ(角川)
「大学入試 全レベル問題集 英文法」シリーズ(旺文社)
(4)ランダム問題集
「全解説実力判定英文法ファイナル問題集 標準&難関大学」(桐原書店)
「英文法・語法 最終チェック問題集」シリーズ(旺文社)
「英文法・語法ランダム演習 セレクト600」(学研)
(5)上級(超難関大学向け)
「全解説頻出英文法・語法問題1000」(桐原書店)
(6)正誤問題
「スーパー講義英文法・語法正誤問題」(河合塾)
「門脇渉の 英語[正誤問題]が面白いほど解ける本」(角川)
【終わりに】
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
このページに書いたことを実践すれば、英文法力と英語の成績を上げることができます。
あなたの健闘を祈ります。
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