【日本史の論述対策】シリーズでは、2次試験に日本史の論述問題がある国公立大志望の受験生を対象に、共通テスト、論述問題で合格点を取るための暗記戦略について書いていきます。
このページは、通史暗記・論述対策のオススメ教材ルートと暗記法についてです。
本格的な論述のある難関私立大学の論述対策も、このシリーズが参考になるはずです。
1.オススメ教材ルートと暗記法
【オススメ教材ルートと暗記法】
(1)記憶の軸を作る教材1:「まんが日本の歴史」(全19巻、角川)
①マンガをオススメする理由:マンガは情報量が少なく、絵があり、読み進めやすく、楽しく学習できるため、暗記しやすいからです。
②「まんが日本の歴史」をオススメする理由:歴史の流れを重視して書かれていて、論述対策にピッタリだからです。
※歴史の流れとは:政治・経済・文化等の特定のテーマに関する「時代背景・因果関係・主要人物・経過・後代への影響」などのこと。共通テストでも論述試験でも、歴史の流れを暗記することは最優先・最重要です。
③目標・暗記法:勉強の合間などに、マンガの内容が全て常識になるまで、週10~20冊、数ヶ月で全巻を10周以上読み、記憶の軸を作ります。
読むときは、覚えようと思わず、理解しながら、楽しんで読みます。10~20周読んだら自然に暗記できます。
④読む時期:マンガといえども結構時間がかかるので、できるだけ1~2年生のうちに読んで暗記します。
(2)記憶の軸を作る教材2:「超速!最新日本史の流れ」(全2冊、合計420ページ、ブックマン社)
①オススメする理由:教科書より用語の情報量が少なく、読みやすく、歴史の流れを理解し暗記しやすいからです。
②目標・暗記法:マンガの後、もしくは代わりに、1~2年生のうちに、小説のようにサラサラと【「週1周×10週間」で10周】など読んで、全てを常識にします。
3周目以降は歴史の流れに注意して読み、頭に入れていきます。
③難関大志望者には:「金谷の日本史 なぜと流れがわかる本」(4冊1000ページ弱、ナガセ)もオススメです。同じく10周以上読んで、全てを常識にします。
(3)通史暗記:理解用教材:教科書
①通史暗記教材:2次試験に日本史の論述問題がある国公立大志望の受験生の理解用教材としては、教科書がオススメです。
なぜなら、教科書は、共通テスト、2次試験論述問題の出典で、教科書を暗記していればほとんどの問題は解けるからです。また、教科書は、論述でそのまま使えるフレーズ・言い回し・文章の宝庫だからです。
②教科書の2つの使い方:1つ目は、教科書を理解用教材として、一問一答問題集などを用語暗記用教材として用いる方法です。もう1つは、教科書を丸暗記して、理解用教材としても暗記用教材としても用いる方法です。
このページでは前者の勉強法・教材を紹介しています。後者の暗記法は【日本史暗記法(3)日本史教科書を丸暗記する方法】参照。
③目標:受験勉強の最初から最後まで、教科書を読み続け、最終的には10周以上音読、もしくは20周以上黙読し、重要用語の意味や歴史の流れを解説できるようにします。
④教科書の読み方:暗記用教材の暗記箇所に該当する箇所を、歴史の流れを考えながら、週3~5周ほど黙読・音読します。歴史の流れを理解すれば、暗記教材の用語暗記が楽になります。詳しくは【「東進 日本史B一問一答【完全版】」暗記法】参照。
教科書は、その後も読み続け、トータル10周以上読みます。
⑤教科書を読み進められない人は:教科書を、初学者が読み進めるのは辛いと思います。なぜなら、教科書には情報が凝縮されていて、(初学者には)知らない知識が多く、理解しにくいからです。
その場合どうしたら良いかというと、教科書の前に「まんが日本の歴史」や「超速!最新日本史の流れ」を10周以上読んで基礎知識を入れ、教科書と並行して一問一答問題集で用語を暗記します。
そして、教科書を読むときに、知らない用語の意味・理解できない箇所を、「日本史用語集」(山川出版社)のような用語集や「石川晶康 日本史B講義の実況中継」(語学春秋社)のような参考書で調べ、理解します。調べた内容は教科書の欄外に要約して書いておきます。
⑥通史暗記時に他の教材を使う場合:論述対策時には教科書が頼りなので、論述対策期(3年8月以降)には教科書を地道に読むことをオススメします。
(4)通史暗記:用語暗記用教材:「共通テスト 日本史B一問一答【完全版】」(東進)か「時代と流れで覚える! 日本史B用語」(165ページ、文英堂)
①用語暗記:教科書を読むのと並行して、暗記教材で用語を暗記します。
②暗記法:【「東進 日本史B一問一答【完全版】」暗記法】、【「時代と流れで覚える! 日本史B用語」暗記法】参照。
(5)共通テスト対策問題集1:「ベストセレクション 共通テスト 日本史B重要問題集」(実教出版)
①オススメする理由:通史暗記後にまず習得すべき問題集は、共通テスト過去問問題集(共通テスト過去問約15~20年分を時代順・分野別に配列し直して編集した問題集)です。
なぜなら、共通テストに出そうな重要問題がほぼ網羅されており、過去問より効率良く理解・暗記が進み、日本史の基礎を確立できるからです。
②選択肢:以下のようなものがあります。
「ベストセレクション 共通テスト 日本史B重要問題集」(200ページ弱、実教出版)
「共通テストへの道 日本史」(約150ページ、山川出版社)
③オススメ:「ベストセレクション 共通テスト 日本史B重要問題集」です。「共通テストへの道 日本史」より解説が詳しくなっています。
これ1冊を暗記すれば、共通テスト過去問・予想問題集・模試で7~8割以上取れるようになるはずです。
④習得法:【「ベストセレクション 共通テスト 日本史B重要問題集」習得法】参照。
⑤「ベストセレクション 共通テスト 日本史B重要問題集」の暗記後:共通テスト過去問と論述対策を並行して進めていきます。
(6)共通テスト対策問題集2:共通テスト過去問10年分以上
①選択肢:以下のようなものがあります。
「共通テスト過去問研究 日本史B」(教学社)
「共通テスト過去問レビュー 日本史B」(河合塾)
②目標:週1年分など解き、暗記し、正答率を8~9割以上に上げていきます。
③習得法:【日本史の共通テスト対策(2)過去問習得法】参照。
(7)論述対策1:2次試験志望校過去問10年分以上
①論述対策の最初に2次試験志望校過去問を解かなければならない理由:各大学により、論述問題には明確な傾向があり、傾向によって書き方・対策・勉強内容は異なり、傾向は過去問を自分で5~10年分以上解かないと分からないからです。
②時期:共通テスト過去問で7~8割以上取れるようになったら、本格的に過去問対策を始め、週1年分などを解き、模範解答を丸暗記していきます。
ただ、共通テスト過去問で7~8割以上取れていようといまいと、夏休みには3年分くらい解き、傾向と対策を把握し、以後の勉強の指針にします。
③最善の論述問題対策法:教科書を10~20周以上読んで8割以上暗記し、過去問などの論述問題の模範解答を200以上丸暗記すれば、論述問題の頻出テーマは、ほぼ押さえることができます。
逆に、模範解答を読んで理解するだけでは、全く同じ問題でさえ、合格レベルの論述を書けるようにはなりません。よって論述問題の模範解答を暗記するしか上達の道はないのです。
④暗記法:論述問題は、理解しながら【1日10回音読×10日】のように音読すれば、ほぼ丸暗記できます。
⑤過去問の解き方:【日本史の論述対策(3)論述合格戦略】参照。
⑥論述対策時の教科書の読み方:論述試験過去問、論述問題集を解くのと並行して、教科書を1~2週間に1周くらいのペースで、2次試験まで読み続けます。詳しくは【日本史の論述対策(3)論述合格戦略】参照。
(8)論述対策2:論述問題集2~3冊
①論述問題集:志望校過去問を10年分以上解いて暗記したら、それと平行して、以下のような論述問題集の中から、志望校過去問に傾向が似た問題が多く入っている論述問題集、もしくは志望校過去問と傾向が似ている大学の過去問を探し、解いてきます。
大学により傾向は違いますから、中身を自分でよく吟味して選びます。
「“考える”日本史論述―「覚える」から「理解する」へ」(河合塾)
「日本史論述演習141」(代ゼミ)
「日本史の論点」(駿台)
「書いてまとめる日本史―日本史短文論述練習帳」(石川晶康著、河合塾)
「東大合格への日本史」(データハウス)
「日本史論述問題集」(山川出版社)
「日本史論述研究―実戦と分析」(駿台)
「段階式 日本史論述のトレーニング」(Z会)
「論考テーマ型日本史論述明快講義」(旺文社)
「大学入試 全レベル問題集 日本史B 5 国公立大レベル」(旺文社)
②目標:100~200以上の論述問題を解き、模範解答を丸暗記します。
③解き方・暗記法:詳しくは【日本史の論述対策(3)論述合格戦略】参照。
「解答は暗記するくらい読み込んで理解する」
ブログ「一橋大学二次試験:世界史対策」より
(世界史の)一番スタンダードな勉強法は教科書をひたすら読み込むことと、一問一答形式の問題集や用語集を用いることにより、基本的な流れ、原因、出来事、結果、意義などを一通り覚えてしまうことです。これだけでも共通テストならば8割はとれるようになります。……
基本的な知識や流れがわかってきたら、次は実際の過去問を解いてみることをオススメします。……
はじめのうちは400字を埋めることや、納得のいくような答案が書けないことでしょう。はじめから満足のいくような答案を書ける人はそうそういません。全然気にしなくて大丈夫です。
ですが、絶対に解きっぱなしにはしないでください。解答は暗記するくらい読み込んで理解しましょう。これが正解だ!と自分で判断するのも難しいと思うので、可能なら添削してもらいましょう。
2.終わりに
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
この文章があなたのお役に立てれば幸いです。
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