高校生が現代文の成績を上げるには、学校の勉強だけでは不十分で、国語力自体を上げる必要があります。
このページでは国語力-読解力・語彙力・論理力(論理的思考力+論理的読解力+論理的記述力+論理的解答力)等-のうち、「論理的読解力」を培う勉強法について書いていきます。
目次
1.論理力
1.1.論理力とは
「論理力」とは、「論理的に考え、論理的に読み、書き、話し、聞ける能力」、言い換えれば、「論理的思考力、論理的読解力、論理的記述力、論理的会話力、論理的聴解力」の総合力のことです。
また、中高生の場合は、国語の問題を論理的に解く能力も必要ですから、「論理的に問題を解く力(論理的解答力)」も含みます。
1.2.誰も論理力を伸ばす方法を教えてくれない
学校でも塾でも、「論理的に考えよう」「国語の問題文を論理的に読みなさい」「論理的に書きなさい」と言われます。確かに、論理力を身につければ国語の成績は上がりますから、この指摘は正しいと言えます。
しかし、具体的にどうしたら「論理的に考えられるようになるのか」「論理的に読めるようになるのか」「論理的に書けるようになるのか」の方法を教えてくれる人はいません。
なぜなら、学校の先生も塾の先生も、それを知らないからです。
1.3.なぜ論理力を高める方法を知らないのか?
なぜほとんどの学校の教師・塾の講師が論理力を高める方法を知らないのか?
それは日本の教育では、優れた個々の努力を除いて、歴史上、一度も「論理力」の教育は行われてこなかったからです。中学でも高校でも、大学でさえも。
教わっていないのですから、論理力を教えられないのは当然なのです。
したがって、ほとんどの高校生は論理的に読めませんし、書けません。
一方、創賢塾では、大学受験現代文の著名講師である出口汪さんが開発した「論理的に読み、解く能力を培う教材である論理エンジン」を十数年にわたり教え(現在は論理エンジンより効果的な方法を確立したので論理エンジンは卒業しました)、以後も論理力開発を研究・実践・教育してきており、論理力養成の方法論を確立しています。
そこで、ここでは、実践しさえすれば、誰でも論理的に読めるようになる方法を、具体的に解説していきます。
2.「論理的読解力」とは何か
2.1.論理的読解力のある人の読み方
論理的読解力のある人は、例えば以下のように文章を読みます。
「冒頭はテーマを提示している、ここは問題提起だ、ここは問題提起への答えだから重要、この段落は具体例・体験談だから重要ではない、ここで話を抽象的な表現でまとめていて『~と考える』と書いているから主張だ、ここで日本とアメリカが対比され、最後の部分に結論が書かれている、キーワードはこれとこれで、キーセンテンスはこことここで、全体の論理の流れ(筋道)はこうなっている。」
つまり、評論文を読む時、重要な部分(キーワードとキーセンテンス)とそうでない部分の区別が付き、テーマと主張が分かり、各段落や文章がどういう役割(テーマ・主張・対比・体験談など)を果たしているか分かり、重要部分の論理の流れが理解できる人が、論理的に読める人だということです。
2.2.「論理的読解力」の定義
「論理的読解力」とは、「論理的に読める能力」のことですが、これは以下の3つの能力の総合力のことです。
【論理的に読めるための3つの能力】
(1)キーワード(重要語)とキーセンテンス(重要文)を素速く正確に見つけられる能力。
言い換えれば、重要な部分と重要でない部分を区別して読むことができる能力のことです。
重要な部分とは「テーマ・主張(=結論)・キーセンテンス・キーワード」、重要でない部分とは「根拠(具体例・引用・体験談等)」のことです。
(2)評論文のパーツを知っていて、評論文を読んだときに各文・各段落がどのパーツであるかを正しく指摘できる能力。
「評論文(論理的文章)のパーツ」とは、「テーマ・主張・根拠(理由、説明、定義、例示・具体例、引用、体験談等)」のことです。
そして、評論文を読んだとき、「ここはテーマ、ここは主張、ここは具体例・引用が書かれている」と正しく指摘できれば、論理的に読めていると言えます。
(3)意味段落ごとに、その段落の要点を把握・指摘できて、段落と段落の論理関係、文章全体の論理の流れ、話の流れを把握できる能力。
「意味段落とは何か」などの詳しい解説・培い方は後述。
【現代文の偏差値が10以上、上がりました】
Nさん(高校1年生、茨城県)
苦手で成績が伸び悩んでいた国語(現代文)は、授業で長文問題集「システム国語」「現代文基礎問題精講」や要約問題集「国語の読みテクトレーニング 説明文・論説文」を教えていただきました。
キーワードとキーセンテンスに印を付け、授業でチェックしていただいたり、論理的読解法・論理的解き方を教えていただいたおかげで、文構造や解き方が段々とわかってきて、今回の河合塾模試で偏差値が60になりました。今までは50前後でしたので、かなり上がっています。
定期考査の国語は、教えられた通り、毎日10分音読して、出題文を深く理解し覚えることや、ふだんの長文指導でキーワードとキーセンテンスに印を付けられるようになったことなどで、安定して平均点以上を取れるようになりました。
以下ではこの3つの能力を身に付ける方法を具体的に書いていきます。
3.キーワードとキーセンテンスを正確に探せる勉強法
評論文・小説・随筆・詩のキーワードとキーセンテンスの探し方は【適切なキーワードとキーセンテンスを見つけられる論理的読解法】に詳しく書いています。
【現代文の解き方が分かってきました】
Tさん(高校3年生、神奈川県、法政大学キャリアデザイン学部[偏差値60]合格)
現代文を習い始めてから、今まで全く理解することができなかった長文問題の解き方が分かってきて、とても嬉しいです。
学校で現代文の問題を解く際も、教わった通り、キーワード、キーセンテンスに印を付けて解くことによって、文章全体が理解しやすくなり、以前より解きやすくなりました。正答率も50%前後から75%くらいに上がっています。これからも頑張っていきたいです。今後ともよろしくお願い致します。
創賢塾のホームページに書かれた勉強法をいち早く習得したい高校生のために【5教科のテスト勉強法を習得する3ヶ月自宅集中セミナー】【長期勉強法コース】を開講しています。【高校生用:講座・セミナー一覧】はこちら。関心ある方はご参照ください。
4.評論文のパーツを把握できるようにする勉強法
4.1.評論文の「パーツ」を理解し暗記する
「評論文のパーツ」とは、「テーマ・主張・根拠」のことで、根拠には「理由、説明、定義、例示・具体例、科学的データ、引用、体験談、比喩、時系列変化」等があります。
詳しくは以下の通りです。「パーツ」を認識することで、文章全体を俯瞰的に理解することができ、「趣旨の流れ(話の筋道)」を正確に把握できます。
(1)テーマ:「何について書かれているか」ということです。主題・話題と同じ。
(2)主張:「テーマについて、筆者の一番言いたいこと」。結論、意見と同じ。
(3)根拠:主張の根拠。読者は「主張」を提示されただけでは、通常、納得しませんから、著者は読者が納得できる「根拠」を複数挙げます。根拠には、「理由、説明(理由の詳述)、定義・分類、例示・具体例、科学的データ、引用、体験談、比喩、時系列変化」などがあります。
「根拠」は主張をサポートするものなので、主張やテーマより重要性は低く、要約にも原則入れません。ただし、根拠の例を見ていただいたら分かる通り、文章の中に占める割合は「根拠」が一番大きく、7~8割前後になります。
4.2.評論文のパーツを把握しながら読む
以下のように読めることを、「評論文のパーツを把握しながら読める」と言います。
「冒頭はテーマを提示している、ここは問題提起だ、ここは問題提起への答えだから重要、この段落は具体例・体験談だから重要ではない、ここで話を抽象的な表現でまとめていて『~と考える』と書いているから主張だ、ここで日本とアメリカが対比され、最後の部分に結論が書かれている、全体の論理の流れ(筋道)はこうなっている。」
4.3.評論文のパーツを把握できるようにするためのトレーニング
評論文(現代文の教科書や問題集の問題文)を読むときに、キーワードとキーセンテンスを付けながら、さらに、「ここはテーマ、ここは主張、ここは具体例・引用が書かれている」とパーツを指摘し、書いていきます。
これを毎週1文章行い、1年間で50文章行えば、俯瞰的に読めるようになります。以下の問題集パーツの解説がある程度あります。
「出口 現代文講義の実況中継」、「出口の好きになる現代文」シリーズ(出口汪著)
「現代文読解力の開発講座」(霜栄著、駿台文庫)
「現代文と格闘する」(河合出版)
「入試現代文へのアクセス」シリーズ(河合出版)
「現代文のトレーニング」シリーズ(草土力著、Z会)
「上級現代文」シリーズ(晴山亨著、桐原)
ただ、上記の問題集にパーツが全て書かれているわけでもありませんし、書かれている内容を自力で理解できない文章のもあるでしょうから、分からないときは学校や塾の先生に聞いてみてください。
近くに教えてくれる人がいなかったら、創賢塾でも、評論文のパーツを把握するためのトレーニング、キーワードとキーセンテンスに印を付けながら読む方法、論理的に読み、論理的に解く方法などを教えています。
【論理的な読み方を教わり、模試の偏差値が40から60に上がりました】
Mさん(高校3年生、東京都)
創賢塾に入塾するまでは、現代文は才能とセンスの問題だと思っていました。自分では全くセンスがなく(模試の偏差値40!)、どのように手をつけてよいかわかりませんでした。
英語と日本史についてはそれなりに手ごたえを感じてきていましたが、現代文については成績の伸びを実感することがなかなかできませんでした。
今年の春休みから創賢塾の先生にご指導をいただき「出口の実況中継シリーズ」の3冊目を終えるところまで来ました。毎回、1題をスカイプ授業で指導していただいています。
現代文はセンスの問題ではない、著者の主張をいかに読み解くか、そこには論理があるので、その論理を読み取るようにといつも教えていただいております。
又、学校の先生にも現代文の要約を添削してもらうにしてきました(これも先生の指導)。最近になって学校の先生から要約がうまくなってきたと言われました。要約の内容からしっかり勉強していることが伝わってくるとも言われました。
やっとですがすこしづつ論理的に読むことができる様になってきました。
それに伴って、模試の偏差値(河合塾全統)も、教わる前の2年生の時は40前後をうろうろしていましたが、最近は60まで伸ばすことができました。ありがとうございます。
5.論理の流れを把握できる勉強法
5.1.意味段落ごとに、その段落の要点と「段落と段落の論理関係」を把握できる能力
意味段落とは、一続きの同じ話題の形式段落(1字下がった普通の段落)の集まりのことで、通常、3~4段落が1つの意味段落を構成します。
「要点を把握・指摘できる」とは、キーワードとキーセンテンスを把握でき、要約できるということです。
「段落と段落の論理関係」(文と文の論理関係も同じ)には、「イコールの関係(並列・添加・言い換え・具体例)、逆の関係(逆接・対比)、譲歩(予想される反論とそれへの反駁)、因果関係、進展(次の話題に移る)」などがあります。
論理関係は、イコールの関係以外、多くは接続語で分かります。イコールの関係は接続語がない場合もたくさんあります。
接続語の例としては、イコールの関係(すなわち、つまり)、並列(また、及び)、添加(そして、そのうえ)、言い換え(つまり、すなわち)、具体例(例えば)、逆接(しかし、だが)、対比(一方、それに対して)、譲歩(確かに~ではあるが、しかし)、因果関係(だから、なぜなら)、進展(さて、ところで)、等。
「意味段落ごとに、その段落の要点と『段落と段落の論理関係』を把握できる能力」を伸ばすには、意味段落に分け、それを要約する練習が役立ちます。
以下の問題集には、意味段落やその要約が載っています。普通の国語の問題集としても優秀なものばかりなので、ぜひ使ってみてください。
「現代文読解力の開発講座」(霜栄著、駿台文庫)
「現代文と格闘する」(河合出版)
「上級現代文」シリーズ(晴山亨著、桐原)
「入試現代文へのアクセス」シリーズ(河合出版)
「体系現代文」(吉岡友治著、教学社)
「ライジング現代文」(桐原書店)
5.2.文章全体の論理の流れ、話の流れを把握できる能力
「論理の流れ」には、「具体例⇒テーマの提示⇒テーマの解説⇒反論⇒反論への反論⇒結論(主張)」など様々な種類があります。
「話の流れを把握できる」とは「意味の流れを把握できる」「意味段落ごとに何の話がなされているかの流れを理解し覚えていられる」ということです。
例えば、1つの評論文の大きな流れを追っていくと、「最初の意味段落はテーマである『遊び』の具体例⇒遊びの定義⇒遊びの対立概念」「次に、遊びの詳しい説明が2段落分」「次に遊びと関係が深い演劇と祝祭」などになります。
このように分析できれば、論理的に読めたということになり、共通テストや多くの大学の問題には、このような問題文全体の論理的流れ・話の流れを把握しているかどうかを測る問題が出されるので、重要です。
5.3.文章構造や論理の流れの解説が載っている問題集
以下の問題集には「文章構造・論理の流れの解説」が載っています。
中でも、「出口 現代文講義の実況中継」「現代文読解力の開発講座」「現代文と格闘する」は特にオススメです。
「システム現代文」、「出口の好きになる現代文」シリーズ(出口汪著、水王舎)
「出口 現代文講義の実況中継」、「出口の現代文レベル別問題集」シリーズ(出口汪著)
「現代文読解力の開発講座」(霜栄著、駿台文庫)
「現代文と格闘する」「得点奪取現代文記述・論述対策」(河合出版)
「入試現代文へのアクセス」シリーズ(河合出版)
「現代文のトレーニング」シリーズ(草土力著、Z会)
「上級現代文」シリーズ(晴山亨著、桐原)
6.出題者側(高校教師・大学教官)の意図
6.1.我流の非論理的解き方では成績は上がらない
現代文の問題を解くとき、ほとんどの高校生は「我流」で読み、書き、解いています。「論理的」に読み、書き、解くわけでもなく、「キーワードやキーセンテンス」を探しながら読むわけでもなく、いろいろな問題形式の解き方も知りません。
ただ、我流で解いています。
これでは現代文の正答率はなかなか上がらず、志望校合格もおぼつきません。
なぜなら、定期テスト・模試・大学入試では、採点者側(大学教官等)は、論理的に読めて、論理的に書ける人材が欲しいからです。というのも、受験の最終目的である大学の教育(特に文系学部)では、専門書を読み、内容と要点を理解し、要約して暗記し、それについて討論し、独創的意見を書き、論文・レポートにまとめる、という勉強、つまり、論理的に読み、書く勉強が中心になるからです。
大学側としては、論理的読解力や記述力を一から教えたくありません。よって論理的読解力や記述力に優れた受験生を選抜するために、大学受験に記述問題や難しい読解問題を出します。そして、大学受験の傾向に合わせて、高校の定期テストや模試でも論理的読解力や記述力を測れるような記述問題や読解問題が出されるのです。
6.2.キーワードとキーセンテンスに印を付ける必要性
論理的に読めるとは、簡単に言えば、「重要部分(主張・キーワード・キーセンテンス)がどこか分かり、その意味が深く理解できる」ということです。これができる人材が欲しいため、入試では、重要部分に傍線が引かれたり、答えになったり、答えの根拠になったりします。
よって、キーワードとキーセンテンスに適切に印を付けられるようにする必要があるのです。
東大の入試問題では、研究者としての資質の有無を試すような問題が出題される
「9割うかる 最強の東大合格勉強法」(168ページ、唐牛穣 共著、河合塾・生物講師、中経出版)
東大の入試問題を作成しているのはもちろん東大の教官です。
それでは、東大の教官はどのような学生を求めているのでしょうか? 東大が教育機関であるだけでなく、国内最大級の研究機関でもあること、そして東大の理科の入試問題を作成する教官たちのほぼ全員が研究者であることを考えれば、その答えは自ずと分かります。
東大の教官は、将来我が国のサイエンスを担うような研究者の資質をもった受験生に東大に入って欲しいと望んでいるのです。すなわち、東大の入試問題では、研究者としての資質の有無を試すような問題が出題されるのです。……
研究者の資質として必要になるのが、文献の内容を読み取るための「読解力」、実験データを正しく解釈するための「論理的思考力」と「生物学的センス」、自分の考えを第三者に説明するための「論述力」なのです。
問題の傍線部は強調されている(重要な)箇所に設置される
「9割うかる 最強の東大合格勉強法」(91ページ、林修 共著、東進・現代文講師、中経出版)
「問題」として与えられる文章には、強弱のリズムがあるということは理解していただけるでしょうか。
つまり、一定のテンションで書かれるのではなく、メインのメッセージが強調される箇所と、具体例や予想される反論などが述べられている比較的重要ではない箇所とがあって、全体の文章が構成されているということです。
「どういうことか」の問題の傍線部はそういう強調されている箇所、あるいはそういう強調されている内容と密接な関係を持つ箇所に設置されていることが非常に多いのです。
7.終わりに
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
この文章が、皆さんの現代文の成績向上のお役に立てれば幸いです。
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