勉強には復習はつきものです。復習しなければ「長期記憶」に入れられないので、どんどん忘れ、実力はなかなか上がっていきません。
特に、英単語の暗記では復習が重要です。なぜなら、暗記量が膨大で忘れやすく、記憶の干渉(似たもの同士を混同すること)が起こりやすいからです。
このページでは、膨大な英単語を記憶するとき、先人たちがどのくらいの復習をしたかをご紹介します。参考にしていただければ幸いです。
1.高一の夏休みに9500語の英単語を完全記憶した方法
高一の夏休みに9500語の英単語を完全記憶した方法~京大卒の塾経営者・内藤勝之さんの英単語記憶体験記
「中学生の自宅学習法」(内藤勝之著、産心ブックス、107~109ページ)
◎11500語の単熟語集を選ぶ
私は、大学入試勉強は高3になって始めましたが、英単語だけは早く覚えておいた方が得だと考えたため、単語集だけは、高一の夏休みにマスターしました。
その時使った単語集は単語・熟語総数実に11500という膨大な量のもので、後で考えると8000程度のもので良かったのですが、どうせやるなら一番詳しいものを、という単純な理由でそれを選んでしまいました。
高一の夏休みですから、それまでに知っていた単語数は約2000足らずでした。一念発起して、休み中にこの単語集をマスターしてやろうと決心したのです。単純に計算して11500-2000=9500ですから、休みが約40日として、1日当たり200語あまり覚えなければならないということになります。そこで私は1時間に約60語覚えられると仮定して、毎日朝8時から12時まで4時間ずつかけて覚える、という計画を立てました。……
◎本当に真剣に、もの凄く集中して4時間で250語を覚える
実際に、休みの最初の日から一日も遅れることなく、8時きっかりに取りかかり、それこそ本当に真剣に、もの凄く集中して、ほとんど途中で休みも取らずに、12時まで一気にやりました。この時、一回に覚えるひとまとめの単語数は、ちょうど単語集の2ページ分で、約40~50語でした。
◎復習量が増えてスローダウンしたものの、踏ん張る
それぐらい真剣にやると何とかなるもので、最初の10日ぐらいはほぼ予定通りに1日250語ぐらいずつ覚えていくことができました。しかし、進むにつれて当然のことながらそれまで覚えた分を総復習する量がだんだん増えて、次第に進度がスローダウンし始めました。
けれども、いったん決めた以上、どうしても夏休み中にその単語集を終えてしまいたかったものですから、仕方なく午前中は新しい単語を覚えるのに使い、総復習は午後行うことにしました。
◎一生で一番良く勉強した時
もちろん、絶えず大きく声を出して発音しながら書くという作業ですから、暑い夏休みに朝から夕方までそんなことをしているのは本当に疲れました。
それでも決めたことはやり終えたいという強い決意と、実は私自身半信半疑であった無謀とも言える計画が、意外に順調に進む喜びの二つに支えられて、何とか続けることができました。(この単語に打ち込んだ高一の夏休みの後半20日間ほどが、後で考えると一生で一番良く勉強した時でした)
◎夏休み後半は朝から晩まで単語を覚えた
結局、夏休みの後半20日ほどは、朝から晩まで単語を覚えるために費やしましたが、一応予定通り、夏休みの終わりにはこの単語集を完璧に覚えていました。
この話を聞くと、たいていの人が、私が人より記憶力がよいのだろうと言います。が、実際のところ、私はどちらかと言えば記憶力が悪い方です。
◎9500語覚えられた秘訣は、記憶法と集中力
ではなぜ夏休みだけで、それだけの単語を覚えられたかと言いますと、一つは、この覚え方が非常に良いということと、もの凄く集中したという2点に尽きます。
ですから、もしあなたも、その時の私と同じくらい集中すれば、全く同じことができるはずです。
◎『勉強するとは復習することなり』
なお、この単語集のように膨大な量のものを一気に覚えた場合、もちろん記憶はそんなに長持ちしません。ですから、私の場合もせっかく覚えたことを忘れないために、その後、数ヶ月に一度は総復習を欠かさず行いました。
本当に『勉強するとは復習することなり』です。
2.8000英単語以上を3ヶ月弱で完全記憶した英単語習得法
3ヶ月弱で8000英単語以上を完全記憶した方法~英語指導者・森沢洋介さんの英単語習得記
「英語上達完全マップ」(森沢洋介著、ペレ出版、168~174ページ)
◎14000語の単語集を覚え始める
23歳の夏の終わり、私は一挙に語彙を増やすべくボキャビルに取り組むことを決意しました。当時学習心理学の本などを読み、能率的な記憶の仕方などを知り染めた私は、学んだ理論を実践に移すことにしたのです。選んだテキストは14,000語弱(引用者註:うち5000語は既知の英単語)を収録した、単語集というより小型の辞書と言ったていのテキストでした。……
私はその学習理論に従い、単語の意味をしゃにむに暗記しようとは考えず、しっかりと単語を発音しながら意味内容をイメージ化していきました。resentful「憤慨している」という単語の時はぷんぷんと怒っている人をbawl「どなる、わめく」はわけのわからないことをわめき散らしている酔っ払いを頭の中で映像化するのです。……
◎2周目、ほとんど忘れていた
単語を発音しながら映像化する作業を繰り返し、テキスト全体を一回終えたのは9月の終わりでした。直ちに2回目にとりかかりました。ところが一回丁寧に影像を結んだはずでしたが、意味はさっぱり浮かんで来ませんでした。意味がわかるのは元々知っていた単語だけです。
ほとんどの人が単語(だけに限りませんが)の学習に挫折するのはこの段階でしょう。一回暗記を試みて、しばらくしてその単語を忘れていると「自分は記憶力が備わっていないんだ」と諦めてしまうのです。
私はまったくショックを受けませんでした。なぜなら件の学習理論のおかげで、一回で覚えることなどないと知っていたからです。……
◎繰り返しの威力
一回目に丁寧な作業をしていたから、影像を結び直すのも時間がかかりません。スピードが確実にアップしていました。一回目の作業には3週間程度を要しましたが、2回目を終えるのには10日程しかかかりませんでした。所要時間が半分になったわけです。
気をよくした私は3回目に取りかかりました。スピードはさらに増してきました。そのうえ、3回目になると意味がぱっと浮かんでくる単語がぽつぽつながら現れてきたのです。……3回目の作業は5~6日しかかからなかったと思います。
4回、5回と回を重ねるにつれスピードがどんどんアップしていくとともに、思い出せる単語の数がぐんぐん増えてきました。……
10回目を越したあたりでは、単語集のほぼすべての単語が瞬間的に認識できるようになっていました。ただ休息に得た知識は忘れ去るのも速いですから、私は覚えきった後も熟成のためにしばらくその単語集を回し続けました。……
◎3ヶ月弱で8000英単語を完璧に覚える
もうどのページを開いても、単語の意味がぱっと浮かび、記憶が完全に定着したと実感して、私はこの単語集によるボキャビルトレーニングを打ち上げました。11月の下旬のことでした。……
私は手持ちの単語が5,000語弱で13,000語以上収録の単語集を一秋でマスターしたのですが、これは3ヶ月弱で8,000語以上を記憶してしまったということになります。
3.夏休みに600ページの英単語帳を全部覚えた勉強法
■600ページの英単語帳を夏休みに全部覚えた~筑波大学数学系教授・木村達雄さんの英単語勉強法
「合気修得への道」(木村達雄著、どう出版)
◎600ページの英単語帳を覚え始めた
高校三年生の夏休みに、600ページぐらいの英語の単語本にあるAからZまでの単語を覚え始めたのです。一つの単語を30回くらい声を出して書いては、毎日最初は4時間くらい、それから5時間、6時間とだんだん増やしていきました。
声を出したり手も動かしながらやる。そういう肉体的なものをやると、私はとりつかれて夢中になってしまうわけです。
◎単語帳を10回繰り返す
それで、30日くらいかけてやっと1冊、「Z」、まで終わりました。ところが前の方を忘れている。これでやめたら意味がないと思い、また「A」から繰り返しました。そうしたら今度は15日で済みました。3回やったら一応全部の単語を覚えることができましたが、念のため10回繰り返しました。10回目は1時間くらいでできました。
4.最後に
以上をご覧になって、どう思われたでしょうか。ご自分の勉強法とずいぶん違うと思われた方も多いと思います。
これらの例に共通している一番の特徴は、「しつこく復習し続ける姿勢」ではないかと思います。
「完全に暗記するまで復習し続ける」。
復習が大事だと知っていて、そして実際に復習を実践できる実行力。
あなたの勉強の参考になれば幸いです。健闘を祈ります。
創賢塾のホームページに書かれた英単語暗記法等の勉強法をいち早く習得したい英語学習者のために、自宅で受講できる【英単語帳1冊を全部暗記する3ヶ月自宅集中セミナー】【長期勉強法コース】等を開催しています。【小学生用:オンライン講座・セミナー一覧】【中学生用:講座・セミナー一覧】【高校生用:講座・セミナー一覧】【大人用:講座・セミナー一覧】はこちら。関心ある方はご参照ください。