中学入試に作文がある場合、多くの受験生は塾講師や家庭教師に添削を受けていると思います。
その際、以下のような事項に注意して添削してもらったり、模範解答の文章構成を分析してもらうと、より上達が加速します。
以下では、上手な添削の活用法と上達が遅い添削利用法を書いていきます。
1.上達が遅い添削利用法
添削してもらうとき、ほとんどの中学受験生は、受動的に添削してもらっていると思います。文章構成法や説得力について質問もあまりせず、メモも取らず、添削してもらった紙を、ただ眺めて終わり、のように。
しかし、そのような受動的な態度では、進歩は遅くなります。能動的な態度が必要です。
ではどういう姿勢で添削を受ければ良いのかというと、以下のように、チェック項目について質問したり、「模範解答や自分の作文の文章構成を分析してもらう」のです。そうすれば、より速く上達します。
2.上手な添削活用法
【添削を徹底活用して作文を上達させる勉強法】
(1)添削してもらう
①チェック項目:100%自力で作文を書いたら、もしくは【換骨奪胎法】で書いたら、以下のような点に留意して、作文を添削してもらいます。
課題に合った適切な文章構成法で書かれているか。
論理が一貫していて終始1つの話(課題への答え・主旨・主張)を書いているか。
内容(体験談・具体例等)が課題や主張に合致しているか。
論理が飛躍・論理が矛盾していないか。
論理が強引でないか。
文法的に間違っている箇所はないか。
表現・表記・言葉・接続詞の使い方、漢字・送り仮名に間違いはないか。
内容に重複はないか。
冗長でないか(ダラダラ長い箇所はないか)。
意味が分かりにくい箇所・分からない箇所はないか。
文章は分かりやすいか。
説得力はあるか。
②質問する:そして上記チェック項目について、例えば、以下のように質問して、それをメモし、覚え、次の作文にそれを生かします。
「私の作文はどういう文章構成で書かれていますか。
この課題から考えて、どういう文章構成が適切な文章構成でしょうか。
私の作文は適切な文章構成でしょうか。
内容が分かりにくい箇所はありませんか。
説得力はありますか。
もっと上手に、合格レベルの作文を書けるようにするには何に注意したら良いでしょうか。」
能動的、積極的な態度とは、このような質問をする態度のことです。
そして添削と同時に、以下のような分析も行ってもらいます。
(2)模範解答の文章構成を分析してもらう
①添削者に分析してもらう:文章構成法は非常に重要なので、志望校過去問の模範解答の文章構成を、添削者に、「ここは主張、ここは理由、ここは説明・体験・具体例・結論を書いている」などと分析してもらい、それを模範解答に記入します。
②自分で分析する:次に、その分析を、自分でも、理解しながら自力でスラスラ行えるまで、1つの模範解答につき3~5回、行います。
こうすることで、模範解答、自分の作文、課題文などを論理的・抽象的・俯瞰的に見ることができるようになり、文章構成法を理解しやすくなります。
(3)自分の作文の文章構成を分析してもらう
①添削者に分析してもらう:自分が書いた作文について、同様の分析を添削者に行ってもらい、それを理解し、記入します。
②添削者に比較してもらう:自分が書いた作文と模範解答の文章構成を比較し、自分の作文に足りない構成要素・余計な構成要素等を分析してもらい、それを記入・理解します。
③自分で分析・比較する:次に、この分析・比較を、自分でも、理解しながら自力でスラスラ行えるまで、1つの作文につき3~5回、行います。
(4)課題から、どういう文章構成にすべきなのかを分析してもらう
①目的:文章構成は課題次第で変わります。言い方を変えると、課題を見たら、文章構成が分かるようにしなければなりません。そのために、以下のような分析をしてもらいます。
②添削者に分析してもらう:添削者に、課題と模範解答を見比べ、課題・設問から考えると、どういう文章構成にするべきなのか、なぜ模範解答のような文章構成にすべきなのか、なぜ模範解答の各構成要素(主張・理由・説明・体験談等)が必要なのかを分析・説明してもらい、それをメモし、理解に努めます。
③添削者に分析・確認してもらう:模範解答と自分の作文の文章構成・内容が、課題に適合しているかを分析・確認してもらい、それをメモします。
④自分で分析・確認する:次に、以上の分析・確認を、自分自身が、理解しながら自力でスラスラ行えるまで、1つの課題につき3~5回、行います。分からなくなったら添削者に聞いて理解します。
この作業を過去問5~10年分以上で行うことで、受講生の方が自分で課題に応じた文章構成で書けるようになります。そうすれば、少し課題・設問を変えられても、応用が利きます。つまり、ただ過去問の文章構成を理解・暗記するだけではダメなのです。
(5)書き直し、再度添削してもらう
以上を元に自分の作文を書き直し、再度添削してもらい、書き直す、という作業を繰り返し、完成度を高めます。
通常の通信添削では2回以上同じ課題の作文を添削してもらえないでしょうが、今はネットで添削してもらえるサービスはたくさんありますので、探してみて下さい。また、創賢塾でも徹底的な添削をしています。
(6)添削された完成版の作文を暗記する
何度も音読し、暗記することで、自分の体験・考えが入った作文のストックを頭に蓄えることができ、本番でその知識が使えるようになります。暗記法は以下です。
【1日10回音読×10日=100回音読】
(7)大量に書き、添削・分析してもらう
以上の、「【換骨奪胎法】による作文の執筆⇒添削⇒分析⇒受講生自身による分析⇒暗記」のサイクルを、「週1回×過去問10年分以上×各5回(合計50回以上)」続け、全て自力でスラスラ分析できるようにすれば、過去問の文章構成法が深く分かり、過去問に合った、合格レベルの文章構成法で書けるようになります。
一方、「書いて⇒添削してもらって⇒それを読む」だけでは、ほとんど上達は期待できません。上達する勉強法を習得しましょう。
(8)非完成版の作文を何度も読む
最初に書いた作文や、添削してもらう過程で書き直した作文を、添削後、3~5回読み返し、自分の文章にどういう文法的間違いや漢字の間違い、内容や文章構成の稚拙さがあるかを理解し、以後、間違いが少なくなるように努力していきます。
3.終わりに
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
皆さんの参考になれば幸いです。
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