大人の論理力・国語力トレーニング

このページでは、大学生・大人の方に必要な論理力・国語力とはどういう能力なのか、及び、論理力・国語力のトレーニング方法を書いていきます。

論理力とは、論理的記述力・論理的読解力・論理的会話力・論理的思考力の総称です。以下で、一つ一つ解説していきます。

1.論理的文章の条件

論理的文章・論理的会話・論理的思考が成立するための条件を、最も分かりやすい文章を例に書いていきます。

1.1.論理的文章の7つの必要条件

(1)構成要素:論理的文章には「テーマ・主張・根拠」という3つの構成要素が必要です。

 ①テーマ:テーマとは、話題・主題、つまり、何についての話か、ということです。

 ②主張と根拠:論理的な文章には明確な主張があり、それをサポートする根拠(理由、説明、具体例、体験談、科学的データ、引用、比喩など)が必要です。言い換えると、抽象的部分(主張)と具体的部分(根拠)が適切に書かれている必要があります。

 抽象的な内容ばかりでは分かりにくく、説得力が乏しいので、具体例や体験談を書いて、分かりやすくし、説得力を高めます。

(2)論理構成:論理的文章には「論理構成(構成要素の適切な順番=型)」が必要です。

 論理構成には、「主張⇒理由⇒根拠⇒主張」「主張⇒理由⇒根拠⇒反対意見⇒反駁⇒主張」などがあります。

 論理的文章になぜこのような「論理構成」が必要なのかというと、それは人間はこのような順番で書かれると説得力があると感じる(納得させられる、反論しにくい)からです。

(3)説得力:説得力のある文章とは、相手に内容を納得・理解・受け入れさせることのできる文章のことです。

 論理的文章において一番重要なのは「説得力」です。それは、そもそも、評論文、論文、新聞社の社説、プレゼン資料を考えれば分かるように、論理的文章の多くは読み手に内容を納得・理解・受け入れさせることを目的として書かれるからです。

 説得力ある文章が書ければ、論文・レポート・論述テスト、企画書・プレゼン資料において、相手を納得させたり、信頼・評価を得やすくなります。

(4)妥当性:妥当性とは、ある主張・理論・研究結果が多くの人に受け入れられる可能性が高い内容であることを言います。

 文章に妥当性が備わるためには、根拠や証拠がしっかりしていて、論理展開が明確で、矛盾がなく、理にかなっている必要があります。

  個人の体験・意見・価値観に依存した文章には妥当性がないことが多いので、要注意です。

(5)分かりやすさ:論理的文章は、簡潔で、論点が整理され、余計な情報・冗長な表現・重複がなく、主張・論理が明確で、日本語として間違いがないので、分かりやすいです。

(6)一貫性:論理的文章は、主張や根拠に矛盾がなく、論理が破綻も飛躍もせず、一貫しています。また、論理が一貫している文章では、用語も一貫しています。

(7)間違いがない:論理的文章は、論理的である前に、日本語として、表現として、そして文法的に、間違いのない文章である必要があります。

1.2.論理的文章の7つの必要条件:まとめ

簡単に言うと、論理的文章の必要条件は以下のようになります。

 「テーマ・主張・根拠」という3つの構成要素が書かれている。
 最初または最後、もしくは両方に、明確に主張が書かれている。
 テーマ・主張に合致した根拠(理由・説明・具体例・体験談等)が書かれている。
 抽象的内容(主張)と具体的内容(根拠)がうまく合わさって書かれている。
 テーマに合った適切な論理構成で書かれている。
 客観的に見て内容に説得力・妥当性がある。
 日本語として意味が分からない箇所がなく、分かりやすい。
 冗長でない(無駄に長くない、内容に重複がない)。
 論理が一貫していて、終始、主張に関連した内容が書かれている。
 用語に一貫性がある。
 論理が飛躍・矛盾していない、強引でない、無理がない。
 文法的に間違っていない。
 漢字・送り仮名・表現・表記・言葉・接続詞の使い方が間違っていない。

このような論理的文章の必要要素を理解し、覚え、自在に書けて読めるようにすると、論理力が高まります。

1.3.論理的文章の付加的条件

論理的文章の付加的条件(論理性の成立に必須ではないが、説得力を高める条件)は以下のような内容です。

 主張への主な反論への反駁が書かれている。
 対比・譲歩(確かに~だが、しかし)・比喩などの説得の技術が上手に使われている。
 適切な問題提起がなされ、説得力ある解決策が提示されている。
 文章内の重要箇所には強調表現が使われ、重要だと分かるように書かれている。
 一文が適切な長さである(50~60字以下:それ以上だと分かりにくい)。
 読点が適切な箇所に置かれている(15~20字に1つ:それ以上だと分かりにくい)。

2.論理的記述力トレーニング

2.1.論理力トレーニングの中心は論理的記述力トレーニング

論理力(論理的記述力・論理的読解力・論理的会話力・論理的思考力)の4つの能力のうち、論理的思考力(論理的に考える能力)と論理的会話力(理路整然と話す能力)は、プロセスが目に見えず、チェックしにくいので、単独では鍛えにくいですが、論理的記述力(論理的に書く能力)を通して鍛えることができます。

また、論理的読解力(論理的に読む能力)は論理的記述力と表裏一体で、上記の論理的文章の諸条件とその効果を熟知していれば、読む際にもそれが使えて、論理的に読めるようになります。

よって、論理的記述力トレーニングは論理力トレーニングの中心(もしくは入り口、突破口)なのです。

2.2.論理的記述力トレーニング(1)大量にインプットする

では、ここから、論理的記述力を高める5つのトレーニングをご紹介します。

1つ目はインプットです。頭に入れていないものは出てこないので、論理的文章の論理構成を意識しながら、大量に論理的な日本語の文章を読むことが必要です。具体的には、論理的な文章の読書や※毎日10分音読を行います。

 ※10分音読(30回音読):評論文や小論文の課題文、自分が難しいと思う書籍の2~3ページ分などの短めの文章を「毎日10分×7日」で20~30回前後読み、次の週は別の文章を読む勉強法です。これにより正しい日本語が頭の中に蓄積され、読解力が上がり、論理的記述力の基礎ができあがっていきます。詳しくは【読解力を上げる30回音読】参照。

2.3.論理的記述力トレーニング(2)大量にアウトプットする

正しい日本語を大量にインプットするだけでは書けるようにはなりません。

小論文・意見文・要約・現代文の記述問題などの論理的文章を書き、推敲し、模範解答を見てなぜその模範解答になるのか、なぜその言葉が必要なのかを熟考し、理解し、再度書き直す、というプロセスを大量に(=100回以上)実行することで、少しずつ論理的に書けるようになります。推敲は、上記の論理的文章の諸条件を念頭に置いて行います。

大学生が論文・レポート等の作成能力を上げたい場合、あるいは社会人がプレゼン原稿・企画書・報告書等の作成能力を上げたい場合、模範文例が載っている書籍を用い、同様に書き、推敲し、書き直すトレーニングを大量に行うことも役立ちます。

2.4.論理的記述力トレーニング(3)大量に添削してもらう

記述力を高めるには、自力では限界があります。模範解答・模範文例を見ても、自分の記述とは違うので、特に初心者にとってはチェックしづらいからです。

したがって、添削が重要になります。自分が書いた文章を、論理・小論文・国語の専門家に添削してもらい、それを元に書き直し、また添削してもらう、ということを何度か繰り返して、添削者と自分が納得できる文章に磨き上げた上で、最後に清書します。

これを30~50回以上繰り返すことで、自分の書く文章が、内容・論理・日本語的に遙かに優れたものになっていきます。

2.5.論理的記述力トレーニング(4)論理的文章を分析する

小論文・意見文・論文・プレゼン原稿等の模範解答・模範文例などの論理的文章を、構成要素(テーマ・主張・根拠)・論理構成の観点から、「ここは主張を書いてある」「ここは根拠(理由・説明・体験談・具体例等)を書いてある」などと分析します(できれば自分の分析を専門家にチェックしてもらいます)。

論理的文章を30~50回以上書いた後で(もしくは並行して)、この分析を大量に(=30~50回以上)行うことで、論理的文章の論理構成がよく分かるようになります(=論理的に読めるようになります)。

そうすると、書くときに、その論理構成で書けば良いと分かり、自分が書いた文章も論理構成の観点からチェックできるようになり、それを元に書き直すことで、より論理的に問題のない文章を書けるようになります。

2.6.論理的記述力トレーニング(5)論理的文章の諸条件

上記の論理的文章の諸条件を理解し、覚え、自分が論理的文章を書くときにこれらの条件を使います。

そして、書いている途中、書いた後に、これらの諸条件の観点からチェックし、無意識的にチェックできるようになるまで習熟します。そうなれば、より論理的な文章が書けるようになります。

2.7.創賢塾の論理的記述力トレーニング

創賢塾のオンラインセミナー長期勉強法コースでは、以上のような5つの論理的記述力トレーニング方法を元に、主に以下の3つのトレーニングを実践することで、論理的記述力を向上させていっています。参考にして下さい。

(1)小論文・意見文:授業前に小論文・意見文を書いていただき、授業で日本語・文法・論理性の観点から添削し、書き直していただき、更に添削する、ということを繰り返し、問題のない文章に仕上げていっていただきます。小論文の書き方は【小論文最速上達法】、意見文の書き方は【作文・意見文の最速上達法】参照。

(2)要約:要約は、適量・適切なキーワードとキーセンテンスに印を付けて、それを混ぜたら書けますから、あらかじめ、キーワードとキーセンテンスの探し方をお教えし、覚えていただき、授業前に、それらに印を付けた上で要約していただき、授業でそれらをチェックし、添削し、書き直していただき、更に添削する、ということを繰り返し、適切な要約に仕上げていっていただきます。要約の書き方は【要約マニュアル】参照。

(3)現代文の記述問題:授業前に記述問題を含めた現代文の問題を解いていただき、授業で、間違えた問題を中心に解説し、添削し、ヒントを与え、書き直していただき、更に添削する、ということを繰り返し、適切な解答に仕上げていっていただきます。現代文の記述問題の解き方は【記述問題の解き方】参照。

2.8.論理的記述力トレーニングのメリット

(1)論理的思考力が向上する:あるテーマについて、各人の頭の中には矛盾した意見が乱雑に存在します。それを書き出すことで、自分でもその矛盾に気がつき、一貫性と説得力がある内容にしようと文章を整えることにより、文章が一貫性と説得力がある内容になります。それを繰り返すと、文章だけでなく、思考も一貫性と説得力がある内容になります。つまり、論理的に書くトレーニングをすることにより、論理的思考力も向上します。

 論理的思考力が向上すれば、発言・文章に説得力が増す、問題解決能力が上がる、素早く正確な意思決定が可能になるなどの多数のメリットがあります。

(2)論理的読解力が向上する:論理的に読めるとは、論理的文章を読んで、重要部分(キーワードとキーセンテンス)・論理構成が分かる、論理の飛躍・矛盾・一貫性のなさが分かる、そして論理の流れを把握できる、ということです(詳細は下記)。

 これらは全て、論理的に書くトレーニングをするときに注意すべきことなので、論理的記述力トレーニングを通して論理的読解力を伸ばすことができます。

(3)論理的会話力が向上する:論理的記述力と論理的会話力(理路整然と話す能力)は、同じアウトプットですから、論理的記述力が上がれば論理的会話力も上がります。

 論理的会話力が向上するメリットは、大学でのゼミ・討論、職場での会議・プレゼン・通常の業務において、説得力が増し、周囲からの信頼を得やすくなり、高く評価されるようになることです。

(4)大学生にとってのメリット:大学では、通常、大量のレポート・論文を書く必要がありますが、多くの大学生は、長い論理的文章を書く教育を受けてきておらず、大学でも十分な論文執筆教育を受けていないので、レポート・論文執筆に苦労します。

 そういう大学生が論理的に書くトレーニングをすることにより、レポート・論文で困ることが激減し、高成績を取りやすくなります。また、入社試験・公務員試験・資格試験でも、論理的に書く能力が必要なことは多いですから、大学時に論理的に書くトレーニングをすることは有益な時間の使い方と言えます。

(5)社会人にとってのメリット:Eメールや報告書・企画書・プレゼン原稿など、論理的文章を書く機会の多い社会人は沢山いると思います。しかし、論理的文章を書く専門的なトレーニングを受けた社会人はほとんどいません。

 よって、論理的な文章を書くトレーニングを受ければ、社内文書やプレゼン原稿執筆の際に困ることは激減し、ストレスが減り、効率的に業務が遂行でき、評価が上がりやすくなります。

創賢塾のホームページに書かれた勉強法をいち早く習得したい大学生・大人の方のために【論理力・国語力2ヶ月集中セミナー】【長期勉強法コース】を開講しています。【大人用:講座・セミナー一覧】はこちら。関心ある方はご参照ください。

3.論理的読解力トレーニング

3.1.論理的読解力の条件

論理的文章を論理的に読めている条件は、主に以下の4つになります。

(1)重要部分が分かる:論理的文章を読んで、「ここは重要、ここは重要ではない」と分かることが、論理的に読めている1つ目の条件です。

 そして、その重要部分をキーワード(重要語)・キーセンテンス(重要文)と言います。

(2)論理構成が分かる:論理的文章を読んで、「ここは主張、ここは具体例・体験談・理由・対比・譲歩、ここは結論が書かれている」と分かる、言い換えれば、論理構成が分かる=俯瞰的に読めることが、論理的に読めている2つ目の条件です。

 特に、主張・結論が分かることが重要です。

(3)論理の流れを把握できる:論理的文章の”流れ(筋道)”を把握できているとは、論理的文章の論理構成や、テーマ・主張・根拠の論理的なつながり・論理展開・論理関係(因果関係・逆接など)、そして一貫して書かれている内容が分かり、覚えている状態を指します。

 論理の流れが把握できれば、正しく要約できる可能性が高まります。

(4)以下のような文章上の論理的・日本語的問題に気づけること。

 因果関係の文で、因果関係が意味的・論理的に成立していない。
 論理が飛躍・矛盾している、強引である、無理がある。
 接続詞が適切に使われていない。
 論理や用語に一貫性がない。
 根拠(理由・説明・具体例・体験談等)がテーマや主張に合致していない。
 日本語として、もしくは文法的に間違いがある。
 冗長である。内容に重複がある。
 分かりにくい。
 客観的に見て内容に説得力・妥当性がない。

3.2.創賢塾の論理的読解力トレーニング

創賢塾では、主に以下の3つのトレーニングを実践することで、論理的読解力(論理的に読む能力)を向上させていっています。参考にして下さい。

(1)現代文の長文問題を解く

 ①キーワードとキーセンテンス:現代文の問題を解くときに、適切・適量のキーワードとキーセンテンスに印を付けられれば、そこが問題の答えになったり、答えの根拠になったりしますから、問題が非常に解きやすくなります。

 よって、キーワードとキーセンテンスの探し方をお教えし、覚えていただき、現代文の長文問題を解くときにそれを使っていただき、授業でそれをチェックし、なぜそれがキーワード・キーセンテンスなのか、あるいはそうではないのかの理由を言い、理解してもらう、という授業を行っています。

 このトレーニングを通して、現代文の長文問題で適切・適量のキーワードとキーセンテンスに印を付けられるようになり、他の論理的文章、書籍でも、重要な部分と重要でない部分との区別が付けられるようになります。

 ②論理構成を分析する:現代文の長文問題の解説時に、問題文を見て、「ここは主張、ここは具体例・体験談・理由・対比・譲歩、ここは結論が書かれている」などと指摘し、あるいは逆にそれらを受講生に質問し、解説します。その結果、論理的・俯瞰的に読めるようになります。

 このような授業をする理由は、このように俯瞰的、論理的に読めれば、問題が解きやすくなるからです。

 ③論理の流れを把握する:現代文の長文問題の正答率を上げるには、文章の流れ(論理展開、一貫したメッセージ)を把握する必要があります。よって、長文問題の授業で、流れの解説をし、流れに関する質問をし、自力で流れを把握できるようにしていただきます。

 このトレーニングによって、他の論理的文章、書籍でも、文章の流れを把握できるようになります。

 ④大学は論理力のある学生が欲しい:ちなみに、現代文で、このようなキーワードとキーセンテンス・論理構成・論理の流れを把握できていたら、また記述問題・要約・小論文で論理的に書けていたら正答率が上がる理由は、出題者側(大学)が、論理的に読めて書ける学生を採りたいからです。

 なぜ大学が論理的に読めて書ける学生を採りたいかというと、大学で、論理的に読めず、書けなければ、学問の吸収が悪く、ゼミでの討論・レポート・論文で説得力が乏しく、良い成績が取れず、大学・学会で評価されないからです。また、資格試験・就職で不利になり、社会人としても成果を発揮しにくいからです。

(2)小論文・意見文を書く

 ①模範解答の分析:小論文や意見文の模範解答を「ここは主張、ここは具体例・体験談・理由・対比・譲歩、ここは結論が書かれている」と分析し、受講生にも分析してもらいます。そうすることで、小論文や意見文を書くときに、論理構成を意識して書ける(=論理的に書ける)ようになるからです。

 そして、このトレーニングを通して、論理的文章を論理的・俯瞰的に読めるようになります。

 ②文章上の論理的問題:小論文や意見文を書くときに、上記の論理的文章の諸条件文章上の論理的・日本語的問題の観点から自己添削、推敲していただきます。

 そうすることで、論理的に書けるようになるだけでなく、論理的に読めるようになります。

(3)要約を書く

 ①キーワードとキーセンテンス:要約は、適量・適切なキーワードとキーセンテンスに印を付けて、それを混ぜたら書けるので、それらの探し方を教え、授業前にそれらに印を付けた上で要約を書いていただき、授業でそれらのチェックをし、要約を添削します。

 このトレーニングによって重要部分と重要でない部分が見分けられるようになり、論理的に読めるようになります。

 ②論理の流れを把握する:正しい要約を書くには、通常よりも遙かに深く論理的に読む必要があり、また論理の流れを理解する必要があります。「一番重要な箇所はどこか、二番目、三番目はどこか」「ここは主張・結論が書いてあるから重要、ここは具体例・体験談が書いてあるから重要度は落ちる」「こういう論理展開で書かれていて、一貫したメッセージはこういうこと」のように読めれば、要約は書きやすくなります。

 よって、要約トレーニングを続けることで、深く論理的に読めるようになり、また論理の流れを把握できるようになります。

3.3.論理的読解力を上げるメリット

(1)理解力の向上:論理的に読めれば、どこが重要か、重要でないかを把握しやすくなり、内容を理解しやすくなります。

 大学生でも社会人でも、文章を読む機会は多く、その内容理解は基礎的な能力の一つですから、論理的に読めることは重要です。

(2)批判的思考力の向上:大学生や社会人になると、他人の文章を批判的に読む必要があります。ネットの情報や新聞・雑誌などには誤った、あるいは偏った情報が蔓延し、専門書やビジネス書でさえ、誤った情報、偏った情報が多々あり得るからです。

 そして論理的に読めるようになれば、情報源の信頼性や根拠を検証し、筆者の論証方法を正確に理解し評価することができますから、批判的に考え読むことができるようになります。

(3)論理的記述力の向上:論理的に文章を読めるようになると、論理的に書く能力も向上します。なぜなら、論理的な読解を通じて、効果的な表現方法や説得力のある論理構成を習得することができるからです。

 これにより、プレゼンテーションや企画書・報告書等の作成の際に大きなアドバンテージを得られます。

(4)専門知識の習得:大学生や社会人は、研究論文や専門書、ビジネス書や資料を読んで、専門分野の知識やスキルを向上させることが必要です。その際、論理的に読む能力が高まると、理解力が高くなるので、新しい知識をすばやく理解・吸収・活用できるようになります。

(5)問題解決能力が上がる:論理的読解力を持つことで、資料・書類の読み込みが深くなり、矛盾・問題を発見することも容易になり、また、解決策を論理的に導くこともできるようになります。

(6)論理的に聞く能力が上がる:論理的に読む能力と論理的に聞く能力は表裏一体なので、論理的に読めれば、論理的に聞くことも可能になります。

 そうすれば、ゼミ・討論や、会議・交渉・ディスカッション・プレゼンにおいて、相手の主張や議論の矛盾点を見抜き、効果的に反論や質問を展開でき、また、解決策の提示もできるため、評価が高まります。

4.論理的会話力トレーニング

4.1.論理的会話力の条件

論理的に話す能力と論理的記述力は、アウトプットという意味で同じですし、話す内容を書き起こしたら論理的になる必要があります。

したがって、論理的会話が成立する条件は、論理的記述力と同じく、正しい論理構成・説得力・妥当性・分かりやすさ・一貫性があり、日本語・表現・文法に間違いがないことです。

4.2.論理的会話力トレーニング

論理的に話す能力を鍛えるトレーニングは、主に以下の3つです。3つ目は論理的に話す能力の前提となる能力を鍛えるトレーニングです。

(1)プレゼン:ビジネスの現場で使われるプレゼンテーション(プレゼン)は、商品・サービスや企画の提案を目的として、聞き手(顧客、上司、投資家など)に対して、文書や視覚的素材を用いて、口頭で、分かりやすく伝えるための発表のことです。

 プレゼンで分かりやすくかつ説得力を持って話すには、論理的であることが必須条件なので、プレゼンの練習は、論理的会話力の効果的なトレーニング方法と言えます。 

(2)ディベート:特定のテーマについて、賛成・反対の立場に分かれて、論理的に意見を戦わせ、相手の主張を論破しようとする、討論形式の議論のことをディベートと言います。

 ディベートはトレーニング方法が確立されているので、論理的に話す能力を鍛えるには最適ですが、日本ではほとんど普及しておらず、指導者も少ないので、実際にトレーニングするのはハードルが高そうです。

(3)論理的記述力を磨く:ディベートにしろ、プレゼンにしろ、最初から話す練習をするのではなく、文章として書くことが必要ですから、論理的会話力の前に、もしくは並行して、論理的記述力を鍛えるのが効果的です。

4.3.論理的会話力のメリット

(1)大学生にとってのメリット:大学生にとって、論理的に話す必要のある場面は、講義やゼミでのプレゼン・グループディスカッション・ディベート・レポートの発表、教授や講師との学業・研究に関する面談、インターンシップや就職活動での面接など沢山あります。

 そういうときに、説得力ある内容を理路整然と話せる学生は、高く評価されるでしょう。

(2)社会人にとってのメリット:社会人にとって、会議・プレゼン・交渉の場や通常の業務など、論理的に話す能力を活かす場面は多いです。

 そういうときに、説得力ある内容を理路整然と話せる社会人は、周囲からの信頼を得やすくなり、高く評価され、結果として成果が上がりやすくなります。

5.論理的思考力トレーニング

5.1.論理的思考力の定義と条件

論理的思考力とは、物事を筋道立てて考え、妥当性と説得力のある結論を導ける能力のことです。

論理的に考えるプロセスを書き起こせば、論理的な文章になりますから、論理的思考力が成立する条件は、論理的記述力と同じです。

5.2.論理的思考力トレーニング

論理的思考は、プロセスが目に見えないので、直接トレーニンすることは困難ですが、上記の論理的記述力、論理的読解力、論理的会話力をトレーニングする過程で伸ばすことができます。

また、将棋・チェス・論理パズル・数学なども論理的思考力を伸ばすことができます。

6.国語力トレーニング

6.1.国語力とは

国語力(日本語力)とは、日本語を正しく理解し、表現できる能力を指します。

国語力は論理力・語彙力・文法力・読解力・記述力・国語(現代文)の問題を解く能力・要約力などの複合能力ですが、論理力については上に書きましたので、ここでは、それ以外の、創賢塾で鍛えている能力について書いていきます。

6.2.語彙力

(1)漢字:漢字は国語力の基礎ですから、以下のような漢字帳を1~2冊暗記します。

「高校入試 出る順中学漢字スタートアップ 受験漢字1900」(現文舎)
高校入試 でる順ターゲット 中学漢字・語句・文法1500」(旺文社)
高校入試 漢字・語句3000」(受験研究社)

「生きる漢字・語彙力」(霜栄著、駿台文庫)
「入試漢字マスター1800+」(河合出版)
「金の漢字 最強編」「銀の漢字 必須編」(出口汪著、水王舎)
「入試に出る漢字語彙2400」(旺文社)

(2)言葉の意味:国語力が低い方は、ほぼ例外なく、語彙力が低く、言葉の意味を知りません。よって、以下のような語彙集を1~2冊暗記します。オススメは「生きる現代文キーワード」です。

「国語力を伸ばす語彙1700」(文英堂)
「中学 国語力を高める語彙1560」(増進堂・受験研究社)
「中学生のための 語彙力アップ 厳選1000語」(すばる舎)

「生きる現代文キーワード」(霜栄著、駿台文庫)
ことばはちからダ!現代文キーワード」(河合出版)
「頻出現代文重要語700」「大学入試現代文キーワード500」(桐原)
「読解を深める現代文単語」(桐原)
「現代文キーワード読解」(Z会)

(3)専門用語の意味:大学生にとっても社会人にとっても、自分の専門とする学問・分野の専門用語の意味を暗記することは必須です。

 専門用語の意味は、書籍があればそれで、なければ自分で用語集を作って暗記します。

6.3.文法力

大学生・社会人に必要な文法力と、創賢塾でのトレーニング法は以下の通りです。

(1)文法的に正しい日本語を書ける能力:いつでも文法的に正しい日本語を書ける日本人は多くありません。それは、日本の学校教育(小学~大学)では、正しい日本語を書いたり添削を受けたりする機会が非常に少ないからです。

 その中で、創賢塾では、受講生の方が書いた小論文・意見文・要約・現代文の記述問題を文法・表現・表記・論理性・意味の観点から添削し、文法力を高めていっていただいています。

(2)文法的に正しく日本語を読める能力:文章を読んでいて、一文が長かったり複雑なとき、主語-述語関係、修飾語-被修飾語関係等が分かりづらくなり、文の意味を取りづらくなることがあります。そのようなとき、文章を文法的に正しく読むトレーニングをしてきた人は、文法的に正確に意味を理解しやすいです。

 文法的に正しく日本語を読むトレーニングとして、創賢塾では、現代文の長文問題の解説の際に、問題に関わる、意味が分かりづらい長い文章について、意味を質問したり、文法的に解説するようにしています。

(3)文法問題集:以下のような文法問題集に、必要に応じて取り組んでいただいています。

中学 国文法まとめノート」(受験研究社)
くもんの中学基礎がため100%中学国語 文法編」(くもん出版)
くわしい国文法 中学1~3年」(文英堂)
出口汪の新日本語トレーニング」シリーズ(小学館)
はじめての論理国語 小1~6レベル」(出口汪著、水王舎)

文法力に関して、詳しくは【現代文の成績を飛躍させる10の能力とその勉強法】参照。

6.4.読解力

読解力とは、文章を読んで意味を理解する能力のことです。ちなみに、論理的読解力とは、文章を論理的に読める能力なので、読解力とは別物です。

大学生にとっても社会人にとっても、高い読解力が必要なのはいうまでもありません。論文・専門書や、ビジネス書・社内文書など、正確にしっかりと理解できるほど、結果(成績・合格・成果)に差が出るからです。

創賢塾で教えている、読解力を高める方法は2つあります。それは、毎日10分音読読書です。前者については上述。

読書時、以下の点を意識すれば、中身をより理解しやすくなり、より速く読解力が高まります。

(1)目次:最初、そして読んでいる途中で、目次を確認すると、全体像を把握し易くなります。

(2)目的を持って読む:専門書やビジネス書を読む前に、自分が何を学びたいのか、どのような情報を得たいのかを明確にしておくと、集中力が高まり、効率的な読書ができます。

(3)章末やまとめを先に読む:各章の最初や最後には重要なポイントが要約されていることが多いため、章の最初や章末のまとめを確認してから本編を読むと、分かりやすくなります。

(4)要約を書く:読んだ内容を章ごとに、あるいは全体を要約すると、知識が定着しやすくなり、後から知識の確認もしやすくなります。

(5)マインドマップを描く:読んだ内容をマインドマップにまとめることで、複雑な情報を視覚的に整理でき、理解を深めやすくなります。今はマインドマップアプリ・ソフトもあり、有用です。

(6)辞書を引く:意味が分からない専門用語・言葉は、辞書・専門辞典で調べながら読み、欄外に意味を書いたり、単語帳を作ってまとめておき、必要に応じて暗記するのもオススメです。

(7)キーワードに注目する:重要な概念(キーワード)を意識して読むことで、情報の本質にアプローチしやすくなります。

(8)実践をイメージする:学生の場合は論文や専門書を自分の研究・論文・実験と結びつけて読み、ビジネスマンの場合はビジネス書の内容を具体的な業務やプロジェクトにどう活用するかをイメージしながら読むと、より実践的な学びになります。

(9)2回以上読む:重要な論文・書籍は、1回だけでなく、2~10回読むのがオススメです。そうすれば、理解と暗記が進みます。

(10)複数の視点から読む:同じテーマでも、異なる論文・専門書、ビジネス書・資料を併用して読むことで、異なる視点から情報を得て、より深い理解を得ることができます。複数の著者や資料を比較することで、偏りのない知識を得られます。

6.5.記述力

記述力とは、文法的に正しく、表現・漢字・送り仮名・係り受け・書き方などに間違いがなく、論理に矛盾・飛躍がなく、理解しやすく誤解を招かず、説得力のある、ある程度長い文を、それほど時間がかからずに書ける能力のことです。広義には論理的記述力も含みますが、ここでは論理的記述力を除いた、狭義の記述力を指すとします。

創賢塾で教えている、記述力を高める方法は以下の3つです。

(1)大量に書く:小論文・意見文・要約・記述問題を大量に(100以上)書いていただきます。

(2)添削:受講生が書いた小論文・意見文・要約・記述問題を添削します。

(2)書写:専門書・論文・プレゼン原稿などで、自分が模範にしたい文章を1日10~30分など書き写していただきます。

6.6.現代文の問題を解く能力

大学生にとっても社会人にとっても、大学入試の現代文のような、現代文(国語)の問題を解く能力は必要です。公務員試験・資格試験・昇進試験等で、現代文の問題が出たり、現代文の問題を解く能力が必要な問題が出る場合があるからです。

現代文の問題を解けるためには、問題文を論理的に読み、論理的に解く必要があります。前者については上記参照。

後者については、現代文の問題の種類に応じた、論理的な解き方(解く手順)を習得すれば、正答率は上がります。

現代文の設問には10種類くらいしかありません。記述問題では、「説明問題・理由説明問題・要約問題」、その他、「選択肢問題・言葉の意味問題・接続詞穴埋め問題・脱文挿入問題・文並び換え問題」などです。

これらの設問それぞれには論理的な解き方があり、それを創賢塾では教え、使ってもらい、修正し、習得してもらいます。そうすれば解く時間が短くなり、正答率が上がります。

解き方とは、解く手順のことです。「この種の問題は、最初こうやって、次にこうやって、最後こうやったら解ける」という解き方を、全ての問題種別ごとに創賢塾で創り、教えています。詳しくは【論理的解答力】参照。

6.7.要約力

大学生や社会人にとって、要約力は非常に必要性の高い能力です。なぜなら、専門書・論文、ビジネス書・自己啓発書などは、読んで理解するだけでは不十分で、内容をある程度覚えておく必要がありますが、その際、要約力があって、適切な要約を書くことができれば、後から見直すこともでき、暗記することもできるからです。

創賢塾では、上記のように、要約の仕方をお教えし、書いていただいた要約を添削することを通して、要約力を高めていっていただいています。

7.終わりに

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

この記事があなたの成績アップのお役に立てれば幸いです。

創賢塾のホームページに書かれた勉強法をいち早く習得したい大学生・大人の方のために【論理力・国語力2ヶ月集中セミナー】【長期勉強法コース】を開講しています。【大人用:講座・セミナー一覧】はこちら。関心ある方はご参照ください。

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