リスニングは音読と組み合わせることで「理解して聴ける」ようになります。このページではリスニング上達法について書いていきます。
1.音読トレーニングでリスニング能力は上がる
1.1.高校2年生までは教科書の音読トレーニングを地道に実践する
リスニング能力は、【高校生の英語学習戦略(4)英語長文戦略】などで述べた、教科書等の音読トレーニング・セット(音読70回+シャドーイング30回+リスニング30回)で上がっていきます。
教科書の音読トレーニングだけで、リスニングは得意分野になっていきます。よって、高1~2年の間は、教科書の音読をしっかり実践しましょう。
1.2.音読トレーニングの実際
音読トレーニング・セットの具体的方法は以下の通りです。
【効果が上がる音読トレーニング・セット】
①英文を文法的に完全に理解する
②段落ごとに日本語訳を3回音読し、3回口頭和訳する
③CDを2回聴く
④理解しながら10回音読する
⑤次の段落へ(その日の時間まで続ける)
⑥次の日から10日連続で①~⑤を繰り返す(100回音読する)
⑦シャドーイング(音声を聴きながら音読をすること):50回を過ぎたらシャドーイング5回・音読5回にする
⑧100回音読の後、リスニングを30回する(1日5回×6日など)
(詳しくは【高校生の英語学習戦略(4)英語長文戦略】をご覧下さい)
このトレーニングの利点は、教科書や英文解釈書、英語長文問題集などで音声CD付きの教材が全てリスニング教材として利用できるという点です。
100回音読をした教材は全て、「英文を読んで意味をスラスラ理解できる状態」になっているので、リスニングをするときも、意味はほぼ分かる状態になっています。よって、すぐに聴いて理解できる状態になり、「聴いて理解できる英文を大量に蓄積する」ことができ、速やかにリスニング能力が上がっていくのです。
ですので、高2までに学習した教材の多くを音読トレーニング・セットでトレーニングしていれば、高3以降、音読トレーニングのほかにするべきことは、過去問を解くことと、必要に応じてリスニング問題を解くことで十分でしょう。
2.リスニング問題を解けるようにする方法
2.1.リスニング問題が解けない原因
リスニング問題が解けない原因は大きく分けて2つあります。
(1)音が聴き取れない
(2)音は聴き取れても、文章の意味が分からない
「音」が聴き取れないとは、1つ目は、日頃日本語的なカタカナ発音をしていると、ネイティブの英語の発音とカタカナ発音のギャップにより、単語を聞き取れない事態が発生するということです。2つ目は、英語では、音がつながる現象(リエゾン)が多発し、また、つながるだけでなく、音省略・音変化もされることが多いため、単純に単語の発音が聴き取れても、文としては聴き取れなくなるということです。
「文章の意味が分からない」とは、文字通りですが、意味が分からなくなる原因は、主に2つあり、1つ目は、音声のスピードに理解が追いつかないためで、2つ目は、英語の語順と日本語の語順の違いから、「直聴直解(聴いた順に理解する)」ができないためです。
2.2.リスニング問題を解けるようにする方法【聴解トレーニング】
以上2つを解消する方法は以下の通りです。
【リスニング問題を解けるようにする方法:聴解トレーニング】
①リスニング問題を解く:まず時間通り解く。時間延長(5~15分)しても良い。延長して、聴き取れない部分をリピートして何回も聴く。
②答え合わせ:自己採点。
③英文を文法的に完全に理解する:英文台本や和訳、解説を見て、意味を文法的に完全に理解する。
④聴き取れなかった音を聴けるようにする:聴き取れなかった単語・英文や、聞き間違えた単語・英文に印を付け、その部分を何度も聴き、音と単語、音と意味を合わせていき、「音を聴ける」「聴いて意味が分かる」ようにする。これを1日10~15分、全ての部分を聴き取れ、意味が分かるまで10日前後続ける。
⑤音読トレーニングで聴いて意味が即座に分かるようにする:英文を、「口頭和訳2回+音読5回+シャドーイング5回+リスニング5回」×10日間続ける。口頭和訳や音読時には、スラッシュ訳(数語の意味のまとまりごとに和訳する方法)をする。これにより英文の意味が、前から前から、聴いた順番で、スラスラ分かるようになる。
以上のトレーニングで、音が聴き取れるようになり、聴いて意味が分かるようになります。
【リスニングの効果的な勉強法を教わり、リスニングが得意になった】
Sさん(高校2年生、東京都)
私はリスニングがかなり苦手で、毎回模試の点数が悪く(60%未満)、嘆いていました。
そこで授業で相談してみたところ自分が聞き取れなかったところを何回も聞くということをすすめられました。自分にとってどういう単語が聞き取りづらいのか弱点を知ることが、ただ英語をだらだらと流して耳慣れするよりも効果的なんだとわかりました。
この学習法を毎日繰り返して、最近受けた模試では1問ミスで50点中48点をとれました。内容もはっきりわかって答える事ができました。
本番では満点を目指して頑張りたいです。
2.3.上級リスニング・トレーニング
もう少しリスニングを極めたい、根本的に音声を聴けるようになりたい、という人は、「発音トレーニング」と「ディクテーション(書き取り)」をすると良いでしょう。
(1)発音トレーニング
英語上級者の間では、「発音できない音は聴き取れない」ということが常識になっています。これは事実です。英語には日本語にはなく、似てもいない発音が10以上あり、これらを聴き分けるのに最も確実な方法は、「発音し分ける」ことなのです。
発音トレーニングで英語特有の母音、子音を発音できるようになると、音がずっと聴きやすくなります。
「DVD&CDでマスター 英語の発音が正しくなる本」(鷲見由理著)
「DVD&CD付 日本人のための英語発音完全教本」(竹内真生子著)
「英語舌のつくり方(CD付き)」(野中泉著、研究社)
「英語のリスニングは発音力で決まる!(CD付き)」(鵜田豊著)
DVD付きの方が習得しやすいのは言うまでもありません。良い時代になりました。2000~3000円台でDVD付き発音教材が買えるとは。
(2)ディクテーション(書き取り)
ディクテーション(書き取り)は、文字通り、ある程度の長さの英語音声を書き取るトレーニングです。教科書の未学習項目などをディクテーションすれば良いでしょう。
ディクテーションは大変効果がありますが、ただ、精神的負担が大きく、挫折しやすいので、あまり積極的にはオススメしていません。コツコツ音を聴くのが苦にならない方は、ぜひトライしてみてください。効果は絶大です。
3.過去問のリスニング
3.1.過去問を解く
音読トレーニング以外のリスニング問題対策は、まずは過去問のリスニング問題を2~3年分解くことから始めます。数年分解くことで、話される日本語のナレーション、英語朗読のスピード、音声が繰り返される回数、問題形式、英文の長さ、問われる内容の傾向(数字やしたことなど)を実感し把握していきます。
時期的には、3年になってからだといつでも大丈夫です。まだ受験レベルの英語力になっていないのに過去問は早いのでは、という心配は無用です。リスニング英文の内容自体は読解英文よりずっと簡単だからです。
過去問のリスニング問題を解く時は、上記【聴解トレーニング】の要領でトレーニングしていきます。上にも書いた通り、リスニング問題の英文自体の難易度は長文問題の英文よりもかなり易しいので、音読回数は少なめで結構です。すらすら音読・シャドーイングでき、リスニングも聞いてすらすら理解できることが目標になります。
3.2.リスニング問題をどんどん解く
手持ちの過去問を全て練習し終わり、かつ、時間があって、もっとリスニング能力を伸ばしたい場合は、リスニング問題集をトレーニングしていきます。やり方は過去問と同じです。問題を解き、音読トレーニング・セットをしていきます。
また、ディクテーション(書き取り)や発音トレーニングをしても良いでしょう。
【英語の成績が上がりました】
Tさん(高校3年生、神奈川県、法政大学キャリアデザイン学部[偏差値60]合格)
学校が始まり、コロナ禍の影響で中間テストが無くなり、先日期末テストを行いました。
娘は英語が苦手で、学年順位がいつもビリに近かった(学年順350~370位前後/400人)のですが、今回先生に指導していただいた「ビンテージ」(英文法)の試験で、学年で半分ぐらいの順位に上がりました。英語E(文法)学年順222位/400でした。先生に教えていただいた瞬間英作文や復習法が役に立ったと言っておりました。
そのほか、リスニングの順位は100位以上、国語・コミュ英語は150位以上、数学は200位以上、上がりました(受験科目は私立文系の英数国)。だいぶ自信になったようです。
今までやる気が上がらず、勉強をあまりしていなかったことが大きいですが、先生のお蔭でやる気も上がり、勉強時間も増えています(以前は平日1~2時間、今は5時間)。
学校(偏差値67)の友人は国立を受験する子も多く少しずつやる気もでてきたようです。これからもご指導よろしくお願い致します。
4.終わりに
ここまでお読みいただき、誠にありがとうございました。
皆さんのリスニング能力、英語力が速やかに上がることを願っています。
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