このページでは、高校英文法をまだ(あまり)習っていない中高生が、自力で(ほぼ)ゼロから先取りし、「高校英文法の基礎」を作った上で、「大学入試レベルの英文法力」を身に付けるまでに必要な教材とその順序、習得法を書いていきます。
1.英文法力
1.1.高校英文法の基礎ができた状態
英文法力を大学入試レベルにしたい場合、まず「高校英文法の基礎」を作った上で、「大学入試レベルの英文法力」を身に付ける必要があります。
「高校英文法の基礎ができた状態」とは、ここでは「総合英語の全例文をスラスラ訳せて、文法的に解説できる状態」と定義します。なぜなら、総合英語の例文(=論理表現教科書の例文)は高校英文法の基礎を網羅しているからです。
高校英文法の基礎ができれば、大学入試用英文法問題集や英文解釈書を自力で進められます。
1.2.大学入試レベルの英文法力
「大学入試レベルの英文法力」とは、ここでは「(河合塾)英語偏差値65の人の英文法力」を想定しています。
具体的には、大学入試に出る99%の英文を、(初見で分かるかはともかく)解説や全文訳を見れば文法的に理解できて、英文法問題を(初見で解けるかは別にして)解説を読めば理解できるレベルです。
これを達成するのに必要な教材は、以下の通りです。
【総合英語+大学入試用英文法問題集1冊+英文解釈書2~3冊】
2.「高校英文法の基礎」を作る教材
2.1.ゼロから高校英文法の基礎を作る教材
高校英文法を全く習ったことのない中高生が、自力でゼロから先取りし、高校英文法の基礎を身に付けたい場合、もしくは、高校英文法を一通り習ったが、半分以上忘れた(偏差値50以下の)高1~3年生が、高校英文法を総復習したい場合、以下のような教材がオススメです。
【スタディサプリ+基礎的英文法参考書+「総合英語」】
2.2.映像授業「スタディサプリ」
自力で先取りする場合、英語が超得意な人(河合塾英語偏差値70以上の人)以外は、スタディサプリのような動画授業と基礎的英文法参考書を併用するのが良いでしょう。理解しやすくなります。
ただ、動画授業は「理解」用であり、「暗記」用ではないので、暗記には「集中12日間! 英文法のいちばん大事なところ」(旺文社)のような基礎的英文法参考書を使う必要があります。
スタディサプリは、低価格、高品質授業で有名な動画授業です。高校1年生用の英文法授業を1講座(20~30講義)見ると、高校英文法の概要が理解できます。
2.3.基礎的英文法参考書
ゼロから自力で先取りしたい場合の中心教材は、「初歩から大学入試レベルまでの高校英文法の根幹部分が載っていて、それさえ習得すれば、大学入試用英文法問題集を自力で進められるような、厚すぎず薄すぎず、解説が詳しく分かりやすい、問題も適量載っている参考書」を選びます。オススメは以下。
「集中12日間! 英文法のいちばん大事なところ」(水野卓著、旺文社、360ページ)
「肘井学のゼロから英文法が面白いほどわかる本」(角川、303ページ)
もしくは、新しい参考書を使いたくない場合、高1の時に使った論理表現準拠問題集でも構いません。
2.4.総合英語
総合英語とは、高校生用の英文法参考書のことで、それには大学受験で必要になるほぼ全ての英文法が載っています。以下のようなものがあります。
「総合英語 Evergreen」「総合英語be」(いいずな書店)
「チャート式 基礎からの新々総合英語」(数研出版)
「ジーニアス総合英語」(大修館書店)
「Vision Quest 総合英語 Ultimate」(啓林館)
「ZESTAR 総合英語」(Z会)
総合英語はほとんどの高校で配られ、その例文はたいてい、論理表現教科書の例文と同じです。
3.「高校英文法の基礎」を作る勉強法
ゼロから「高校英文法の基礎」を作る勉強法
(1)スタディサプリ(1講座24講義前後):1講義分を見て理解します。
(2)「集中12日間! 英文法のいちばん大事なところ」(全12章):スタディサプリで見た授業に該当する章を読み、理解し、問題を解き、5周します(詳しくは【「集中12日間! 英文法のいちばん大事なところ」習得法】参照)。以下同。
(3)毎週1周復習しながら、新規に進める:【スタディサプリの次の講義⇒同書の該当箇所を5周】+【同書の全既習部分を1周復習】、というように進めていきます。
例えば、毎週スタディサプリを2講義見て、同書の1章分を5周するとき、6週間目は、【新規:スタディサプリ11,12講義を見て、同書の第6章を5周】+【復習:同書の第1~5章を1周復習(毎日1章復習など)】のように進めます。詳しくは【「集中12日間! 英文法のいちばん大事なところ」習得法】参照。
(4)総合英語の使い方
①参考書:総合英語は、分からない時に参考書として使います。総合英語で調べる回数が多いほど、英文法力は上がります。1日最低2回は調べましょう。
②復習:「集中12日間! 英文法のいちばん大事なところ」と並行して、もしくは全部習得し終わった後、総合英語の章の例文を和訳できるようにしていきます(具体的なやり方は【「総合英語」で英文法をマスターする方法】参照)。
これで高校英文法の基礎を網羅的に理解し記憶することができます。
本は「肘井学のゼロから英文法が面白いほどわかる本」でも構いません。好きな方を選んでください。
創賢塾のホームページに書かれた勉強法をいち早く習得したい高校生のために【高校英文法を習得する3ヶ月自宅集中セミナー】【5教科のテスト勉強法を習得する3ヶ月自宅集中セミナー】【長期勉強法コース】を開講しています。【高校生用:講座・セミナー一覧】はこちら。関心ある方はご参照ください。
4.「大学入試レベルの英文法力」を培う教材
4.1.教材
大学入試レベルの英文法力を達成するのに必要な教材は、以下の通りです。
【総合英語+大学入試用英文法問題集1冊+英文解釈書2~3冊】
4.2.総合英語
基礎レベルでの、総合英語の全例文の和訳に加えて、「解説中の全英文をスラスラ訳せる」ようにします。
そうすれば、大学入試に出る99%の英文を(初見で分かるかはともかく)解説や全文訳を見れば文法的に理解できて、大学入試用英文法問題集の問題を(初見で解けるかは別にして)解説を読めば理解できるようになります。具体的な方法はこちら。
4.3.大学入試用英文法問題集
大学入試に必要な英文法が網羅されている問題集の中で、学校で配布された問題集か、以下のような解説が詳しめの1冊を習得します。それにより、大学入試英文法を網羅的に理解し暗記することができます。具体的な方法は【「世界一わかりやすい 英文法・語法の特別講座」】参照。
「世界一わかりやすい 英文法・語法の特別講座」(関正生著、角川)
「スクランブル英文法・語法」「スクランブル英文法・語法 Basic」(旺文社)
4.4.英文解釈書
「英文解釈」とは、「大学入試に出る、難解で理解しにくい英文を網羅的に載せた”英文解釈書”で、英文にSVOCMを振り、和訳を書くトレーニング」のことです。今の高校生は英文解釈のことを知らない人も多いですが、大学入試の難しい英語長文を初見で文法的に理解できるようにするには必須です。英文解釈について詳しくはこちら参照。
以下のような英文解釈書を2~3冊、「収録全英文を、スラスラ訳せて、90%の理解度で(=英語としてはほぼ完全に理解して)スラスラ音読できて、文法的に解説できる状態」にします。
そうれば、大学入試に出る、文法的に難解な英文のほとんどを初見で素早く理解できるようになります。詳しい習得法は【「基礎英文解釈の技術100」習得法】参照。
「入門英文解釈の技術70」「基礎英文解釈の技術100」(CD付き、桐原書店)
「英文読解入門基本はここだ!」「ポレポレ英文読解プロセス50」(西きょうじ著、代々木)
5.オススメ参考書・問題集
5.1.基礎英文法参考書(1)「集中12日間! 英文法のいちばん大事なところ」
内容量は多すぎず、少なすぎず、高校初級から中級レベルまでの核心部分が過不足なく含まれているので、一番最初の高校英文法参考書として使いやすい。解説は詳しめで分かりやすい。
これさえ習得すれば、「世界一わかりやすい 英文法・語法の特別講座」のような大学入試用英文法問題集や英文解釈書を自力で進められます。
ただし、「肘井学のゼロから英文法が面白いほどわかる本」にあるような暗唱例文集(【左に日本語訳|右に英文】が暗記しやすいように載っている例文集)も音声もありません。
5.2.基礎英文法参考書(2)「肘井学のゼロから英文法が面白いほどわかる本」
この参考書の良い点は、何を暗記すべきか明示されていること、暗唱例文集があり、音声も付いていること、問題もかなり載っていて、理解・暗記の確認に適していることなどです。
ただ、解説が少ないので、高校英文法がゼロの人が使うのは厳しいです。スタディサプリと併用するか、以下のような超基礎英文法参考書のあと使う、もしくは学校や塾で高校英文法を一通り学習した人には良いと思います。
「安河内の英語をはじめからていねいに【完全版】」(安河内哲也著)
「大岩のいちばんはじめの英文法【超基礎文法編】」(ナガセ)
この2冊の超基礎英文法参考書は、大学入試レベルの英文法力を獲得するには超基礎過ぎて、全然足りません。習得後、「肘井学のゼロから英文法が面白いほどわかる本」や「集中12日間! 英文法のいちばん大事なところ」のような基礎英文法参考書に進む必要があり、無駄が多いので、オススメしません。
5.3.大学入試用英文法問題集(1)「世界一わかりやすい 英文法・語法の特別講座」
大学入試用英文法問題集は、学校で配られたものがあるなら、それで大丈夫です。それがなかったり、あまりに理解できないようなら、解説が詳しい「世界一わかりやすい 英文法・語法の特別講座」か「スクランブル英文法・語法」がオススメです。
「世界一わかりやすい 英文法・語法の特別講座」は、大学入試レベルの英文法問題集の中で、最も解説が詳しいものの1つで、オススメです。習得法はこちら。
ただし、英文法・語法問題しかないので、英熟語・会話問題・発音等については、「スクランブル英文法・語法」(旺文社)や「Next Stage英文法・語法問題」(桐原書店)のような総合英文法問題集で補う必要があります。
5.4.大学入試用英文法問題集(2)「スクランブル英文法・語法」
「スクランブル英文法・語法」は、左ページに問題、右ページに答えが載った、大学入試用総合英文法問題集の中で最も解説が詳しいものの1つで、オススメです。
「スクランブル英文法・語法 Basic」は、「スクランブル英文法・語法」のレベル・網羅性を落とし、基本的な問題で構成した問題集です。共通テストレベルであればこれで良いと思います。
5.5.英文解釈書「英文解釈の技術」シリーズ
英文解釈書の中では、「英文解釈の技術」シリーズが最もオススメです。
長所は、課題英文が短く(5行50ワード前後)サクサクと進められる点、1課題2ページで見やすいレイアウト、音声CDが付いていること、シリーズ3冊(中学レベルも入れると4冊)で、大学入試に出る難しい英文の英文法・構文はほぼ網羅すること、課題英文のほかに少し毛色の違った演習問題も付いており、問題量が豊富なこと、上級編の「英文解釈の技術100」まで習得すれば東大・京大・早慶などの超難関大学入試の英文もカバーできること、語句欄に英単語熟語の意味が載っていること、SVOCMや解説も(全文にあるわけではないが)詳しめであること、などです。
6.終わりに
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
このページに書いたことを実践すれば、あなたは英文法力と英語の成績を飛躍的に上げることができるでしょう。
あなたの健闘を祈ります。
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