受験勉強の後半(入試合格力養成期:3年夏休み以降)では、過去問をただたくさん解いていくだけではなく、過去問を習得し、解いて見つけた自分の弱点を補強する勉強をする必要があります。
そうすれば、過去問の得点率を上げられます。
このページでは、過去問を解いた後、どうやって弱点に対して対策していくかを書いていきます。過去問の習得法については【受験勉強(3)過去問の解き方と習得法】に書いています。
目次
1.弱点対策法(1)古文単語
1.1.過去問まとめ帳
過去問を解いた後、ルーズリーフに過去問まとめ帳を書きます。書く内容は、問題の傾向、自分の間違いの傾向、そして対策法です(詳しくは【受験勉強(3)過去問の解き方と習得法】参照)。
それを書く過程で、自分の弱点と補強ポイントが明確になりますから、それを以下のようにして補っていきます。
1.2.古文単語
多くの受験生にとって、過去問のような初見の古文が理解できない最大の原因の1つは古文単語でしょう。
古文単語の意味が分からなくて内容が分からない、問題が解けない場合の対策法は以下になります。
【古文単語の意味が分からない】
(1)対策法1:古文単語帳:自分が使った古文単語帳を暗記し直します。
自分の単語帳の収録数が300ワード前後の場合、以下のような600ワード以上収録の古文単語帳も暗記します。古文単語暗記法は【超効率的古文単語暗記法】参照。
「二刀流古文単語634」(旺文社)
「読んで見て覚える重要古文単語315」(桐原書店:実質700ワード収録)
「古文単語FORMULA600」(東進)
「古文単語ゴロゴ プレミアム+」(スタディカンパニー)
(2)対策法2:古文単語帳でチェック:過去問で、傍線部や、問題を解くのに必要な箇所で分からなかった古文単語(とその意味)を3~5年分、10~20単語以上をピックアップし、自分が使っている古文単語帳で調べ、その現代語訳にマーカーを引き、それを暗記します。
これを続けることで、当該大学に合格するために、現代語訳をどこまで暗記するべきか分かってきます。
また、その覚えるべき古文単語(やその意味)の多くが、自分が使っている古文単語帳にない場合、多く載っている古文単語帳を探し、それを暗記します。
(3)対策法3:過去問の古文単語を暗記する:過去問で、傍線部や、問題を解くのに必要な箇所で分からなかった古文単語を自作単語帳に書き、暗記します。
(4)対策法4:現代語訳の暗記:「品詞分解+現代語訳の暗記」(【初見の古文をスラスラ訳せるようにする勉強法】参照)を50ページ、100ページと続けることで、意味が分からない古文単語の数は激減していきます。
(5)対策法5:単語帳を辞書代わりに使う:過去問や「古文の読み方・解き方本」等で意味の分からない単語に出会ったとき、古文単語帳を辞書代わりに使い、単語や意味にマーカーを引きます。
常時これを行うことで、古文単語の理解と暗記が深まります。
2.弱点対策法(2)文法力・品詞分解
過去問を解いたり解説を読んでいて、文法が弱いと感じた場合や、品詞分解ができなくて内容が分からない、問題が解けない場合の対策法は以下です。
【文法力不足・品詞分解ができない】
(1)対策法1:古典文法問題集の復習:自分が使った「ステップアップノート30 古典文法基礎ドリル」(河合)のような薄い古典文法問題集を復習します。
全体を復習し直すというより、助動詞が弱いと感じれば助動詞を暗記し直し、敬語が弱ければ敬語を暗記し直すなど、ピンポイントで復習します。
(2)対策法2:品詞分解:解いた過去問の古文はすべて「品詞分解+現代語訳の暗記」をします。品詞分解できない部分は学校の先生などに聞きます。
また、過去問や(全文に品詞分解が付いている)以下のような参考書で、「品詞分解+現代語訳の暗記」を毎週1ページ習得していきます。
「理解しやすい古文」(文英堂)
「教科書ガイド」(教科書ガイドにはほぼ全文に品詞分解が載っています)
(3)対策法3:古典文法問題集を参考書として使う:過去問や「古文の読み方・解き方本」等で文法的に意味が分からない箇所があったとき、古典文法問題集で調べて理解を深めます。また、該当箇所にマーカーを引きます。
常時これを行うことで、古典文法を立体的に理解し暗記することができるようになります。
3.弱点対策法(3)主語
古文は、現代文より主語が書いていません。よって、主語の確定がしにくく、話の流れが分からなくなりがちです。
過去問を解いて、主語が分からなくなって文章の意味が分からなくなり、問題が解けない場合の対策法は以下です。
【主語が分からない】
(1)対策法1:「古文の読み方・解き方本」の「主語の確定法」を復習する:学習した「古文の読み方・解き方本」の「主語の確定法」の項目を5~10回復習し、「主語の確定法」をまとめたルーズリーフを暗記し直します。
まだ学習していなければ、以下のような「古文の読み方・解き方本」を習得します。習得法は【古文「読み方・解き方本」習得法】参照。
オススメは「山村由美子 図解古文読解講義の実況中継」(全受験生向け)、「共通テスト古文 満点のコツ」(共通テストを受ける受験生向け)、「古文解釈の方法」(上級者向け)です。
「山村由美子 図解古文読解講義の実況中継」(語学春秋社)
「古文解釈 はじめの一歩」「古文解釈の方法」(関谷浩著、駿台)
「共通テスト古文 満点のコツ」(教学社)
「元井太郎の古文読解が面白いほどできる本」(中経出版)
「岡本梨奈の古文の読み方&解き方が面白いほど身につく本」(角川)
「ライジング古文」(桐原書店)
(2)対策法2:過去問で主語の確定の練習をする:過去問の「品詞分解+現代語訳の暗記」の時に、「述語があれば⇒主語を言う」訓練をします。
この訓練を(過去問を含めて)20~30ページ以上、行うことで、主語の確定が劇的に上達します。
創賢塾のホームページに書かれた勉強法をいち早く習得したい高校生のために【5教科のテスト勉強法を習得する3ヶ月自宅集中セミナー】【長期勉強法コース】を開講しています。【高校生用:講座・セミナー一覧】はこちら。関心ある方はご参照ください。
4.弱点対策法(4)難しい古文
古文にも難しい古文と易しめの古文があります。難関大学の過去問は基本的に難しく理解しにくいですから、それに応じた対策が必要になります。
難関大学過去問レベルの難しい古文を理解できない場合の対策法は以下になります。
【難しい古文への対策法】
(1)対策法1:徐々にレベルを上げる:「品詞分解+現代語訳の暗記」を、【1.古文教科書ガイド・「理解しやすい古文」の古文30ページ⇒2.共通テストレベルの古文20ページ⇒3.難関大学レベルの古文20ページ】のように段階を追って進めていきます。
(2)対策法2:問題のレベルを徐々に上げる:過去問演習に入る場合、易しい問題から、より難しい問題に、段階を追って進めていきます。
例えば難関国公立大学受験生の場合、【1.共通テストの過去問10問⇒2.志望校過去問10問】のように段階を追って進めます。
超難関私立大学志望者の場合、【1.共通テスト過去問・中堅私立大学用問題集10問⇒2.難関私立大学用問題集10問⇒3.超難関私立大学過去問10問】のように段階を追って進めます。
その際、以下のような、収録大学が明記されたり、レベルが書かれている古文問題集が役立ちます。
「全レベル問題集 古文」シリーズ(伊藤紫野富著、旺文社)
「首都圏難関私大古文演習」「有名私大古文演習」(河合塾)
「岡本梨奈の古文ポラリス」シリーズ(角川)
(3)対策法3:「品詞分解+現代語訳の暗記」:使用する問題集は全て、「品詞分解+現代語訳の暗記」を行い、難しい古文に慣れていきます。
5.弱点対策法(5)記述問題
国公立大学を中心に記述問題が出ますが、そのほとんどは、傍線部や問題に関係する箇所について、単語の意味が分かり、省略語(主語・助詞・目的語等)が復元でき、「品詞分解+現代語訳」できれば、解けます。
よって、対策法は以下になります。
【記述問題が苦手】
(1)対策法1:「品詞分解+現代語訳の暗記」:過去問も含めて、「品詞分解+現代語訳の暗記」を50ページ、100ページ、150ページとひたすら続けていけば、正解率は上がります。
(2)対策法2:古文単語・古典文法・古文常識:現代語訳ができて意味が分かるためには、古文単語・古典文法・古文常識の暗記が必要です。
古文単語・古典文法で点を落としている場合は前述。古文常識については後述。
(3)対策法3:記述問題集:入試に記述問題が多く出る場合は、古文記述問題集を1冊、習得します。解き方・書き方が詳しく説明されています。オススメは「得点奪取古文―記述対策」「はじめの一歩 古文読解問題集」です。
「はじめの一歩 古文読解問題集」(関谷浩著、駿台)
「得点奪取古文―記述対策」(河合塾)
「最強の古文 読解と演習50」(Z会)
「国公立標準問題集CanPass古典」(駿台)
「ライジング古文」(桐原書店)
(4)対策法4:「古文の読み方・解き方本」:主語・助詞・目的語等の省略語の復元方法は、「山村由美子 図解古文読解講義の実況中継」などの「古文の読み方・解き方本」に書かれています。
よって、上記の「古文の読み方・解き方本」の該当箇所を10周し、習得します。
6.弱点対策法(6)和歌
高校生はたいてい、和歌の問題が苦手です。
和歌問題を解けるようにするには、傍線部や問題に関係する箇所について、単語の意味が分かり、修辞法(枕詞、掛詞等)を理解でき、「品詞分解+現代語訳」できれば、解けます。
よって、このうち、自分がどれが弱いかを考え、以下のような対策をしていきます。
【和歌問題が解けない】
(1)対策法1:過去問の和歌の解釈を言えるようにする:志望校に和歌問題が多く出る場合、問題に関係する和歌をできるだけ多く(5~10年分以上)集め、和歌をルーズリーフに書き、その右に、品詞分解・現代語訳・修辞法を書き、和歌を見てそれらの解釈を言えるように暗記します。
(2)対策法2:和歌の解釈を30首以上暗記し、和歌問題を30問以上解く:上記和歌の解釈の訓練は、「読み方・解き方本」・和歌本・「理解しやすい古文」・教科書ガイドなどで、合計30~50首以上行います。また、過去問や問題集の和歌問題を30問以上解きます。
そうすれば、たいていの和歌の問題は解けるようになります。
(3)対策法3:和歌問題の解き方を習得する:以下の「読み方・解き方本」には和歌の修辞法の解説や和歌問題の解き方が書かれています。5~10回復習し、暗記し直します。もしくは新たに習得します。
「山村由美子 図解古文読解講義の実況中継」(語学春秋社)
「古文解釈の方法」(関谷浩著、駿台)
「共通テスト古文 満点のコツ」(教学社)
「元井太郎の 古文読解が面白いほどできる本」(角川)
「岡本梨奈の古文の読み方&解き方が面白いほど身につく本」(角川)
(4)対策法4:和歌の修辞法の解説を習得する:「読み方・解き方本」以外に、以下の参考書にも和歌の修辞法の解説が簡潔に書かれています。自分が使用していれば、該当箇所を10回以上読み、解説や具体例をルーズリーフにまとめ、暗記します。
「理解しやすい古文」(文英堂)
「読んで見て覚える重要古文単語315」(桐原書店)
「古文上達 基礎編 読解と演習45」(Z会)
「古文解釈の方法」(関谷浩著、駿台)
(5)対策法5:和歌対策を最大限に行いたい方は、以下のような和歌・修辞法専用本を5~10周し、解き方をルーズリーフにまとめ、暗記します。
「和歌の修辞法―荻野文子の特講マドンナ古文」(学研)
「吉野のパワーアップ古文 和歌の修辞法編」(東進)
「SPEED攻略10日間 国語 和歌」(Z会)
(6)対策法6:和歌で「品詞分解+現代語訳」ができ、古文単語を理解できるには、そもそも普通の古文の文章でそれらができなければなりません。
よって、「品詞分解+現代語訳の暗記」を30ページ以上していない人は、毎週0.5~1ページ「品詞分解+現代語訳の暗記」をし、10ページ、30ページと増やしていきます。
また、古文単語帳や「現代語訳の暗記」で単語数を増やしていきます。
7.弱点対策法(7)古文常識
古文常識を知らなくて問題が解けない場合の対策法は以下になります。
【古文常識を知らない】
(1)対策法1:古文常識本:志望校に古文常識がよく出て、自分が苦手な場合、まず、志望校過去問に出て、自分が知らなかった知識を5~10個ほどまとめ、以下の教材でチェックし、必要十分な量が載っている本を暗記します。
「読んで見て覚える重要古文単語315」(桐原書店)
「マドンナ古文常識217」(学研)
「速読古文常識」(Z会)
「読んで見て覚える重要古文単語315」には、古文常識が約20ページでまとまっていますが、これに過去問の古文常識がほぼ載っている場合は、10周ほど読んで暗記します。この本で足りなければ、古文常識専用本のうちどちらかを暗記します。
(2)対策法2:日頃から古文常識を読む:志望校過去問に古文常識問題がよく出ると分かった受験生は、以下のような古文常識も詳しい教材を使うとき、古文常識をしっかり読んで、覚えていきます。
「読んで見て覚える重要古文単語315」(桐原書店)
「理解しやすい古文」(文英堂)
「古文上達 基礎編 読解と演習45」(Z会)
8.弱点対策法(8)文学史
文学史問題が苦手な場合の対策法は以下になります。
【文学史が弱い】
志望校に文学史がよく出て、自分が苦手な場合、まず、志望校過去問に出て、自分が知らなかった知識を5~10個ほどまとめ、以下の文学史本でチェックし、必要十分な量が載っている本を暗記します。
「SPEED攻略10日間 国語 文学史」(80ページ、Z会)
「大学入試 でるとこ古典文学史」(127ページ、河合塾)
「みんなのゴロゴ 古文出典」(264ページ、スタディカンパニー)
「国語便覧」
9.弱点対策法(9)共通テスト・有名大学
【共通テスト・有名大学対策法】
(1)スタディサプリの共通テスト対策講座を見る:スタディサプリ(格安、上質のネット動画授業)には、古文読解対策講座、共通テスト古文対策講座などがありますから、これらを見て、専門家がどう解いているかを参考にするのは良い方法です。
古文だけでなく、各教科の対策講座があります。
(2)個別大学専用問題集で対策する:東大・京大のような有名大学には、大学専用の問題集が発売されています。中には有用なものも多くありますので、内容を精査し、取り組んでみてください。
「鉄緑会 東大古典問題集」(角川)
「大学別入試攻略問題集 東京大学 国語」「同 京都大学」(河合塾)
「難関校過去問シリーズ 東大の古典」「同 京大」(教学社)
「実戦模試演習 東京大学への国語」「同 京都大学」「東大入試詳解25年 古典」「同 京大」(駿台)
10.弱点対策法(10)長期記憶
長期記憶とは、「数ヶ月~数年以上もつ記憶」のことです。
上記教材を一度暗記する、一周するのは誰でもできます。しかし、たいていの人は復習システムを作っておらず、長期記憶に入れることができていません。その結果、徐々に忘れていって、なかなか思うように成績が上がりません。
※復習システム:いったん学習した単語帳・問題集・過去問を、最終的に長期記憶に入れるために、どういう周期で、何回、復習するかの明確な計画のこと。
学習したことを長期記憶に入れ、入試で使える知識にする方法は以下になります。
【長期記憶に入れていない】
(1)対策法:長期記憶に入れるためには、いったん完全に暗記して(問題集であれば5~10周以上)、その後、2ヶ月以上復習することが必要です。
回数にして10回以上復習します(例えば、週1回1周復習×10週間)。
(2)具体例:例えば、過去問の暗記すべき古文単語であれば、【「古文単語⇒現代語訳」×3回音読×20単語×1日6周(10分)×7日】のようにしていったん暗記します。
その後、【テスト⇒忘れた単語に印⇒印の単語を「古文単語⇒現代語訳」×3回音読×1日6周×週2回×2ヶ月以上】のように復習すれば、長期記憶に入っていきます。
11.終わりに
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
これらの文章があなたのお役に立てば幸いです。
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