このページでは、理科の高校入試用教材である「高校入試 実力メキメキ合格ノート 中学理科」2冊シリーズ(文英堂)の受験勉強時の習得法を書いていきます。
1.「高校入試 実力メキメキ合格ノート 中学理科」とは
1.1.教材解説
「高校入試 実力メキメキ合格ノート 中学理科」は、理科の高校入試用教材として最も有名で評価の高い教材の1つです。暗記すべき必要十分な数の用語が赤字で書かれていて、暗記やテストがしやすくなっています。
公立高校入試の理科では、暗記については「高校入試 実力メキメキ合格ノート 中学理科」と過去問だけでも十分、合格点を取れます。よって、創賢塾でもほとんどの受験生に使ってもらっています。
ただ、理科の計算については圧倒的に量が少ないので、1~3年の学校のワークや市販の問題集で補う必要があります。
1.2.内容量
「高校入試 実力メキメキ合格ノート 中学理科」は2冊組で、各冊200ページ弱です。
別冊もありますが、本冊子に同じ内容があり、答えがなく、本冊子で確認しなければならず、面倒なので、やらなくて結構です。
2.習得の前提
2.1.いつまでに習得し終われば良いか
「高校入試 実力メキメキ合格ノート 中学理科」は、3年夏休みまでに習得し終えることを目標とします。それも7月末など、早ければ早いほど有利です。なぜなら、7月末に習得が終われば、8月から、過去問や受験問題集、苦手分野の習得・復習に時間が十分使えるからです。
とは言っても、普通、7月中に終わらなくても、8月中に習得し終われば、他の受験生よりは早いので、よしとします。
2.2.受験勉強を始める時期
(1)2年の夏休みから
これは難しいでしょう。習得して、復習して、記憶を維持するには相当の集中力が必要で、それを1年半(2年夏~3年冬)も続けるのは無理があるからです。
また、中学1~2年生時には、理科の未習範囲も多いですし、(成績を上げるのに時間が掛かる)英数国の実力を上げることの方が重要だからです。
(2)3年になる春休みから
本格的に理科の習得を始める時期(受験勉強に取りかかる時期)は、3年になる春休み頃(正確には3学期の期末テストが終わった直後)からがオススメです。
3年になる春休みから始めれば、(先取りも含めて)6月~夏休み頃には習得し終えることが可能です。
もちろん、始めるのは、早ければ早いほど有利です。早く始めれば早く習得でき、そうすれば、早く過去問に入れますし、他の教科にも時間を使えるからです。
(3)3年の夏休みから
これは危険すぎます。既習範囲の習得には通常2ヶ月前後、未習範囲の先取りにも2ヶ月前後かかるので、夏休みから始めたら、夏休みに頑張っても、9~10月あたりまでかかるでしょう。
そうすると、過去問に入るのが10~11月頃からになり、弱点対策が間に合わない可能性があります。
精神衛生上も良くありません(いつ習得できるか分からないので不安になります)。
2.3.章ごとに10周する
「高校入試 実力メキメキ合格ノート 中学理科」は1章約30ページで、一度に習得するにはちょうど良い長さですから、1章を1週間前後で10~15周して習得します(何周で習得できるかには個人差があります)。
3年になる春休みの開始の時点で、既習範囲(8章、約140ページ×2冊)を2ヶ月で習得する場合、週1章ペースです。春休みは2倍、週2章(生物などの1科目の既習分に相当)習得します。春休みの2週間で1冊、5月半ばまでに2冊目の既習範囲を習得できます。
既習範囲の1章を習得するのにかかる時間は、約6時間、未習範囲はその2倍です(かかる時間は個々の記憶力や基礎知識に左右されます)。
2.4.何を習得するか
理科の入試問題に出て、暗記・習得が必要なのは以下の3つです。
(1)用語
①用語とは:例えば、アミラーゼ、ペプシン等の消化酵素の名前、季節風、偏西風のような暗記すべき用語のことです。「高校入試 実力メキメキ合格ノート 中学理科」では暗記すべき用語は赤字になっています。
②具体例:「季節によって生じる特徴的な風を( )と言います。」という穴埋め問題に対して、「季節風」と答えられるのが用語の暗記ができた状態です。
③用語の暗記が優先:理科の受験勉強では、まずは用語を全て暗記します。
(2)用語の意味
①用語の意味とは:例えば、アミラーゼとは何か、どういう役割をするか、季節風とは何かを説明できるようにすることです。「高校入試 実力メキメキ合格ノート 中学理科」ではこれは本文に書かれています。
②具体例:「アミラーゼとは何か?」という質問に対して、「唾液に含まれ、デンプンをブドウ糖などに分解する消化酵素」と言える(書ける)のが用語の意味の暗記ができた状態です。
③用語の意味の暗記は後回し:受験勉強では、用語の意味は、「高校入試 実力メキメキ合格ノート 中学理科」の本文を読んで理解はしますが、暗記は後回しにします。
用語は膨大で、全ての用語の意味の暗記は不可能ですが、「高校入試 実力メキメキ合格ノート 中学理科」や教科書を見ても、入試でどれが問われるかは分からないからです。
④暗記の順序:高校受験に際しては、約2000項目の用語(=「高校入試 実力メキメキ合格ノート 中学理科」の赤字数)を暗記しなければなりませんから、まずは「高校入試 実力メキメキ合格ノート 中学理科」で用語の暗記を行います。
用語の意味の暗記は、「高校入試 実力メキメキ合格ノート 中学理科」を習得した後、過去問や問題集を解く中で、問われて間違えた用語の意味をその都度まとめて暗記していきます。
(3)計算
物理だけでなく、理科のそれぞれの科目には計算があります。理科の計算を苦手にしている人は多いですが、「高校入試 実力メキメキ合格ノート 中学理科」には計算の問題量が少ないので、別途、以下のような問題集で計算問題を解く必要があります。
「学校のワーク」
「塾で教える高校入試 理科 塾技80」(210ページ弱、文英堂)
「理科計算問題のコツ」(60ページ弱、秀英予備校)
「高校入試 解き方が身につく問題集 理科」(130ページ弱、旺文社)
「中学総合的研究高校入試問題集 理科計算問題」(130ページ弱、旺文社)
「高校入試 合格でる順 理科」(約160ページ、旺文社、公立入試問題で構成)
「中学総合的研究問題集 理科」(約180ページ、旺文社)
2.5.未習範囲をどうするか
3年になる春休みから暗記を始める際、通常、各科目に未習部分があります。
その場合、まずは既習部分を習得し、次に、習得している間(2ヶ月前後)に学校で進んだ範囲や定期テスト範囲を習得し、既習部分を全部習得し終わったら、初めて、未習部分の習得に入ります。
未習部分の習得を後回しにするのは、未習部分は理解に時間がかかり、習得しづらく、また、既習部分を習得している間(3~4ヶ月前後)に学校は先に進み、未習範囲が減るからです。
2.6.未習部分の学習教材
未習部分を(塾などで習わずに)自習で進める時の教材は以下を使うのがオススメです。
(1)スタディサプリのような動画授業:理解用。
(2)「高校入試 実力メキメキ合格ノート 中学理科」:暗記用。
(3)問題集:計算問題対策用に「学校のワーク」などの問題集を使用します。
2.7.未習部分の勉強法
進め方は、【動画授業で理解する⇒「高校入試 実力メキメキ合格ノート 中学理科」の該当箇所を読んで理解し暗記する⇒計算問題は問題集も習得する】ようにします。
2.8.どの科目から始めるか
理科は、物理・化学・生物・地学の4教科あります。これらのどれから受験勉強(既習範囲の暗記・習得)を始めるかは、好みで決めて構いません。
苦手な科目から始めたい人はそれでok、得意な科目から始めたい人もそれでokです。物理が苦手な人は、どのくらい時間がかかるか分からないので、後回しにした方が良いですが。
2.9.記憶の原理
記憶には、短期記憶(数時間~数週間もつ記憶)、中期記憶(数週間~数ヶ月もつ記憶)、長期記憶(数ヶ月~数年以上もつ記憶)の3つがあり、受験に必要な知識は、最終的に全て長期記憶に入れる必要があります。
全ての記憶は最初、短期記憶に入り、7日(7回)以上の復習をすれば中期記憶に入ります。中期記憶に入ったかどうかの印は「即答できるかどうか」です。
※7回:何回必要かは科目や内容によります。英単語や社会の用語暗記のような、量が膨大で理解の度合いが少ないものは回数が多く必要で(英単語で数十回~150回前後、社会で10~20回前後)、数学や物理のように理解の度合いが大きい科目は、回数は少なくて済みます(5~10回前後)。
長期記憶に入れるには、中期記憶に入れてから更に2ヶ月以上の復習が必要です。
まとめると以下になります。
【短期記憶⇒7日復習⇒即答⇒中期記憶⇒2ヶ月以上復習⇒長期記憶】
以下では、「高校入試 実力メキメキ合格ノート 中学理科」のような理科の受験用暗記教材を長期記憶に入れる勉強法を書いていきます。
創賢塾のホームページに書かれた勉強法をいち早く習得したい中学生のために【5教科の受験勉強法を習得する3ヶ月自宅集中セミナー】【長期勉強法コース】を開講しています。【中学生用:長期勉強法コース・短期セミナー一覧】はこちら。関心ある方はご参照ください。
3.「高校入試 実力メキメキ合格ノート 中学理科」習得法
3.1.習得法
簡単に言うと、「高校入試 実力メキメキ合格ノート 中学理科」の習得法は以下になります。
【「高校入試 実力メキメキ合格ノート 中学理科」習得法】
(1)章ごとに、1週間前後で10~15周して習得する:毎日1時間弱で、既習範囲は毎週1章を、未習範囲は2週間で1章を習得することが可能です。合計4ヶ月(×毎日1時間弱)で全部習得可能です。
(2)用語を暗記し、問題を解く:見開き2ページを1セットにし、3~4周していったん赤字の用語を即答できるようにします。計算問題や問題は毎回解きます。
(3)用語暗記をしている箇所の本文を週3回黙読する:本文を理解すると暗記もし易くなります。
3.2.詳細な習得法
ここでは毎週1章(約30ページ)を習得するとして書いていきます。
【「高校入試 実力メキメキ合格ノート 中学理科」習得法】
(1)第1章の1周目
①用語暗記:見開き2ページを3~4周していったん赤字の用語を即答できるようにします。
②見開き2ページの1周目:赤シートで隠し、地の文を理解しながら黙読し、赤字の用語を言います。覚えていない用語に印を付け、5回ほど音読していったん暗記します。見開き2ページを1周したらすぐに2周目に入ります。
③見開き2ページの2周目以降:2周目は印を付けた用語のみ、3周目は2周目も言えなかった用語のみ暗記していきます。
2周目以降、地の文は全部読まず、用語の前後をパッと見て答えを言います(時間の節約のため)。3~4周でいったん全部暗記できるはずです。
④次の見開きに:見開き2ページの用語を全部暗記したらすぐに次の見開きに行き、時間の限り先へ進めます。
⑤理解のために第1章の本文を週3回黙読する:内容をしっかり理解すれば暗記しやすいので、用語暗記と並行して、第1章の本文を週3回黙読します。
⑥例題(計算問題):例題は1回解き、間違えたら印を付け、理解して解き直し、解けるようにします。そして、計算問題の場合は【口頭再現法】を行います。
※口頭再現法:書いて解けるようにした後、友人に解説するように、口頭で解説しながら5回解く習得法。10分ほどで問題をスラスラ解けるようにできます。詳しくは【口頭再現法】参照。
(2)第1章の2~15周目
①第1章の2周目:その日、もしくは翌日などに章末まで行ったらすぐに2周目に入ります。2周目は、最初に印を付けた用語のみ、暗記します。
印を付けた用語の前後を読んで答えを言うテストをし、覚えていない用語に更に印を付け、5回ほど音読していったん暗記します。
見開き2ページの2周目はその日印を付けた用語のみ、3周目は2周目に覚えていなかった用語のみを暗記します。3周前後で全部暗記したら次の見開きに。後は同じ。
②例題:周回するごとに例題を解き、間違えたら印を付け、理解して解き直し、解けるようにします。そして、計算問題の場合は【口頭再現法】を行います。以下同。
③第1章の3~15周:同様に、全てを即答できるまで10~15周前後します。完全に暗記し、例題を解けるようにしたら、(それが5日でも10日でも)第2章に進みます。
※10~15周:何周で完全暗記できるかは個々の記憶力・集中力次第ですが、理科は15周すればほぼ全員が暗記できます。
④習得の目標:全赤字を即答できるようにし、全例題をスラスラ解けるようにするのが目標です。即答できたら、中期記憶(数週間~数ヶ月もつ記憶)に入って、ある程度深く暗記できています。
(3)第2章
①習得法:第1章と同じ。
②復習:第2章の暗記と並行して、第1章の復習を週2周します(週40分前後)。計算問題は口頭再現法を行います(もしくは書いて解きます:以下同)。
③復習法:最初に(1つでも印の付いている)用語の前後を読んで答えを言うテストをし、覚えていない用語に印を付け、5回ほど音読していったん暗記します。
見開き2ページの2周目は印の用語のみ、3周目は2周目に覚えていなかった用語のみを暗記します。3周前後で全部暗記したら次の見開きに。後は同じ。
計算問題は口頭再現法で解きます。
④黙読:理解のため、復習する箇所の本文を週1回黙読します。
(4)第3章以降
①復習しながら新しい章を習得する:新しい章を習得しつつ、既習部分を「1章×週2周」復習します。2周で忘れていっているなら、3~4周し、1周で十分そうなら1周にします。
例えば、6週間目は、第6番目の章を10~15周しつつ、既習5章を【「1章×週2周」×5章】復習します。
②学校の既習範囲を習得する:1科目目の、学校や塾の既習範囲の習得が終わったら、未習範囲は飛ばして、2科目目の既習範囲に入ります。例えば、生物の2章分が終わったら地学に入る、などです。
未習範囲は、既習範囲を全部習得し終わったら、習得を始めます。
③途中で復習が追いつかなくなったら1~2週間は復習に専念してよい:週を追うごとに復習量がどんどん増えるので、勉強時間を増やさない限り、新規で毎週1章分を進めるのは当然、だんだん苦しくなります。
その場合、勉強時間を増やすか、新規部分の習得に使う時間を減らすか、1~2週間は復習に専念して、とにかく既習部分の忘却を防ぎます。復習を軽視したら、最後まで習得しても多くを忘れてしまい、何周したら全部習得できるか分かりません。
一方、絶えず復習しながら先へ進めれば、1冊を1周するだけで、(まだ長期記憶には入っていませんが)ほとんどを覚えているので、2冊目に入れます。
(5)1冊目全体1周目が終わったら
①2冊目の習得:しっかり復習していたら、1冊目全体1周目(2科目の既習部分)が終わった時点でほぼ全て習得できているはずです。よって、1冊目の習得が終わったら、すぐに2冊目の習得に入ります。習得法は同じです。
②1冊目の復習:週末2時間、もしくは毎日15分など、2ヶ月以上復習し続け、長期記憶(数ヶ月~数年以上もつ記憶)に入れていきます。復習法は前述。
(6)既習範囲を習得し終わったら
①未習範囲の習得に取りかかる:前述の通り、既習範囲を全部習得し終わったら、スタディサプリのような動画授業、「高校入試 実力メキメキ合格ノート 中学理科」、計算問題対策用の「学校のワーク」などの問題集を使って先取りをします。
②先取りの方法:進め方は、【動画授業で理解する⇒「高校入試 実力メキメキ合格ノート 中学理科」の該当箇所を読んで理解し赤字の用語を暗記する+例題を解く+計算問題は「学校のワーク」などの問題集も解き、習得する】ようにします。
③分からない箇所は誰かに訊く:先取りや習得時に、特に物理や計算問題などで、分からない箇所が出てくると思います。そういうときは誰かに訊くしかありません。学校や塾の先生、友人などに訊いて、疑問をなくします。
④習得期間の目安:毎日1時間弱で、1章分(約30ページ)の先取りをするのにかかる期間の目安は、約2週間です。4教科で約2ヶ月です。
⑤復習:既習部分の復習を、週3時間など、並行して進めます。2ヶ月以上復習し、長期記憶(数ヶ月~数年以上もつ記憶)に入れていきます。
3.3.復習がカギ
多くの受験生は、先に進むことを優先し、復習についてあまり考えていません。そのため、1冊を習得し終わっても、前半をかなり忘れてしまい、全体を2周、3周する必要が出てきます。
しかし、上述のように、いったん即答できるようにし、常に復習しながら先に進めば、復習に時間はさほどかからず、最短で全部を習得できます。そして1冊を1周、習得し終わったら、ほとんどを習得している(はずな)ので、すぐに2冊目に入れます。これは大きな違いです。
よって、常に復習しながら先に進むことです。苦しくても復習を優先させます。
4.「高校入試 実力メキメキ合格ノート 中学理科」の後は
「高校入試 実力メキメキ合格ノート 中学理科」を全部習得した後は、受験用問題集や過去問に入っていきます。
5.終わりに
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
あなたの健闘を祈ります。
創賢塾のホームページに書かれた勉強法をいち早く習得したい中学生のために【5教科の受験勉強法を習得する3ヶ月自宅集中セミナー】【長期勉強法コース】を開講しています。【中学生用:長期勉強法コース・短期セミナー一覧】はこちら。関心ある方はご参照ください。