過去問の英語長文問題を数年分 解くと自分の課題が見つかります。意味の分からない英単語が多い、文法的に分からない箇所が多い、読むのが遅いなど。
このページでは、これらの課題を克服する勉強法と、過去問・英語長文を解けるようにするまでの「英語長文上達プロセス」について書いていきます。
1.過去問・英語長文の課題と解決策
過去問・英語長文の課題には以下のようなものがあります。原因・解決策とともに書いていきます。
1.1.英文の意味が分からない
英文の意味が分からない場合、原因は主に3つあります。
(1)英単語熟語:意味の分からない英単語熟語が多い。
解決策:高校入試用英単語集を1冊暗記しましょう。暗記法は【英単語暗記法】に書いています。
(2)英文法:文法的に分からない箇所が多い。
①中3英語教科書の習得:中学英文法をほぼ網羅的に収録した中3英語教科書全体を以下のように音読することで、英文法を習得し直します。
【「毎日口頭和訳3回+理解しながらの音読5回」×7日⇒次週から「口頭和訳1回+音読5回」×週3回×2ヶ月以上】
音読の目標は【スラスラ和訳できる+90%の理解度で分速150ワード以上で音読でき、長期記憶に入れる】です。
②英語長文問題集の習得:以下のような中学英文法を網羅した英語長文問題集を1冊習得することで、読解英文法(英語長文に出る英文法)を総復習できます。習得法は【「くもんの中学英文読解」習得法】に書いています。
「スーパーステップ くもんの中学英文読解 中学1~3年」(くもん)
「くもんのハイレベル中学英語長文読解」(くもん)
③英文法問題集を習得する:以下のような標準的英文法問題集を1冊習得します。
「中学ニューコース問題集 中学英文法」(学研)
「くわしい問題集英文法 中学1~3年」(文英堂)
(3)内容が分からない:英単語熟語・英文法に問題がないのに、何の話をしているのか分からない、日本語に訳せても意味が分からないなど。
内容が分からない原因は、国語力(日本語力)がない、話題に対する知識がない、などです。よって、対策は以下です。
①国語力を上げる:国語の問題を解く、要約をする、国語教科書や国語問題集の文章を毎日10分音読する、など。
②知識を増やす:例えば、少子高齢化、人種差別についての英語長文問題が入試に出たとして、それまでにそのような話題の文章を日本語・英語で沢山読んでいる人と、ほとんど読んだことのない人では理解度が相当異なります。よって知識は重要です。
対策は、具体的には、国語の10分音読をし、英語教科書・英語長文問題集・過去問の英語長文を沢山読んで知識を増やす、などです。
1.2.資料が読み取れない
理科や社会でもそうですが、資料問題(グラフ・表などが付いた問題)の読み取りが苦手な人がいます。それは英語でも同じで、最近では資料問題の出題が多いので、過去問に出ていて、苦手な人はきちんと以下のような対策をする必要があります。
(1)問題を大量に解く:以下のような問題集で資料問題を大量に解いていれば、読み取り方がだんだん分かってきます。
「高校入試正解 分野別過去問 英語」(旺文社)
「全国高校入試問題正解 英語」(旺文社)
(2)優秀な先生に教えてもらう:自己流で伸びない人は、優秀な家庭教師・個別指導塾の講師などに、読み取り方のコツを教えてもらったり、自分の解き方のチェックをしてもらうのもオススメです。
もしくはスタディサプリなどの動画授業でコツを習得するのも良い方法です。
1.3.英文を読むのが遅い
読むのが遅い原因は、英単語熟語の意味がすぐに出てこないor覚えてない、英文を文法的に理解するのが遅いor理解できない、英文を読むのに慣れていない、大量に読んでいない、返り読みをしている(英文を後ろから訳し上げる)、等なので、対策は以下になります。
(1)英単語熟語:高校入試用英単語集を1冊、即答できるように暗記します。
(2)英文法:英文法問題集を習得し、その例文をスラスラ和訳できるようにします。
「スーパーステップ 中学英文法 1-3年」(くもん)
「中学ニューコース問題集 中学英文法」(学研)
「くわしい問題集英文法 中学1~3年」(文英堂)
「塾で教える高校入試 英語 塾技63」(文英堂)
また、英文法を網羅した以下のような英語長文問題集1冊と、中3英語教科書を、スラスラ訳せる、スラスラ音読できるようにします。
「スーパーステップ くもんの中学英文読解 中学1~3年」(くもん)
「くもんのハイレベル中学英語長文読解」(くもん)
(3)大量の音読:英語教科書や英語長文問題集について、「週300ワード分(≒3年英語教科書1レッスン分)」を「スラスラ和訳できる+90%の理解度で分速150ワード以上で音読できる」ようにし、そういう英文数を「300ワード×50英文以上」にすると、読むスピードが格段に速くなります。
(4)スラッシュ訳を習得する:スラッシュ訳、スラッシュ・リーディングを習得すると、英文を、出てきた順番に、前から前から読める(=返り読みをしなくてすむ)ので、速く読めるようになります。
※スラッシュ訳:3~5ワード前後の意味のまとまりで、前から前から訳す方法。
※スラッシュ・リーディング:3~5ワード前後の意味のまとまりで、前から前から読む方法。
スラッシュ訳は以下のような問題集で習得できます。
「中学英語レベル別問題集1基礎編(公立高レベル)」(安河内哲也著、東進)
「高校入試 実戦!英語長文はこう読む!!」(富士教育出版)
「高校入試英語長文はこう解く!! 3週間完成」(富士教育出版)
1.4.問題が解けない
英文がある程度読めても問題が解けない(or解くのが遅い)場合、以下のような原因があります。
(1)読んで解く順序が分からないor間違っている:以下のように読み、解きます。
①英文だけの場合の読んで解く順序:まずは問いをざっと見て、何に注意をすべきか(数字・金額・人名等)を把握した上で、キーワード(数字・金額・人名・重要な事実等)に印を付けながら本文を読んでいき、下線部や穴埋めがあるごとに前後を読んで問題を解いていきます。
ただし、前後やその段落だけを読んでも解けない問題も多少はありますから、解けそうになかったら最後まで読んでから解きます。
②表やグラフなどの資料がある場合の読んで解く順序:問いをざっと見て、何に注意をすべきかを把握し、資料を簡単に理解した上で、キーワードに印を付けながら本文を読んでいき、資料に関係する箇所に来たら資料の該当箇所を読み、下線部や穴埋めがあるごとに前後を読んで問題を解いていきます。
ただ、これは問題ごとにある程度異なるので、過去問の資料問題を「10年×5回」など解き、また過去問と似た問題を何度も解きながら、自分の最適順序を見つけていきます。
(2)内容を覚えていないので解くのに時間がかかる:対策としては、本文を読むときにキーワードとキーセンテンスに印を付け、段落要約を日本語で書いておきます。
そうすれば、大意把握問題、内容正誤問題など、問題を再度見ないといけない問題を解くときに、該当箇所を比較的速く探せます。
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2.過去問後の勉強法
2.1.得点率50%以上の場合は過去問を解き続ける
過去問の英語長文を解いて合格圏内の得点率(50~60%以上)の受験生はそのまま志望校過去問や以下の問題集を解いていけば大丈夫です。
「高校入試正解 分野別過去問 英語」(旺文社)
「全国高校入試問題正解 英語」(旺文社)
2.2.得点率50%未満の場合は基礎段階のテキストを習得する
得点率が50%以下の場合、特に30~40%以下の場合は、今までの勉強に穴がありますから、それを埋めていく努力が必要です。
具体的には、以下に書いた中で抜けていると思われる部分を習得し、復習し直します。
3.過去問・英語長文を解けるようにする上達プロセス
3.1.英語長文上達プロセス
以下、日頃から行うべき英語長文の勉強法を書きますので、過去問の得点率が低い方は、足りない箇所を補っていって下さい。
過去問を解けるようにする英語長文の上達プロセス
【英文法参考書+1~3年英語教科書
⇒入試用英単語集+標準的英文法問題集
⇒入試用英語長文問題集+入試用英文法問題集
⇒過去問+補強用英語長文問題集】
(1)中学3年間分の英文法を先取りする
①中学英文法は簡単に先取りできる:中学英文法は易しく量も少ないので、中1~2年時から自力で先取りすることが可能です。
②中学英文法を先取りすべき理由:中学英文法を習得すれば、英語教科書を自力で先取りでき、受験対策が早めにできるからです。
③習得法:「解説を理解し、英文を瞬間英作文で暗記し、問題を解き、間違えた問題の英文を瞬間英作文で暗記する」ようにし、全体を5~10周します。
④瞬間英作文:【2回口頭和訳⇒英文を5~7回音読⇒暗唱⇒瞬間英作文(日本語を見て英語に訳す)⇒言えたら次へ、言えなかったら「音読⇒暗唱⇒瞬間英作文」】
⑤習得にかかる期間:「スーパーステップ 中学英文法 1-3年」(くもん)のような薄い参考書を選べば、3~4ヶ月で習得可能です。
(2)英語教科書を先取りする
①英語教科書は簡単に先取りできる:中学の英語教科書は、内容も少なく、文法さえ分かれば先取りが容易なので、英語力アップのために、また受験のために、どんどん先取りしていくのがオススメです。
②先取りの時期:薄い中学英文法参考書を習得しながら、平行して1~2年時から英語教科書をどんどん先取りし、早めに1~3年英語教科書を習得し終えます。早ければ中学1年で中3英語教科書を終えることも可能です。
③英語教科書を「習得」するとは:【「スラスラ和訳できる」+「90%の理解度で分速150ワード以上で音読・黙読できる」ようにし、長期記憶に入れる】
そのための音読法は以下の通り。
【初週:「口頭和訳3回+理解しながらの音読5回」×7日】
⇒【翌週以後:口頭和訳1回+音読5回」×週3回×2ヶ月以上】
④リスニング:音読している箇所を毎日10分「リスニング+シャドーイング」して、リスニング能力を上げていきます。
※シャドーイング:英語音声を聴き、それを完全コピーして約0.1秒遅れて発音する練習。
⑤定期テスト対策:以上の英語教科書の勉強法は、定期テスト用の勉強法とほとんど同じなので、定期テスト対策にもなり、授業やテスト勉強が復習にもなり、長期記憶に入れやすくなります。
⑥3年英語教科書の先取り後は:高校入試用英語長文問題集や過去問に入ることができます。
(3)標準的英文法問題集を習得する
「スーパーステップ 中学英文法 1-3年」(くもん)などの薄い参考書だけでは演習量が不足しますから、参考書を終えたら、標準的英文法問題集で英文法力を上げていきます。
オススメは「中学ニューコース問題集 中学英文法」(学研)です。薄いので、3~4ヶ月で習得可能です。
(4)高校入試用英単語集で英単語熟語を暗記する
英単語熟語を暗記しなければ過去問や入試の英語長文は読めませんから、英文法参考書の先取りが終わったら(もしくは平行して)、入試用英単語集を暗記します。
オススメは「短文で覚える英単語1900」(文英堂)です。暗記法は【英単語暗記法】に書いています。
(5)入試用英語長文問題集を習得する
3年英語教科書を習得し終わったら、過去問に入る前に、入試用英語長文問題集で20~30英文(×300ワード)を習得し、入試基礎を固めます。時期的には中3の4~8月に終えたいところです。
オススメは「スーパーステップ くもんの中学英文読解 中学1~3年」(くもん)です。習得法は【「くもんの中学英文読解」習得法】に書いています。
(6)入試用英文法問題集を習得する
標準的英文法問題集を習得し終わったら、入試用英文法問題集を1冊習得します。これで入試レベルの英文法力・英作文力を培えます。
オススメは「英語 塾技63」(文英堂)です。
(7)過去問を解く
(8)過去問と補強用英語長文問題集を入試まで解いていく
過去問を解いて自分の課題を見つけたら、自分の課題に合った問題集を選び、習得していきます。
3.2.オススメ中学英文法先取り用参考書
薄い参考書を選びます。復習しやすく、習得しやすいからです。
「スーパーステップ 中学英文法 1-3年」(くもん)
「くもんの中学英文法」(くもん)
「Z会 中学英文法Fine」(Z会)
「中学 英語を もう一度ひとつひとつわかりやすく」(学研)
3.3.英語教科書を先取りすべき理由
(1)理由1:英語教科書には、各学年で習得すべき英文法・英単語熟語が網羅されていて、英語長文の勉強に最適だから。
(2)理由2:学校で学び、テストもあるので、強制的に復習でき、長期記憶に入れやすいから。
(3)理由3:3年英語教科書まで先取りし、きちんと「習得」すれば、高校入試用英語長文問題集や過去問をかなり(40~60%以上)解けるようになるから。
(4)理由4:英語教科書の先取りを終えるのが早ければ早いほど、入試に有利だから。
3.4.オススメ標準的英文法問題集
「中学ニューコース問題集 中学英文法」(学研)
「くわしい問題集英文法 中学1~3年」(文英堂)
「これでわかる英文法中学1~3年」(文英堂)
「完全マスター中学英文法―中学1~3年」(くもん)
3.5.オススメ高校入試用英単語集
「高校入試 短文で覚える英単語1900」(文英堂)
「例文で覚える中学英単語・熟語1800」(学研)
「システム英単語中学版」(駿台)
「高校入試 でる順ターゲット 中学英単語1800」(旺文社)
3.6.オススメ高校入試用英語長文問題集
「スーパーステップ くもんの中学英文読解 中学1~3年」(くもん)
「中学英語レベル別問題集1基礎編(公立高レベル)」(CD付き、安河内哲也著、東進)
「中学英語レベル別問題集2標準編(私立高レベル)」(CD付き、安河内哲也著、東進)
「高校入試 実戦!英語長文はこう読む!!」(富士教育出版)
「高校入試英語長文はこう解く!! 3週間完成」(富士教育出版)
3.7.オススメ高校入試用英文法問題集
「塾で教える高校入試 英語 塾技63」(文英堂)
「英文法難関攻略20選」(東京学参)
「最高水準問題集 高校入試 英語」(文英堂、難関高校用)
「くもんのハイレベル中学英語―文法・作文」(くもん出版)
3.8.オススメ補強用英語長文問題集
「高校入試正解 分野別過去問 英語」(旺文社)
「全国高校入試問題正解 英語」(旺文社)
「高校入試スーパーゼミ 英語長文」(文英堂)
「受験生の50%以下しか解けない 差がつく入試問題 英語」(旺文社)
「中学 英語長文 ハイクラステスト」(受験研究社)
【終わりに】
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
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