このページでは、評論文を「論理的に読めるようにできるトレーニング」について書いていきます。
目次
1.評論文は人に自分の主張を納得させるための文章である
「評論文」とは、ある「テーマ(主題)」の特定の「問題」について、筆者の「主張」の正当性を論理的に論証していくことで、また、その主張を支える「根拠」を複数挙げることで、読者を「納得」させるための文章です。
例えば、「日本人の外国語学習時の態度、考え方」(テーマ)における「西洋中心主義、西洋人への日本人の劣等感」(問題)について、「西洋中心主義から抜け出すべき」(主張1)で、そのためには「まず劣等感を持っていることを自覚すべき」(主張2)という「主張」を展開し、その論証のために、「日本人が西洋に持っている劣等感」の「言語学習にまつわる具体例や権威ある学者の言葉の引用を書く」(根拠)、などです。
2.人を納得させるには「型」と「パーツ」が必要である
「主張」の論証方法には「型」があり、その「型」には、特定の「パーツ」が使われます。その型とパーツ(部品・要素)を使えば人が納得するのです。そういう文章のことを「論理的」と言います。
言い換えると、人間が「納得」するには幾つかの特定のパーツ(テーマ、問題、主張、根拠の4つ)が必要であり、その要素を特定の順番で(この順番が「型」)書いた文章のことを「論理的」と言います。
例えば、人は他人の主張の「主張」だけを聞いても、同意することはまれです。同意するにはその結論を支える「根拠(証拠)」が必要です。人を納得させるに足る合理的な根拠を複数示されて初めて、人はその主張に納得するのです。よって、「根拠」も「論理的」であるための不可欠な要素です。
3.評論文の「型」を理解する
評論文の論証の型(方法)には、主に2つあります。
しかし、中身を見ていただいたら分かるように、結局は、「主張をどこに書いているか(最初か最後か)」の違いでしかありません。よって、重要なのは、「筆者の主張を見つけること」です。主張は「最初か最後か両方」にたいていは書いてあるので、そこに注目して読めばよいことになります。
①演繹型:「主張-根拠-主張」
最初に主張を述べ、最後にもたいてい結論として主張を述べる。この型はすぐに筆者の言いたいこと(主張)が分かるので、分かりやすい。
②帰納型:「根拠-主張」
最後に主張(結論)を述べる。この型は最後にしか言いたいことが分からないから理解しにくいが、日本人は言いたいことを最後に持って来たがるので、この型も多い。
意味内容から、当該文章がどの型に該当するか、言い換えれば、主張や根拠がどこにあるか、を判別しながら文章を読んでいきます。
4.評論文の「パーツ」を理解する
評論文の主なパーツは以下の3つです。以下の「型」と「パーツ」を認識することで、文章全体の「構造と流れ(話の筋)」が理解できます。
①テーマ:主題・話題。何について書かれているか、ということです。
②主張:問題への主張・意見・解決策・結論。
③根拠:「主張」を提示されただけでは、読者は通常、納得しませんから、著者は読者が納得できる「根拠」を複数書きます。根拠には、「理由、説明(理由の詳述)、定義・分類、例示・具体例、科学的データ、引用、体験談、対比、比喩、因果関係、予想される反論とそれへの反駁、時系列変化」などがあります。「根拠」は主張を補助するものなので、脇役のパーツです。ただし、根拠の例を見ていただいたら分かる通り、文章の中に占める割合は「根拠」が一番大きくなります。
【論理的な読み方を教わり、模試の偏差値が40から60に上がりました】
Mさん(高校3年生、東京都)
創賢塾に入塾するまでは、現代文は才能とセンスの問題だと思っていました。自分では全くセンスがなく(模試の偏差値40!)、どのように手をつけてよいかわかりませんでした。
英語と日本史についてはそれなりに手ごたえを感じてきていましたが、現代文については成績の伸びを実感することがなかなかできませんでした。
今年の春休みから長山先生にご指導をいただき「出口の実況中継シリーズ」の3冊目を終えるところまで来ました。毎回、1題をスカイプ授業で指導していただいています。
現代文はセンスの問題ではない、著者の主張をいかに読み解くか、そこには論理があるので、その論理を読み取るようにといつも教えていただいております。
又、学校の先生にも現代文の要約を添削してもらうにしてきました(これも長山先生の指導)。最近になって学校の先生から要約がうまくなってきたと言われました。要約の内容からしっかり勉強していることが伝わってくるとも言われました。
やっとですがすこしづつ論理的に読むことができる様になってきました。
それに伴って、模試の偏差値(河合塾全統)も、教わる前の2年生の時は40前後をうろうろしていましたが、最近は60まで伸ばすことができました。ありがとうございます。
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5.評論文の2種の読み方
評論文の読み方には2つあります。
5.1.小学生の読み方:文章全体の構造を考えないで読む「平板な読み方」
小学生のように、1行1行の重要性が等しい(等価だ)と思って読む、平板に読む読み方。ただ意味だけを追っていく読み方。
「平板な」とは、地図を見ると、高いビルも低いビルも、その高さ(価値・重要性)が区別・理解できないように、1文1文が、具体例も引用も結論も等価に(価値・重要性が等しく)見える、重要な文も重要性が低い文も区別できない、ということであり、また、各段落や文の、全体における位置づけやそれぞれの関係も分からない、という意味です。
5.2.論理的な読み方:意味と文章全体の構造の両方を追っていく「立体的な読み方」
論理的文章に必ず備わっている「型とパーツ」を探して、各文や段落の「役割(問題提起、具体例、結論など)」を確定しながら、かつ、意味も追っていく、という立体的な読み方。
「立体的」とは、鳥が上空から地上を見る(鳥瞰的に見る)とき、山は高く、川は低く、立体的に見えるように、重要なものは、手前に大きく、重要なものとして見える、重要性が低いものは後ろに小さく、重要性が低いものとして見える、ということです。また、上から見ると、山と川の位置関係、全体の構図が手に取るように分かるように、「意味」と「構造」を同時に理解し、並行処理することで、段落相互の関係や各段落の役割、文相互の関係や各文の役割が明確に区別でき、把握できるということです。
日本では「(2)論理的な読み方」がほとんど教えられていませんから、たいていは「(1)平板な読み方」をしています。皆さんもそうだと思います。
6.「立体的な読み方」の具体的方法
「意味と構造(型)を把握しながら評論文を読む」とは、「文章を意味と形から読む」ということです。例えば以下のようにして読んでいきます。
6.1.文章の「型」を判別しながら読む
上記の通り、評論文の型の代表例には以下の2つがあります。
①演繹型:「主張-根拠-主張」
②帰納型:「根拠-主張」
意味内容から、当該文章がどの型に該当するかを判別しながら文章を読んでいきます。
どの型か分かれば、当然、主張や主旨を把握しやすくなります。
6.2.各段落や文がどの「パーツ」に該当するかを判別しながら読む
評論文には「型」を構成する「パーツ(部品)」が4つ(テーマ・問題・主張・根拠)あります(キーワード・キーセンテンスも評論文の重要パーツですが、「型」の構成要素ではないのでここでは除外)。このパーツのどれに、それぞれの段落、文が該当するかを見ていくことで、各段落、文の「役割」と相互の「関係」が分かります。
このように評論文を読めれば、内容だけを追っていくより、数段効率的なのがお分かりになることと思います。
【現代文の読み方、解き方が進歩しています】
Tさん(25歳、社会人、入塾時偏差値35、千葉県、中央大学国際情報学部[偏差値61]合格)
現代文について、今までは、解答・解説を読んでも、その解説以前のところが分からなかったりして、結局どうやったら解説通り解けるようになるのか分からずに、なんとなく解くことしかできませんでした。
しかし創賢塾の授業では、本文をどう読んでいるか、どういう意味か、キーワードやキーセンテンスはどれかまで細かく確認しながら進めてくれます。また、私のペースに合わせて、分かるまで教えてくれるので、ちゃんと納得できました。
特に、自分では分かっていたつもりになって読み飛ばしていたところが多々あり、そのような、自分で勉強してもずっと気づかなかったかもしれないところを見つけてもらえるのは本当に有り難いです。
まだ塾を初めたばかりですが、以前と比較すると、少しずつ根拠を探せるようになっており、進歩していると思います。
7.評論文を論理的に読めるようにするトレーニング
ここまで述べてきた「平板な読み方」を「論理的な読み方」に速やかに変換するトレーニング方法があります。
「論理的な読み方」を身につけたい方はぜひ実践してみて下さい。そのトレーニングとは要約トレーニングです。
評論文を論理的に読めるようになるには、評論文の「型」と「パーツ」を区別できるようになることが必要です。それには「要約」をすることが最適です。「型」と「パーツ」の知識を要約時に駆使することで、「型」と「パーツ」の知識が定着するからです。
要約は、その文章で筆者が最も言いたいことをまとめる作業です。「筆者の最も言いたいこと」とは、「主張」であり、その次に言いたいことは「テーマ」です。この3つの中にも入っている文章全体の重要な言葉が「キーワード」で、主張が簡潔明瞭にまとめられた文が「キーセンテンス」です。
よって、評論文の要約では、評論文の主要素である「テーマ・主張」とその中にある「キーワード・キーセンテンス」を見つけ、副要素である「根拠」を見つけて全て外します。あとはこれら5つの主要素を主張を中心にまとめれば、要約の完成です。
「論理的読み方」をマスターするには、10文、20文とこの要約トレーニングをし、更に、同じ文で2回、3回と復習をすることが役立ちます。
要約トレーニングについては【要約マニュアル】で詳しく解説しています。
8.終わりに
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
皆さんの健闘を祈ります。
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【創賢塾の勉強法が役立っています】
Fさん(高校1年生、千葉県)
期末テストの結果が返ってきました。
先生に教えていただいた通りに勉強した科目に関しては、90点以上またはトップ3に入ることが出来ました。
点数は、コミュニケーション英語97点(同75点)、英語表現91点(同76点:学年2位)、数学A97点(同65点:学年1位)、現代文84点(平均69点:学年2位)、古文92点(同78点)、世界史91点(同86点)、日本史97点(同87点:学年3位)でした。
しかし、少しサボった科目-数学1:86点(平均72点)、生物基礎83点(平均77点)、化学基礎87点(平均72点)-に関しては満足いかない点数でした。総合では学年4位でした。
反省点がたくさんあるので、夏休みも、教えていただいた、英語の瞬間英作文、音読法、数学の口頭再現法、古文単語の暗記法、訳の暗記、品詞分解などをしっかり続けていきます。
英単語の暗記(クイック・レスポンス法)は、出来るだけ毎日2時間やっているのですが、とても効果があり、実際に実践できた日はその日の英単語はほとんど覚えることが出来ています。これからも続けていきたいです。