このページでは、フレーズ型の英単語集である「システム英単語」(駿台文庫)を、最大限ストレスなく、最大限短期間で暗記する方法を書いていきます。
この暗記法は、「システム英単語Basic」(駿台)や「英単語ピーナツ 金メダル」(南雲堂)のようなフレーズ型、コロケーション型の英単語熟語集の暗記にそのまま使えます。
この暗記法の場合、2000フレーズに含まれる全英単語の日本語訳を約56時間(最初20%知っている場合)で、長期記憶に入れるまで2ヶ月復習する時間を入れると約100時間で「即答」できるようになります。
例えば、1日1時間なら約3ヶ月、夏休みなどに1日3時間できるなら、約1ヶ月で長期記憶に入れられます。
1.「システム英単語」
1.1.「システム英単語」とは
「システム英単語」は、最も高評価かつ売れている大学受験用英単語集の1つで、語法やコロケーションなどの関連の深い言葉と一緒にフレーズで覚える英単語集です。
※語法:英単語の使い分けのこと。ある英単語がどの前置詞と一緒に使われやすいとか、ある動詞がto不定詞を伴うか現在分詞を伴うかなど。
※コロケーション(連結語句):よく一緒に用いられる英単語同士の組み合わせのこと。例えば、「傘を差す」と言いたい場合、英語では「hold an umbrella」「open an umbrella」と言う、など。
フレーズで覚えるメリットは、単語単体で覚えるより、英単語の意味をイメージしやすくなり、覚えやすく、忘れにくくなる、使い方も一緒に覚えられる、などです。
1.2.フレーズ型英単語集の最適暗記法
フレーズ型英単語集の暗記法は以下の3つが考えられます。それぞれの利点・欠点も書きます。
(1)英単語単体で暗記する:単語の意味はできれば複数暗記する。「システム英単語」で言えば赤字の日本語訳を暗記する。例えば「patient|患者、忍耐強い、しんぼう強い」の3つのうち赤字の2つを暗記する。派生語、熟語は後回し。
「システム英単語」のメリットはフレーズにあり、英単語単体で覚えるなら「システム英単語」の必要はありません。「英単語ターゲット1900」(旺文社)や「鉄緑会東大英単語熟語 鉄壁」(角川)のような英単語羅列型の英単語集を使えばよい。
(2)英語フレーズを和訳・音読できるようにする:英語フレーズを見て日本語訳を即答でき、90%の理解度で(英語としては完全に理解して)音読できるようにする。日本語訳はフレーズに使われている1語義のみを先ず暗記する。フレーズ暗記を1周終わらせてから、2周目で複数語義を、3周目以後に派生語・熟語等を暗記するようにする。
フレーズだと、英単語単体よりイメージしやすいため、暗記しやすく、また忘れにくい。1語義だけでは難関大学入試には実際には足りないが、1語義だけなら1冊を早く終わらせることができ、1語義を暗記すれば2語義目は暗記しやすい。
(3)フレーズを和訳・音読・英作文できるようにする:和訳・音読に加えて、日本語訳から英語フレーズを言えるようにする。
これは理想ですが、英作文をできるようにするには時間がかかり、挫折率が高まります。また、大学入試の英語では「長文読解」が7割を占め、英作文は10~15%に過ぎませんから、英作文の重要性は高くありません。よって、特に記憶力が良い人、やる気も時間も満ちていて、今までにも単語集・問題集をサクサクと暗記してきた人以外の普通の人は、英作文は後回しがオススメです。
以上から、創賢塾が考える、「システム英単語」のようなフレーズ型英単語集の最適な暗記法は、「(2)フレーズを和訳・音読できるようにする」になります。
1.3.「システム英単語」暗記の目標
この暗記法の到達目標は以下の3つです。
(1)英単語暗記:英語フレーズ中の全英単語の日本語訳を即答できるようにする(見出し語以外も含めて)。
(2)フレーズ暗記:英語フレーズをスラッシュ訳で和訳でき、90%の理解度でスラスラ音読できるようにする。
(3)リスニング:音声を聴いて意味がスラスラ分かるようにする。
1.4.スラッシュ訳とは
「スラッシュ訳」とは、3~5ワード前後の意味のまとまりで前から前から英文を訳す方法です。英文を速く読んだりリスニングには不可欠な勉強法です。
例えば、「make a fuss about nothing:くだらないことに大騒ぎする」であれば、「くだらないことに大騒ぎする」と訳すのではなく、「大騒ぎする、くだらないことについて」と訳します。
1.5.「90%の理解度」とは
90%の理解度で英語を理解できる状態とは、「英語としてはほぼ完全に理解できる状態」です。
「100%の理解度=日本語訳を読んだときの理解度」「60%の理解度=英文を読んで、理解に時間がかかったり理解できない部分が20%ほどある状態」などと考えます。
日本人は(最初は)英語を英語のままは理解できないので、90%の理解度で音読できるためには、日本語で英語を理解することが必要です。
具体的には、「スラッシュ訳を頭の中ではっきり言いながら音読」します。これを「1日5回×7日」ほど繰り返すことで、自分が読んでいる箇所の日本語訳を頭の中でスラスラ言えるようになり、それにより、英語が「ほぼ完全に理解」できます。
もちろん、簡単な英単語で英語のまま理解できるものもあり(例:deskは「机」と訳さなくても意味が分かる)、それは英語のまま理解しますが、英語のまま理解できない英単語は、音読時にスラッシュ訳を頭の中ではっきり言います。
例えば、「make a fuss about nothing:くだらないことに大騒ぎする」であれば、make a fuss と音読すると同時に(あるいは少し遅れて)「大騒ぎする」と頭の中で言い、about nothing と音読すると同時に「くだらないことについて」と頭の中で言います。
これを「1日5回×7日」ほど続けることで、他の英文でmake a fuss が出てきたときに「大騒ぎする」という意味が出てくるようになります。
音読時に、スラッシュ訳ではなく、意味が通る普通の日本語訳を頭の中で言うと、make a fuss と音読したときに「くだらないことに」と理解し、about nothing と音読したときに「大騒ぎする」と理解することになり、違う意味を暗記することになるので、不都合です。
【夏休み5週間で1000単語暗記できました】
Sさん(高校1年生、長野県)
英単語暗記自宅セミナー受講
使用英単語集:「システム英単語Basic」(駿台)
記憶した英単語数:1000。
かかった日数・時間:5週間、35時間。
高一の息子が、夏休みに英単語一冊を覚えたいと言うので、効率よく暗記するにはどうしたらよいのかとネットで調べた所『1ヶ月で2000英単語を暗記する自宅セミナー』に辿りつきました。
指導頂いた暗記法は反復する回数が多く、息子はこんな回数できるわけないと、初めのうちは毎日文句をいいながら行っていました。指導通りの回数は中々できませんでしたが、3週目あたりから少しずつ暗記法に慣れていきました。結果的に、夏休み5週間で1000単語くらい覚えました。
初めの頃は、反復の多さにうんざりし、1ヶ月のセミナーが終わったら創賢塾はやめると言っていたのですが、暗記法が身についてくると単語以外の勉強法も習いたいと言い、今は数学と英語の勉強法を指導頂いています。今後もどうぞよろしくお願いいたします。
2.「システム英単語」暗記法
2.1.暗記法
暗記法は以下のようになります。これで、上記「(1)英単語暗記」「(2)フレーズ暗記」が可能です。
【「システム英単語」暗記法】
【「英語100フレーズを3回ずつ口頭和訳⇒100フレーズを5回ずつ音読」×7日で10周】
(1)口頭和訳
①スラッシュ訳:「3~5ワード前後の意味のまとまりで、前から前から訳す」。
口頭和訳は「スラッシュ訳」で行います。それにより、音読した順番に前から理解できるようになり、リスニングが得意になります(聴いた順番に理解できるから)。
②英単語暗記:口頭和訳時や音読時に日本語訳がすぐに思い浮かばない英単語は、見出し語以外でも、以下のようにしていったん暗記します。
【「英単語⇒日本語訳」×5回音読】
③口頭和訳の最適回数:3回というのは目安で、簡単なものは1~2回、難しいものは3~4回。いったんスラスラ和訳できるまで口頭で和訳します。
初日は2~3回ですが、4日目あたりには1回で済むフレーズが半分以上になります。
(2)音読
①理解しながら音読する:そのために音読は「スラッシュ訳を頭の中で言いながら行う」。
②音読の最適回数:5回というのは目安で、90%の理解度で音読できるまでの回数が最適回数です。最初の2~4日は5回かかるものが多く、5日目以降は、簡単なフレーズは2回前後、難しいフレーズは4~5回音読して、90%の理解度にしていきます。
「90%の理解度」とは「英語としてはほぼ完全に理解できる状態」です。
2.2.最初にテストし暗記する100フレーズを選ぶ
既に意味を知っている英単語、フレーズを暗記する必要はありませんから、テストして意味の知らない英単語、フレーズを選びます。
テストは以下のようにします。
「英語フレーズの各英単語を見て日本語訳を言う」+「フレーズの日本語訳を言う」⇒訳を見て、分からなかった英単語、即答できなかった英単語に印を付ける(見出し語になっていない単語でも即答できなかったら印を付け覚えていく)。
英語フレーズだけ訳す場合は推測で正解する場合もあるので、必ず「英単語」が即答できるかのテストもします。
即答できたフレーズは外します(暗記しない)。外した単語、フレーズには×等の印を付けます。
暗記すべきフレーズが100個になるまでテストし、100個になったらそこまでを1セットにします。ただし、ページの途中で100の場合はそのページ全部を含めます(100超にすることもある、という意味)。
創賢塾のホームページに書かれた英単語暗記法をいち早く習得したい高校生のために【英単語帳1冊を全部暗記する3ヶ月自宅集中セミナー】【1000英単語を暗記する1ヶ月自宅集中セミナー】【長期勉強法コース】を開催しています。【高校生用:講座・セミナー一覧】はこちら。関心ある方はご参照ください。
2.3.具体的暗記法
以下では、毎日30分で週100フレーズ暗記する場合の暗記法を具体的に書いていきます。
いろいろ書いていますが、簡単に言うと、以下の5つです。
①メイン暗記法:英語フレーズを【「1日3回口頭和訳⇒5回音読」×7日】で暗記する。
②補助暗記法:即答できない英単語を【「英単語⇒日本語訳」×5回音読】で暗記する。
③口頭和訳と音読の回数を徐々に減らしていく。
④時々テストして即答できるようになったフレーズを外す。
【「システム英単語」の具体的暗記法】
(1)1日目:【英語100フレーズを3回ずつ口頭和訳⇒100フレーズを5回ずつ音読】
①口頭和訳:英語フレーズをスラスラ和訳できるまで、口頭で、スラッシュ訳で3回前後和訳します(簡単なものは1~2回、難しいものは3~4回)。2~3秒で訳が思い浮かばない場合、すぐに訳を見て訳を暗記します。
②音読:口頭和訳が100フレーズ終わったらすぐに、100フレーズを意味を理解しながら5回ずつ音読します。
【意味を理解しながら=頭の中でスラッシュ訳の日本語訳を言いながら】
③初日1周:100フレーズを音読し終わって30分を超えていたらそこで終了、30分未満なら2周目に入り、30分になるまで続けます。知らない単語が多ければ、初日は40~50分かかる場合もありますが、できるだけ1周終わらせます。
(2)2~3日目
①「3回口頭和訳⇒5回音読」:1日1周以上行います(30分でできる分だけ)。
②口頭和訳の回数:日が経つにつれスラスラ言えるようになれば、「1周目3回⇒2周目2回⇒3周目1回」などと減らします。
③音読の回数:頭の中で日本語訳をすぐ言えるようになれば、回数は減らします(3周目で3回など)。
(3)3日目からテスト:口頭和訳のとき、初回に全英単語の訳を即答できるフレーズに印を付けて外し、残りのフレーズを30分で集中的に暗記します。テストは、3日目、5日目、7日目などに行います。
(4)4~7日目:「1回口頭和訳⇒3回音読」を1日2周以上行い(30分でできる分だけ)、週10周以上して、全フレーズ、全英単語の意味を即答できるようにします。
口頭和訳の回数は、スラスラ言えるフレーズは1回、スラスラでないものは2~3回。
音読の回数は、頭の中で日本語訳をすぐ言えるフレーズは1~2回、そうでないものは3~5回。
(5)5~7日目に覚えにくい英単語を自作英単語帳にまとめ、暗記する
①自作英単語帳:100英単語のうち、5~15%ほど、どうしても覚えられない、覚えにくいものがあります。その英単語を自作英単語帳にまとめ、暗記します。まとめるのは英単語の方が良いですが、フレーズを入れても構いません。
1週間で暗記した後の復習はこの英単語帳を中心にします(覚えにくい、忘れやすい英単語を集めているため)。
②暗記時間:自作英単語帳記載の英単語数は毎週増えていきます。仮に50英単語を覚える場合、1日15分暗記します。
③5~7日目:30分のうち、先ず自作英単語帳の暗記をやり、残った時間でフレーズの「口頭和訳+音読」を2周前後します。
④翌週:新規で100フレーズ暗記しながら、別途時間を取って自作英単語帳を暗記します。
2.4.英単語帳の工夫
(1)同義語をまとめる:例えば、「considerable:かなりの」「significant:かなりの、大幅な、重要な」「substantial:かなりの、大幅な、実質的な」などの同義語、似た意味の単語はまとめて覚えるのが良い。また、英単語集(本)のconsiderable の所に「かなりの=significant」のように書き加え、一緒に覚えると良い。
(2)似た英単語をまとめる:例えば、「complement:補完する、合う」と「compliment:ほめる」と「implement:実行する」などの似ていて混同しやすい単語はまとめて覚えるのが良い。また、英単語集(本)のcomplement の所に「compliment:ほめる」「implement:実行する」のように書き加え、一緒に覚えると良い。
(3)どうしても覚えられない英単語はフレーズを覚えるのが良い:「reserve:予約する」「conserve:節約する、保護する」「preserve:保存する」が覚えにくい場合、「reserve a hotel:ホテルを予約する」「conserve energy:エネルギーを節約する、conserve nature 自然を保護する」「preserve a building:ビルを保存する」のような覚えやすいフレーズを、「システム英単語」や辞書から見つけて英単語帳にまとめ、暗記すると、覚えやすい。
2.5.「即答」できるまで続ける
7日で全部即答できるようになるはずですが、即答できない英単語は上記のように単語帳にまとめ、以後、即答できるまで毎日暗記します。
7日で暗記できない英単語も、8~14日続ければ必ず暗記できます。
2.6.毎日10分リスニング
音読して意味が分かるようにしたフレーズを、通学中や勉強時間の合間などに、毎日10~30分リスニングをするのがおススメです。
聴いて英単語、フレーズの意味を理解できたら、それだけで復習になりますし、リスニング能力もアップします。
2.7.姿勢を変えると続きやすい
机の前に座って暗記するとストレスがたまりやすく、15分以上続きにくいので、立ったり、歩いたりすると良い。
最もストレスがたまりにくいのは歩きながらの暗記です。例えば、直径1メートルの円周を5~8秒かけてゆっくり歩けば、物にぶつかりもせず、疲れず、ストレスもたまりません。
3.「システム英単語」復習法
3.1.復習の必要性
1週間連続して暗記したら「即答」できるようになりますが、しかし、それで一生忘れないかというと、それほど甘くありません。
まだ中期記憶に入っただけですから、復習しないと数週間~数ヶ月で少しずつ忘れていきます。
※中記記憶=数週間~数か月持つ記憶。短期記憶を中記記憶に入れるには、7日間復習を続ける必要がある。「即答」できることが中記記憶に入った印。
中期記憶に入った記憶を長期記憶(数ヶ月~数年以上持つ記憶)に移行させるには、2ヶ月以上の復習が必要です。よって、「システム英単語」も2ヶ月以上復習して長期記憶に入れていきます。
3.2.復習法
以下では1週間で暗記したフレーズ、英単語を長期記憶に入れる復習法を書いていきます。
【「システム英単語」を長期記憶に入れる復習法】
(1)フレーズの音読:全ての英単語の日本語訳がすぐ思い浮かぶフレーズは1回、そうでないフレーズは3回音読します。
以上を100フレーズにつき「10分×週2回」復習します。つまり、例えば3週間で300フレーズ暗記したとしたら、第4週目の復習は以下のようになります。
【「10分×週2回」×3セット=週60分(1時間)≒1日10分】
(2)毎日10分リスニング:音読して意味が分かるようにしたフレーズを、通学中や勉強時間の合間などに、毎日10~30分リスニングすると、それだけで復習になります。
3.3.長期記憶に入れるまでにかかる時間:約100時間
100フレーズに付き週3.5時間ですから、合計約70時間で2000フレーズの意味を暗記できます。最初から20%知っている場合は約56時間です。
更に、復習は100フレーズ当たり「週20分×2ヶ月」なので、合計約53時間です。最初から20%知っている場合は、総計約110時間です(実際には復習時間はだんだん少なくて済むので約100時間で完全暗記できます)。
3.4.英単語暗記は短期集中が決め手
英単語暗記は短期必勝です。短期間で集中的に暗記すればするほど、暗記にかかる総時間は少なくなります。
なぜなら、1日の暗記時間が少なく、期間が長くなると、覚えていくと同時に前の部分をどんどん忘れていくからです。よって、英単語は毎日最低30分は暗記すべきです。
夏休みに1日3時間など暗記すると、約1ヶ月で2000フレーズを暗記できます。
4.終わりに
ここまでお読みいただきありがとうございました。
この文章によりあなたの英単語暗記が少しでも楽になれば幸いです。
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