このページでは英文和訳問題(下線部和訳問題)の得点力をアップさせるための問題集である「英文和訳演習」シリーズ(駿台、伊藤和夫著)の習得法&長期記憶に入れる復習法について書いていきます。
1.「英文和訳演習」シリーズ
1.1.「英文和訳演習」シリーズとは
「英文和訳演習」シリーズとは、「英文和訳演習 入門編」から始まる4冊組の問題集です。1980~90年代の出版ですが、今なお英文和訳の分野では最も評価の高い問題集の1つです。
著者である伊藤和夫氏はかつての伝説的な駿台予備校英語講師で、英文解釈書の最高峰である「英文解釈教室」(研究社)シリーズの著者です。
1.2.「英文和訳演習」シリーズの対象者
英文和訳(下線部和訳)は今も根強く出される出題形式です。皆さんももちろん解いたことがあるでしょう。
しかし、たいていは自己流で解いていて、どう上達させたらよいか分かっている高校生、各英文をどう訳すのが正しい方法かを突き詰めて考え、合格点を取れる訳し方ができる高校生は少ない。
このシリーズは、そういう高校生が「正しい英文和訳法」を習得したい時に役立つ本です。志望校に英文和訳問題が出るなら、ぜひ習得して下さい。
1.3.「英文和訳演習」シリーズに取り組む時期
以下の問題集を終えた(もしくは取り組み中の)方が対象になります。特に、英文解釈書の中級、上級を終えている必要があります。
中~上級英単語帳1冊(「英単語ターゲット1900」等)、英熟語帳1冊、英文法問題集1冊、英文解釈書2冊。
1.4.習得目標
(1)正しい英文和訳法の習得:英文を英文解釈的に正しく理解し和訳するだけでなく、日本語として自然で意味が分かるように書く方法を習得します。
(2)英文の習得:「和訳+音読」により、90%の理解度で分速150ワード以上で読めるようにし、更に長期記憶に入れて入試で使える知識にします。
2.「英文和訳演習 上級編」を習得する
2.1.毎日1時間など決め、全体を3~4周して習得する
1日30分で1~2問、1時間で3~4問が目安です。1~32番を通して進め、全体の和訳を3周程度行います。
それと並行して、英文自体を音読で習得していきます。
2.2.「英文和訳演習 上級編」習得法
以下では「英文和訳演習 上級編」を例として習得法を書いていきます。「英文和訳演習 入門編」等でも同じです。
【「英文和訳演習 上級編」の習得法&長期記憶に入れる復習法】
(1)和訳を書く:英文を読み、分からない英単語熟語は推測し、意味が取れない箇所はSVOCMを振って理解に努め、10~15分程度で和訳を書きます。
和訳は下線部だけでも良いですが、せっかくなので全文を和訳するのがオススメです。
(2)解答解説を読む:解答解説・日本語訳を読み、理解し、自己添削します。知らなかった英単語熟語・文法、間違えた箇所に印を付けます。
(3)暗記:暗記事項(英単語熟語・構文・文法)をルーズリーフにまとめて暗記します。
(4)2周目以降:全体を1周終わったらすぐ2周目に入ります。2周目以降は全文訳は書かず、まず口頭で和訳し、自信がある場合は訳を見て確認し、自信がなかったりすぐに和訳できない文は和訳を書きます。
和訳がサラサラと言えるまで3周前後行います。
(5)英文を音読で習得する:和訳を書くのと平行して、英文自体を習得します。これは和訳より時間がかかるので、和訳に遅れて付いていく感じになります。
【習得:「英文をスラッシュ訳で1日3回口頭和訳する⇒スラッシュ訳を思い浮かべながら1日5回音読する」×7日】
(6)英文の音読は2ヶ月以上復習して長期記憶に入れる:いったん習得しても、復習しなければ忘れていくので、必ず、以下のように復習して「スラスラ和訳・音読できる状態」を維持します。
【復習:1日1英文5分(1回和訳+5回音読程度)×週2回×2ヶ月以上】
3.英文の習得法と長期記憶に入れる復習法
3.1.英文を習得する
英語長文を得意にするには、英文の理解度・読むスピードを上げる必要がありますが、それは英語長文を多数「習得する」ことで可能になります。
(1)英文を「習得する」とは:「英文をスラッシュ訳でスラスラ和訳できる+90%の理解度で分速150ワード以上で音読・黙読できる」ようにすること。
(2)「スラッシュ訳」とは:3~5ワード前後の意味のまとまりごとに、前から前から訳していく方法。これにより、返り読みせずに英文を読むことができ、速読・速聴が可能になります。
(3)「90%の理解度」とは:「英文としてはほぼ完全に理解できる状態」。
「100%の理解度=日本語訳を読んだときの理解度」「60%の理解度=英文を読んで理解に時間がかかったり、理解できない部分が20%ほどある状態」などと考えます。
(4)「分速150ワード以上」とは:300ワードの英文なら2分以内で読める速度です。既習の英文を分速150ワード以上で読めるようにすれば、速読が可能になります。
3.2.【90%の理解度にする音読法】
【「英文をスラッシュ訳で1日3回口頭和訳する⇒スラッシュ訳を頭の中で言いながら1日5回音読する」×7日】
90%の理解度で音読できるようにするには、「スラッシュ訳を頭の中ではっきり言いながら音読する」ことが不可欠です。自分が読んでいる箇所の日本語訳を頭の中でスラスラ言えて初めて、英語が「ほぼ完全に理解」できます。
日本人が「英語を理解する」とき、初めから「英語を英語のまま理解する」ことはできません。最初は「英語を日本語で理解する」しかありません。その方法が「(日本語訳をボヤーっと思い浮かべるのではなく)スラッシュ訳を頭の中ではっきり言う」ことです。
同じ英文を上記のように理解しながら30回ほど音読すると、90%の理解度で音読できるようになり、更に100~200回以上音読・黙読していくと、だんだん「英語を英語のまま理解する」ことができるようになります。
英語のまま理解できる英文を増やすことが、速読のための究極の勉強法です。
3.3.和訳・音読の回数の目安:【英文をスラスラ和訳できる+90%の理解度で分速150ワードで音読・黙読できるまでの回数】
「1日5回音読」などの回数は目安です。英文難易度、自分の英語力などにより適正回数は変わります。難しい英文なら50回かかるかもしれませんし、簡単な英文なら20回で90%の理解度に達するかもしれません。
「英文をスラスラ和訳できる+90%の理解度で分速150ワードで音読・黙読できる」状態になるまで「和訳+音読」を続けます。
3.4.長期記憶に入れるために2ヶ月以上復習する
【復習:1日1英文5分(1回和訳+5回音読程度)×週2回×2ヶ月以上】
例えば「英文和訳演習 上級編」で、週4文章を音読で習得するとします。5週間目は以下のように勉強します。
【第17~20文章の「口頭和訳+音読」×30分×7日】+【第1~16文章を「1回口頭和訳+5回音読」×毎日2問で10分復習=週140分】
こうして2ヶ月ほど復習すると長期記憶に入り、数ヶ月~数年以上持つ記憶になり、入試でその知識が使えます。
3.5.毎週500ワードの英文を「習得」し、長期記憶に入れる
これは「英文和訳演習」から離れた話になりますが、英語長文読解力・速読力を伸ばすには、英単語熟語の暗記を進め、「スラスラ読める英文の数を増やし、長期記憶に入れる」ことに尽きます。
それは、スラスラ読める英文の数が30英文、50英文、100英文と増えれば、模試や入試などの初見の英文の中に入っている「英単語熟語・文法・構文」の共通する量が加速度的に増えて、初見の英文でも即理解できる部分が増えるからです。
そのために、学習した英文を、週500ワードずつ習得し、それを2ヶ月以上復習し長期記憶に入れます。1年間で「50英文×500ワード」、2年間で「100英文×500ワード」も習得すれば、大学受験レベルの英文なら毎日500ワードの英文1つ(1時間)でも習得が可能なくらい、英語力が上がります。
多くの高校生は、英語長文教科書さえ、いったんスラスラ読めるようにすることをやっていませんが、それで初見の入試の英語長文をある程度スラスラ読めるようになるわけがありません。勉強方法を変えましょう。
3.6.ルーズリーフに習得した英文リストを書き、計画的に復習する
毎週500ワード分を増やしていくと、数ヶ月も経つと、10英文以上になり、だんだん復習を自分の頭だけでは管理しきれなくなります。
よって、習得した英文をルーズリーフにリスト化し、以下のように日付、回数などを書いて管理します。その日どの英文を復習すべきかが、ルーズリーフの日付を見れば一目瞭然になります。
【「英文和訳演習 上級編」1~4(約260ワード)|7/10~16、音読30回習得、英単語熟語暗記、7/20音読5回で維持OK、……】
【終わりに】
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。「英文和訳演習」の習得法は以上の通りです。
この文章が皆さんのお役に立てれば幸いです。
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