このページでは、早慶上智大をはじめとする難関~超難関私立大学志望の受験生が、入試の日本史で合格点を取れるようにする暗記戦略について書いていきます。
文系の中堅私立大学(河合偏差値50~60レベル)志望の方は共通テスト対策で十分ですから【日本史の共通テスト対策(1)暗記戦略】を、二次に日本史論述がある国公立大志望者は【日本史の論述対策(1)通史暗記】をご参照下さい。
1.日本史暗記の全体像
難関私立大学志望の受験生の日本史暗記の全体像は以下の通りです。暗記の目標、その際使う教材の種類、使用順序、オススメ教材、そして暗記法も紹介していきます。
【日本史暗記の全体像】
(1)目標1:記憶の軸を作る
①記憶の軸とは:日本史のように膨大な知識を暗記しようとするとき、最初から細かい知識まで暗記しようとするのは非効率的です。忘れやすいからです。
枝葉の細かい知識ではなく、まず根や幹に相当する事項(時代・天皇・権力者・各時代の代表的な出来事とその順序)や歴史の流れ・俯瞰的知識を暗記し、記憶の軸を作ると、それが記憶のフック(鉤=カギ)となり、細かい知識を暗記しやすくなります。
②歴史の流れとは:重要歴史用語(法律・戦争・人物等)についての「時代背景・原因・理由・目的・因果関係・主要人物・経過・結果・後代への影響」のことです。
共通テストでも難関大入試・論述試験でも、歴史の流れの問題は頻出ですから、流れを理解し暗記することは最優先・最重要です。
③俯瞰的知識とは:「歴史の流れプラス、政治・経済・文化等の特定のテーマに関する特徴・比較・意義」のことです。
つまり、歴史を大きな視点で整理した内容を指します。難関大学ほど、俯瞰的知識が問われる傾向があります。
④オススメ教材:できるだけ1~2年生のうちに、内容が少なく読みやすい「学研まんが NEW日本の歴史」(全12巻、学研)のようなマンガや、「超速!最新日本史の流れ」(全2冊、合計420ページ、ブックマン社)のような概説書を10周以上読んで、あるいはスタディサプリなどの動画授業を1~2周見て、記憶の軸を作るのがオススメです。
(2)目標2:通史暗記をする
①通史暗記とは:歴史の流れと用語を一通り暗記し、共通テストレベルの問題で7~8割以上、志望校レベルの問題で5~6割以上取れるようにすることです。
通史暗記をいかに早く終わらせるかが受験勉強の課題になります。
②歴史の流れの暗記教材:教科書や「石川晶康 日本史B講義の実況中継」(語学春秋社)などの参考書を5周以上読んで、歴史の流れを理解し暗記します。
③2種の用語暗記:用語暗記には2種あり、1つは、穴埋め問題や一問一答問題により、人名や歴史用語、年代を言えるように暗記することで、これが普通の用語暗記です。
もう1つは、重要な歴史用語の意味・中身を言えたり、人物の業績を言えるように暗記することで、これを用語の意味の暗記と言います。難関大入試では両方必要です。
④用語暗記教材:「日本史B一問一答【完全版】」(東進)のような一問一答問題集や穴埋め問題集で、志望校レベルの用語を暗記します。
⑤年代&年表暗記教材:「元祖 日本史の年代暗記法」(旺文社)のような年代(年号)暗記本を1冊暗記し、教科書の年表、権力者の暗記も行います。
⑥補助教材:通史暗記時には、用語や人物の業績を調べるための「日本史用語集」(山川出版社)のような用語集、歴史の流れを理解するための「詳説日本史研究」(約560ページ、山川出版社)のような参考書、史料の解説や現代語訳が載っている「詳説日本史史料集」(山川出版社)のような史料集、写真や絵、年表・系図などを視覚的に見て理解する「山川 詳説日本史図録」(山川出版社)のような資料集を補助として用い、理解を深めます。
⑦問題演習:流れと用語を暗記した後、「実力をつける日本史100題」(Z会)などの難関私立大学対策問題集を1冊暗記します。
(3)目標3:志望校過去問を習得する
①過去問も習得する:過去問は、ただ解くだけでなく、理解し暗記します(=習得します)。
また、過去問を解いたら、過去問まとめ帳に傾向と対策を書きます。過去問まとめ帳の書き方は【日本史の難関私大対策(3)通史暗記後の勉強法】参照。
それらにより、志望校の傾向と対策が身を以て深く分かり、入試問題の解き方に慣れ、入試レベルの知識を暗記していくことができます。
②解く年数:入試までに、本命校は10~20年分以上、チャレンジ校・滑り止め校は5~10年分以上解いて暗記し、合格レベル(7~8割以上)に持っていきます。
(4)目標4:弱点を補強する
過去問を解いて気づいた自分の弱点(正誤問題・史料問題・文化史が弱い等)について、既習の問題集を復習したり、年号暗記本、史料・文化史・テーマ史・正誤問題集などの専用の問題集を習得して、知識・理解を補強します。
(5)目標5:長期記憶に入れる
以上を絶えず復習して長期記憶(数ヶ月~数年以上もつ記憶)に入れます。
【創賢塾の勉強法で、テストの点数が21点上がりました】
Mさん(高校2年生、東京都)
私立文科系志望で選択科目は日本史です。高校2年生までは英語を主体に勉強をしてきました。
社会の選択科目は日本史で、やることはやっていましたがただ単純に一問一答を暗記するだけでした。この方法では学校の定期試験も60点台で頭打ちの状態でした。
創賢塾を受講するようになり、先生から最初に教えていただいた勉強方法はまず日本史流れを徹底的に理解しなさいということでした。具体的には「日本史石川の実況中継」を範囲を決め5回黙読すること、そしてその範囲の一問一答を20周暗記するということでした。
実況中継を一周するときは少し苦労しましたが、2周めはそれほど大変でもありませんでした。そして2周した後からは一問一答の暗記の定着率がとても上がりました。最終的に5周した時には以前の方法に比べると格段に暗記の定着率が上がったと実感しました。
最近期末試験が終わったのですが、日本史のテスト結果は82点でした(前回から21点アップ)。やはり創賢塾の勉強方法はすごいと実感しました。
以下では、順番に勉強法を書いていきます。
2.記憶の軸を作る
本格的な通史暗記の前に、マンガや概説書を読んでいれば、日本史全体の流れと用語の概略を頭に入れることができます。
【記憶の軸を作るための教材と暗記法】
(1)日本史マンガ
①マンガをオススメする理由:マンガは情報量が少なく、絵があり、読み進めやすく、楽しく学習できるため、暗記しやすいからです。
②選択肢:日本史マンガには以下のようなものがあります。
「まんが日本の歴史」(全15巻+別巻4冊、角川)
「学研まんが NEW日本の歴史」(DVD付、全12巻、学研)
「学習まんが少年少女 日本の歴史」(全24巻、小学館)
「学習まんが 日本の歴史」(全20巻、集英社)
「学習まんが 日本の歴史」(全20巻、講談社)
「新マンガゼミナール 日本史」(全2巻、学研教育出版)
「マンガ 日本の歴史がわかる本」(全3巻、三笠書房)
最もオススメなのは「学研まんが NEW日本の歴史」です。DVD付きで記憶に残りやすく、12巻という量も、多すぎず少なすぎず、適量です。
20巻もあるようなマンガ全集は避けた方が無難です。1周読むだけで20時間以上かかり、多数回読めない(=暗記しにくい)からです。
③暗記法:勉強の合間などに、週10~20冊読むなどし、10周以上読んで、マンガの内容を全て常識にします。「学研まんが NEW日本の歴史」であれば、10~20週間で10周読めば、ほぼ暗記できます。
④読む時期:マンガといえども結構時間がかかるので、できるだけ1~2年生のうちに読むのが賢明です。
(2)概説書
①選択肢:マンガの次に、もしくは代わりに、以下のような概説書を読むのもオススメです。
「共通テスト 日本史Bの点数が面白いほどとれる本」(650ページ超、中経出版)
「共通テストはこれだけ! 日本史B 講義編」(全2冊、合計450ページ超、文英堂)
「超速!最新日本史の流れ」(全2冊、合計420ページ、ブックマン社)
「一度読んだら絶対に忘れない日本史の教科書」(352ページ、SB)
「きめる! 共通テスト日本史」(350ページ超、学研)
「教科書よりやさしい日本史」(256ページ、旺文社)
オススメは「超速!最新日本史の流れ」です。教科書より用語の情報量が少なく、歴史の流れがよく分かるようになります。
②暗記法:小説のようにサラサラと【「週1周×10週間」で10周】読むなどして、全てを常識にします。
(3)動画授業
マンガや概説書と並行して、もしくは単独で、スタディサプリなどの動画授業で通史を見ると、通史の理解が進みます。
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3.通史暗記教材と暗記法
3.1.通史暗記戦略
難関~超難関私大を狙う高校生の日本史の通史暗記戦略には、主に以下のような6つのルートがあります。下線部(理解用教材)以外の部分は同じです。
どのルートがふさわしいかは、個々人の日本史の暗記度・理解度・記憶力、志望校のレベル・傾向、好き嫌い次第です。詳しくは後述。
【日本史の通史暗記戦略】
(1)【マンガ10周+概説書10周】⇒「石川晶康 日本史B講義の実況中継」(5周黙読+赤字暗記)⇒一問一答問題集⇒難関私立大対策問題集
理解用教材として「石川晶康 日本史B講義の実況中継」(語学春秋社)を用い、どうせ読むのなら、赤字の用語も暗記した方が効率が良いので、赤字も暗記する方法です。ただ、「石川晶康 日本史B講義の実況中継」の赤字だけでは不安が残るので、最終的には一問一答問題集も暗記する必要があります。
この通史暗記法は【日本史の難関私大対策(2)通史暗記で「石川晶康 日本史B講義の実況中継」を使う勉強法】参照。
(2)【マンガ10周+概説書10周】⇒【「石川晶康 日本史B講義の実況中継」(5周黙読)+一問一答問題集】⇒難関私立大対策問題集
理解用教材として「石川晶康 日本史B講義の実況中継」を用い、用語暗記には一問一答問題集を用いる方法です。この通史暗記法は【「東進 日本史B一問一答【完全版】」暗記法】参照。
(3)【マンガ10周+概説書10周】⇒【「石川晶康 日本史B講義の実況中継」(3周黙読)+教科書10周音読+一問一答問題集】⇒難関私立大対策問題集
理解用教材として教科書を用いますが、教科書だけでは理解しにくいので、「石川晶康 日本史B講義の実況中継」を平行して読む方法です。この通史暗記法は【「東進 日本史B一問一答【完全版】」暗記法】参照。
(4)【マンガ10周+概説書10周】⇒【教科書10周音読(+「石川晶康 日本史B講義の実況中継」)+一問一答問題集】⇒難関私立大対策問題集
教科書を読めばだいたい理解できる人が、理解用教材として教科書を用いる方法です。ただ、理解しにくい箇所については「石川晶康 日本史B講義の実況中継」などを参考書的に用います。この通史暗記法は【「東進 日本史B一問一答【完全版】」暗記法】参照。
(5)【マンガ10周+概説書10周】⇒【教科書20周音読(+「石川晶康 日本史B講義の実況中継」)+一問一答問題集】⇒難関私立大対策問題集
教科書を丸暗記する方法です。この通史暗記法は【日本史暗記法(3-2)日本史教科書を丸暗記する方法】参照。
理解しにくい箇所については「石川晶康 日本史B講義の実況中継」を参考書的に用い、用語暗記の確認として一問一答問題集を用います。
(6)「金谷の日本史 なぜと流れがわかる本」5周黙読⇒【教科書10周音読+一問一答問題集】⇒難関私立大対策問題集
マンガ+概説書を1~2年のうちに読めなかった人は、「石川晶康 日本史B講義の実況中継」より内容量が少なく、日本史全体の流れを把握しやすい「金谷の日本史 なぜと流れがわかる本」を5周ほど読んで、まず、全体の流れの概略を理解し暗記するのがオススメです。
その上で、理解本として、教科書か「石川晶康 日本史B講義の実況中継」を選び、上記(1)~(5)のどれかのルートを使って暗記していきます。
3.2.教科書か参考書か
通史暗記の際、教材選択で一番迷うのは理解用参考書の選択です。選択肢は、教科書か「石川晶康 日本史B講義の実況中継」(のような教科書より詳しい参考書)の主に2つあります。
ともに、9割以上暗記すれば、超難関私大でも合格レベルを超えられます。それぞれの長所・短所・合う人は以下。
(1)教科書
①長所:知識量としては超難関大合格に十分なのに、「石川晶康 日本史B講義の実況中継」よりずっと量が少ないことです。
②短所:内容が凝縮されているので、理解しにくいと感じる人が多いことです。
③教科書が合う人:1~2年生のうちにマンガや概説書を10周以上読むなどして、日本史の大まかな流れや重要人物・事件等を暗記できていて、教科書を読むのが苦でない人・教科書を読んでだいたい理解できる人・教科書を5~10回以上読んだら内容をかなり暗記できる人には、教科書がオススメです。
なぜなら、「石川晶康 日本史B講義の実況中継」よりページ数が遙かに少なく、何度も繰り返し読める(つまり暗記しやすい)からです。
④論述問題対策:慶応大学経済学部のように論述問題が、配点の3割以上を占めるような大学・学部の場合、教科書を選ぶのが得策です。
なぜなら、論述は教科書の文章をそのまま暗記していればほぼ書けるからです。一方、参考書をそのまま暗記するのは量的に無理があります。
⑤迷っている人:教科書と「石川晶康 日本史B講義の実況中継」の両方を読んで、理解度に大きな差がなく、どちらか迷っている人は、教科書をメインにするのがオススメです。何度も繰り返し読めて、暗記しやすいからです。
(2)教科書より詳しい参考書
①長所:教科書よりずっと理解しやすいことです。
②短所:教科書より遙かにページ数が多く(「石川晶康 日本史B講義の実況中継」で教科書の4倍)、10回以上読んで全部暗記するのは困難だということです。
③参考書が合う人:教科書だと理解しにくいが、参考書だと理解しやすい人、5回以上読めると思った人、参考書と一問一答問題集で通史をしっかり暗記できる人は、参考書をメインの理解本に選びます。
④選択肢:難関私立大、特に早慶上智大等の超難関私立大学志望の人には、一番詳しく分かりやすい「石川晶康 日本史B講義の実況中継」がオススメです。
「石川晶康 日本史B講義の実況中継」(4冊1500ページ超、語学春秋社)
「金谷の日本史 なぜと流れがわかる本」(4冊1000ページ弱、ナガセ)
「これならわかる!ナビゲーター日本史B」(4冊1000ページ弱、山川出版社)
「石川晶康 日本史B講義の実況中継」が理解しにくい、もしくは量が多くて何度も読めないと思うなら、「金谷の日本史 なぜと流れがわかる本」か「これならわかる!ナビゲーター日本史B」を読んで、自分にとって理解しやすく、何度も読めそうな本を選びます。
3.3.定期テストで使ってみる
自分の選んだ教材と暗記法で上手くいくかどうかは、実際に暗記してみれば分かります。
例えば、定期テスト時に、自分が選んだ参考書と一問一答問題集で暗記してみて、上手くいったら、受験勉強時にも上手くいくと思います。
3.4.一問一答問題集
(1)選択肢:以下のような一問一答問題集があります。レイアウトや構成の好みもあるので、書店で手に取って選ぶのが良いと思います。オススメは、早慶合格者の多くが使っている「日本史B一問一答【完全版】」(東進)です。
「日本史B一問一答【完全版】」(東進)
「山川 一問一答日本史」(山川出版社)
「一問一答 日本史Bターゲット4000」(石川晶康著、旺文社)
「入試に出る 日本史B 一問一答」(Z会)
(2)一問一答問題集暗記法:【「東進 日本史B一問一答【完全版】」暗記法】参照。
3.5.難関私立大学対策問題集
(1)難関~超難関私立大学対策問題集:一問一答問題集で志望校レベルの用語まで暗記し終わったら、以下のような難関~超難関私立大学対策問題集を10周以上解いて、全問スラスラ解けるように暗記します。
「実力をつける日本史100題」(Z会)
「日本史問題集 完全版」(金谷俊一郎著、東進)
「日本史B標準問題精講」(石川晶康著、旺文社)
「HISTORIA[ヒストリア] 日本史精選問題集」(学研)
(2)暗記法:【「実力日本史100題」習得法】参照。
【日本史の受験勉強法が分かってきました】
Yさん(高校2年生、海外、早稲田大学進学)
日本史の勉強では、定期的に復習することで原始から現在勉強している範囲までをきちんと覚えていられるようになりました。
今までは新しいところばかりを重点的に勉強してしまい、前の範囲が頭からかなり抜けていることが多かったです。でも、創賢塾で教えられた通り、計画を立てて前の内容も忘れず毎週復習していくと、新しい知識が増えていってもしっかり身に付いていました。
新しい分野と前の分野を勉強するので最初は時間がかかり大変ですが、何回もやっていくと短時間でできるようになりました。
3.6.年代・年表・最高権力者の暗記
上記の通史暗記教材を暗記しながら、もしくは通史暗記後、以下の年代と年表、最高権力者名を暗記していきます。
【年代・年表・最高権力者の暗記法・教材】
(1)年代暗記
①年代暗記は必須:直接問われることは少なくても、知っていれば、頭が整理でき、共通テストでも私立大入試でも大変役立ちます。
②時期:通史暗記と並行して、もしくは通史暗記後に暗記します。
③選択肢:以下。オススメは、年号だけでなく、将軍や戦乱などのまとめも多い「元祖 日本史の年代暗記法」です。
「元祖 日本史の年代暗記法」(旺文社)
「まんが必修年代暗記法日本史」(文英堂)
「高校 マンガとゴロで100%丸暗記 日本史年代」(受験研究社)
「新 日本史 頻出年代暗記」(学研教育出版)
④暗記法:【「元祖 日本史の年代暗記法」習得法】参照。
(2)年表暗記
①年表:通史暗記中、もしくは通史暗記後に、教科書の巻末にある8~10ページほどの年表(年代、最高権力者名、政治・経済・社会の出来事、文化)を暗記します。世界の歴史用語は、必要性が低いので、暗記しなくて結構です。
②メリット:年表を暗記することで、日本史の大きな流れを正確に記憶でき、知識が整理でき、共通テストや私大入試で頻出する「年代順並べ替え問題」が得意になります。
③暗記法:【日本史暗記法(1)年表暗記法】参照。
(3)最高権力者名の暗記
①最高権力者名:教科書の年表に書いてある、平安時代までの天皇名、鎌倉時代以降の将軍・執権名、明治時代以降の首相名を順番に全部暗記します。
②メリット:最高権力者名を順番に暗記することで、歴史の流れがより明確になります。
③暗記法:【日本史暗記法(1)年表暗記法】参照。
3.7.通史暗記の補助教材
【通史暗記の補助教材】
(1)用語集:意味の知らない用語や初めて見た人物名等は覚えにくいので、用語集で調べ、用語集にマーカーを引き、理解します。そして必要に応じて、要約を自分の暗記教材にメモしておきます。
「日本史用語集」(山川出版社)
「日本史用語集〈究〉」(河合塾)
「日本史用語集」(旺文社)
「必携日本史用語」(実教出版)
一番使われている「日本史用語集」(山川出版社)がオススメです。
(2)参考書:自分の暗記教材の文章を読んで流れや内容が理解できない箇所があるとき、以下のような参考書で調べ、理解します。そして必要に応じて、要約を自分の暗記教材にメモしておきます。
「詳説日本史研究」(約560ページ、山川出版社)
「石川晶康 日本史B講義の実況中継」(4冊1500ページ超、語学春秋社)
「金谷の日本史 なぜと流れがわかる本」(4冊1000ページ弱、ナガセ)
「これならわかる!ナビゲーター日本史B」(4冊1000ページ弱、山川出版社)
「共通テスト 日本史Bの点数が面白いほどとれる本」(650ページ超、中経出版)
詳しく分かりやすい「石川晶康 日本史B講義の実況中継」か、最も詳しい「詳説日本史研究」がオススメです。
(3)史料集:教科書や参考書掲載の史料を読んで意味が分からないとき、日本史史料の解説や現代語訳が載っている以下のような史料集で、理解を深めます。
「詳説日本史史料集」(山川出版社)
「眠れぬ夜の土屋の日本史―史料と解説」(土屋文明著)
「新詳述日本史史料集」(実教出版)
「石川晶康 日本史B講義の実況中継」(史料の現代語訳掲載、語学春秋社)
「日本史史料一問一答【完全版】」(東進)
史料問題が過去問によく出る大学・学部志望生には「日本史史料一問一答【完全版】」(東進)を1冊暗記するのがオススメです。その他の受験生には詳しい「詳説日本史史料集」(山川出版社)がオススメです。
(4)資料集:自分の暗記教材に載っている用語・内容を、資料集の写真・史料・年表で確認することで、視覚的に理解・暗記しやすくなります。
「山川 詳説日本史図録」(山川出版社)
「図説 日本史通覧」(帝国書院)
学校で配られたものがあればそれで良いです。なければ安心の山川の資料集がオススメです。
【定期的に復習することの重要性が分かりました】
Yさん(高校2年生、海外、早稲田大学進学)
日本史の勉強では、定期的に復習することで原始から現在勉強している範囲までをきちんと覚えていられるようになりました。
今までは新しいところばかりを重点的に勉強してしまい、前の範囲が頭からかなり抜けていることが多かったです。でも、創賢塾で教えられた通り、計画を立てて前の内容も忘れず毎週復習していくと、新しい知識が増えていってもしっかり身に付いていました。
新しい分野と前の分野を勉強するので最初は時間がかかり大変ですが、何回もやっていくと短時間でできるようになりました。
4.過去問の傾向分析
4.1.過去問で傾向と対策を分析する
共通テストレベルの通史暗記が終わったら、志望校レベルの通史暗記を続けながら、平行して、志望校・学部ごとに、過去問を3年分など解き、傾向分析をします。
※傾向とは:難易度・問題形式(マーク式か記述問題か、正誤問題、資料・史料・地図問題が出るかどうか)、出やすい時代・テーマ(近現代・文化史が出やすい)などのこと。
傾向分析をするべき理由は、大学・学部によって傾向が異なり、傾向が変われば対策(教材・勉強内容)も変える必要があるからです。
例えば、志望大学・学部が5つあるとしたら、「毎週3年分×5週間」で15年分、1学部当たり3年分を解けば、各学部の傾向がだいたい分かります。
このときは解いて傾向分析をするだけで、まだ暗記をする必要はありません。志望校レベルの通史暗記が終われば、過去問を解いて暗記していきます。
4.2.過去問の解き方
【傾向分析するときの過去問の解き方】
(1)解く
①制限時間内に解く⇒延長して解く:まだ志望校レベルの暗記が終わっていない場合は、解けないのが当たり前なので、分からない問題は飛ばしつつ、一通り解きます。制限時間内に終わらなければ延長して解きます。
②自分の使用教材を参照して良い:この時点では傾向を分析し対策を考えるのが目的で、どのくらい解けるかは重要ではないので、自分のメインの理解教材(教科書・参考書)・暗記教材(一問一答問題集)・用語集等を参照しながら解いても構いません。
参照することで、合格レベルの知識を暗記するには、どういう部分を理解し暗記すればいいかが、身をもって分かるようになります。また、自分の手と頭を使って調べることで、理解と暗記が進みます。
③メモ:参照したとき、その教材に大学・学部名をメモし、過去問まとめ帳(後述)にも書きます。
例えば、過去問の内容が「日本史用語集」(山川)にしか載っていなかった場合、その箇所に下線を引き、「W文化21」(早稲田大学文化構想学部2021年、という意味)などと書きます。そうすると、その学部でどこまでの語彙が必要か、分かってきます。
(2)解答・解説を読んで理解する
解き終わったら、解答・解説を読み、理解します。
(3)過去問まとめ帳
①記入例:入試問題を解いたら、必ず、傾向と対策を過去問まとめ帳に書きます。これは、ルーズリーフに縦線を引き、以下のような感じで書いていきます。
【21年○○大、傾向と対策|①織物史(通史)、選択肢問題と用語を漢字で書く問題が半々、用語はだいたい山川教科書にある(太字でない用語も暗記する必要がある)、②飛鳥~鎌倉時代の外交史。史料あり、東進一問一答の赤字レベルまで必要。難問。東進を完璧に覚えたら何とかなる。③~~】
具体的には、以下のような内容を書きます。
②問題形式:資料・史料・地図問題の有無、史料・リード文の長さ、問題数、時間、論述・用語を問う小問もあるか。選択肢問題か、用語を漢字で書く問題があるか、論述問題があるか、あればその長さ。
③内容の傾向:用語や問題・史料の難易度、分野(政治史・社会史・経済史・文化史)・時代・テーマ。頻出分野。
④どういう知識が必要か:合格レベルの点数を取るのに、用語・年号の知識暗記だけでOKなのか、流れの理解や俯瞰的知識も必要か。自分が使っている教材で足りるのか。
※俯瞰的知識とは、「歴史の流れ(歴史用語の時代背景・原因・理由・目的・因果関係・主要人物・経過・結果・後代への影響)プラス、政治・経済・文化等の特定のテーマに関する特徴・比較・意義」のことです。つまり、歴史を大きな視点で整理した内容を指します。難関大学ほど、俯瞰的知識が問われる傾向があります。
⑤同じ内容:同じテーマ・題材、似たテーマ・題材が何度も出ていないか。
⑥対策:以上の傾向分析をもとに、対策を考え、ルーズリーフに書きます。例えば、志望校の過去問で「近世・近代の経済史」の出題が多い場合、近世から暗記を始める、経済史をしっかり暗記するなど。
5.終わりに
ここまでお読みいただき、誠にありがとうございました。
皆さんが日本史を得意科目にするのに、この記事が参考になれば幸いです。
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