世界史論述で合格点を最速で取るために習得する必要があるのは「知識・過去問・記述力・読解力」の4つです。
この4つを身に付けるのに必要な勉強は、主に「教科書類の暗記・論述問題の模範解答の暗記・論述を書いて添削を受けること」の3つだけです。
このページではこの3つの勉強法について書いていきます。習得すべき4つについてはこちらに書いています。
1.教科書類の暗記
1.1.実は難しい「通史の暗記」
世界史の受験勉強では、誰でも「通史の暗記」をまず行います。これは教科書類(自分のメインの暗記本)と用語暗記用問題集(一問一答問題集など)の暗記で達成できます。
教科書類の暗記が成功するかどうかが、まず第一の関門です。
ほとんどの受験生が通史の暗記の途中で受験を迎えます。それは、世界史の知識量が膨大で、自分に合った「効率的な暗記法」を見つけられないと、「覚えては忘れ、覚えては忘れ」を繰り返し、知識が定着しないからです。
効率的な「教科書類と用語暗記用問題集の暗記法」はこちらで解説しています。
1.2.共通テスト過去問で8割取れるようになったら論述対策へ
通史暗記から論述対策に移行する目安は、「共通テスト過去問or共通テスト模試で8割以上取れる」ようになってからです。8割取れないうちは知識不足で論述は書けません。教科書や一問一答問題集を10周、20周と暗記し続けましょう。
教科書類を音読で9割以上暗記し、論述対策に入ったのちも、以下の3つの方法で、教科書類の暗記は続けます。
1.3.通史の復習
(1)週1回以上黙読
いったん通史を9割暗記しても、必ず少しずつ忘れていきます。よって、入試まで記憶を維持するため、教科書類全体の黙読を週1回以上続けます。黙読であれば速く読めるので、それほど時間はかかりません。週1回読めば記憶は維持でき、2回以上読めば記憶を深化できます。
このとき、俯瞰的知識〔タテの歴史(流れ・因果関係)、ヨコの歴史(同時代の地域間の影響関係)、(時代・指導者・文化の)特徴、(戦争・事件・宗教の)意義など〕に注意しながら読みます。
(2)タテの歴史を読む
タテの歴史を暗記するには、通史の週1回の黙読とは別に、教科書の各国史・地域史を通して読むことをオススメします。例えば、中国なら中国、アメリカならアメリカのタテの歴史を何度も読んで、タテの流れを暗記し直すのです。
教科書類では、各国・地域のタテの歴史はバラバラに出てきて、頭の中で流れがなかなかつかめません。タテの歴史をまとめて読むことで、タテの歴史が一本につながり、記憶がより強固になります。
(3)ヨコの歴史は「ヨコから見る世界史」で
論述試験に頻出の「ヨコの歴史」は教科書類ではカバーしきれないので、以下のような専用の参考書で暗記するのがオススメです。
「ヨコから見る世界史」(学研)
「タテ×ヨコから見る世界史問題集」(学研)
「タテヨコ総整理 世界史×文化史 集中講義12」(旺文社)
オススメは、【「ヨコから見る世界史」10周音読・完全暗記⇒「タテ×ヨコから見る世界史問題集」10周】のラインです。
1.4.教科書類の俯瞰的知識を「世界史論述まとめ帳」にまとめ、暗記する
(1)初見のテーマで合格点を取るために必要な2つの勉強法
自分が受ける実際の入試では、おそらく「初見のテーマ」が出されます。問題集にも過去問にもなく、初めて目にするテーマです。こういう初見の問題にも対処できるためには、「俯瞰的知識を網羅的に暗記する」しか方法はありません。その方法は2つあります。
1つ目は過去問や論述問題集をできるだけ多く解き、模範解答を暗記していくことです。
2つ目は教科書類の暗記です。「俯瞰的知識を網羅しているのは教科書類」ですから、上記のように俯瞰的知識に注意しながら教科書類を入試まで読み続けます。
(2)世界史論述まとめ帳に俯瞰的知識をまとめ、暗記する
志望校の過去問の傾向に合った俯瞰的知識を「世界史論述まとめ帳」にまとめていくのも非常に有効です。例えば、「政治史の意義」がよく出される大学なら、「政治史の意義」を中心にまとめるなどです。
これは、ルーズルーフに縦線を引いてタテに2つに分け、左に質問、右に答えを書きます。例えば、以下のような感じです。
【30年戦争の原因、参戦国、経過、結果を述べよ|①原因~~、②参戦国~~、③経過~~、④結果~~】
自分の頭と手を使ってまとめる(要約する)ことで、ただ読んでいるときより、頭が整理でき、記憶が深くなり、記述力が驚くほどアップします。
そして、毎週末に30~60分の時間を取り、まとめた内容を暗記していきます。
2.論述問題の模範解答の暗記
2.1.論述対策のメインは模範解答の暗記
論述対策のメインは、「論述を書くこと」ではなく、「論述問題の模範解答を暗記すること」にあります。
なぜなら、いくらたくさん論述を書いても、論述を書くのに必要な「知識(俯瞰的知識)」も覚えないし、「論述構成法」も身に付きませんが、論述問題の模範解答を理解して暗記していけば、俯瞰的知識も論述構成法も身に付いていくからです。
もちろん、最終的には論述を書いていきますが、それは、100~200問以上の論述問題の模範解答を暗記した後の方が効率的です。
2.2.模範解答を100も200も暗記できるのか?
「論述問題の模範解答を100~200問以上暗記する」と簡単に書きましたが、普通の人はこう思うでしょう。
100も200も、模範解答を暗記できるのか?
それができるんですよ。
1解答当たり「1日10回×10日」音読すれば、誰でも簡単に暗記できます。これは英語の教科書の暗記にも使える効率的な暗記法です。
暗記にかかる時間は、論述の長さにもよりますが、例えば、400字の論述問題の模範解答を100個なら、約120~150時間です(読む速さ・記憶力等により個人差があります)。夏休みに仮に模範解答暗記に1日2時間使えるとしたら、それだけで約70個暗記できます。覚えれば覚えるほど暗記しやすくなりますから、実際にはもっと速く暗記できます。
「論述の解答は丸暗記でいい」
ブログ「一橋大学二次試験:世界史対策」より
(世界史の参考書は)究極を言ってしまえば、教科書と用語集(「世界史用語集」山川出版社)と過去問で十分です。
教科書を丸覚えするぐらい音読を繰り返し、用語集で知識を確認し過去問を解くのが理想です。……
世界史は、出るところをそのままフレーズごと覚えることが一番点に直結します。特に一橋の記述問題なんてフレーズ覚えていないと無理です。自分の頭で考えたり、流れが分かっていてもフレーズが分からないと、解答書けません。……
また、一橋や東大、京大を受けるならば「一橋大の世界史15カ年」「東大の世界史25カ年」(教学社)の赤本を先にすべて覚えるぐらいするべきです。
丸暗記でいいですよ。予備校教師とかは赤本の解答は糞だ、といいますが、受験生は赤本以上の解答は基本書けません。また傾向を把握するのにも役に立ちます。
信頼できる人の解答を丸覚えすることで、どんなことを書けばいいのか、ということの理解も進みます。
2.3.模範解答と構想メモの暗記、それぞれの長所
「構想メモ」とは、論述を書くのに必要十分なキーワードを整理したメモ・表・設計図のことです。構想メモに必要十分なキーワードを書ければ、論述は半分できたも同然なので、構想メモを素速く分かりやすく書けるようにすることは非常に重要です。構想メモの具体的な書き方は後述します。
模範解答を暗記するときには、構想メモも一緒に暗記します。なぜなら、構想メモは俯瞰的知識のカタマリだからです。
模範解答と構想メモの暗記には、それぞれ長所があります。
(1)模範解答暗記の長所
過去問のを含めて、模範解答を100問以上暗記すると、志望校の傾向が身をもって深く分かり、世界史の論述構成法が身に付き、記述力(国語力)も上がります。また、俯瞰的知識も記憶できます。
(2)構想メモ暗記の長所
一方、構想メモだけの暗記の場合、俯瞰的知識を、模範解答の暗記よりずっと短時間で暗記できます。「構想メモの暗記」とは、問題を見て、必要十分なキーワードが整理された構想メモが書けるようにするということです。
以上から、先ずは過去問10年分+論述問題集1冊分の模範解答と構想メモを暗記し、以後は過去問・論述問題集の構想メモを主に暗記するのがオススメです。
2.4.志望校の過去問を解き、「模範解答と構想メモ」を暗記する
過去問と論述問題集では、志望校の過去問の方を先に習得します。なぜなら、志望校によって傾向は全く違い、対策法=勉強法も全く異なるからです。例えば、500字の大論述を出す大学と100字の小論述しか出さない大学では、勉強内容は変わります。
まず、志望校の過去問10年分を習得して、傾向を確実につかんでから、その傾向に合った論述問題を習得していくのが正しい論述対策法です。
具体的な過去問勉強法は以下の通り。
過去問10年分の構成メモと論述を、(論述初期には知識不足でまともな論述は書けないため)教科書類を参照しながら書き、解答解説を読んで理解し、次に「模範解答と構想メモ」を「1日10回×10日」音読で暗記します。以後も、時間がある限り、15年、20年と解き、暗記し続けます。
過去問の模範解答と構想メモの詳しい暗記法はこちらに書いています。
「論述の解答は丸暗記してしまうくらい繰り返し読む」
白黒熊さん 東京大学法学部 ブログ「現役東大生が勉強法を解説」より
センター試験が終わってしばらく休んだら二次試験対策ですが、これもまた同じです。マークが記述に変わるだけです。
とにかく過去問を見て、解答を読み込みます。特に、論述の解答は丸暗記してしまうくらい、繰り返し読んでください。
「丸暗記してしまうくらい」というのは分かりにくいですね。はっきり言うと、「丸暗記して下さい」(^.^) 。そうすればその俯瞰的知識は長期記憶に入り、入試まで覚えておけます。
2.5.論述問題集の「模範解答と構想メモ」を暗記する
過去問10年分の暗記の次は、志望校の過去問に傾向が似た問題を多数収録している論述問題集の「模範解答と構想メモ」の暗記です。
数的には、まず、1冊(150~200問程度)を暗記します。あとは時間がある限り、2冊、3冊と模範解答と構想メモを暗記していきます。そうすれば、論述に必要な知識(俯瞰的知識)が増え、初見の論述テーマにも対処できる確率がどんどん上がっていきます。
平行して、入試まで、過去問を20~30年分書き、模範解答と構想メモを暗記し続け、週1回添削を受け、教科書類で俯瞰的知識の暗記を続けます。
【通史の暗記⇒過去問10年分暗記⇒論述問題集1冊暗記⇒週1回添削+模範解答暗記⇒入試】
論述問題集の模範解答暗記法はこちらに書いています。
2.6.構想メモの書き方
構想メモは、以下のように表に書いていくのがオススメです。
■問題:「ネルチンスク条約(1689年)が結ばれた背景を、ロシア、清のそれぞれについて述べよ。」
ロシア(ピョートル1世) | 清(康煕帝) |
---|---|
西欧化政策⇒国力増大⇒勢力の伸張。 | 三藩の乱鎮圧+台湾の鄭成功一族を平定⇒中国統一 |
東方:毛皮貿易⇒シベリア経営、黒竜江沿いを南進⇒清と相対 | 北方:ロシア南下阻止⇒衝突を繰り返す、ジュンガル(モンゴル~中央アジア)と抗争 |
ロシアは清との交易を望んだ。 | ⇒康煕帝はロシアとジュンガルが結ぶことを警戒⇒ロシアと講和 |
「構想メモ」は論述の要約みたいなものです。これが正しく書ければ、論述を書かなくても、論述に必要な考察力は十分鍛えられます。
2.7.構成メモと論述問題集
構成メモの具体的例は、以下の論述問題集に書かれています。
「判る!解ける!書ける!世界史論述 」(約190問、河合塾)
この問題集は非常に良くできていて、ほとんどの例題が見開き2ページで完結し、「問題・出題意図(問題の要求)・構成メモ・解説・模範解答」が見やすくまとまっています。この問題集の構成メモと模範解答を何度も読み、全部暗記すれば、構成メモと論述の書き方は大きく上達するでしょう。過去問の後の1冊目か2冊目としてオススメです。
「世界史論述練習帳new」(約320問、中谷臣著、パレード)
この問題集も非常に良くできていて、多くの問題が見開き2ページで完結し、「問題・構成メモ・解説・模範解答」が割と見やすくまとまっています。過去問の後の1冊目か2冊目としてオススメです。
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3.添削を受ける
3.1.週に1回添削を受ける
(1)論述を本格的に書き始める時期
上記のように、過去問10年分、論述問題集1冊の論述問題の模範解答・構想メモを暗記したら、ようやく本格的に論述を書き始めます。志望校の過去問、志望校に似た傾向の大学の過去問、論述問題集などを使います。
高3生なら、9月くらいからでしょう。ただ、たいていの受験生は暗記量が圧倒的に足りませんから、教科書類と論述問題の暗記と並行して、論述を書くトレーニングをしていきます。
(2)記述・添削数
暗記に時間を割く必要があるため、実際に論述を書くのは、週1~2問で結構です。そのうちの1問を、できるだけ、学校や塾の先生に添削してもらいます。
(3)添削後の論述は暗記する
添削してもらった論述は必ず暗記します。必要な俯瞰的知識を確実に暗記するためと、自分の書いた文章は暗記しやすいからです。入試の時までそのとき使った知識を保持しないと意味がありません。
(4)共通テスト後は添削数を増やす
添削は、共通テスト前は週1問で構いませんが、共通テスト後は、可能なら、週2~3問添削してもらいます。学校に行かなくても、メールで先生に提出していた猛者もいます。先生もやる気のある生徒は大歓迎のはずです。遠慮せず、添削してもらいましょう。
(5)添削してもらうときの注意点
志望校の過去問の解答用紙の形式(原稿用紙形式か、下線のみか)を調べます。過去問の形式でいつも書くようにします。1行25文字の場合、原稿用紙でなくても25字で書き、下の行もそれに合わせます。
添削してもらう際も過去問の形式で書き、文字数も最後に書いておきます(先生の手間を減らすため)。こういう気遣いで先生の好感度も上がり、丁寧に添削してもらえるでしょう。
3.2.添削してもらうメリット
(1)論述構成力と論述力アップ
先生に添削してもらえば、自分では気づかないことを指摘してもらえます。例えば、主語と述語が合っていない、意味が分からない文を書いている、文章構成がおかしい、説得力がない、必要なキーワードが足りない、キーワードの使い方がおかしい、「出題意図」に合っていない解答になっている、などです。
これらを直すことで、論述構成法を身に付け、記述力を上げていけます。
(2)論述を書く習慣を作る
定期的に添削してもらうことで、他律的に論述を書く習慣が作れます。論述を書くは大変なので、どうしても後回しになりがちです。毎週先生に添削を持って行くことで、半強制的に書くきっかけになります。
(3)真剣に書くようになる
添削してもらうことを前提で書くことで、”真剣に”書くようになります。これは自分だけで勉強しているときにはない、大きなメリットです。
3.3.添削サービス
何かの事情で添削してもらう先生が周囲にいない場合、以下の添削サービスが有用だと思われます(ただし、個々の責任において行って下さい。サービスの保証はできません)。
中谷先生は東大生も多く使っている世界史論述問題集「世界史論述練習帳new」(パレード)の著者で、駿台予備校講師です。世界史論述の専門家に1通150円前後で添削を受けられるのは貴重です。
3.4.通史の暗記後、いきなり論述を書かない理由
(1)書けないから
通史暗記が終わって、論述対策を始めたばかりの時は、何を、どういう構成(論述の構成法)で書いたらいいか分からず、また知識も曖昧なものです。よって、いきなり時間を計って過去問を解いても、あるいは論述問題集を書いても、時間ばかりかかり、ほとんど書けないでしょう。
(2)内容のある答案を書けないから
完全自力でなく、教科書類を参照しながら答案を書くという方法もあります。そうすれば知識は補えますが、書き方はよく分からない人が多いでしょう。そういう受験生は、ただやみくもに書く前に、模範解答を暗記して、「合格点を取れる答案の書き方・俯瞰的知識」を習得することが必要だと思われます。
(3)受験生の最大の問題は「記述力」ではなく「知識不足」だから
教科書類を参照して書けば、完全自力より、時間も短く、ベターな答案が書けるでしょう。記述力も上がります。
この方法は優れてはいますが、私はやはり、「模範解答の暗記」をしたあとに、答案を書いた方が効率的だと思っています。
なぜなら、受験生は圧倒的に知識が足りず、知識の暗記は、教科書類を参照しながら論述を書くより、暗記に徹した方がずっと速いからです。また、「文章構成法」は、書き方が分からないままたくさん書くより、模範解答を暗記する方が習得しやすいからです。
(4)時間がかかりすぎるから
受験生の時間は限られています。その限られた中で、たらたらと書けない記述を書く努力をするのは、労多くして益少なし、です。たとえ書けたとしても、論述構成法もわからず、知識も不足しているので、たいした論述は書けません。時間がかかりすぎる割に効果が少ないので、時間効率がとても悪くなります。
模範解答を200文暗記したら、文章構成法が分かるようになり、俯瞰的知識も身に付きます。まずは模範解答の暗記に徹する方が、速く合格レベルの論述が書けるようになります。
3.4.模範解答の暗記は邪道か?
論述の勉強をする際、模範解答を「写経」したり「暗記」したりするのを効果がないと否定する人が少なくありません。その主張とは?
(1)同じ問題は出ないから解答を丸暗記しても意味がない。
⇒全く同じ問題が出ないのは、過去問でも論述問題集でも同じ。そんなことを言ったら、過去問も論述問題集も解く意味がなくなります。解答を理解して暗記することには、俯瞰的知識・記述力・論述構成法が習得できるなど多くのメリットがあります。
(2)模範解答にも間違いが多い、出題意図を外しているものがある。
⇒少なくとも、自分が書ける答案よりはずっと良いはずだから、暗記することの意義は大きい。
(3)どんな問題が出ても論述が書ける「解き方」を養成していくことが大事。
⇒それは理想ですが、最初から「理論」を勉強しても、ピンと来ないことも多く、習得には時間がかかります。
知識があっても、世界史論述が書けない理由は、単純に「(正しく書けている)合格答案を読んだ量、暗記した量、論述を書いた量が少ない」からなので、まずは大量に読み、暗記し、平行して少しずつ書いていくのが近道です。
書き方も分からないのに最初から、膨大な時間を使って自力で書くのは時間の無駄です。そんな時間があったら一つでも合格答案を読み、暗記した方が良いのです。
(4)自力で解答を作成すべき。解答例を見たら「思考力」「考察力」が身に付かない。
⇒では自力で解答を書いたら、思考力が身に付くのでしょうか? 自力で書いたからといって、身に付くとは思えません。
「思考」とは「手順」です。「最初にこう考えて、次にこう考えて、最後にこう考えて、こう書く」というプロセスです。こういう思考プロセスは、試行錯誤して自力で論述を書くより、以下のような「論述を書く手順」通り書いていく方が身に付きます。
「まず資料・設問を注意深く読み、テーマと出題意図を把握して印を付ける。テーマと出題意図に関するキーワードを記憶からできるだけ多く引っ張り出し、羅列する。キーワードを整理・分類して構想メモを書く。それに従って下書きを書き、それをつなげて清書する」。
こういう一連の作業を、論述をほとんど書いたこともない、知識も不十分、合格解答を読んだこともない、どういう解答が合格答案とされるかも分からない人が、自力でできるわけがありません。
3.5.正しい論述問題集習得法
私が提案する最初期の「論述問題集の習得法」は以下です。詳しくはこちらに書いています。模範解答を暗記後、先生に見てもらう答案を書く際の手順はこちらに書いています。
①読む:まずは、資料・設問を注意深く読み、テーマと出題意図を把握して印を付ける。
②キーワードを書く:テーマと出題意図に関するキーワードを記憶からできるだけ多く引っ張り出し、羅列する。
③教科書類を参照:次に教科書類を参照して、キーワードを補充する(これで知識不足で書けないという問題を回避する)。
④構想メモを書く:キーワードを整理・分類して構想メモを書く。
⑤下書きと論述を書く:書ける範囲で書く。書けなければ無理して書く必要はなく、サッサと次へ行く。
⑤解答・解説を読む:模範解答・解説を読み、キーワード(その論述を書くのに必須の用語)に印を付ける。
⑥理解する:必要に応じて教科書類を参照して、模範解答がテーマと出題意図に沿っていることを確認し、内容を理解する。
⑦暗記:理解できたら、模範解答と構想メモを【1日10回音読×10日】で暗記する。
⑧100以上暗記:模範解答を100~200問、理解して暗記したら、論述に必要な知識・論述構成法が身に付き、最初の頃より遙かにまともな論述が書けるようになる。
習うより慣れろ。まずは理論より暗記が重要です。
4.終わりに
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
この記述が皆さんの参考になれば幸いです。
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