中学生が国語の成績を上げるには、学校の勉強だけでは不十分で、国語力自体を上げる必要があります。
このページでは国語力-読解力・語彙力・論理力(論理的読解力+論理的記述力+論理的解答力)など-のうち、「論理的解答力」を培う勉強法について書いていきます。
1.「論理的解答力」とは
「論理的解答力」とは、論理的かつ普遍的な手順を踏んで正答を導くことのできる能力、言い換えれば、勘(カン)ではなく、根拠をもって答え、正解できる能力のことです。
論理的解答力のうち、記述問題の解き方については、【中学生の定期テスト満点戦略(5-4)国語④論理的記述力編】で書いたので、ここでは選択肢問題の解き方を書いていきます。
2.選択肢問題の普遍的な解き方
2.1.選択肢問題の解き方
選択肢問題における普遍的な(=どの選択肢問題でも通用する)回答手順は以下になります。
【選択肢問題の普遍的な解き方】
(1)2~3か所のパートごとに○×△を付ける:選択肢は通常、読点で2~3か所に分かれます。その意味の区切りのパートごとに、○×△を付けます。
○は正しい、×は間違い、△はどちらとも言えない、です。×が1つでもあればその選択肢は間違いになるので、×が一番重要です。
(2)本文を根拠に○×△を判定する:○×△を付けるときは、確実に覚えている場合を除いて、必ず、本文に戻って該当箇所を選択肢と比較検討します。
「このパートは、本文の33行目と矛盾するから×」などと判定するのです。
「この選択肢(パート)は何となく×っぽいな」など、あいまいな記憶で判定している限り、正解率は上がりません。難しい高校、問題ほど、微妙な違いの選択肢を作っているからです。
(3)指示語の内容を明らかにする:選択肢もしくはその前後に指示語がある場合は、指示語の内容を明らかにする必要があります。
(4)選択肢の6つの切り方:「選択肢を切る」とは、その選択肢が正解でないと判断して外すことを言います。
①無関係:本文に書いていない選択肢は、基本的に×。
②間違い:本文と違うことを書いている(逆の意味、別の個所の言葉を無意味につなげるなど)選択肢は×。
③根拠がない:本文に根拠がない内容は×の可能性が高い。
例えば、選択肢に「哲郎は幸子に失望し不審に思った」と書いてあり、本文にそういうマイナス表現を示唆する描写がなければ×の可能性が高い。
④言い過ぎ:完全を表す言葉(絶対、必ず、のみ、全ての、常に、など)は要注意です。本文にそう書いていない限り、×になる可能性が高い。
⑤設問に答えていない:本文には書いてあるが、選択肢が設問に答えていない場合、その選択肢は×になります。
これが一番難しい。なぜなら、本文に書いてあると、設問をよく読まずに、○にしてしまう人が多いからです。
例えば、本文に「太郎はゆっくり海岸に歩いて行った」と書いてあり、設問は「太郎はなぜ海岸に歩いて行ったのか?」で、選択肢1に「太郎はゆっくり海岸に歩いて行った」とある場合、選択肢1は×になります。
なぜなら、選択肢1は「なぜ歩いて行ったか」に答えていないからです。
⑥要素が多い方が正解:設問の答えに含まれるべき要素が2つ以上ある場合、要素がより多く含まれている選択肢が正解になります。
例えば、「理由」が問われていて、本文には理由が4つあって、そのうち3つが書かれている選択肢と2つが書かれている選択肢がある場合、前者の方が正解になります。
2.2.「選択肢問題の普遍的な解き方」の暗記法
以上の内容は暗記して初めて使えますから、暗記します。暗記は以下の2つを平行して行います。
(1)「選択肢問題の解き方」を何度も音読して「理解」する:上記の内容をプリントアウトして、【1日5回音読×2週間】。これで「理解」します。
(2)ルーズリーフにまとめて、暗記する:まとめ方は以下の通り。これを【1日5分暗記×2週間】で暗記できます。
【選択肢の6つの切り方とは|無関係、間違い、根拠がない、言い過ぎ、設問に答えていない、要素が多い】
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3.問題集の「選択肢問題の普遍的な解き方」を習得する方法
3.1.自分の「選択肢問題の解き方」を完成させる
選択肢問題の解き方は、上記の【選択肢問題の普遍的な解き方】を理解し暗記した上で、実際に多くの問題に当たり、使うことで習得できます。
そして、優れた問題集には、それぞれの【選択肢問題の普遍的な解き方】が書かれていますから、それも自分の解き方として習得していきます。そうすることで、自分の【選択肢問題の普遍的な解き方】が完成していきます。
ここではその「問題集に書かれている、選択肢問題の普遍的な解き方」の習得法を書いていきます。
3.2.問題集を習得する具体的勉強法
問題集に書かれた論理的な読み方・選択肢問題の解き方を習得するには、具体的には以下のようにします。
【国語問題集の「選択肢問題の普遍的な解き方」習得法】
(1)問題を解く
①キーワードとキーセンテンスに印を付けながら読む:【適切なキーワードとキーセンテンスを見つけられる論理的読解法】に書かれている内容を理解し暗記し、それを使って本文を読み、キーワードとキーセンテンス、主張などに印を付けます。
キーワードとキーセンテンスは、選択肢問題でも記述問題でも、問題に関わることが非常に多いので、正しく付けられるようにすると、成績が上がります。
②選択肢問題を解く:自分のできる範囲で、できるだけ本文に根拠を探して、パートごとに○×△を付けて解きます。
③解けない場合:本文を3回読んで解き直す:自信と根拠を持って選択肢を選べない場合、「本文を3回読んで解き直す」。それでも解けない場合は、解答を見ず、後日また、「本文を3回読んで解き直す」。これを3~4回繰り返し、自信と根拠を持って選択肢を選べるまで粘ります。
(2)解答・解説を読む
解き終わったら、解答・解説を読みます。「正しい根拠」で正しい選択肢を選んでいた場合はOKです。
不正解、もしくは、正解でも根拠が間違いなら、以下のように問題集の解き方・考え方を習得します。
(3)論理的読み方の習得
①キーワードとキーセンテンスの探し方を理解し暗記する:中学レベルだとキーワードとキーセンテンスの探し方が詳しく書かれた問題集はありませんが、「システム中学国語」(出口汪著、水王舎)にはある程度載っていますので、問題集と自分が付けたものを比較します。
そして、自分が付けていなかったものについては、どうしてそれがキーワード・キーセンテンスになるのかを解説をしっかり読んで理解し、その「探し方」にマーカーを引き、覚えます。
ここで「探し方」とは、「この文章ではこれが重要だからキーワード」、などの無根拠で感覚的なものではなく、「2回以上出てきたらキーワードの可能性が高い」「最後の段落で『しかし』の後だからキーセンテンス」、などの普遍的な探し方(他の国語の問題でも使える探し方)のことです。
②復習時に「探し方」を使う:2週間以上経って、解説の内容をある程度忘れた頃に復習します。
復習の時に、その「探し方」を思い出しながら、キーワードとキーセンテンスに印を付け、解説でまた確認し、「探し方」を覚えます。
そしてまた2週間後くらいに復習します。復習は全部で3~5回、「キーワードとキーセンテンスの探し方」と「解き方」を習得するまで行います。
(3)選択肢問題の解き方の習得
①その問題集の「選択肢問題の普遍的な解き方」を暗記する:問題集の解説をよく読んで、「選択肢問題をどう解いているか」「他の選択肢問題でも使える普遍的な解き方は何か」を探し、マーカーを引き、記憶します。
「普遍的な解き方」とは、例えば、上に書いたような、「パートごとに○×△を付ける、本文に戻ってチェックする、選択肢の切り方」などです。
②選択肢の切り方を1回口頭で再現する:すぐに「選択肢の切り方」を口頭で1回再現します。
例えば、「選択肢①の前半は33行目に同じ内容があるから○、後半は40行目にこう書いてあり、逆の内容だから×」など。
③復習のとき:ゼロベースで考える:文章内容や解き方を適度に忘れた2~3週間後くらいに復習をします。
復習時は、解説や解答を覚えていようがいまいが、ゼロベースで(ゼロから自力で考え直して)、「選択肢問題の普遍的な解き方」を頼りに、根拠を持って選択肢を検討するよう努めます。
そして、解説を読んで自分の根拠が正しいかどうかを確認し、修正し、その後、解き方を1回口頭で再現します。
これを繰り返すことで、根拠を持って、正しい選択肢を選び、間違った選択肢を切れるようになり、またそれが速く正確にできるようになります。
ゼロベースで考えるのは、記憶の割合を減らし、思考力を目一杯働かせて、思考力を鍛えるためです。
④3~5回復習して「解く手順」を習得する
このように、問題集に書いてある「本文のキーワードとキーセンテンスの探し方」や「解き方」を習得することを創賢塾ではインストールと言っています。
3.オススメ問題集
「論理的な解説」がなされている、以下のような問題集がオススメです。
「システム中学国語」シリーズ(出口汪著、水王舎)
「中学生版 出口の国語レベル別問題集」シリーズ(東進)
「高校入試を制する国語 選択問題の解き方の基本」(早瀬律子著、文芸社)
「国語長文難関徹底攻略30選」(東京学参)
「解き方がわかる国語 文章読解」(石関直子著、学習研究社)
「やさしい中学国語」(村上翔平著、学研プラス)
4.最後に
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
この文章があなたの国語の成績アップにつながれば幸いです。あなたの健闘を祈ります。
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【自分で考えさせる】
Sさん(中学3年生、愛知県)のお母様
今月の授業を横で聞いていて思った事は先生のけん引力の強さです。
国語の抜き出し問題を間違えた時には、
なぜその部分を抜き取ったのか?
どうしてそのように考えたのか?
なぜ分からない?
どこが分からない?
など、しっかり深掘りをしてくださいます。
先生は本質を見抜くのが早いので、理解度にあった質問をしながら、自分で考えさせて解答させます。直ぐに解答に行かない、その流れに驚きました。
緊張しているのか、息子はいつもモタモタしてしまうのですが、まずは聞いて受け止めて、そして的確に質問してくださるところも、凄いと思うところです。
私達は毎日すごくたくさんの決断をして、時にはその決断に理由が必要な時もありますし、自分の意見を人に伝えられる力も必要かな…とも思います。先生の授業は色々なことに繋がるように思い、有意義な時間だと思っております。
世の教諭の方々や、塾の講師の方々は、先生に指導を受けてから指導してくださったらもっとわかりやすいですよね。是非創賢塾に入塾してほしいです。
最近息子は、国語が嫌いだと言わなくなりました。会話の中での汲み取りも上手くなりました。塾の模試でも、国語が簡単だったよ!と先日言っておりました。先生のけん引の力です。これからもよろしくお願いします。
P.S.模試の結果ですが、国語の偏差値は、前回の45から55に上がっていました。