このページでは、漢文の土台である漢文句法(句形)の暗記法をご紹介します。
1.句法
1.1.句法とは
句法とは、特別な読み方・意味を持つ、漢文における文法・構文・熟語です。
句法は100くらいあり、それを覚えれば、漢文の勉強は半分終わったも同然といって良いくらい重要です。事実、句法を全て暗記したら成績が上がる生徒はたくさんいます。
1.2.句法例文
句法(例:「未ダ……ズ」)は、句法例文(例:「未ダ嘗テ泣クヲ見ズ」)を「スラスラ訓読でき、訳せる」ようにすれば、習得できます。
1.3.句法問題集
句法は、以下のような句法問題集で習得します。
「漢文ヤマのヤマ 共通テスト対応版」(学研)
「ステップアップノート10 漢文句形ドリルと演習」(河合塾)
「基礎からのジャンプアップノート 漢文句法・演習ドリル」(旺文社)
「三羽の漢文 基本ポイントこれだけ!」(東進)
「三羽邦美の漢文教室」(旺文社)
「文脈で学ぶ 漢文句形とキーワード」(Z会)
オススメは、最小限の暗記すべき内容(句法・言葉・漢詩の形式等)がコンパクトにまとまっている「漢文ヤマのヤマ 共通テスト対応版」か、難関大志望者には、内容が濃い「文脈で学ぶ 漢文句形とキーワード」もオススメです。
2.句法暗記
2.1.読み仮名を消す
読み方も覚えるため、句法例文の横に読み仮名が書かれていれば、それを修正テープ(修正液、ホワイト)などで消します。
例えば、「将(まさ)に……セントス」であれば、「まさ」のような読み仮名を修正テープなどで消します(送り仮名や返り点は消しません)。
2.2.句法暗記
句法問題集には通常、句法(例:「未ダ……ズ」)と、句法例文(例:「未ダ嘗テ泣クヲ見ズ」)が載っています。それぞれを以下のように暗記します。
【句法暗記法】
(1)句法暗記:【句法を見て訓読のテスト⇒自力で3回連続スラスラ訓読できるまで訓読する】⇒【句法を見て訳を言うテスト⇒句法を見ながら、自力で3回連続スラスラ訳せるまで訳す】
①訓読:句法を見て訓読し、書き下し文を見て確認します。そして句法を見ながら、自力で3回連続スラスラ訓読できるまで、3~5回前後訓読します。
このとき、書き下し文は何回見ても構いません。
②訳の暗記:句法を見て訳を言い、正解をチェックします。そして句法を見ながら、自力で3回連続スラスラ訳せるまで、3~5回前後訳します。
このとき、訳は何回見ても構いません。
(2)句法例文暗記:【句法例文を見て訓読のテスト⇒自力で3回連続スラスラ訓読できるまで訓読する】⇒【句法例文を見て訳を言うテスト⇒「書き下し文⇒訳」×5回交互に音読して訳を暗記⇒句法例文を見ながら、自力で3回連続スラスラ訳せるまで訳す】
①訓読:句法例文を見て訓読し、書き下し文を見て確認します。そして句法例文を見ながら、自力で3回連続スラスラ訓読できるまで、3~5回前後訓読します。
このとき、書き下し文は何回見ても構いません。
②訳の暗記:句法例文を見て訳を言い、正解をチェックします。そして、書き下し文と訳を5回交互に音読し、訳を暗記します(例:【「いまだかつて泣くを見ず」⇒「まだ泣くのを見たことがない」】×5回)。
そして句法例文(漢文)を見ながら、自力で3回連続スラスラ訳せるまで、3~5回前後訳します。
このとき、訳は何回見ても構いません。その後、解説を読みます。
③解説を読む:内容を理解し、重要な部分にマーカーを引きます。2回目以降はそこを中心に読みます。
(3)全ての漢文を習得
解説中の漢文や練習問題の漢文など、全ての漢文を、上記のように習得します。
※習得:このページでは、「訓読+訳の暗記」によって「漢文をスラスラ訓読でき、訳せるようにする」ことを「漢文を習得する」と呼びます。
(4)全句法を10周する
①10周:全句法の1周目が終わったらすぐに2周目に入り、そのまま1~3ヶ月で10周します。10周すれば、誰でも、いったん全て「スラスラ訓読でき、訳せる」ようになります。
②4周目からテスト:4周目から毎回、訓読、訳のテストをし、できないものに印を付け、そこだけを上記のように「スラスラ訓読でき、訳せる」ようにします。
③セット法:全体を一気に暗記するのが難しいと思ったら、全体を20~30句法のセットに分けて、セットごとに10周していく方法も有りです。
例えば全部で60句法あったら、1セットを20句法にして7~10日前後で10周し、それを完全に暗記したら第2セットに進みます。
(5)長期記憶に入れる
全句法を10周していったん完全に暗記した後、他の章があればそれを暗記しながら、なければ次の問題集を習得しながら、全句法を2ヶ月以上復習します。
具体的には、土日などに、句法、句法例文を訓読し、訳して、できないものに印を付け、上記の方法で暗記します。これを2週間で全句法を1周するなどし、2ヶ月以上続けます。
そして、夏休みなどの長期休暇にまた復習し、定着を図ります。
2.3.短期集中暗記
句法を暗記するときは1~3ヶ月で一気に暗記します。仮に1日1句法を暗記していったとして、全部で60~100句法ありますから、1周目で2ヶ月以上かかります。そんなことをしていたら、いつまで経っても暗記できません。
よって、数ヶ月間を漢文の強化月間にして、「毎日30分+土日1時間」など、漢文を集中的に勉強します。
例えば、全部で60句法あるとしたら、1周目は毎日2句法(+土日4句法ずつ:23日)、2周目は毎日4句法(+土日8句法ずつ:12日)、3周目は毎日6句法(10日)など進め、1~3ヶ月で10周します。
もしくは、夏休みなどに一気に暗記します。
【句法問題集を暗記することで漢文の成績が上がった】
Sさん(高校3年生、東京都)
私は以前漢文が全く読めなかったのですが、この塾で課された、同じ参考書(句法問題集)を繰り返すという宿題を毎週こなしていき、もうすぐで10周になるという今、問題を解いていると漢文が頭に入りやすくなったと感じるようになり、成績もずいぶん上がりました(3割弱⇒4割強)。
最初は、同じことをずっと繰り返すことで漢文が読めるようになるのかと少し不安でしたが、参考書の内容をしっかり定着させることでこんなにも伸びることを実感しました。他の教科でも同様に何度も繰り返しの勉強をしていきたいです。
3.長期記憶に入れる方法
長期記憶とは、数ヶ月~数年以上もつ記憶のことです。
長期記憶に入れるには、【短期記憶⇒7日復習⇒中期記憶⇒2ヶ月以上復習⇒長期記憶】のようにします。
全ての情報(記憶)は最初、短期記憶(数時間~数週間もつ記憶)に入ります。その情報が繰り返し入らなかったら(復習しなかったら)、速やかに思い出せなくなります。
その情報を7日(7回)以上復習すると、中期記憶(数週間~数ヶ月もつ記憶)に入ります。そして更に2ヶ月以上復習すると長期記憶に入り、入試時に使える情報になります。
逆に言うと、長期記憶に入れなければ入試には使えないので、入試で必要になる情報は全て、長期記憶に入れることを考えて復習計画を立てる必要があります。
4.終わりに
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
この文章があなたのお役に立てれば幸いです。
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【句形暗記で漢文の成績が上がりました】
Tさん(高校2年生、神奈川県)
漢文の勉強方法を先生に教えてもらいました。学校で購入した漢文の句形の参考書のようなものがありますが、一切使っていませんでした。その句形が108個あり、1週間に30個ずつ覚えるといいと教えてもらいました。
通学の電車に乗っている時などのすきま時間を利用して暗記しています。4週間で全部覚えてからテストがあり、今までは3割以下だったのが、7割を超えました。今までほとんど分からなかった初見の漢文の内容も少し分かるようになり、読みやすくなり、良い成果が出ています。
全部の句形をきちんと復習し、共通テストでも高得点を目指します。